今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 石井一弘 筑波⼤学 医学医療系 神経内科学

監修: 庄司進一 筑波大学

著者校正/監修レビュー済:2022/04/27
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、① 肝硬変患者への経口タウリン投与でのRCT結果、② 薬剤性筋けいれんにおける原因薬物の追記、③ 治療薬の追記を行った。

概要・推奨   

  1. 筋けいれんを起こし得る基礎疾患の治療をまず第一に考える。次に薬剤性が疑われるのであれば、疑わしい薬剤を中止して筋けいれんの症状が軽減することを確認する(推奨度1、M~2、R)

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 有痛性の筋収縮状態は、下腿三頭筋に最も多くみられ、これを”こむらがえり”という。または「筋(すじ)がつる」という。英訳はleg cramp, muscle cramp(腓腹筋の筋けいれん)[1]。病態機序は必ずしも明らかでなく、伴う疼痛の原因も明確でない。
  1. 生理的なこむらがえりは健常人の90%以上が経験している。最も頻繁に認められる生理的なこむらがえりは夜間睡眠時腓腹筋に非対称性に生ずる激烈な痛みを伴う筋の異常収縮である。腓腹筋に限らず、全身いたるところで起き得る。健常人でも、水泳中など筋過労時運動中にも起きる。腓腹筋に起きる場合、筋肉の最も短縮したときに起き、随意的に短縮させて誘発することもできる。発作は数十秒から数分でおさまるが、疼痛が残ることが多い。攣縮している筋肉を伸展させて発作を止めることができる。他に症状が無ければ生理的なこむらがえりと評価する。
  1. こむらがえりの頻度として、高齢者の大規模研究では50%以上が夜間筋けいれんを経験している[2]。男女差はない。筋けいれんの発生頻度は年齢とともに増加し、高齢者を苦しめる疾患の1つである[3]。 家庭医に登録している233人の住民を対象にした調査では、安静時にこむらがえりのある人は37%で、高齢者により多かった。83%が下腿筋に自覚していた。夜間に多く、平均9分持続していた。頻度は少ない人が多かったが、1週に3回以上が40%、1日に1回以上の人は6%いた。86人のうち32%が家庭医に報告していた[3]。 英国の病院の老年科外来で65歳以上を対象にした調査では、365人中50%にこむらがえりがあった。夜間に多く(62%)、期間は10年以上が20%、最近半年以内が9%であった [4][5]
  1. 妊娠に関連して、33~50%の妊婦は筋けいれんを経験しており、週数が進むに連れて、症状が増悪する傾向にある[6]
  1. 子供に起こる筋けいれんは7.3%にみられ、成人の筋けいれんと臨床所見が異なる。約2分間持続する筋けいれんを年に1~数回経験する程度である[7]
問診・診察のポイント  
  1. 有痛性筋けいれんの生じる筋:局所性か全身性か? 左右対称か? 持続時間は? 安静時か運動時か? 家族歴はあるか? 色の濃い尿(ミオグロビン尿)は出るか?

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
石井一弘 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:庄司進一 : 特に申告事項無し[2025年]

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こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮

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