薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩[7.9,16.7参照] | 本剤のAUC,Cminが低下し,テノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。テノホビルに関連した有害事象(腎障害等)を増強するおそれがあるので,併用する場合にはテノホビルに関連した有害事象のモニタリングを行うこと。 リトナビルを併用しない場合には,本剤とテノホビルの併用は推奨されない。 | 機序不明 |
エファビレンツ[16.7参照] | 本剤とエファビレンツの併用は推奨されない。 | 本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 |
ネビラピン[16.7参照] | 本剤の血中濃度が低下し,ネビラピンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤とネビラピンの併用は推奨されない。 | ネビラピンがCYP3A4を誘導し,また代謝が阻害されることによる。 |
ホスアンプレナビルカルシウム水和物 | ホスアンプレナビル700mg/リトナビル100mg1日2回と本剤300mg1日1回を併用した場合,本剤のCmax,AUCはそれぞれ24%,22%減少した。 | CYP3A4に対する競合による。 |
制酸剤,緩衝作用を有する薬剤 乾燥水酸化アルミニウムゲル,沈降炭酸カルシウム等 | 本剤はこれらの薬剤投与の2時間前又は1時間後に投与すること。 | 本剤の吸収が抑制されるおそれがある。 |
H2受容体拮抗剤 ファモチジン等[16.7参照] | 本剤とこれら薬剤の併用により,本剤の血中濃度が著しく低下し,効果が減弱するおそれがある。H2受容体拮抗剤の影響を減少させるために,必ず本剤とリトナビルを併用して投与し,本剤とH2受容体拮抗剤は可能な限り間隔をあけて投与することが推奨される。また,抗HIV薬による治療経験のある患者に,本剤/リトナビルとテノホビルを併用する場合は,H2受容体拮抗剤の併用は推奨されない。 | 胃内pHの上昇により,本剤の吸収が抑制されるおそれがある。 |
アミオダロン キニジン リドカイン 三環系抗うつ薬 | 本剤とこれら薬剤の併用により重篤な又は生命に危険を及ぼすような有害事象があらわれるおそれがあり,この併用に関する試験は行われていない。併用する場合には,これらの薬剤の血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
リオシグアト | リオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は,患者の状態に注意し,必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。 | 本剤のCYP3A4阻害によりリオシグアトのクリアランスが低下する。 |
トラゾドン | トラゾドンの血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には,患者の状態に注意し,必要に応じてトラゾドンの減量を考慮すること。 | 本剤がCYP3A4を阻害する。 |
リファブチン[16.7参照] | リファブチンの作用が増強するおそれがあるので,リファブチンの用法・用量を150mg隔日投与又は1週間に3回投与とすることが推奨される。併用する場合には,副作用のモニタリングを十分に行うこと。 | 本剤がCYP3A4を阻害することにより,リファブチンの血中濃度を上昇させる。 |
ワルファリン | 本剤との併用により重篤な又は生命に危険を及ぼすような出血があらわれるおそれがあり,この併用に関する試験は行われていない。併用する場合には,INRのモニタリングを行うことが望ましい。 | ワルファリンの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
ジルチアゼム[9.1.1,16.7,17.3.1参照] | 本剤(400mg1日1回)とジルチアゼム(180mg1日1回)を併用した場合にジルチアゼム及びデスアセチル-ジルチアゼムのCmax,AUCが約2~3倍に増加するとの報告がある。ジルチアゼムを半量に減量して投与することを考慮すること。本剤の投与により,心電図検査でPR間隔の延長を示すことがある。併用する場合には心電図のモニタリングを行うことが望ましい。 | ジルチアゼム及びデスアセチル-ジルチアゼムの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
フェロジピン ニフェジピン ニカルジピン ベラパミル | フェロジピン,ニフェジピン,ニカルジピンあるいはベラパミルと本剤を併用する場合にはこれらの薬剤を減量するなど用量に注意すること。併用する場合には心電図のモニタリングを行うことが望ましい。 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
シルデナフィルクエン酸塩 タダラフィル | これらの薬剤の血中濃度が上昇し,有害事象(低血圧,視覚障害,持続勃起症,失神等)を起こすおそれがある。併用する場合には,有害事象のモニタリングを行うなど注意すること。 | CYP3A4に対する競合による。 |
アトルバスタチン ロスバスタチン | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤を含むHIVプロテアーゼ阻害薬とこれらの薬剤を併用した場合,横紋筋融解症を含むミオパチー等の事象発現の危険性が高くなる可能性があるので,注意すること。 | CYP3A4に対する競合による。 |
シクロスポリン タクロリムス | 併用する場合には,治療域のモニタリングを行うことが望ましい。 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
テムシロリムス | テムシロリムス及びその活性代謝物であるシロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある。 | CYP3A4に対する阻害による。 |
クラリスロマイシン[16.7参照] | 本剤(400mg1日1回)とクラリスロマイシン(500mg1日1回)を併用した場合にクラリスロマイシンのCmaxが約1.5倍,AUCが約2倍に増加するとの報告がある。クラリスロマイシンに関連する有害事象(QTc延長等)を起こすおそれがあるので,クラリスロマイシンを半量に減量して投与することを考慮すること。また,活性代謝物である14位水酸化体の濃度が顕著に低下するとの報告があり,Mycobacterium avium complexによる感染症以外の症状に対しては代替の治療法を考慮すること。 | 本剤及びクラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
ブプレノルフィン塩酸塩 | ブプレノルフィンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤/リトナビルと併用する場合は,鎮静状態及び認知機能のモニタリングを行い,ブプレノルフィンの減量を考慮すること。また,リトナビルを併用しない場合には,本剤の血中濃度が減少するおそれがあるので,本剤とブプレノルフィンの併用は推奨されない。 | 本剤がCYP3A4及びUGT1A1を阻害する。 |
モリデュスタットナトリウム | モリデュスタットの血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。 | 本剤がUGT1A1を阻害する。 |
エチニルエストラジオール及びノルエチステロン又はノルゲスチメートを含む経口避妊薬[16.7参照] | 本剤/リトナビルと併用する場合は,エチニルエストラジオールとして0.035mg以上の経口避妊薬を投与することが望ましい。 また,リトナビルを併用せずに本剤と併用する場合は,エチニルエストラジオールとして0.030mg以下の経口避妊薬を投与することが望ましい。 黄体ホルモン薬の血中濃度上昇による長期的な影響は不明であるが,インスリン抵抗性,脂質異常症,ざ瘡のリスクを上昇させるおそれがあるので,注意すること。本剤投与時は他の避妊法を行うことが望ましい。 | 本剤/リトナビルとエチニルエストラジオール及びノルゲスチメートを含む経口避妊薬の併用により,エチニルエストラジオールの平均血中濃度が低下し,17-デアセチルノルゲスチメートの平均血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤(リトナビルの併用なし)とエチニルエストラジオール及びノルエチステロンを含む経口避妊薬の併用により,エチニルエストラジオール及びノルエチステロンの平均血中濃度が上昇するおそれがある。 |
エトラビリン | 本剤の血中濃度が減少し,エトラビリンの血中濃度が上昇するおそれがある。 | CYP3A4誘導作用により,本剤の代謝が促進される。また,本剤のCYP3A4阻害作用により,エトラビリンの代謝が阻害される。 |
マラビロク,ダサチニブ水和物 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤がCYP3A4の活性を阻害する。 |
ケトコナゾール(国内未発売) イトラコナゾール [16.7参照] | 本剤/リトナビルとケトコナゾール又はイトラコナゾールを併用する場合は,注意すること。 | これらの薬剤はCYP3A4を阻害し,またCYP3A4により代謝される。 |
ボリコナゾール[16.7参照] | CYP2C19の活性型遺伝子を1つ以上有する患者(Extensive Metabolizer:EM)注)に本剤/リトナビル(300mg/100mg1日1回)とボリコナゾール(200mg1日2回)を併用した場合,ボリコナゾール及び本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。一方,CYP2C19の活性型遺伝子を有さない患者(Poor Metabolizer:PM)注)に本剤/リトナビル(300mg/100mg1日1回)とボリコナゾール(50mg1日2回)を併用した場合,ボリコナゾールの血漿中濃度が上昇し,本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。 併用する場合には,ボリコナゾールに関連した有害事象,及びボリコナゾールあるいは本剤の有効性の減弱について注意深く観察すること。 | CYP2C19のEMでは,リトナビルが,ボリコナゾールの主な肝薬物代謝酵素であるCYP2C19を誘導することにより,ボリコナゾールの血漿中濃度が低下する。 CYP2C19のPMでは,リトナビル及び本剤が,CYP3A4による代謝を阻害することにより,ボリコナゾールの血漿中濃度が上昇する。 本剤の血漿中濃度が低下する機序は不明である。 |
CYP3A4の基質となる薬剤 ボセンタン水和物等 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤がCYP3A4を阻害する。 |
エルバスビル | エルバスビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 | CYP3A4に対する競合による。 |