刺激性のある無力化剤への曝露 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
竹島茂人 自衛隊中央病院

概要

ポイント:
  1. 「刺激性のある無力化剤」は、国内では警察、自衛隊などが保持しているほか、トウガラシスプレーのように護身用に市販されているものもあり、誰でも入手可能である。
  1. 剤の曝露から数秒以内に、粘膜や皮膚が強く刺激されて流涙、流涎や鼻汁流出するほか、咳嗽、呼吸苦そして皮膚の灼熱感や嘔気などが出現し、行動不能状態に人を陥らせる。
  1. 曝露環境から離脱することにより、通常は数分~数時間以内に症状は消失する。
  1. 市販の護身用スプレーにはCNを含有するものがあるため、皮膚などの除染には次亜塩素酸ソーダを使用してはならない。
  1. 刺激性のある無力化剤は、通常、国や地域の治安維持を任務とする公的機関(自衛隊、警察など)が暴徒などに対して使用する。が、過激なデモや暴徒が発生することが少ないわが国では、犯罪者の立て籠もりに対して使用するケースが多い。刺激性のある無力化剤による症状か否かは、このような状況があったかどうかで概ね見当はつく。しかし、近年は電車内や室内といった閉鎖空間で、護身用に販売されている刺激性のある無力化剤を用いた強盗事件、傷害事件が散見されており、注意が必要である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 患者の症状出現時の状況、ならびに症状から、「刺激性のある無力化剤」を診断する。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 閉鎖空間で大量に使用されない限り、予後は良好である。生命に危険が生じたり、後遺症を残すことも通常はない。
 
現場での対応: >詳細情報 
  1. 剤を散布された場所から、いち早く離れる。屋外であれば、風上で高い場所に逃れるように配慮する(剤は、空気よりも重いため)。
  1. 剤が付着した衣類は、脱衣してポリ袋に入れて封をする。丸首の衣類を脱衣する際は、剤が頭髪等に付着しないように気を付ける。
  1. 水道水やペットボトルが使える場合は、汚染された皮膚や目を洗い流す。
  1. 搬送前に、上衣を脱ぐ等の乾的除染を行い、搬送中も車内の換気に留意する。
 
治療: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

刺激剤による皮膚汚染には、次亜塩素酸ソーダの使用は禁忌である。
  1. CSなどの刺激剤は、次亜塩素酸ソーダと化学反応を起こして皮膚症状を増悪させる。
○ 無力化剤の除染は速やかに行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

「刺激性のある無力化剤」 初診時のアルゴリズム
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05


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