今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 花木奈央 大阪大学大学院医学研究科 公衆衛生学

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2025/10/15
参考ガイドライン:
  1. 日本中毒学会:新版 急性中毒標準診療ガイド
  1. Dart RC, Mullins ME, Matoushek T, et al: Management of Acetaminophen Poisoning in the US and Canada: A Consensus Statement. JAMA Netw Open, 2023; 6(8): e2327739. PMID: 37552484
  1. コクランシステマティックレビュー:Cochrane Database of Systematic Reviews Interventions for paracetamol (acetaminophen) overdose
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 2023年8月に改訂された北米4学会のコンセンサスをもとに改訂を行った(Dart RC, JAMA Netw Open, 2023)。
  1. 改訂されたRumack–Matthewノモグラムの表現を提示した“high-risk ingestion(従来の massive を再定義)”のラインを提示した。
  1. 反復投与による中毒治療のアルゴリズムを追加した。
  1. N-アセチルシステインの中止基準を追加した。
  1. わが国で販売・承認されていない薬剤についてはその旨を明記した 。

概要・推奨   

病態
  1. アセトアミノフェンは市販薬にも含まれており、過剰摂取による救急搬送車は毎年増加傾向である。
  1. 通常摂取量では肝臓のグルタチオンにより代謝されるNAPQIが過量摂取状態では無毒化されず、肝細胞の壊死をもたらす。
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  1. アセトアミノフェンの加療服薬が疑われる場合は、摂取量・時間を聴取し、4時間後以降の血中濃度を測定する。
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  1. わが国の救急医療施設でアセトアミノフェン血中濃度が即時分析可能な施設の割合は12.2%である[1]
  1. アセトアミノフェン血中濃度の結果が短時間で分からないに場合、わが国では成人で7.5 g以上、小児では150 mg/kg以上の摂取の場合、N-アセチルシステインが投与されていることが多い[2]
  1. N-アセチルシステイン[3]の投与がアセトアミノフェン摂取後8時間以上だと、肝障害の割合が高くなるという報告がある。アセトアミノフェン血中濃度がノモグラムの治療域にあるか、血中濃度がすぐに判明しないが摂取量が150 mg/kg以上の場合は肝障害の可能性が高いため、アセトアミノフェンの解毒薬であるN-アセチルシステインをなるべく早く、遅くとも24時間以内に投与する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
花木奈央 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:志賀隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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