今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高村 浩 公立置賜総合病院 眼科

監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科

著者校正/監修レビュー済:2021/11/24
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、IgG4関連疾患や甲状腺眼症などについて加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 眼窩腫瘍のなかではリンパ増殖性疾患の頻度が高い。
  1. 眼窩血管腫の診断にはdynamic MRIが有用である(推奨度2)
  1. 眼窩に限局した悪性リンパ腫に対する放射線治療は低悪性度リンパ腫に対しては30Gy、中~高悪性度リンパ腫に対しては40Gyが適当である(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 眼窩内に異常を来す疾患には、腫瘍性疾患、感染を含む炎症性疾患( 眼窩炎症疾患 )、血管異常、外傷( 眼外傷 )、甲状腺眼症( 甲状腺機能亢進症 、 眼球突出 )、先天性疾患( 眼球突出 )など多くのものがある。
  1. 眼窩原発の腫瘍のなかで、良性腫瘍で多いものは血管腫や涙腺多形腺腫など、悪性腫瘍で多いものは悪性リンパ腫である。
  1. 続発性(浸潤性)の眼窩腫瘍で多いものは、副鼻腔の嚢胞性疾患や扁平上皮癌である。転移性眼窩腫瘍では、悪性リンパ腫や肺癌、乳癌などの転移が多い。
  1. 血管異常には、内頚動脈海綿静脈洞瘻や眼窩静脈瘤、海綿静脈洞血栓症( 脳静脈血栓症 、 動静脈奇形 )などがある。
  1. 眼窩内異常を来す疾患では、 眼球突出 、眼球運動制限、複視、眼球偏位、視力低下などが生じる。血管異常では、間欠性眼球突出や球結膜の血管怒張などがみられる。炎症・感染性疾患では、疼痛、眼瞼や結膜の発赤、腫脹などを来す。甲状腺眼症では眼瞼後退などの眼瞼異常を伴う。眼窩壁骨折などの外傷では眼球が陥凹することもある。
 
 
  1. 眼窩腫瘍のなかではリンパ増殖性疾患の頻度が高い(M)
  1. 日本で報告された眼窩腫瘍症例のメタ解析研究がある[1]。全1,483例のうち、原発性眼窩腫瘍が47%、続発性眼窩腫瘍が30%、炎症性疾患が22%であった。原発性眼窩腫瘍のなかで最も多いのが悪性リンパ腫(12%)で、次が多形腺腫(7%)であった。転移性眼窩腫瘍のなかで多いのは肺癌、乳癌、甲状腺癌だった。全体で最も多かったのは炎症性偽腫瘍(18%)だった。
  1. 悪性リンパ腫と炎症性偽腫瘍を合わせてリンパ増殖性疾患と呼称するが、それが眼窩腫瘍のなかで大きな割合を占めていた。
問診・診察のポイント  
 
  1. 問診では以下の項目について詳細な情報を得る。
    ①発症時期(罹病期間)、②進行速度(急激か緩徐か)、③眼球運動時痛など疼痛の有無、④複視や視力低下など視機能の変化、⑤頭痛や鼻づまりなど眼窩周辺部位の症状の有無、⑥副鼻腔疾患、脳疾患、甲状腺機能異常や悪性腫瘍などの全身疾患の既往歴、⑦外傷の有無
 
 
  1. 診察では視力や眼圧測定に加えて以下の項目の有無について観察する。
    ①眼窩縁や眼瞼皮下での腫瘤の触知、② 眼球突出 (ヘルテル眼球突出計)、③眼球運動制限・眼球偏位・複視(ヘスチャート)、④眼瞼の発赤・腫脹、結膜充血、⑤球結膜血管怒張、眼窩部での血管雑音(聴診器)、⑥視神経乳頭の腫脹あるいは萎縮や網・脈絡膜皺襞、網膜血管走行異常、⑦頚部リンパ節などの腫大
 
検査
  1. 画像検査:

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高村 浩 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:沖波聡 : 特に申告事項無し[2024年]

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眼窩内異常

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