乳房パジェット病

著者: 植弘奈津恵1) がん研有明病院 乳腺センター

著者: 岩瀬拓士2) 名古屋第一赤十字病院 乳腺・内分泌外科

監修: 中村清吾 昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門

著者校正/監修レビュー済:2019/02/07

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. パジェット病は、乳癌が乳頭・乳輪の表皮内に進展することにより難治性の湿疹様変化を呈したものをいう。
  1. 乳癌が主乳管内を進展して乳頭部皮膚に達するため、乳頭の変化は1点の乳管口を中心として円状に広がり(<図表>)、進行すると乳輪部皮膚に進展し、乳頭が平坦化する(<図表>)。
  1. 非浸潤癌、浸潤癌のいずれでも起こり得るが、「乳癌取扱い規約」では、非浸潤癌もしくは間質浸潤が存在する場合には微小浸潤までをパジェット病とし、1㎜を超える浸潤が指摘される場合は浸潤癌に分類している。
  1. 病理学的には、乳頭・乳輪の表皮内に大型の明るい泡沫状の胞体と、大きく目立つ核を持つパジェット細胞がみられることが特徴である。
  1. 発生頻度は全乳癌の1~2%とされているが、日本では「乳癌取扱い規約」上のパジェット病の頻度は0.3%である。
  1. パジェット病の80%以上の症例がHER2陽性である。
  1. パジェット病は乳頭所見が特徴的であるため、乳頭の湿疹様変化をみた際に、本疾患を疑い、検査を行うことが重要である。
  1. 痛みや痒みを伴い、ときに痂皮を形成することもある。
 
診断: >詳細情報 
  1. 最も簡便で有効な検査としては乳頭の擦過細胞診がある(<図表>)。前述したように、痂皮形成のある場合は、痂皮を除去して行う。組織診としては乳頭部全層のパンチバイオプシーか、楔状に切除する乳頭部生検が行われる。
  1. パジェット病には90%以上の症例で乳管癌が存在しているとされ、本疾患を疑う場合には通常の乳癌のスクリーニングが必要である。<図表><図表>
  1. アルゴリズム1:乳頭の湿疹様変化があり、乳房に腫瘤を触れる場合…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 乳頭の病変がパジェット病であるかどうかを診断するとともに、背後に乳癌が隠れていないかスクリーニングを行う。
○ 乳頭の湿疹様病変がある場合、1)~3)を行う。臨床所見および画像所見よりパジェット病が疑われる場合は4)を行う。乳癌の診断がついた場合は5)を追加する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 乳癌取り扱い規約 第18版
  1. 2015年次 乳癌登録集計結果
に基づき改訂を行った。


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