今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山田典一 地方独立行政法人桑名市総合医療センター

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2024/12/11
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会、日本血栓止血学会、日本呼吸器学会、日本静脈学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本肺高血圧・肺循環学会:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. タイトルを深部静脈血栓症から静脈血栓塞栓症に改め、新たに肺血栓塞栓症の内容を追加した。

概要・推奨   

  1. 中枢型深部静脈血栓症の抗凝固療法としては、高度腎機能障害や妊娠などがないことを確認のうえで、即効性を有し、用量調整が不要な直接作用型経口抗凝固薬DOACが推奨される(ただし、DOAC単独での治療開始は原則としてリバーロキサバンとアピキサバンに限る)(推奨度1
  1. 未分画ヘパリンやワルファリンなど採血による用量調整が必要な抗凝固による初期治療では早期に治療域内でコントロールすることが重要である(推奨度1)
  1. 有症候性深部静脈血栓症患者に対する初期治療法としてフォンダパリヌクスの1日1回皮下注は従来治療(未分画ヘパリン+ワルファリン)と同等の効果と安全性を有している(推奨度2)
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)は大きく急性PTEと慢性PTEに分けられ、急性PTEは新鮮血栓が塞栓子として肺動脈を閉塞する病態を、慢性PTEは器質化血栓により肺動脈が狭窄、閉塞している病態を指し、特に肺高血圧を伴う場合には慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)と診断される。
  1. 急性PTEの塞栓源の約90%は下肢あるいは骨盤内の静脈で形成された血栓である。急性PTEでは肺動脈を閉塞する血栓量や患者の心肺予備能によっては、低血圧、ショック、循環虚脱、さらには心肺停止を来す場合もある重篤な致死的疾患といえる。
  1. 静脈は四肢において深部静脈、表在静脈、穿通枝に分けられるが、そのうちの四肢の筋膜より深部を走行する深部静脈に血栓を生じた場合に深部静脈血栓症(DVT)と呼ぶ。
  1. DVTは上肢に生じることは少なく、大部分が下肢に発生する。左下肢での発症は右下肢に比べ多いとされるが、両側性も存在し、頻度的には下腿部のDVTが多く認められる。下肢においては、血栓の部位によって膝窩静脈を含みより中枢側に血栓が存在する場合に中枢型(近位型)、膝窩静脈より末梢側にのみ血栓が存在する末梢型(遠位型、下腿型)に分類する。下腿部での初発部位は、多くがひらめ筋静脈である。中枢型のなかでも腸骨静脈を含む広範囲にわたる急速閉塞の場合には、静脈の高度還流障害に伴う下肢緊満による動脈血流障害により、静脈性壊死となることがある。また、中枢型DVTの慢性期には静脈うっ滞の症状・所見を呈する血栓後症候群が約40%にみられる。
  1. PTEとDVTは密接に関連しており、両疾患を総称して静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)と呼ぶ。
 
静脈血栓塞栓症(VTE):深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)

 
  1. VTEの成因を考えるうえで、Virchowの3徴:①血流停滞、②血管内皮障害、③血液凝固能亢進――が重要である。
  1. DVTの重篤な合併症にPTEがあるが、表在静脈に限局した表在静脈血栓症ではPTEの頻度は少ないとされる。
  1. 中枢型DVTの40~60%に無症候性も含めPTEが合併する。また、急性PTEの約90%では下肢DVTが塞栓源である。
  1. 中枢型DVT慢性期の静脈弁不全に伴う血栓後症候群が問題となる。
  1. PTEの米国での年間発症者数は50~60万人とされ、日本の2011年の調査では年間1万6096人と推計されている。
  1. DVTは米国の年間発症数は11万6,000~25万例で10万人当たり約50例、日本では2万4,538例で10万人当たり約20例と報告されている。
問診・診察のポイント  
PTE:
  1. 症状:主な症状は呼吸困難、胸痛であるが、それ以外にも失神、咳嗽、血痰、冷汗、動悸、不安感などがみられる。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山田典一 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:今井靖 : 未申告[2024年]

ページ上部に戻る

静脈血栓塞栓症

戻る