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レイアタッツカプセル150mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • HIV-1感染症

用法・用量

  • 通常,成人には以下の用法・用量に従い食事中又は食直後に経口投与する。
    投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
    • <抗HIV薬による治療経験のない患者>

      • ・アタザナビルとして300mgとリトナビルとして100mgをそれぞれ1日1回併用投与
      • ・アタザナビルとして400mgを1日1回投与
    • <抗HIV薬による治療経験のある患者>

      • ・アタザナビルとして300mgとリトナビルとして100mgをそれぞれ1日1回併用投与

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 重度の肝障害のある患者[9.3.1参照]
  • 2.3 次の薬剤を投与中の患者

    • リファンピシン,イリノテカン塩酸塩水和物,ミダゾラム,トリアゾラム,ベプリジル塩酸塩水和物,エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,ピモジド,シンバスタチン,ロバスタチン(国内未発売),ロミタピドメシル酸塩,バルデナフィル塩酸塩水和物,ブロナンセリン,アゼルニジピン,オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン,ルラシドン塩酸塩,フィネレノン,リバーロキサバン,グラゾプレビル水和物,グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル,プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾール,エソメプラゾール,ボノプラザンフマル酸塩),アスピリン・ランソプラゾール,アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩,セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心伝導障害(房室ブロック)のある患者
本剤の投与により,心電図検査でPR間隔の延長を示すことがある。心伝導障害は第一~三度AVブロックの報告がある。臨床試験データが十分でない。[10.2,11.1.4,17.3.1参照]
9.1.2 血友病及び著しい出血傾向を有する患者
HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の血友病患者において突発性の出血性関節症をはじめとする出血事象の増加が報告されている。[11.1.3参照]
9.1.3 無酸症等著しい低胃酸状態が持続する状態の患者
無酸症等著しい低胃酸状態が持続する状態では,本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある。
9.1.4 B型・C型肝炎の患者
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態をモニタリングすること。トランスアミナーゼがさらに上昇する又は肝機能が悪化するおそれがある。[8.7参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 透析を施行している腎障害患者[7.5,16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者
投与しないこと。血中濃度が上昇すると予想される。[2.2,16.6.2参照]
9.3.2 投与前に著しいトランスアミナーゼの上昇が認められた患者
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態をモニタリングすること。トランスアミナーゼがさらに上昇する又は肝機能が悪化するおそれがある。[8.7参照]
9.3.3 軽度~中等度の肝障害のある患者
本剤は主に肝臓で代謝されるため,肝障害のある患者では高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.4,8.7,16.6.2参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット,ウサギ)では,母動物の曝露量が臨床用量(400mg/日)と同程度(ウサギ)又は2倍(ラット)で催奇形性は認められなかった。ラットの周産期及び授乳期に投与すると,母動物に毒性が発現する用量(曝露量で臨床用量の2倍に相当)で,産児に体重減少又は体重増加抑制が認められた。母動物の曝露量がヒトに400mg/日投与した場合の曝露量と同程度の用量では,産児に対する影響は認められなかった。
9.5.2 分娩前に追加検査及び代替治療の実施を考慮すること。本剤投与中に高ビリルビン血症が高頻度に発現する。本剤を妊婦に投与した場合,新生児や乳幼児に生理的高ビリルビン血症の悪化及び核黄疸の発現がみられるか否かは不明である。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。乳汁を介してHIV母児感染の可能性があること及び本剤の乳汁中への移行により乳児に重篤な有害事象が発現する可能性がある。動物実験(ラット)で,乳汁中に移行することが報告されている。また,本剤がヒトの乳汁中に移行するとの報告がある。
9.7 小児等
9.7.1 新生児,月齢3ヵ月未満の乳児には,核黄疸の発現の危険性があるので本剤を投与しないこと。[17.1.5参照]
9.7.2 小児等に対する国内臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(肝機能,腎機能,心機能等)が低下しており,また,合併症を有し,若しくは他の薬剤を併用している場合が多い。[16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に,次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
8.1.1 本剤はHIV-1感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染を含むHIV-1感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体的状況の変化については,すべて担当医に報告すること。
8.1.2 本剤を空腹時に服用すると血中濃度が低くなり抗ウイルス作用を発揮できないことがあるため,本剤を食事中又は食直後に服用すること。
8.1.3 本剤投与開始後,担当医の指示なしに用量を変更したり,服用を中止したりせず,処方された用量を守ること。
8.1.4 本剤は一部の薬剤と相互作用を起こすことがあるため,処方箋の有無にかかわらず服用している薬剤をすべて担当医及び薬剤師に報告すること。
8.1.5 無症候性の高ビリルビン血症があらわれることがあるので,本剤服用中に眼球・皮膚の黄染がみられた場合には担当医に報告すること。
8.1.6 本剤の長期投与による影響については,現在のところ不明であること。
8.2 本剤にて治療中,UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(UGT)阻害により無症候性の非抱合型ビリルビン上昇が高頻度にあらわれる。この高ビリルビン血症は本剤投与中止により回復する。高ビリルビン血症とともに肝トランスアミナーゼの上昇を認める場合には,他の原因を疑うこと。総ビリルビンの正常範囲の上限より5倍を超える上昇が認められた患者での長期的な安全性データは得られていない。ビリルビン上昇による黄疸・黄疸眼があらわれ,患者の美容上の観点より,本剤から他の抗HIV療法への切り換えを考慮することがある。
8.3 本剤の投与による軽・中等度の発疹が報告されている。一般に投与開始3週間以内に斑状又は丘疹状の発疹が生じ,通常は投与継続中に2週間以内で消失する。重度の発疹が発現したり,持続する場合には本剤の投与を中止すること。[11.1.5参照]
8.4 HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の患者において糖尿病の発症や悪化及び高血糖が発現し,その中には糖尿病性ケトアシドーシスを伴っていた症例が市販後調査で報告されている。定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]
8.5 本剤と乳酸アシドーシスの危険性を増大させることが知られているヌクレオシドアナログを併用投与した患者(妊婦を含む)に,致死性の乳酸アシドーシス及び高乳酸血症が報告されている。
8.6 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
8.7 重度の肝機能障害,肝炎等があらわれることがあるので,定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[9.1.4,9.3.2,9.3.3,11.1.1参照]
8.8 本剤による治療は,抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。

7.用法・用量に関連する注意

7.1 リトナビル100mgを超えて併用投与した際の有効性と安全性は確立していない。リトナビルを高用量で併用投与した場合には本剤の安全性プロファイル(心伝導障害,高ビリルビン血症)に影響をあたえる可能性がある。
7.2 ウイルス学的治療失敗を伴う抗HIV薬による治療経験のある患者に,本剤をリトナビルと併用せずに投与することは推奨されない。[17.1.3,17.1.4参照]
7.3 抗HIV薬による治療経験のない患者で,リトナビルの投与が適用できない患者に対しては,リトナビルと併用しない用法・用量(アタザナビルとして400mgを1日1回投与)を考慮すること。[17.1.1,17.1.2参照]
7.4 中等度の肝障害患者(Child-Pugh分類B)には,リトナビルを併用せずに,本剤の投与量を300mg,1日1回に減量して投与することを考慮する。中等度の肝障害のある患者には,本剤とリトナビルの併用は推奨されない。[9.3.3,16.6.2参照]
7.5 透析を施行している腎障害患者の場合,抗HIV薬による治療経験のない患者には,本剤をリトナビルと併用して投与すること。なお,抗HIV薬による治療経験のある患者には,本剤を投与しないこと。[9.2.1,16.6.1参照]
7.6 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において,因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し,治療の継続が困難であると判断された場合には,原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
7.7 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ,薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので,本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
7.8 本剤の減量投与に対する長期的な有効性は確立されていないので,本剤を減量して投与することは推奨されない。
7.9 本剤とテノホビルを併用する場合,本剤300mg,リトナビル100mg,テノホビル300mgをそれぞれ1日1回食事中又は食直後に投与することが推奨される。[10.2参照]

5.効能・効果に関連する注意

5.1 無症候性HIV感染症に関する治療開始については,CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって,本剤の使用にあたっては,患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに,最新のガイドラインを確認すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人及びHIV感染患者に対し,アタザナビル400mg又はアタザナビル300mgとリトナビル100mgを,それぞれ1日1回投与したときの薬物動態パラメータを表1に示す。(外国人における成績)
表1. 健康成人及びHIV感染患者にアタザナビル又はアタザナビルとリトナビルを食事とともに投与したときの定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータアタザナビル400mg/日アタザナビル300mg/日+リトナビル100mg/日
健康成人(n=14)HIV感染患者(n=13)健康成人(n=28)HIV感染患者(n=10)
Cmax(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
5199(26)2298(71)6129(31)4422(58)
Tmax(h)
中央値
2.52.02.73.0
AUC(ng・h/mL)
幾何平均値(変動係数%)
28132(28)14874(91)57039(37)46073(66)
半減期(t1/2)(h)
算術平均値(標準偏差)
7.9(2.9)6.5(2.6)18.1(6.2)a8.6(2.3)
Cmin(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
159(88)120(109)1227(53)636(97)
a:n=26
HIV感染患者に対して,アタザナビル400mg(200mgカプセル2カプセル)又はアタザナビル300mg(150mgカプセル2カプセル)とリトナビル100mgを,1日1回,軽食とともに投与したときの定常状態におけるアタザナビルの平均血漿中濃度を図1に示す。(外国人における成績)
図1. HIV感染患者に対するアタザナビル400mg(n=13)又はアタザナビル300mgとリトナビル100mg(n=10)投与時の定常状態におけるアタザナビルの平均血漿中濃度(SD)
16.1.2 反復投与
アタザナビルは非線形の薬物動態を示し,投与量200~800mgの範囲でAUC及びCmaxは投与量に比例する用量比以上の増加を示した。投与開始後4~8日で定常状態に達し,累積係数は約2.3であった。1日400mgを軽食とともに反復投与したとき,健康成人(n=214)及び成人HIV感染患者(n=13)における定常状態の消失半減期は約7時間であった。(外国人における成績)
日本人健康成人男子(12例)にアタザナビル400mg(200mgカプセル2カプセル)を1日1回6日間食事とともに反復投与したときの定常状態(6日目)の薬物動態パラメータ及び平均血漿中濃度推移を表2及び図2に示す。
表2. 健康成人にアタザナビル400mgを1日1回6日間食事とともに反復投与したときの定常状態の薬物動態パラメータ
パラメータ健康成人(n=12)
Cmax(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
6238(7)
Tmax(h)
中央値
1.8
AUC(ng・h/mL)
幾何平均値(変動係数%)
38814(15)
半減期(t1/2)(h)
算術平均値(標準偏差)
5.7(1.7)
Cmin(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
245(44)
図2. 健康成人(n=12)にアタザナビル(400mg)を反復投与したときの定常状態の平均血漿中濃度推移
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
本剤又は本剤とリトナビルを食事とともに投与すると,アタザナビルのバイオアベイラビリティーが増大し,薬物動態の変動が減少する。(外国人における成績)
表3. 健康成人に絶食時,軽食あるいは高脂肪食とともにアタザナビル400mg,アタザナビル300mgとリトナビル100mgを単回経口投与したときのアタザナビルの薬物動態パラメータ
パラメータ投与量a幾何平均値(変動係数%)幾何平均値比(90%信頼区間)
絶食軽食高脂肪食b軽食/絶食高脂肪食/絶食
Cmax(ng/mL)ATV400mg1795(66)2824(29)1795(33)1.57(1.28-1.93)1.00(0.82-1.23)
ATV300mg+RTV100mg2391(49)3341(37)2120(35)1.40(1.17-1.66)0.89(0.75-1.06)
AUC(INF)(ng・h/mL)ATV400mg7392(69)12562(37)10000(43)1.70(1.41-2.05)1.35(1.12-1.63)
ATV300mg+RTV100mg22255(45)29807(37)22430(35)1.33(1.17-1.52)1.01(0.89-1.15)
Cmin(ng/mL)ATV300mg+RTV100mg275(50)388(46)358(45)1.40(1.24-1.57)1.33(1.18-1.49)
a:アタザナビル400mgでは18例,アタザナビル300mg+リトナビル100mgでは40例b:アタザナビル300mg+リトナビル100mgでは42例
16.3 分布
アタザナビルのヒト血清蛋白への結合は濃度によらず86%であった。アタザナビルはα1-酸性糖蛋白(AAG)及びアルブミンに結合し,両者への結合率はそれぞれ89%及び86%と同程度であった。HIV感染患者に軽食とともに400mgの本剤を1日1回,12週間反復投与した試験では,脳脊髄液及び精液からアタザナビルが検出された。脳脊髄液/血漿の濃度比(n=4)は0.0021~0.0226の範囲で,精液/血漿の濃度比(n=5)は0.11~4.42であった。(外国人における成績)
16.4 代謝
アタザナビルのヒトにおける主な代謝は一酸化及び二酸化反応である。その他,代謝経路の寄与としては大きなものではないが,アタザナビルあるいはその代謝物について,グルクロン酸抱合,N-脱アルキル化,加水分解及び脱水素を伴う酸化反応の代謝経路も存在した。血漿中からは2種の代謝物が検出されたが,いずれもin vitroにおいて抗ウイルス活性を示さなかった。ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験からアタザナビルはCYP3A4による代謝を受けることが示された。(外国人における成績)
16.5 排泄
14C-アタザナビル400mgを単回投与したとき,標識放射能の79%が糞便中に,13%が尿中に排泄された。また,糞便中及び尿中への未変化体の排泄率はそれぞれ投与量の約20%及び7%であった。(外国人における成績)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎障害
透析を施行していない重度の腎障害者(30mL/min未満)に本剤400mgを反復投与したときのCmaxは腎機能正常者よりも9%低く,AUC及びCminはそれぞれ19%及び96%高かったが,透析を施行している重度の腎障害者に透析を施行しなかったとき並びに投与2時間後に透析を施行したとき,Cmax及びAUCは腎機能正常者よりも約30~50%低かった。透析を施行していない腎機能障害患者に用量調節の必要はない。(外国人における成績)[7.5,9.2.1参照]
16.6.2 肝障害
アタザナビルは主に肝臓で代謝を受けて消失する。中等度~重度の肝障害成人被験者(Child-Pugh B群14例及びC群2例)において400mg単回投与後の薬物動態を検討した結果,肝障害者のAUCは健康成人に比べて45%高かった。また,健康成人の半減期が6.4時間であるのに対し,肝障害者では12.1時間であった。(外国人における成績)[7.4,9.3.1,9.3.3参照]
16.6.3 高齢者
若年者(29例,18~40歳)と高齢者(30例,65歳以上)の健康成人において,単回投与時のCmax及びAUCは高齢者の方が17%高かった。両者に著しい違いはなく,薬物動態を基にした年齢による投与量の調整は推奨されない。(外国人における成績)[9.8参照]
16.6.4 小児
6~18歳のHIV感染患者にアタザナビルとリトナビルをそれぞれ体表面積換算で1日1回投与したときの定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータを表4に示す。(外国人における成績)
表4. 小児HIV感染患者にアタザナビル(カプセル剤)とリトナビルを投与したときの定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータ
アタザナビル205mg/m21日1回+リトナビル100mg/m21日1回
6-13歳未満(n=17)13-18歳未満(n=10)
投与量(mg)中央値[min-max]200mg[150-400]400mg[250-500]
Cmax(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
4451(33%)3711(46%)
AUC(ng・h/mL)
幾何平均値(変動係数%)
42503(36%)44970(34%)
Cmin(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
535(62%)1090(60%)
16.7 薬物相互作用
アタザナビルは肝臓でCYP3A4により代謝される。アタザナビルはCYP3A4を不可逆的に阻害する。そのCYP3A4に対する阻害定数(Ki)は0.84~1.0μMである。また,UGT1A1を阻害し,そのKi値は1.9μMである。
アタザナビルはCYP2C8の阻害剤であり,Ki値は2.1μMである。アタザナビルはCYP1A2及びCYP2C9を競合的に阻害し,Ki値は12μM,Cmax/Ki値比は約0.25である。本剤はCYP1A2あるいはCYP2C9により代謝される薬物と薬物相互作用を発現する可能性が考えられる。臨床用量で得られる濃度でアタザナビルはCYP2C19あるいはCYP2E1を阻害しない。In vivoにおいて,アタザナビルは本剤自身の代謝を誘導せず,またCYP3A4で代謝される薬剤の代謝を促進しない。反復投与試験において,本剤は尿中の内因性6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比を低下させ,CYP3A4を誘導しないことが示唆された。
CYP3A4活性を誘導する薬剤はアタザナビルのクリアランスを上昇させ,血漿中濃度を低下させる可能性がある。また,本剤とCYP3A4を阻害する他剤との併用投与によりアタザナビルの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
本剤と併用の可能性のある他剤又は薬物動態学的相互作用の指標として一般に使用されている薬剤との薬物相互作用試験を実施した。併用投与がCmax,AUC及びCminに及ぼす影響を表5及び表6に示す。(外国人における成績)[10.,10.1,10.2参照]
表5. 併用薬がアタザナビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬併用薬の投与量/スケジュールa本剤の投与量/スケジュールanアタザナビルの薬物動態パラメータ比
併用時/非併用時(90%信頼区間)
CmaxAUCCmin
アテノロール50mg(QD)
7~11日目,19~23日目
400mg(QD)
1~11日目
191.00
(0.89,1.12)
0.93
(0.85,1.01)
0.74
(0.65,0.86)
クラリスロマイシン500mg(BID)
7~10日目,18~21日目
400mg(QD)
1~10日目
291.06
(0.93,1.20)
1.28
(1.16,1.43)
1.91
(1.66,2.21)
ジルチアゼム180mg(QD)
7~11日目,19~23日目
400mg(QD)
1~11日目
301.04
(0.96,1.11)
1.00
(0.95,1.05)
0.98
(0.90,1.07)
エファビレンツ(EFV)600mg(QD)
7~20日目
400mg(QD)
1~20日目
270.41
(0.33,0.51)
0.26
(0.22,0.32)
0.07
(0.05,0.10)
600mg(QD)
7~20日目
400mg(QD)
1~6日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)(EFV投与の2時間前)
7~20日目
131.14
(0.83,1.58)
1.39
(1.02,1.88)
1.48
(1.24,1.76)
600mg(QD)
11~24日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~10日目
400mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~24日目
(EFVと同時投与)
141.17
(1.08,1.27)
1.00
(0.91,1.10)
0.58
(0.49,0.69)
ファモチジン40mg(BID)
7~12日目
400mg(QD)
1~12日目
(ファモチジンと同時投与)
150.53
(0.34,0.82)
0.59
(0.40,0.87)
0.58
(0.37,0.89)
40mg(BID)
7~12日目
400mg(QD,pm)
1~6日目
7~12日目
(ファモチジン投与の10時間後かつ2時間前)
141.08
(0.82,1.41)
0.95
(0.74,1.21)
0.79
(0.60,1.04)
40mg(BID)
11~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~20日目
(ファモチジンと同時投与)
140.86
(0.79,0.94)
0.82
(0.75,0.89)
0.72
(0.64,0.81)
20mg(BID)
11~17日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)+テノホビル300mg(QD,am)
1~17日目
(ファモチジンと同時投与)
180.91
(0.84,0.99)
0.90
(0.82,0.98)
0.81
(0.69,0.94)
40mg(QD,pm)
18~24日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)+テノホビル300mg(QD,am)
1~10日目
18~24日目
(ファモチジン投与の12時間後)
200.89
(0.81,0.97)
0.88
(0.80,0.96)
0.77
(0.63,0.93)
40mg(BID)
18~24日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)+テノホビル300mg(QD,am)
1~10日目
18~24日目
(ファモチジン投与の10時間後かつファモチジン投与の2時間前)
180.74
(0.66,0.84)
0.79
(0.70,0.88)
0.72
(0.63,0.83)
40mg(BID)
11~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD,am)
1~10日目
400mg(QD)+RTV100mg(QD,am)
11~20日目
151.02
(0.87,1.18)
1.03
(0.86,1.22)
0.86
(0.68,1.08)
フルコナゾール200mg(QD)
11~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~20日目
291.03
(0.95,1.11)
1.04
(0.95,1.13)
0.98
(0.85,1.13)
ケトコナゾール200mg(QD)
7~13日目
400mg(QD)
1~13日目
140.99
(0.77,1.28)
1.10
(0.89,1.37)
1.03
(0.53,2.01)
ネビラピン200mg(BID)
1~23日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
4~13日目
230.72
(0.60,0.86)
0.58
(0.48,0.71)
0.28
(0.20,0.40)
400mg(QD)+RTV100mg(QD)
14~23日目
231.02
(0.85,1.24)
0.81
(0.65,1.02)
0.41
(0.27,0.60)
オメプラゾール40mg(QD)b
7~12日目
400mg(QD)
1~12日目
160.04
(0.04,0.05)
0.06
(0.05,0.07)
0.05
(0.03,0.07)
40mg(QD)b
11~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~20日目
150.28
(0.24,0.32)
0.24
(0.21,0.27)
0.22
(0.19,0.26)
20mg(QD,am)
17~23日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD,pm)
7~23日目
130.61
(0.46,0.81)
0.58
(0.44,0.75)
0.54
(0.41,0.71)
20mg(QD,am)
17~23日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD,am)
7~16日目
400mg(QD)+RTV100mg(QD,am)
17~23日目
140.69
(0.58,0.83)
0.70
(0.57,0.86)
0.69
(0.54,0.88)
リファブチン150mg(QD)
15~28日目
400mg(QD)
1~28日目
71.34
(1.14,1.59)
1.15
(0.98,1.34)
1.13
(0.68,1.87)
リファンピシン600mg(QD)
17~26日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
7~26日目
160.47
(0.41,0.53)
0.28
(0.25,0.32)
0.02
(0.02,0.03)
リトナビル(RTV)c100mg(QD)
11~20日目
300mg(QD)
1~20日目
281.86
(1.69,2.05)
3.38
(3.13,3.63)
11.89
(10.23,13.82)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg(QD)
9~16日目
400mg(QD)
2~16日目
340.79
(0.73,0.86)
0.75
(0.70,0.81)
0.60
(0.52,0.68)
300mg(QD)
15~42日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~42日目
100.72d
(0.50,1.05)
0.75d
(0.58,0.97)
0.77d
(0.54,1.10)
ボリコナゾール(CYP2C19の活性型遺伝子を1つ以上有する被験者)200mg(BID)
2~3日目,22~30日目
400mg(BID)
1日目,21日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~30日目
200.87
(0.80,0.96)
0.88
(0.82,0.95)
0.80
(0.72,0.90)
ボリコナゾール(CYP2C19の活性型遺伝子を有さない被験者)50mg(BID)
2~3日目,22~30日目
100mg(BID)
1日目,21日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~30日目
80.81
(0.66,1.00)
0.80
(0.65,0.97)
0.69
(0.54,0.87)
a:特に明記されていない場合は食事と共に投与を実施した。b:本剤を投与する2時間前の空腹時にオメプラゾールを投与。c:アタザナビル400mg(QD)のこれまでの成績と比較して,アタザナビル/リトナビルの300mg/100mg投与時(QD)のCmax,AUC及びCminの幾何平均値はそれぞれ18%,103%及び671%増加した。リトナビルと併用投与したときのCmax,AUC及びCminの幾何平均値はそれぞれ6129ng/mL,57039ng・h/mL及び1227ng/mLであった。d:リトナビル/テノホビル併用時とリトナビル併用時のアタザナビル各パラメータの比率。アタザナビル/リトナビル300mg/100mg投与時のアタザナビルの曝露量は,アタザナビル400mg投与時よりも高かった(注c参照)。3剤併用時のCmax,AUC及びCminの幾何平均値はそれぞれ3190ng/mL,34459ng・h/mL及び491ng/mLであった。
表6. アタザナビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響
併用薬併用薬の投与量/スケジュールa本剤の投与量/スケジュールan併用薬の薬物動態パラメータ比
併用時/非併用時(90%信頼区間)
CmaxAUCCmin
アセトアミノフェン1g(BID)
1~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~20日目
100.87
(0.77,0.99)
0.97
(0.91,1.03)
1.26
(1.08,1.46)
アテノロール50mg(QD)
7~11日目,19~23日目
400mg(QD)
1~11日目
191.34
(1.26,1.42)
1.25
(1.16,1.34)
1.02
(0.88,1.19)
クラリスロマイシン500mg(BID)
7~10日目,18~21日目
400mg(QD)
1~10日目
211.50
(1.32,1.71)
水酸化体:0.28
(0.24,0.33)
1.94
(1.75,2.16)
水酸化体:0.30
(0.26,0.34)
2.60
(2.35,2.88)
水酸化体:0.38
(0.34,0.42)
ジルチアゼム180mg(QD)
7~11日目,19~23日目
400mg(QD)
1~11日目
281.98
(1.78,2.19)
デスアセチルジルチアゼム:2.72
(2.44,3.03)
2.25
(2.09,2.16)
デスアセチルジルチアゼム:2.65
(2.45,2.87)
2.42
(2.14,2.73)
デスアセチルジルチアゼム:2.21
(2.02,2.42)
エチニルエストラジオール・ノルエチステロンOrtho-Novum
7/7/7(QD)
1~29日目
400mg(QD)
16~29日目
19エチニルエストラジオール:1.15
(0.99,1.32)
エチニルエストラジオール:1.48
(1.31,1.68)
エチニルエストラジオール:1.91
(1.57,2.33)
ノルエチステロン:1.67
(1.42,1.96)
ノルエチステロン:2.10
(1.68,2.62)
ノルエチステロン:3.62
(2.57,5.09)
エチニルエストラジオール・ノルゲスチメートOrtho Tri-Cyclen(QD)
1~28日目
Ortho Tri-Cyclen LO(QD)
29~42日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
29~42日目
14エチニルエストラジオール:0.84
(0.74,0.95)
エチニルエストラジオール:0.81
(0.75,0.87)
エチニルエストラジオール:0.63
(0.55,0.71)
17-デアセチルノルゲスチメート:1.68
(1.51,1.88)
17-デアセチルノルゲスチメート:1.85
(1.67,2.05)
17-デアセチルノルゲスチメート:2.02
(1.77,2.31)
フルコナゾール200mg(QD)
1~20日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~20日目
291.05
(0.99,1.10)
1.08
(1.02,1.15)
1.07
(1.00,1.15)
ネビラピン200mg(BID)
1~23日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
4~13日目
231.17
(1.09,1.25)
1.25
(1.17,1.34)
1.32
(1.22,1.43)
400mg(QD)+RTV100mg(QD)
14~23日目
1.21
(1.11,1.32)
1.26
(1.17,1.36)
1.35
(1.25,1.47)
オメプラゾール40mg単回
7日目,20日目b
400mg(QD)
1~12日目
161.24
(1.04,1.47)
1.45
(1.20,1.76)
NA
リファブチン300mg(QD)
1~10日目
150mg(QD)
11~20日目
600mg(QD)c
11~20日目
31.18
(0.94,1.48)
25-O-デスアセチルリファブチン:8.20
(5.90,11.40)
2.10
(1.57,2.79)
25-O-デスアセチルリファブチン:22.01
(15.97,30.34)
3.43
(1.98,5.96)
25-O-デスアセチルリファブチン:75.6
(30.1,190.0)
150mg(週2回)
1~15日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
1~17日目
72.49
(2.03,3.06)
25-O-デスアセチルリファブチン:7.77
(6.13,9.83)
1.48
(1.19,1.84)
25-O-デスアセチルリファブチン:10.90
(8.14,14.61)
1.40
(1.05,1.87)
25-O-デスアセチルリファブチン:11.45
(8.15,16.10)
Rosiglitazone(本邦未承認)4mg単回
1日目,7日目,17日目
400mg(QD)
2~7日目
141.08
(1.03,1.13)
1.35
(1.26,1.44)
NA
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
8~17日目
0.97
(0.91,1.04)
0.83
(0.77,0.89)
NA
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg(QD)
9~16日目,24~30日目
400mg(QD)
2~16日目
331.14
(1.08,1.20)
1.24
(1.21,1.28)
1.22
(1.15,1.30)
300mg(QD,pm)
1~7日目,25~34日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
25~34日目
121.34
(1.20,1.51)
1.37
(1.30,1.45)
1.29
(1.21,1.36)
ボリコナゾール(CYP2C19の活性型遺伝子を1つ以上有する被験者)200mg(BID)
2~3日目,22~30日目
400mg(BID)
1日目,21日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~30日目
200.90
(0.78,1.04)
0.67
(0.58,0.78)
0.61
(0.51,0.72)
ボリコナゾール(CYP2C19の活性型遺伝子を有さない被験者)50mg(BID)
2~3日目,22~30日目
100mg(BID)
1日目,21日目
300mg(QD)+RTV100mg(QD)
11~30日目
84.38
(3.55,5.39)
5.61
(4.51,6.99)
7.65
(5.71,10.2)
ラミブジン
+ジドブジン
ラミブジン150mg
+ジドブジン300mg(BID),
1~12日目
400mg(QD)
7~12日目
19ラミブジン:1.04
(0.92,1.16)
ラミブジン:1.03
(0.98,1.08)
ラミブジン:1.12
(1.04,1.21)
ジドブジン:1.05
(0.88,1.24)
ジドブジングルクロナイド:0.95
(0.88,1.02)
ジドブジン:1.05
(0.96,1.14)
ジドブジングルクロナイド:1.00
(0.97,1.03)
ジドブジン:0.69
(0.57,0.84)
ジドブジングルクロナイド:0.82
(0.62,1.08)
a:特に明記されていない場合は食事と共に投与を実施した。b:7日目において本剤投与2時間後にオメプラゾールを投与し,20日目には軽食摂取2時間後に投与した。c:承認用量ではない。NA:該当データなし。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リファンピシン(リファジン)[16.7参照]本剤の血中濃度が低下し,本剤の効果が減弱するおそれがある。リファンピシンがCYP3A4を誘導することによる。
イリノテカン塩酸塩水和物
(カンプト,トポテシン)
イリノテカンの副作用を増強することがある。本剤のUGT阻害によりイリノテカンの代謝が抑制されるおそれがある。
ミダゾラム(ドルミカム,ミダフレッサ,ブコラム)
トリアゾラム(ハルシオン)
これらの薬剤の代謝が抑制され,重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象(持続的又は過度の鎮静,呼吸抑制等)が起こる可能性がある。CYP3A4に対する競合による。
ベプリジル塩酸塩水和物(ベプリコール)重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。CYP3A4に対する競合による。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン配合錠)
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリンF)
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(パルタン)
これらの薬剤の代謝が抑制され,重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象(末梢血管収縮,四肢の虚血等を特徴とする急性の毒性作用)が起こる可能性がある。CYP3A4に対する競合による。
ピモジド(オーラップ)ピモジドの代謝が抑制され,重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象(不整脈等)が起こる可能性がある。CYP3A4に対する競合による。
シンバスタチン(リポバス)
ロバスタチン(国内未発売)
これらの薬剤の代謝が抑制され,重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象(横紋筋融解症を含むミオパチー等)が起こる可能性がある。CYP3A4に対する競合による。
ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)本剤によりロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)本剤との併用に関する試験は行われていないが,バルデナフィルの血中濃度が上昇し,有害事象(低血圧,視覚障害,持続勃起症,失神等)の発現が増加するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
ブロナンセリン(ロナセン)本剤によりブロナンセリンの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
アゼルニジピン(カルブロック)
オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(レザルタス)
本剤によりアゼルニジピンの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
ルラシドン塩酸塩(ラツーダ)本剤によりルラシドンの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
フィネレノン(ケレンディア)本剤によりフィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。
リバーロキサバン(イグザレルト)本剤によりリバーロキサバンの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。CYP3A4及びP糖蛋白(P-gp)の強力な阻害作用によりリバーロキサバンのクリアランスが減少する。
グラゾプレビル水和物(グラジナ)グラゾプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤のOATP1Bに対する阻害作用によるものと考えられている。
グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル(マヴィレット配合錠)グレカプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。
ALT上昇のリスクが増加するおそれがある。
本剤のOATP1Bに対する阻害作用によるものと考えられている。
ALT上昇の機序は不明。
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール(オメプラール,オメプラゾン)
ランソプラゾール(タケプロン)
ラベプラゾール(パリエット)
エソメプラゾール(ネキシウム)
ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ)
アスピリン・ランソプラゾール(タケルダ)
アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩(キャブピリン)
[16.7参照]
本剤とこれら薬剤の併用により,血中濃度が低下し,本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤の溶解性がpHに依存することから,胃酸分泌抑制により本剤の吸収が抑制されるおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので,本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し,クリアランスを上昇させるためと考えられている。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩[7.9,16.7参照]本剤のAUC,Cminが低下し,テノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。テノホビルに関連した有害事象(腎障害等)を増強するおそれがあるので,併用する場合にはテノホビルに関連した有害事象のモニタリングを行うこと。
リトナビルを併用しない場合には,本剤とテノホビルの併用は推奨されない。
機序不明
エファビレンツ[16.7参照]本剤とエファビレンツの併用は推奨されない。本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
ネビラピン[16.7参照]本剤の血中濃度が低下し,ネビラピンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤とネビラピンの併用は推奨されない。ネビラピンがCYP3A4を誘導し,また代謝が阻害されることによる。
ホスアンプレナビルカルシウム水和物ホスアンプレナビル700mg/リトナビル100mg1日2回と本剤300mg1日1回を併用した場合,本剤のCmax,AUCはそれぞれ24%,22%減少した。CYP3A4に対する競合による。
制酸剤,緩衝作用を有する薬剤
乾燥水酸化アルミニウムゲル,沈降炭酸カルシウム等
本剤はこれらの薬剤投与の2時間前又は1時間後に投与すること。本剤の吸収が抑制されるおそれがある。
H2受容体拮抗剤
ファモチジン等[16.7参照]
本剤とこれら薬剤の併用により,本剤の血中濃度が著しく低下し,効果が減弱するおそれがある。H2受容体拮抗剤の影響を減少させるために,必ず本剤とリトナビルを併用して投与し,本剤とH2受容体拮抗剤は可能な限り間隔をあけて投与することが推奨される。また,抗HIV薬による治療経験のある患者に,本剤/リトナビルとテノホビルを併用する場合は,H2受容体拮抗剤の併用は推奨されない。胃内pHの上昇により,本剤の吸収が抑制されるおそれがある。
アミオダロン
キニジン
リドカイン
三環系抗うつ薬
本剤とこれら薬剤の併用により重篤な又は生命に危険を及ぼすような有害事象があらわれるおそれがあり,この併用に関する試験は行われていない。併用する場合には,これらの薬剤の血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
リオシグアトリオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は,患者の状態に注意し,必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。本剤のCYP3A4阻害によりリオシグアトのクリアランスが低下する。
トラゾドントラゾドンの血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には,患者の状態に注意し,必要に応じてトラゾドンの減量を考慮すること。本剤がCYP3A4を阻害する。
リファブチン[16.7参照]リファブチンの作用が増強するおそれがあるので,リファブチンの用法・用量を150mg隔日投与又は1週間に3回投与とすることが推奨される。併用する場合には,副作用のモニタリングを十分に行うこと。本剤がCYP3A4を阻害することにより,リファブチンの血中濃度を上昇させる。
ワルファリン本剤との併用により重篤な又は生命に危険を及ぼすような出血があらわれるおそれがあり,この併用に関する試験は行われていない。併用する場合には,INRのモニタリングを行うことが望ましい。ワルファリンの血中濃度が上昇するおそれがある。
ジルチアゼム[9.1.1,16.7,17.3.1参照]本剤(400mg1日1回)とジルチアゼム(180mg1日1回)を併用した場合にジルチアゼム及びデスアセチル-ジルチアゼムのCmax,AUCが約2~3倍に増加するとの報告がある。ジルチアゼムを半量に減量して投与することを考慮すること。本剤の投与により,心電図検査でPR間隔の延長を示すことがある。併用する場合には心電図のモニタリングを行うことが望ましい。ジルチアゼム及びデスアセチル-ジルチアゼムの血中濃度が上昇するおそれがある。
フェロジピン
ニフェジピン
ニカルジピン
ベラパミル
フェロジピン,ニフェジピン,ニカルジピンあるいはベラパミルと本剤を併用する場合にはこれらの薬剤を減量するなど用量に注意すること。併用する場合には心電図のモニタリングを行うことが望ましい。これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
シルデナフィルクエン酸塩
タダラフィル
これらの薬剤の血中濃度が上昇し,有害事象(低血圧,視覚障害,持続勃起症,失神等)を起こすおそれがある。併用する場合には,有害事象のモニタリングを行うなど注意すること。CYP3A4に対する競合による。
アトルバスタチン
ロスバスタチン
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤を含むHIVプロテアーゼ阻害薬とこれらの薬剤を併用した場合,横紋筋融解症を含むミオパチー等の事象発現の危険性が高くなる可能性があるので,注意すること。
CYP3A4に対する競合による。
シクロスポリン
タクロリムス
併用する場合には,治療域のモニタリングを行うことが望ましい。これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
テムシロリムステムシロリムス及びその活性代謝物であるシロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある。CYP3A4に対する阻害による。
クラリスロマイシン[16.7参照]本剤(400mg1日1回)とクラリスロマイシン(500mg1日1回)を併用した場合にクラリスロマイシンのCmaxが約1.5倍,AUCが約2倍に増加するとの報告がある。クラリスロマイシンに関連する有害事象(QTc延長等)を起こすおそれがあるので,クラリスロマイシンを半量に減量して投与することを考慮すること。また,活性代謝物である14位水酸化体の濃度が顕著に低下するとの報告があり,Mycobacterium avium complexによる感染症以外の症状に対しては代替の治療法を考慮すること。本剤及びクラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。
ブプレノルフィン塩酸塩ブプレノルフィンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤/リトナビルと併用する場合は,鎮静状態及び認知機能のモニタリングを行い,ブプレノルフィンの減量を考慮すること。また,リトナビルを併用しない場合には,本剤の血中濃度が減少するおそれがあるので,本剤とブプレノルフィンの併用は推奨されない。本剤がCYP3A4及びUGT1A1を阻害する。
モリデュスタットナトリウムモリデュスタットの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。本剤がUGT1A1を阻害する。
エチニルエストラジオール及びノルエチステロン又はノルゲスチメートを含む経口避妊薬[16.7参照]本剤/リトナビルと併用する場合は,エチニルエストラジオールとして0.035mg以上の経口避妊薬を投与することが望ましい。
また,リトナビルを併用せずに本剤と併用する場合は,エチニルエストラジオールとして0.030mg以下の経口避妊薬を投与することが望ましい。
黄体ホルモン薬の血中濃度上昇による長期的な影響は不明であるが,インスリン抵抗性,脂質異常症,ざ瘡のリスクを上昇させるおそれがあるので,注意すること。本剤投与時は他の避妊法を行うことが望ましい。
本剤/リトナビルとエチニルエストラジオール及びノルゲスチメートを含む経口避妊薬の併用により,エチニルエストラジオールの平均血中濃度が低下し,17-デアセチルノルゲスチメートの平均血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤(リトナビルの併用なし)とエチニルエストラジオール及びノルエチステロンを含む経口避妊薬の併用により,エチニルエストラジオール及びノルエチステロンの平均血中濃度が上昇するおそれがある。
エトラビリン本剤の血中濃度が減少し,エトラビリンの血中濃度が上昇するおそれがある。CYP3A4誘導作用により,本剤の代謝が促進される。また,本剤のCYP3A4阻害作用により,エトラビリンの代謝が阻害される。
マラビロク,ダサチニブ水和物これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。本剤がCYP3A4の活性を阻害する。
ケトコナゾール(国内未発売)
イトラコナゾール
[16.7参照]
本剤/リトナビルとケトコナゾール又はイトラコナゾールを併用する場合は,注意すること。これらの薬剤はCYP3A4を阻害し,またCYP3A4により代謝される。
ボリコナゾール[16.7参照]CYP2C19の活性型遺伝子を1つ以上有する患者(Extensive Metabolizer:EM)注)に本剤/リトナビル(300mg/100mg1日1回)とボリコナゾール(200mg1日2回)を併用した場合,ボリコナゾール及び本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。一方,CYP2C19の活性型遺伝子を有さない患者(Poor Metabolizer:PM)注)に本剤/リトナビル(300mg/100mg1日1回)とボリコナゾール(50mg1日2回)を併用した場合,ボリコナゾールの血漿中濃度が上昇し,本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。
併用する場合には,ボリコナゾールに関連した有害事象,及びボリコナゾールあるいは本剤の有効性の減弱について注意深く観察すること。
CYP2C19のEMでは,リトナビルが,ボリコナゾールの主な肝薬物代謝酵素であるCYP2C19を誘導することにより,ボリコナゾールの血漿中濃度が低下する。
CYP2C19のPMでは,リトナビル及び本剤が,CYP3A4による代謝を阻害することにより,ボリコナゾールの血漿中濃度が上昇する。
本剤の血漿中濃度が低下する機序は不明である。
CYP3A4の基質となる薬剤
ボセンタン水和物等
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。本剤がCYP3A4を阻害する。
エルバスビルエルバスビルの血中濃度が上昇するおそれがある。CYP3A4に対する競合による。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重度の肝機能障害,肝炎
重度の肝機能障害,肝炎(1%未満)等があらわれることがある。[8.7参照]
11.1.2 糖尿病,糖尿病の悪化及び高血糖[8.4参照]
11.1.3 出血傾向
出血事象があらわれた場合には血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと。[9.1.2参照]
11.1.4 QT延長,心室頻拍(torsade de pointesを含む),房室ブロック(第一度~第三度AVブロック)[9.1.1参照]
11.1.5 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑,中毒性皮疹[8.3参照]
11.1.6 尿細管間質性腎炎
腎間質に結晶の沈着が認められた症例が報告されている。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上1%未満頻度不明
心臓障害失神,浮腫,動悸,心停止,第一度AVブロック,心筋炎QT延長,torsade de pointes
神経系障害頭痛(2.7%)末梢神経障害,健忘,傾眠,浮動性めまい,味覚異常,灼熱感,痙攣,運動過多,感覚鈍麻,反射亢進
眼障害黄疸眼(1.1%)
耳及び迷路障害耳鳴,耳炎
呼吸器,胸郭及び縦隔障害呼吸困難,咳嗽,しゃっくり,低酸素症
胃腸障害悪心(5.7%),嘔吐(2.2%),下痢(2.2%),消化不良(1.2%),腹痛(1.1%)口渇,鼓腸,胃炎,膵炎,アフタ性口内炎,腹部膨満,大腸炎,便秘,歯痛,食道潰瘍,食道炎,胃腸炎,胃腸障害,口腔内潰瘍形成,消化性潰瘍
腎及び尿路障害血尿,頻尿,蛋白尿,腎結石,腎臓痛,尿異常,結晶尿,腎不全,乏尿,多尿,尿路感染
皮膚及び皮下組織障害発疹(1.9%)脱毛症,そう痒症,蕁麻疹,血管拡張,水疱性皮膚炎,湿疹,血管浮腫,脂肪萎縮(顔面),光線過敏,多汗,斑状出血,紫斑,蜂巣炎,皮膚糸状菌症,皮膚乾燥,爪の障害,脂漏
筋骨格系及び結合組織障害関節痛,筋萎縮,筋肉痛,ミオパチー,背部痛,骨痛,四肢痛,筋無力症,ピクピクした動き
代謝及び栄養障害食欲不振,食欲亢進,体重減少,体重増加,脱水,脂質異常症,痛風,乳酸アシドーシス,肥満体脂肪の再分布/蓄積(胸部,体幹部の脂肪増加,末梢部の脂肪減少,野牛肩)
血管障害高血圧,蒼白
全身障害及び投与局所様態疲労(1.4%)無力症,胸痛,発熱,倦怠感,歩行障害,異形成,全身浮腫,熱過敏,感染,末梢性浮腫,疼痛
免疫系障害アレルギー反応
肝胆道系障害黄疸(4.2%)肝脾腫大,無胆汁症,肝腫大,肝臓細胞障害,脂肪肝胆石症,胆嚢炎,胆汁うっ滞
生殖系及び乳房障害女性化乳房,男性生殖能低下,無月経,インポテンス,月経障害,骨盤痛
精神障害不眠症,不安,うつ病,睡眠障害,異常な夢,失見当識,激越,リビドー減退,情動不安定,幻覚,敵意,神経過敏,精神病,自殺企図
臨床検査注1)総ビリルビン上昇(37.2%),ALT上昇(4.6%),AST上昇(3.3%),CK上昇(7.4%),アミラーゼ上昇(11.6%),リパーゼ上昇(2.6%),好中球減少(4.7%),ヘモグロビン減少(1.5%)

注1):グレード3-4の臨床検査値異常(副作用として報告されたかどうかにかかわらず,臨床試験において測定された臨床検査値異常)

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