今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 梨木洋 花巻市石鳥谷医療センター

監修: 箕輪良行 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問

著者校正/監修レビュー済:2022/09/14
参考ガイドライン:
  1. 日本登山医学会:高山病と関連疾患の診療ガイドライン初版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. 急性高山病の予防および治療にアセタゾラミドの使用が推奨される(推奨度2)
  1. 急性高山病の予防および治療にデキサメタゾンの使用が推奨される(推奨度2)
  1. 高所肺水腫の予防および治療にニフェジピン徐放剤の使用が推奨される(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 急性高山病は、高地環境に順応していない人が標高2,500m以上の高所に急速に移動することにより発生する、低酸素・低圧・低温環境への曝露と運動負荷により生じる症候群である。
  1. 重症化すると、高所脳浮腫、高所肺水腫を発症する。まれな疾患であるが適切な治療が行われない場合、死亡に至る。
  1. 問診・状況より急性高山病を疑うことは容易である。他の中枢神経・呼吸循環器疾患を除外し、重症型を見逃さないことが重要である[1][2][3]
 
  1. 急性高山病 用語の定義(G)
  1. 急性高山病は、低地居住者が高山に赴いたときにみられる症候群のことである。
  1. 重症化すると高所肺水腫、高所脳浮腫となる。これら用語の定義は1991年第7回国際低酸素シンポジウムで統一された[4]
  1. 急性高山病(AMS):新しい高度に到達した際に起こる症状。頭痛はほぼ必発。かつ、①消化器症状(食欲不振、嘔気または嘔吐)、②疲労および/または脱力、③めまいおよび/またはふらつき、④睡眠障害──の4つのうち1つを伴う。2,500mの高度に急激に登高すると25%の人に上記症状が3個以上出現し、4,000mの高度では半数以上が上記を経験し、うち数%は重症化する[5]という報告がある。
  1. 高所脳浮腫(HACE):重症高山病の最終段階。急性高山病患者に精神状態の変化か運動失調を認める。急性高山病症状がない場合には、精神症状と運動失調を認める場合に高所脳浮腫とする。0.49~1.8%の発生頻度報告[5]がある。
  1. 高所肺水腫(HAPE):以下のうち少なくとも2つの症状がある。
  1. 安静時呼吸困難
  1. 虚弱感または運動能力低下
  1. 胸部圧迫感または充満感
  1. また、以下のうち2つの徴候がある。
  1. 少なくとも1肺野でのラ音または笛声音
  1. 中心性チアノーゼ
  1. 頻呼吸
  1. 頻脈
問診・診察のポイント  
  1. 急性高山病の発症のリスクを確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
梨木洋 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:箕輪良行 : 特に申告事項無し[2025年]

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