安定狭心症 :トップ    
監修: 代田浩之 順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学
吉野秀朗 杏林大学医学部 循環器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 安定狭心症とは、虚血性心疾患の1つで、臨床経過に基づき分類したもののうち、症状が安定している(発作の発現様式・症状が3週間以上同じ)狭心症のうち、冠攣縮性狭心症を除外した状態である。
  1. なお、虚血性心疾患のうち生じる心筋虚血が一過性である場合を「狭心症」といい、心筋細胞に壊死が生じて一過性でなくなった状態を「心筋梗塞」と呼ぶ。また、安定狭心症では動脈硬化が進んで冠動脈が徐々に狭くなる病態に対し、不安定狭心症ではプラークが破裂して急速に冠動脈が閉塞する病態であると考えられている。
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 安定狭心症は、狭心症状の確認、不安定狭心症の除外、労作時の心筋虚血の確認など、以下の5STEPにより診断となる。
  1. 虚血性心疾患の評価のフローチャート:アルゴリズム
  1. 1:狭心症状の確認:
  1. 安定狭心症の典型的症例では、冠危険因子を持つ患者※が、運動労作に一致して出現し、労作を停止すると軽減する数分間持続する胸部圧迫感を認める。また、その症状が1カ月以上にわたって決まった労作で同程度の症状を来し、症状が安定していることを特徴とする。
  1. 2:不安定狭心症、急性冠症候群・冠攣縮性狭心症の除外:
  1. 症状が、最近急に出現した、頻回になっている、徐々に強くなっている、軽労作で出現する、持続時間が長くなっている、安静時にも出現する、など不安定化している可能性を除外する。不安定狭心症が少しでも示唆される場合は、速やかに冠動脈の状態(冠動脈造影CTや侵襲的冠動脈造影検査などによる)の評価を行う。
  1. 3:二次性の狭心症の除外:
  1. 貧血、甲状腺機能亢進症、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、左室肥大などの二次性の狭心症状を来す疾患を評価し、診断する。
  1. 4:狭心症類似症状を来す他の疾患の除外:
  1. 急性大動脈解離、急性肺動脈血栓塞栓症、緊張性気胸などの胸痛の鑑別診断を挙げ、特に重症心血管呼吸器疾患を否定する。また、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺動脈血栓塞栓症、特発性肺高血圧症などの労作時の息切れを来す疾患を除外する。
  1. 5:労作時の心臓の虚血所見の確認:
  1. 上記の評価にて…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の評価例
  1. 診断に一番大事なのは問診である。特に、胸痛を起こす急性冠症候群や動脈解離などの緊急疾患を除外する。
  1. 狭心症の重症度を評価目的で、CCS(Canadian Cardiovascular Society)分類による狭心症の程度の評価を行う。
  1. 非侵襲的検査による高リスク群の特徴:<図表>
  1. 非侵襲的検査によるIntermediate群の特徴:<図表>
  1. 問診にて安定狭心症を疑う場合には負荷検査を行い労作時の心臓の虚血所見の確認を行う。運動負荷試験が可能な場合は、マスター2段階負荷心電図、トレッドミル負荷心電図などを行う。また、運動負荷ができない場合は、ホルター心電図、薬物負荷心筋シンチグラムや冠動脈CTなどを考慮する。
  1. 安静時心電図にて異常を認める場合などで、運動負荷心電図による評価が困難な場合は運動または薬物負荷心エコーや運動または薬物負荷心筋シンチグラム検査を考慮する。
  1. 難治性狭心症にはPCI/CABGを念頭に置いて冠動脈造影検査を検討する。冠動脈造影の結果、狭窄度が70%以上(LMTは50%以上)、FFRは0.80以下を有意狭窄と考える。
○ 患者の背景の評価目的で1)2)6)7)を評価する。入院や冠動脈造影などの侵襲的検査が見込まれる場合は、その事前評価の目的で3)~5)を追加する。労作時の心臓の虚血所見の確認の目的で、運動負荷が可能かどうか安静時心電図の異常の有無などにより8)~12)のいずれかにて評価を選択する。上記の評価にて評価不十分の場合には冠動脈の主病変の評価目的で13)を検討する。初期治療に難渋する場合には、侵襲的評価である14)を行う。

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

虚血性心疾患を疑う患者の評価のフローチャート
治療フローチャート:内科治療(Guideline-Directed Medical Therapy、 GDMT)と血行再建術
血行再建術のフローチャート
内科治療で症状がコントロールできない場合のフローチャート
ステント治療後の心房細動を合併する場合の抗血栓薬の継続期間
症状が安定している狭心症を疑う患者での検査の適応(ESC/EACTS Guidelines)
血行再建術選択(CABG vs PCI)に関する推奨(2014年ESC/EACTS Guidelines)
非侵襲的検査による高リスク群の特徴:安定虚血性心疾患の重症度(高リスク:ANNUAL DEATH OR MI>3%)
安定虚血性心疾患の重症度(中等度リスク:ANNUAL DEATH OR MI 1~3%)
安定虚血性心疾患のスペクトラム
著者校正/監修レビュー済
2018/05/23


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