今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 柏木秀幸 前橋城南病院

監修: 木下芳一 兵庫県立はりま姫路総合医療センター

著者校正/監修レビュー済:2024/05/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 2019年海外のガイドライン(Esophageal emergencies: WSES guidelines)の見直しや最近の文献の知見を確認し、レビューを行った。
  1. 疫学に関する見直し
  1. 食道穿孔の発生頻度に関して、アイスランドからの報告では3.1人/100万人/年である(Vidarsdottir H, et al. Thorac Cardiovasc Surg. 2010 Dec;58(8):476-80.)。
  1. 我が国では、厚生労働省の社会医療診療行為別統計(2011年~2022年)によると、食道縫合術(穿孔、損傷)(K520)は年間に、頸部手術平均値65件(中央値60件)、開胸手術93件(72件)、開腹手術48件(60件)が行われ、総計で年間223件(228件)が行われている。
  1. 日本食道学会の「特発性食道破裂」に関する全国調査の反映
  1. 特発性食道破裂は、その発生機序に関係した前駆症状としての嘔吐が見られるが、前駆症状がない例も知られている。日本食道学会の全国調査では、前駆症状のない例が17.3%に見られ、このグループでは誤診や診断・治療の遅れが起こりやすく予後不良となる特徴を有している(Sohda M, et al. Esophagus. 2021 Jul;18(3):663-668.)。
  1. ステント治療、吸引療法のアップデート
  1. 内視鏡下のステント治療、吸引療法は、食道穿孔に対し、我が国では保険適応外であるが、海外ではその有用性や製品に関する報告が増えている。食道穿孔治療に特化した製品化(EsoSPONGETM,MICRO-TECH Europe GmbH, Dusseldorf, Germany)が行われており、医原性穿孔に比べると、特発性破裂での成功率は劣るが、有用で実行可能性の高い治療となることが期待される。両者を組み合わせた吸引ステント(VACStent, ,MICRO-TECH Europe GmbH, Dusseldorf, Germany)の有用性に関する報告が行われるようになった(Luttikhold J, et al. Endoscopy. 2023 Sep;55(9):859-864.、Pattynama LMD, et al. Front Surg. 2023 Feb 22;10:1145984.)。

概要・推奨   

  1. 食道破裂(esophageal rupture)、食道穿孔(esophageal perforation)や食道断裂(esophageal disruption)とは、食道壁に全層性に断裂(disruption)や損傷(trauma、injury)が生じた状態である。
  1. 食道破裂(穿孔)は原因により、①特発性、②医原性、③外傷後性、④異物性、⑤化学的、⑥食道疾患によるものに分けられる。
  1. 胸痛、呼吸困難、ショックなどの症状を呈する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
病態・疫学:
  1. 食道破裂(esophageal rupture)、食道穿孔(esophageal perforation)や食道断裂(esophageal disruption)とは、食道壁に全層性に断裂(disruption)や損傷(trauma、injury)が生じた状態である。
  1. 特発性食道破裂のように、内圧上昇などにより脆弱部の断裂が生じ、その境界が不明瞭な食道破裂と、異物などが原因でみられるように断裂部の境界が明瞭な食道穿孔に、区別して用いられることがある。
  1. 食道破裂(穿孔)は原因により、①特発性、②医原性、③外傷後性、④異物性、⑤化学的、⑥食道疾患によるものに分けられる。
  1. 食道穿孔の59%は医原性のもので、特発性は15%、異物性が12%、外傷後性が9%、手術が2%、腫瘍が1%、その他が2%となっている[1]
  1. 食道穿孔の発生頻度に関して、アイスランドからの報告では3.1人/100万人/年である[2]
  1. 我が国では、食道縫合術(穿孔、損傷)(K520)は年間に、頸部手術平均値65件(中央値60件)、開胸手術93件(72件)、開腹手術48件(60件)が行われ、総計で年間223件(228件)が行われている[3]
  1. 特発性食道破裂は、1724年にオランダのHermann Boerhaaveが最初の剖検例の報告を行ったことから、Boerhaave症候群と呼ばれる[4]
  1. 特発性食道破裂は、嘔吐に際し、上部食道括約部※の弛緩不全に伴う急激な食道内圧上昇による圧外傷で、筋層脆弱部の食道胃接合部より2~3 cm口側の下部食道左側部に発生しやすい[5]
  1. 特発性食道破裂は、その発生機序に関係した前駆症状としての嘔吐が見られるが、前駆症状がない例も知られている。日本食道学会の全国調査では、前駆症状のない例が17.3%に見られ、このグループでは誤診や診断・治療の遅れが起こりやすく予後不良となる特徴を有している[6]
  1. 医原性のものは主に内視鏡治療後によるものであるが、心房細動に対するアブレーション治療後の食道穿孔・瘻孔の発生(平均19.3±12.6(範囲6~59)日)が報告されるようになった[7]
  1. 異物性としては、義歯や魚骨によるものが多く、穿孔の80%は頚部食道に生じる[1]。また、摘出時に発生しやすい。
  1. 化学的なものは酸・アルカリ液が原因となるが、小児では誤飲、成人では自殺企図によるものが多い。
  1. 疾患によるものとしては、食道憩室、バレット食道、感染性食道炎、食道がんでみられる。
  1. 20~30歳代男性の特発性食道破裂では、好酸球性食道炎が原因であることがある。
 
  1. 20~30歳代男性の特発性食道破裂の原因として、好酸球性食道炎が関与する(推奨度2、O)(参考文献:[8]
  1. 原因疾患のない食道穿孔は、特発性食道破裂と呼ばれるが、食道壁に高度の好酸球浸潤がみられる好酸球性食道炎による特発性食道破裂の症例が報告されるようになってきている。これまで、11例の報告があるが、全例男性で20~30歳代である。好酸球性食道炎の持続により、食道粘膜の脆弱化と狭窄を起こしやすく、拡張治療時に穿孔を起こしやすい。若い男性の食道破裂では、原因として好酸球性食道炎が関与する可能性があるので、注意を要する。
 
注意事項
  1. 胸痛、呼吸困難、ショックなどの症状を呈し、発症24時間以後の治療例の死亡率が高く、食道破裂が疑われた時点で、救命救急医療として対応しなければならない。
  1. 救急領域のまれな疾患であるため、エビデンスレベルの高いものは限られるが、海外よりシステマテックレビュー[9][10][11]、ガイドライン[12]が報告されている。
 
※上部食道括約部:
  1. 食道の近位端に存在する括約機構。咽頭食道移行部、食道入口部とも呼ばれ、輪状咽頭筋により、高圧帯が形成されている。通常は閉じているが、飲食物が食道入口部に達すると、反射的に弛緩が生じて、食道の蠕動が始まり、飲食物は下部食道へ送られる。
問診・診察のポイント  
  1. 胸痛呼吸困難ショックなどの症状を呈し、特徴的な症状はないが、皮下気腫を伴う場合にはかなり疑いが強くなる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
柏木秀幸 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:木下芳一 : 講演料(アストラゼネカ(株),武田薬品工業(株),大塚製薬(株),ヴィアトリス製薬(株))[2024年]

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