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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • HIV-1感染症

用法・用量

  • 通常,成人にはエムトリシタビンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。

禁忌 

【警告】

  • B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。[1.参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度及び重度の腎機能障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇する。[7.2,16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。エムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
8.1.1 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。
8.1.2 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
8.2 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
8.3 アジア系人種における本剤の薬物動態は十分検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
8.4 エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の有効成分であるエムトリシタビンを含む製剤と併用しないこと。
7.2 腎機能障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇するので,腎機能の低下に応じて,次の投与方法を目安とする。[9.2.1,16.6.1参照]
クレアチニンクリアランス(CLcr)投与方法
50mL/min以上本剤1カプセルを1日1回投与
30~49mL/min本剤1カプセルを2日間に1回投与
15~29mL/min本剤1カプセルを3日間に1回投与
15mL/min未満本剤1カプセルを4日間に1回投与
血液透析患者本剤1カプセルを4日間に1回投与
透析日に投与する場合は,透析後投与
7.3 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3剤のみを用いる一部の治療は,NRTI2剤に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する3剤併用療法と比べて,概して効果が低いことが報告されているので,NRTI3剤のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
7.4 本剤の薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので,本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また,ラミブジンを含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合,ラミブジンを本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 日本人健康成人男性6例に本剤1錠を空腹時に経口投与した場合,エムトリシタビンの血漿中濃度は投与1.1時間後に最高値に達し,Cmax及びAUCはそれぞれ2.8±0.4μg/mL及び11.5±1.1μg・hr/mLであった。エムトリシタビンの消失は二相性を示し,最終相の半減期は,10.5±0.9時間であった。
16.1.2 外国人HIV-1感染症患者20例に本剤200mgを1日1回反復投与した後の,定常状態のエムトリシタビンの平均血漿中濃度推移を図1に示す。血漿中濃度は経口投与後1~2時間でCmaxに達した。反復投与後の定常状態下でのCmax(平均±標準偏差)は1.8±0.7μg/mLで,24時間後のAUC(平均±標準偏差)は10.0±3.1μg・hr/mLであった。
また,投与から24時間後の血漿中濃度トラフ値は平均0.09μg/mLで,生物学的利用率の中央値は92%(範囲83.1~106.4%)であった。なお,本剤の反復投与時の薬物動態は,25~200mgの用量範囲で用量比例性が認められた。
図1 定常状態でのエムトリシタビンの血漿中濃度推移(平均±95%信頼区間)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
外国人HIV-1感染症患者において,本剤を食事(約1,000kcalの高脂肪食)と共に服用した時,Cmaxは29%低下したが,AUCは影響を受けなかった。
16.3 分布
In vitro試験でエムトリシタビンのヒト血漿タンパク結合率は,0.02~200μg/mLの濃度範囲で4%未満であった。最高血漿中濃度において,血中濃度に対する血漿中濃度の比の平均は1.0,血漿中濃度に対する精液中濃度の比の平均は4.0であった(外国人における成績)。
16.4 代謝
エムトリシタビンの代謝は,チオール部分の酸化による3'-スルホキシドジアステレオマーの生成(投与量の9%)とグルクロン酸抱合による2'-O-グルクロニドの生成(投与量の4%)から成る。その他の代謝物は確認されていない(外国人における成績)。
16.5 排泄
本剤を空腹時に経口投与した場合,エムトリシタビンの投与48時間後までの累積尿中排泄率は82±5%であった(日本人における成績)。14C-エムトリシタビン投与後,投与量は尿中(86%)と糞便中(14%)に完全に回収された。投与量の13%が3種の推定代謝物として尿中に回収された。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体濾過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された。そのため同じく腎より排泄される他の化合物と競合する可能性がある(外国人における成績)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎不全患者
クレアチニンクリアランス(CLcr)50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者では,腎クリアランスの低下によりエムトリシタビンのCmax及びAUCが上昇した(外国人における成績)(表1)。[7.2,9.2.1,13.1参照]
表1 腎機能障害を有する患者における本剤の単回投与後の薬物動態パラメータ
CLcr(mL/min)例数投与前のCLcr平均値(mL/min)Cmax(μg/mL)AUC(μg・hr/mL)CL/F(mL/min)CLrenal(mL/min)
>806107±212.2±0.611.8±2.9302±94213.3±89.0
50-80659.8±6.53.8±0.919.9±1.1168±10121.4±39.0
30-49640.9±5.13.2±0.625.1±5.7138±2868.6±32.1
<30522.9±5.32.8±0.733.7±2.199±629.5±11.4
透析を必要とする末期腎不全患者<3058.8±1.42.8±0.553.2±9.964±12
平均値±標準偏差算出不能:-
また,エムトリシタビンの投与から1.5時間以内に血液透析を開始し,3時間透析することによりエムトリシタビンの投与量の約30%が除去された(血液流量400mL/min,透析液流量600mL/min)。なお,腹膜透析によりエムトリシタビンが除去できるか否かは不明である。
16.7 薬物相互作用
臨床使用量で血漿中に認められた濃度の14倍まで濃度を上昇させても,エムトリシタビンはヒトCYP450分子種(CYP1A2,CYP2A6,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6及びCYP3A4)によるin vitro薬物代謝を阻害しなかった。エムトリシタビンはグルクロン酸抱合を担う酵素(ウリジン-5'-二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼ)を阻害しなかった。これらのin vitro実験結果及び確認されているエムトリシタビンの排泄経路を考慮すると,CYP450を介するエムトリシタビンと他の薬剤との相互作用が生じる可能性は低い。
健康成人志願者を対象にエムトリシタビンとテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩,インジナビル,サニルブジン及びジドブジンとの併用における薬物動態の評価を行った。併用薬がエムトリシタビンの薬物動態に及ぼす影響及びエムトリシタビンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表2,3に示す(外国人における成績)。
表2 併用薬投与時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ変化率
併用薬併用薬の用量エムトリシタビンの用量例数他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
CmaxAUCCmin
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg1日1回7日間200mg1日1回7日間17↑20(↑12~↑29)
インジナビル800mg1回200mg1回12
サニルブジン40mg1回200mg1回6
ジドブジン300mg1日2回7日間200mg1日1回7日間27
上昇:↑,不変:⇔,算出不能:-
表3 エムトリシタビン投与時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率
併用薬併用薬の用量エムトリシタビンの用量例数他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
CmaxAUCCmin
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg1日1回7日間200mg1日1回7日間17
インジナビル800mg1回200mg1回12
サニルブジン40mg1回200mg1回6
ジドブジン300mg1日2回7日間200mg1日1回7日間27↑17(↑0~↑38)↑13(↑5~↑20)
上昇:↑,不変:⇔,算出不能:-

重大な副作用 

次の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。

その他の副作用 

次の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

2%以上2%未満頻度不明
代謝及び栄養障害高脂血症(2.8%)食欲減退,体脂肪の再分布/蓄積,高コレステロール血症,高血糖
精神障害神経過敏,不安,うつ病,リビドー減退,感情不安定
神経系障害浮動性めまい(9.3%),頭痛(5.3%),不眠症(5.0%),異常な夢(3.1%),錯感覚(2.2%)前庭障害,ニューロパシー,傾眠,末梢性ニューロパシー,思考異常
胃腸障害下痢(10.7%),悪心(8.1%),腹痛(6.0%),消化不良(2.9%),嘔吐(2.2%)鼓腸,便秘,胃炎,腹部膨満,口臭,口内乾燥,胃腸障害
皮膚及び皮下組織障害発疹(3.8%)皮膚変色,そう痒症,皮膚乾燥,多汗症,脂漏,帯状疱疹
筋骨格系及び結合組織障害筋肉痛,関節痛,背部痛
一般・全身障害及び投与部位の状態無力症(4.8%),疼痛(2.1%)倦怠感,発熱
臨床検査AST増加(3.1%),ALT増加(2.9%),血中アミラーゼ増加(2.4%),CK増加(2.2%)Al-P増加
その他白血球減少症(3.6%)血管拡張,感染,インフルエンザ症候群
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