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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○切迫早産における子宮収縮の抑制
  • ○重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療

用法・用量

  • <切迫早産における子宮収縮の抑制>

    • 初回量として、40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分以上かけて静脈内投与した後、毎時10mL(1g)より持続静脈内投与を行う。なお、子宮収縮が抑制されない場合は毎時5mL(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20mL(2g)までとする。子宮収縮抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、子宮収縮の再発がみられないことが確認された場合には中止する。
    • 本剤は持続注入ポンプを用いて投与すること。
  • <重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療>

    • 初回量として、40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分以上かけて静脈内投与した後、毎時10mL(1g)より持続静脈内投与を行う。症状に応じて毎時5mL(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20mL(2g)までとする。本剤は初回量投与の場合を除いて、持続注入ポンプを用いて投与すること。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤の投与により高マグネシウム血症が起こり、マグネシウム中毒(血圧低下、中枢神経抑制、心機能抑制、呼吸麻痺等)が惹起されることがあるため、投与中は、慎重な観察(膝蓋腱反射、呼吸数の変動の確認あるいは血中マグネシウム濃度の測定等)を行うこと。[8.1、9.1.1、9.2、11.1.1、11.1.2参照]
  • 1.2 本剤を投与する場合には、出産にあたって新生児に対する気管内挿管を含む必要十分な蘇生を実施できる体制等、新生児及び母体を含めた適切な周産期管理が可能な体制を確保すること。[8.5、9.5.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 重症筋無力症の患者[アセチルコリン放出抑制による骨格筋弛緩をおこすおそれがある。]
  • 2.2 心ブロックの既往歴のある患者[洞房結節インパルス生成速度の遅延と伝導時間の持続を助長するおそれがある。][9.1.7参照]
  • 2.3 低張性脱水症の患者[低張性脱水症が悪化するおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高マグネシウム血症の患者
マグネシウム中毒に注意し投与すること。[1.1、8.1、11.1.1、11.1.2参照]
9.1.2 低カルシウム血症の患者
低カルシウム血症を助長するおそれがある。
9.1.3 カリウム欠乏傾向のある患者
低カリウム血症が誘発されるおそれがある。
9.1.4 糖尿病の患者
ブドウ糖を含有している。[8.2参照]
9.1.5 尿崩症の患者
水、電解質異常の悪化又は誘発されるおそれがある。
9.1.6 貧血症の患者
貧血症を助長するおそれがある。[15.2.1参照]
9.1.7 心疾患のある患者
洞房結節インパルス生成速度の遅延と伝導時間の持続のおそれがある。[2.2参照]
9.2 腎機能障害患者
マグネシウム排泄障害による高マグネシウム血症を惹起するおそれがある。[1.1、8.1、11.1.1、11.1.2参照]
9.5 妊婦
9.5.1 マグネシウムイオンは容易に胎盤を通過するため、本剤を分娩前24時間以内に投与した場合は、新生児に呼吸障害、筋緊張低下、腸管麻痺等の高マグネシウム血症を引き起こす場合があるので、生後から24時間まで、もしくは48時間までの間は監視を行う。なお、このような症状があらわれた場合には、カルシウム剤の投与、蘇生及び気管内挿管法、間欠的陽圧換気法等により処置すること。[1.2、8.5参照]
9.5.2 妊娠中の投与により、胎児に胎動低下が、新生児に心不全、高カリウム血症、低カルシウム血症があらわれることがある。[8.3、10.2参照]
9.5.3 妊娠中に長期投与した場合、出生時において児にくる病様の骨病変が認められることがある(国内の市販後に報告された症例のうち、確認できた母体への最短の投与期間は18日であった)。
9.5.4 ラット生殖発生毒性試験の3×1000mg/kg/日投与群において、出生児の低体重、分化遅延及び波状肋骨の増加が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
本剤の投与中止後24時間は乳汁中のマグネシウム濃度が増大することがあるので注意すること。
9.8 高齢者
用量に留意して慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では、腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与前、投与中及び増量時は、慎重な観察(膝蓋腱反射、呼吸数の変動の確認、尿量の測定あるいは血中マグネシウム濃度のモニター等)を行い、副作用の発現に注意すること。[1.1、9.1.1、9.2、11.1.1、11.1.2参照]
8.2 投与中血糖値が一過性に上昇することがあるので注意すること。[9.1.4参照]
8.3 本剤とリトドリン塩酸塩(注射剤)を併用した母体から出生した早産児において、高カリウム血症のリスクが高いことが報告されているので、これらを併用した場合には、症状の有無にかかわらず新生児の心電図又は血清カリウム値のモニタリングを適切に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。[9.5.2、10.2参照]
<切迫早産における子宮収縮の抑制>
8.4 切迫早産に対して本剤を分娩直前まで持続静脈内投与した場合、出生した新生児に高マグネシウム血症を起こすことがあるため、分娩前2時間は本剤を静脈内投与しないこと。
<重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療>
8.5 子癇及び子癇の発症抑制を目的とし、本剤を分娩前2時間に投与する場合は、児に対する必要な対応を取ることができる状況下で投与し、出生した児の観察を十分行うこと。[1.2、9.5.1参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤とサルファ剤、アルカリ炭酸塩・重炭酸塩、酒石酸塩、可溶性リン酸塩、ヒ酸塩、臭化カリウム、臭化アンモニウム、水酸化アルカリ、カルシウム塩、サリチル酸塩、アミノフィリン水和物等を含む製剤と混合した場合、沈殿を生じることがあるので混合を避けること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与速度
急速、大量投与により電解質喪失又は血栓性静脈炎を起こすことがあるので、徐々に静脈内投与すること。
14.2.2 投与部位
皮下大量投与により、血漿中から電解質が移動して循環不全を招くおそれがあるので皮下投与しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤をプラスチック瓶のまま初回投与量として使用してはならない。初回量として使用する場合は、40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)をシリンジに吸引して使用するものとし、残液は持続注入ポンプを用いて静脈内に持続投与する。
7.2 本剤の投与は48時間を原則とし、継続して投与する場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限って投与することとし、漫然とした投与は行わないこと。

5.効能又は効果に関連する注意

<切迫早産における子宮収縮の抑制>
5.1 切迫早産における妊娠の延長に関する硫酸マグネシウム水和物の有効性及び安全性は確立されていない。
5.2 切迫早産への本剤の投与は、副作用等によりリトドリン塩酸塩の投与が制限される場合、又はリトドリン塩酸塩で収縮が抑制されない場合に投与すること。
5.3 本剤は、原則として、妊娠35週以下又は推定胎児体重2500g未満の切迫早産に使用することが望ましい。
5.4 妊娠22週未満の切迫流産における有効性及び安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
<切迫早産における子宮収縮の抑制>
16.1.1 切迫早産患者10例に硫酸マグネシウム水和物4gを30~40分で静脈内投与後、1g/時を維持量として持続静脈内投与した。血清マグネシウム濃度は投与前1.91±0.06mg/dLから30分後に4.6±0.71mg/dLと急激に上昇した後、徐々に低下し、1時間後3.97±0.31mg/dL、3時間後3.65±0.26mg/dL及び48時間後3.88±0.54mg/dLの間を推移した。
16.1.2 切迫早産患者81例に対し、硫酸マグネシウム水和物静脈内投与1時間後に血清マグネシウム濃度を測定した結果は、下記のとおりである。
時期例数(mg/dL):平均±SD(範囲)
投与前812.2±0.7(1.3~5.0)
初回量(4g)714.0±0.8(1.6~6.0)
維持量:1.0g/時484.0±0.8(2.4~6.6)
維持量:1.5g/時384.3±0.7(2.4~5.7)
維持量:2.0g/時305.0±0.8(3.2~7.0)
維持量:2.5g/時注)126.0±2.5(3.9~13.4)
維持量:3.0g/時注)86.4±1.4(4.8~9.5)
注)本剤の承認された維持量は、2.0g/時までである。
16.3 分布
ウサギに投与されたMg28は容易に胎盤組織に移行し、次いで胎児の各組織に取り込まれる。胎児組織におけるMg28の取り込みは、骨、腎臓、筋肉、肝臓、そして肺の順に高かった。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
スルファミン剤スルフヘモグロビン血症を起こすことがある。機序不明
競合性(ツボクラリン等)及び脱分極性(サクシニルコリン等)筋弛緩剤作用持続時間を延長することがある。機序不明
子宮収縮抑制剤
リトドリン塩酸塩
CK上昇、悪心、嘔吐、呼吸抑制、循環器関連の副作用(心室頻拍、胸痛、心筋虚血)があらわれることがある。機序不明
子宮収縮抑制剤
リトドリン塩酸塩(注射剤)
[8.3、9.5.2参照]
出生した早産児の高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている。機序不明
カルシウム拮抗剤(ニフェジピン)高度の低血圧及び神経筋伝達遮断が増大する。併用により神経筋遮断作用が増強される。
カルシウム塩マグネシウムの作用を減弱させる。マグネシウム拮抗作用による。
バルビツレート、催眠剤、麻酔剤呼吸抑制作用が増強することがある。併用により呼吸抑制作用が増強される。
アミノグリコシド系抗生剤神経筋遮断作用が増強される。
マグネシウムを投与した母体から出生した新生児において、併用により呼吸停止を来たした症例の報告がある。
併用により神経筋遮断作用が増強される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 マグネシウム中毒:眼瞼下垂、膝蓋腱反射の消失、筋緊張低下、心電図異常(房室ブロック、伝導障害)、呼吸数低下、呼吸困難等(いずれも頻度不明)[1.1、8.1、9.1.1、9.2、11.1.2、13.1、13.2参照]
11.1.2 心(肺)停止、呼吸停止、呼吸不全(いずれも頻度不明)
高用量の硫酸マグネシウム水和物急速投与により発現した報告があり、投与に際しては用法及び用量を遵守すること。[1.1、8.1、9.1.1、9.2、11.1.1、13.1、13.2参照]
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 肺水腫(頻度不明)
呼吸困難、胸部圧迫感、頻脈等に十分に注意すること。
11.1.5 イレウス(腸管麻痺)(頻度不明)
嘔吐、腹部膨満等の症状に十分に注意すること。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上0.1~5%未満頻度不明
血液鼻出血凝血異常
呼吸器呼吸困難
循環器心悸亢進(動悸)、不整脈、胸痛、潮紅うっ血性心不全
消化器口渇、嘔気、嘔吐、食欲不振
肝臓肝機能障害[AST、ALTの上昇]肝不全
腎臓急性腎不全
精神神経系熱感、倦怠感無力症、頭痛、視力異常、調節障害、複視、反射減退、知覚減退(しびれ)、浮動性めまい、振戦意識障害
代謝異常高マグネシウム血症低カルシウム血症、高カリウム血症、電解質異常
過敏症中毒疹
投与部位血管痛
女性生殖乳房うっ滞、乳汁漏出、外陰浮腫
その他尿崩症、乏尿、踵骨骨折

注)発現頻度は使用成績調査を含む。

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