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著者: 後藤信哉 東海大学 内科学系循環器内科学

監修: 代田浩之 順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学

著者校正/監修レビュー済:2021/09/29
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、「出血リスク、血栓リスクの層別化」「抗血小板併用療法の必要期間の短縮」「心房細動合併症における3剤併用リスク」について追記した。

概要・推奨   

  1. 慢性期冠動脈疾患は全身の動脈硬化、血栓性病態の亢進した非可逆的病態であり、医療介入による予後改善効果は限られている。動脈硬化性変化が出現する前のリスク因子の段階における介入が重要である(推奨度1)
  1. 冠動脈ステント留置後、アスピリンとクロピドグレルまたはプラスグレルのDAPTを1~3ヵ月間継続する(推奨度1)
  1. 出血リスクが高い患者に対して、DAPT継続期間の1から3ヵ月への短期化を考慮する(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 慢性期冠動脈疾患は、心筋を灌流する冠状動脈に動脈硬化性狭窄を認める疾患である。
 
慢性期冠動脈疾患と急性冠症候群の冠動脈病変

慢性期冠動脈疾患の冠動脈病変は動脈硬化巣による冠動脈狭窄が主病態である。このため、労作などにより心筋の酸素消費量が増加するときには十分な酸素供給ができずに胸痛が起こる。急性冠症候群では、冠動脈内の動脈硬化巣破綻部位に血栓を形成することが主病態である。急性冠症候群になると胸痛頻度の増加、胸痛を惹起する労作閾値の低下、安静時の胸痛などが起こる。

出典

著者提供
 
  1. 慢性期冠動脈疾患の診断では、労作時の胸痛について詳細な問診が必須である。
  1. 慢性期冠動脈疾患の症例では、冠動脈に動脈硬化性病変のない症例よりも、数年以内の近未来に心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡などの心血管イベントを発症するリスクが高い。
  1. 慢性期冠動脈疾患では、脳卒中など冠動脈以外の血管(脳血管、末梢血管など)の動脈硬化、血栓イベントリスクが高い。
  1. 冠動脈における「動脈硬化性病変」の存在よりも、「心筋虚血症候」の有無を重視すること。無症候の「動脈硬化性病変」の多くは、生活習慣改善指導の重要性が医療介入よりも大きい。
  1. 労作時の心筋虚血による胸痛に対してはニトログリセリンの舌下服用が有効な場合が多い。
  1. 労作性狭心症は、心筋酸素需要の増加時に症候が発現する。心筋酸素需要を規定する因子には、血圧、心拍数、心筋収縮性などがある。血圧、脈拍、心筋収縮性を低下させ、労作性狭心症の発症を予防する手段としてβ遮断薬、Ca拮抗薬、硝酸薬などがある。
  1. 内科的治療が奏効しない場合には、冠動脈バイパス手術、カテーテルを用いた血管内治療などの適応となる。冠動脈バイパス手術は、左主幹部病変、三枝病変などで生命予後の改善を示すエビデンスがある。カテーテル治療により労作時の胸痛は軽減できるが、長期予後の改善を示す明確なエビデンスがない[1]
  1. 欧米諸国では冠動脈疾患の発症率、有病率が高い。日本では冠動脈疾患と脳血管疾患の比重が同程度である[2]
  1. Framingham研究から、高血圧(本態性高血圧症)、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙と冠動脈疾患発症の強い関連が示されている。慢性期冠動脈疾患では、リスク因子の管理がきわめて重要である。
 
  1. 慢性期冠動脈疾患は全身の動脈硬化、血栓性病態の亢進した非可逆的病態であり、医療介入による予後改善効果は限られている。動脈硬化性変化が出現する前のリスク因子の段階における介入が重要である(推奨度1)
  1. 慢性期冠動脈疾患の症例ではさまざまな医療介入を行っても、年間4%程度の症例が心血管死亡/心筋梗塞/脳卒中などの動脈硬化血栓性イベントを発症する。
  1. 世界44カ国から6万8,000例以上が登録されたREACH registryでは、冠動脈、脳血管、末梢血管に動脈硬化性病変を認めた症例は年間4%程度、認めなかった症例では1.5%程度が心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中を発症した。
  1. 慢性期冠動脈疾患は治ることのない疾患である。長期間にわたる管理が必要である。
  1. 「冠動脈疾患」であっても脳血管、末梢血管にも病変が合併している可能性を考えること。
  1. 追記:日本人約5,000例を含む大規模前向きコホート研究である[3]
 
  1. 欧米データを日本人には直接適用することは難しい。
  1. 日本人の冠動脈疾患慢性期の症例の年間心筋梗塞発症再発リスクは、安定している症例では0.4%程度に過ぎない。また、日本人の慢性期冠動脈疾患の症例では、心筋梗塞リスクよりも脳梗塞リスクが高い。
  1. 多くの臨床エビデンスは欧米から発信され、日本人の症例が含まれていない。日本人に対して欧米人のエビデンスがどの程度適応可能かに関しても十分な情報がなかった。安定した慢性期冠動脈疾患の日本人症例のイベントリスクはきわめて低い。欧米データを日本人には直接適用できないと考えざるを得ない。
  1. 追記:日本国内から8,000例を超える心筋梗塞、脳梗塞、心房細動の症例を登録した本格的前向きコホート研究であり、信頼性が高い。
 
慢性期冠動脈疾患の心血管イベント発症リスク

日本人では、慢性期冠動脈疾患でも①脳卒中、②がん、など冠動脈以外の疾患に対する配慮が必要である。

出典

Shinya Goto, Yasuo Ikeda, Kazuyuki Shimada, Shinichiro Uchiyama, Hideki Origasa, Hiroyuki Kobayashi, J-TRACE Investigators
One-year cardiovascular event rates in Japanese outpatients with myocardial infarction, stroke, and atrial fibrillation. -Results From the Japan Thrombosis Registry for Atrial Fibrillation, Coronary, or Cerebrovascular Events (J-TRACE).-.
Circ J. 2011;75(11):2598-604. Epub 2011 Aug 20.
Abstract/Text BACKGROUND: There remains uncertainty about the risk of cardiovascular events in stable outpatients with a history of myocardial infarction (MI), stroke, and atrial fibrillation in Japan.
METHODS AND RESULTS: In the Japan Thrombosis Registry for Atrial Fibrillation, Coronary, or Cerebrovascular Events (J-TRACE), a nationwide prospective cohort of stable outpatients with a history of MI (n=2,291), stroke (n=3,554), and/or atrial fibrillation (n=2,242), 1-year follow-up data were available for 7,513 of 8,087 patients (follow-up rate: 92.9%). The primary endpoint (death/MI/stroke) was reported in 3.53 events per 100 person-years (95% confidence interval [CI]: 3.11-3.99) within 1 year. The rates of all-cause death, death from stroke, and death from MI within 1 year were 1.35 (95%CI: 1.10-1.65), 0.15 (95%CI: 0.08-0.27), and 0.06 (95%CI: 0.02-0.14) per 100 person-years, respectively. The rate of non-fatal stroke was 1.85 (95%CI: 1.55-2.19), while that of non-fatal MI was 0.33 (95%CI: 0.21-0.49). The rate of non-fatal stroke was highest among stroke patients (2.95; 95%CI: 2.39-3.60 per 100 person-years), while that of non-fatal MI was similar across all disease categories. Investigator-decided serious non-fatal bleeding events occurred in 0.21 events (95%CI: 0.12-0.34) per 100 person-years.
CONCLUSIONS: In this large, nationwide Japanese registry, the highest stroke event rate was seen in patients with a history of stroke.

PMID 21857143
問診・診察のポイント  
  1. 「胸痛」発症状況の丁寧な問診がきわめて重要。「痛み」よりは「違和感」、「圧迫感」などと表現されることが多い。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
後藤信哉 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:代田浩之 : 特に申告事項無し[2025年]

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