不眠を呈する睡眠障害 :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
内山真 日本大学医学部精神医学系

概要

疾患のポイント:
  1. 不眠症(不眠障害)とは、適切な時間帯に床で過ごす時間が確保されているにもかかわらず、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など、睡眠困難があり、このために日中に生活の質の低下がみられる状態である。
  1. 不眠に伴う生活の質の低下には、日中の不調感、疲労感、集中困難、眠気などがみられる。
  1. 不眠症治療のゴールは、眠りたいだけ眠らせることでなく、寝床に入っても眠れないという苦痛を改善し、それにより損なわれた日中の生活の質を向上させる点にある。
  1. 一般人口を対象とした疫学調査によれば、日本の成人のおよそ20%が不眠の訴えを持ち、およそ5%が睡眠薬を使用していることが明らかにされている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など、睡眠の質的低下を確認し、2次性に不眠をおこし得る原因を評価することにより診断となる。
  1. なお、睡眠困難が1晩のうちいつ起こるかという観点から、寝つきが悪い(入眠障害)、眠ってから頻回に目覚めてよく眠れない(中途覚醒)、早く目覚めすぎて困っている(早朝覚醒)に分けて把握する。
 
2次性の原因の評価: >詳細情報 
  1. レストレスレッグス(むずむず脚)症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時無呼吸症候群、などの不眠をもたらし得る特異的睡眠障害、およびうつ病などの精神疾患を鑑別する。
 
治療: >詳細情報 
  1. 睡眠困難の原因や治療の方針を説明し、不安を和らげ、安心して治療に専念できるように配慮する。軽症である場合や生活習慣の変化がきっかけとなっている場合には、生活指導のみで経過をみる。
  1. 不眠症の治療は大きく、認知行動療法などの生活指導と、薬物治療に分かれる。
  1. 中等症以上であり、日中の生活の質の低下が明らかである場合は睡眠薬投与を行う。
  1. 高齢者の場合には筋弛緩作用の少ない非ベンゾジアゼピン系睡眠薬やメラトニン受容体作動薬を用いる。
 
臨床のポイント:
  1. 不眠の評価に際しては、日中の生活の質の低下の有無が大切であり、質の向上のための方策を考える。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

原因の評価方法例
  1. 不眠をもたらし得る特異的睡眠障害、およびうつ病などの精神疾患を鑑別することが重要である。
  1. いびきや呼吸停止などが観察され、起床時の口渇や頭痛などを認める場合には、睡眠時無呼吸症候群を疑い、簡易型の終夜睡眠ポリグラフ検査ないし睡眠中のSpO2連続測定を行う。
  1. レストレスレッグス(むずむず脚)症候群では、しばしば血清フェリチン値が低下、睡眠時無呼吸症候群では、ときに赤血球増多症を伴うため参考になる。
  1. レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害が疑われるが診断が困難な場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査が必要となる。
  1. 早朝覚醒を訴える場合には、うつ病や睡眠相前進症候群を疑ってみる必要がある。
  1. 睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群など睡眠覚醒スケジュール障害(概日リズム睡眠障害)が疑われる場合には、2週ほど睡眠日誌(就床時刻、入眠時刻、覚醒時刻、起床時刻)をつけさせ、これを活用する。
  1. 睡眠相前進症候群は、主に高齢者に多くみられ、20時以降まで起きていられず夜中の2~3時には覚醒してしまう。
○ 睡眠時無呼吸症を疑う患者では2)~5)を、レストレスレッグス症候群を疑う場合は1)~4)、6)を考慮する。睡眠時無呼吸小の評価では、通常5)の結果の評価の後、6)を行う。

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  • 不眠を呈する睡眠障害に関する評価・治療例(詳細) (1件)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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2017/07/31