慢性期冠動脈疾患 :トップ    
監修: 代田浩之 順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学
後藤信哉 東海大学 内科学系循環器内科学

概要

疾患のポイント:
  1. 慢性期冠動脈疾患とは、心筋を灌流する冠状動脈に動脈硬化性狭窄を認める疾患である。慢性期冠動脈疾患の症例では、冠動脈に動脈硬化性病変のない症例よりも、数年以内の近未来に心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡などの心血管イベントを発症するリスクが高い。
  1. 冠動脈における「動脈硬化性病変」の存在よりも、「心筋虚血症候」の有無を重視すること。無症候の「動脈硬化性病変」の多くは、生活習慣改善指導の重要性が医療介入よりも大きい。
  1. 冠動脈局所の動脈硬化を認めた場合、脳、末梢血管など全身の動脈硬化病変の合併を考えること。
 
診断: >詳細情報 
  1. 負荷心電図にて胸痛と2誘導以上におけるSTの低下を認めた場合、負荷心筋シンチグラムにて負荷時と安静時の灌流欠損の差異を認めた場合には虚血性心疾患の診断となる。冠動脈の狭窄と心筋の虚血には関連があるが直接相関しない。ほかに、冠動脈の動脈硬化性狭窄の有無の診断には冠動脈CT、MRI、冠動脈造影などの画像検査が有用である。
  1. 虚血性心疾患を認める患者で、急性冠症候群が否定された場合には慢性期冠動脈疾患の診断となる。
 
治療: >詳細情報 アルゴリズム
  1. まずは古典的リスク因子を取り除く。喫煙者には強く禁煙を勧める。高コレステロール血症、高血圧( 本態性高血圧症 )があれば是正する。糖尿病症例も含めて、1日30分程度の平地歩行を勧める。 エビデンス 
  1. 労作時の心筋虚血による胸痛に対してはニトログリセリンの舌下服用を用いる。
  1. アスピリンは、心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中の発症を25%程度予防できる。しかし、アスピリンの服用により年間0.2~1%程度の症例に頭蓋内出血を含む重篤な出血イベントが起こる。したがって、出血イベントの損よりも心血管イベント発症予防効果の大きい症例群では、アスピリンを投与することが推奨される。 エビデンス 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. 負荷心電図にて胸痛と2誘導以上におけるSTの低下を認めた場合、負荷心筋シンチグラムにて負荷時と安静時の灌流欠損の差異を認めた場合には虚血性心疾患の疑いが高くなる。
  1. 急性冠症候群が否定された虚血性心疾患が慢性期冠動脈疾患の診断となる。
○ 下記の検査を行う。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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慢性時冠動脈疾患の治療方法
慢性期冠動脈疾患と急性冠症候群の冠動脈病変
慢性期冠動脈疾患の冠動脈造影所見
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02