今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 田中康広 獨協医科大学埼玉医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2022/09/28
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、文言を一部補足・修正した。

概要・推奨   

  1. 先天性耳小骨奇形は難聴を呈する疾患であるが、片側性の場合には患児が自ら難聴を訴えることは少なく、学校検診で難聴を指摘されることが多い。
  1. 鼓膜所見は正常であり、純音聴力検査で伝音難聴を認めた場合、本疾患を疑う。側頭骨CTで耳小骨に異常を認めた場合は診断が確定するが、固着の場合には異常を認めないこともあり、その場合は手術によって診断が確定する。
  1. 基本的な治療法は聴力改善を目的とした手術療法である。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 先天性耳小骨奇形は外耳奇形を合併するmajor malformationと外耳が正常なminor malformationに分けられる[1]
  1. 本稿では先天性外耳道閉鎖症や狭窄症などの外耳奇形を伴わないminor malformationに絞り、概説する。
  1. 先天性耳小骨奇形は耳小骨連鎖の離断と固着に大別される。さらに離断固着は、それぞれが単独に起きる場合と複合している場合が存在する。
 
耳小骨奇形の病態による分類

上段は離断、下段は固着による病態を示す。

出典

新 図説耳鼻咽喉科・頭頸部外科講座②中耳・外耳(メジカルビュー社)より改変
 
  1. 耳小骨の発生に関してはAnsonらによる説が支持されており[2]、ツチ骨頭とキヌタ骨体部が第一鰓弓由来、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚、アブミ骨上部構造および底の一部が第二鰓弓由来、アブミ骨底の前庭側が耳胞由来とされる。
 
耳小骨の発生

Ansonらによる説。
 
参考文献:
ANSON BJ, HANSON JS, RICHANY SF. Early embryology of the auditory ossicles and associated structures in relation to certain anomalies observed clinically. Ann Otol Rhinol Laryngol [Internet]. 1960 Jun 28 [cited 2019 Jan 23];69(2):427–47. Available from: http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/000348946006900212 PMID: 13793787
 

出典

『今日の臨床サポート』編集部にて作図
 
  1. 耳小骨奇形の分類には、Ansonらの発生学的視点に基づいた船坂の分類が一般的に用いられる[3][4][5]
 
耳小骨奇形の分類

船坂の分類

出典

船坂宗太郎,牛嶋達次郎,矢野 純:外耳奇形を伴わない先天性耳小骨固着その分類に関する提案. 日耳鼻 1979;82:793-798.
 
  1. わが国では合併症として顔面神経の走行異常が0〜22.2%[6][7][8][9][10]、先天性真珠腫がおよそ3%の割合で合併すると報告されている[9]
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 難聴の有無、その経緯、進行性であるか。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田中康広 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:森山寛 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2025年]

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先天性耳小骨奇形

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