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改訂のポイント:
  1. 2022 American College of Rheumatology/EULAR classification criteria for Takayasu arteritis(Grayson PC,et al. Ann Rheum Dis. 2022 Dec;81(12):1654-1660.)を参照に、高安動脈炎の分類基準として、1990年ACR分類基準から2022年ACR/EULAR分類基準に変更した。

概要・推奨   

  1. プレドニゾロン(PSL)を10 mg以下に減量する際には、慎重な経過観察が必要。減量が困難である場合には、長期高用量連用によるステロイド副作用を避けるために、免疫抑制薬や生物学的製剤の併用を検討すべきである(推奨度2)
  1. PSL 20 mg/日以下の減量では、ステロイド1.2 mg/月以上の減量速度が再燃のリスクである(推奨度2
  1. 抗IL-6受容体抗体トシリズマブ皮下注射製剤は既存治療で効果不十分な高安動脈炎には奏効する推奨度2

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 高安動脈炎とは、主に大動脈やその分枝および肺動脈、冠動脈に閉塞性あるいは拡張性病変を来す大型血管炎である。わが国では大動脈ならびにその分枝血管が障害されることが多い。大動脈炎症候群とも呼ばれる。
  1. 症状は主に炎症による全身症状と血管狭小化、閉塞、拡張による局所の血管症状に大別される。
  1. 本疾患は1908年金沢医学専門学校の眼科医である高安右人(たかやすみきと)により眼底変化(花冠状吻合)を伴う22歳女性の症例として報告され、世界中でTakayasu’s arteritisという呼称が広く用いられる。わが国では大動脈炎症候群と呼ばれることが多かったが、現在では指定難病として「高安動脈炎」という病名に変更されている。
  1. 日本では患者数は約7,000人と推定されており、年間300人前後の新規患者が発生している。
  1. 高安動脈炎に関するこれまでの報告では男女比は約1:9で、女性における初発年齢は20歳前後にピークが見られるが、男性でははっきりとしたピークは見られない。小児期の発症も稀ながらあり、わが国では小児発症患者は100人程度と推察されている。高齢発症もあり得るが、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)を含む他の疾患を考慮する。
  1. 症状が多彩である上に、非特異的な所見が多いため、未診断例も少なからずいることが想定される。
  1. アジア、中東、南米に多く、HLA-B52、B67との関連が指摘されている。
  1. 高安動脈炎は、指定難病であり、重症度分類Ⅲ度以上の場合、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。
  1. 難病法に基づく医療費助成制度
問診・診察のポイント  
全身症状:
  1. およそ20%の患者で発熱や倦怠感がみられ、寝汗や体重減少を伴うこともある。筋痛や関節痛を伴う場合もある。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
坂内穎 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:金子礼志 : 特に申告事項無し[2025年]

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高安動脈炎(大動脈炎症候群)

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