製品名 フィズリン錠30mg
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- 一般名
- Mozavaptan Hydrochloride
- 薬効分類
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降圧薬>バソプレシン拮抗薬
- 価格
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30mg1錠:9139.1円/錠
- 製薬会社
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- 製造販売元:大塚製薬株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- 異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)
用法・用量
- 通常、成人にはモザバプタン塩酸塩として30mgを1日1回食後に経口投与する。
- 禁忌
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【警告】
- 本剤の投与は、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)の治療に十分な知識と経験を有する医師のもと、異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍によるSIADHと診断された患者にのみ行うこと。(≪効能・効果に関連する使用上の注意≫(1)の項参照)
- 本剤による治療は対症療法であり、水分制限を試みた上で、必要と判断された場合にのみ行うこと。(≪効能・効果に関連する使用上の注意≫(2)の項参照)
- 本剤投与時は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれがあるので、医師の監視下におき、血清ナトリウム濃度の推移等を注意深く観察し、急激な血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には必要な処置をとること。特に、本剤投与開始日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。(「2.重要な基本的注意(1)」の項参照)
- 本剤により生殖細胞に染色体異常を誘発する可能性が報告されているので、妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、避妊をさせること。(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与(2)」の項参照)
【禁忌】次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分又は類似化合物(トルバプタン等)に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 副作用
- 注意
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次の患者には慎重に投与すること
- 肝機能障害のある患者[未変化体及び活性代謝物の血中濃度が上昇するおそれがある。]
- 腎機能障害のある患者[未変化体及び活性代謝物の血中濃度が上昇するおそれがある。また、本剤の投与により、高カリウム血症が発現するおそれがある。]
- 高カリウム血症の患者[本剤の投与により、高カリウム血症が増悪するおそれがある。]
- 低血圧症あるいは循環不全のある患者[循環血漿量の減少により、低血圧症あるいは循環不全が増悪するおそれがある。]
- 食事の摂取が困難な患者[食後投与に比べ空腹時では、血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
- 急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれがあるので、患者を入院させ、医師の監視下におき、次の点に注意すること。(〔警告〕3.の項参照)
- 本剤の投与は、血清ナトリウム濃度、尿量及び臨床症状等、患者の状態を観察しながら行うこと。特に、本剤投与開始日には、投与4~6時間後並びに8~12時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。[健康成人男子に本剤を単回投与した時の血清ナトリウム濃度は、本剤投与4~6時間後に最大値を示した。]
- 必要に応じ、飲水量あるいは輸液(5%ブドウ糖液)を増量させ、血清ナトリウム濃度の上昇が10mEq/L/24hrを超えないようにすること。
- 本剤投与中は水分制限を実施するため、脱水症状があらわれるおそれがあるので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を頻回にチェックし、脱水症状の発現に注意すること。
- 本剤による血圧低下のおそれがあり、また、作用機序は不明であるが、血圧上昇のおそれもあるので、本剤投与中は血圧の変動に注意すること。
- 本剤による高カリウム血症発症あるいは増悪のおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測定すること。
- 患者又はそれに代わる適切な者に対して、本剤の有効性及び安全性は少数例の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者のみで評価されたものであることを十分説明し、文書による同意を得ること。(〔臨床成績〕の項参照)
- 投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。[7日間を超えた投与、再発後の再投与及び減量投与の有効性及び安全性は検討されていない。]
- 悪心、嘔気・嘔吐等のため、食事を摂取せずに本剤を投与する場合、食後投与に比べ血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれるおそれがある。(〔薬物動態〕の項参照)
- 夜間の排尿を避けるため、朝食後又は昼食後に投与することが望ましい。
- 本剤の適用は、異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群と診断された患者に限定すること。診断にあたっては、最新の「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断の手引き」を参照すること。(〔警告〕1.、〔参考〕の項参照)
- 本剤の投与は、可能な限りの水分制限を実施しても効果不十分な患者に限定すること。なお、本剤投与中も水分制限を継続すること。(〔警告〕2.の項参照)
- 一般に高齢者では生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやすいとされているため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験で催奇形作用(ラット)及び胚致死作用(ラット及びウサギ)が報告されている。また、妊娠ラットで胎盤通過が報告されている。]
- 妊娠する可能性のある婦人には、避妊をさせること。[動物実験(雌マウス)で卵子の減数分裂期に投与したとき、妊娠動物及び着床数あたりの生存児数の低下が認められ生殖細胞に染色体異常を誘発する可能性が報告されている。]
- 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁移行が報告されている。]
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
- 血漿中濃度
- 単回投与
- 健康成人男子に本剤30mg(30mg錠×1錠)を食後単回経口投与した時の血漿中濃度推移と薬物動態パラメータを図1及び表1に示す。
- 図1 健康成人男子にモザバプタン塩酸塩30mg錠1錠を食後単回経口投与した時の未変化体及び主要活性代謝物の血漿中濃度推移(10例)
- 表1 健康成人男子にモザバプタン塩酸塩30mg錠1錠を食後単回経口投与した時の未変化体及び主要活性代謝物の薬物動態パラメータ
化合物 tmax(hr) Cmax(ng/mL) AUC∞(ng・hr/mL) t1/2(hr) 未変化体 0.98±0.49 4.46±1.89 8.96±4.72 2.06±0.96 M1 1.53±0.68 10.69±4.41 34.29±14.12 2.39±1.41 M2 1.63±0.71 21.05±12.46 155.52±85.44 7.22±2.05 M3 1.58±0.70 8.47±6.12 53.45±45.02 5.72±2.21 M4 1.53±0.68 11.48±3.73 114.23±39.49 14.07±1.39 M5 1.40±0.70 13.21±6.40 53.90±25.30 5.15±0.71 (平均値±標準偏差,10例)
- 反復投与
- 健康成人男子に本剤30mgを食後反復経口投与した時、未変化体及び主要活性代謝物の血漿中濃度は、反復投与5日目には定常状態に達し、未変化体及び主要活性代謝物のCmax及びAUC24hrについて算出した累積係数は、それぞれ0.83~1.03及び1.06~1.36であった。
- 食事の影響
- 健康成人男子に本剤30mgを単回経口投与した時、食後投与に比べ空腹時では、未変化体と活性代謝物の合計のCmax及びAUC48hrはそれぞれ41%及び16%増加した。
- 蛋白結合率
- 未変化体のヒト血漿蛋白結合率は95.9~98.2%、主要代謝物のヒト血清蛋白結合率は83.7%以上であった(in vitro、限外ろ過)。
- 代謝酵素
- 未変化体及びその代謝物は、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4とCYP2C8により代謝される(in vitro)。
- 排泄(参考:外国人による成績)
- 健康成人男子に、14C-モザバプタン塩酸塩60mg水溶液を絶食下に単回経口投与した時、投与後7日までに尿中に45.6%、糞便中に49.7%が排泄された。
- 相互作用
- 健康成人男子に、イトラコナゾール100mgを7日間反復経口投与後、モザバプタン塩酸塩30mgとイトラコナゾール200mgを併用したところ、未変化体及び主要活性代謝物のCmax及びAUC∞が、イトラコナゾール併用により増加した(表2)。ただし、薬力学的作用には、明らかな影響を認めなかった。
- 表2 未変化体及び主要活性代謝物の薬物動態に及ぼすイトラコナゾール併用の影響(モザバプタン塩酸塩単独投与時に対するイトラコナゾール併用時の比)
化合物 Cmax AUC∞ 未変化体 1.47 1.84 M1 2.63 4.94 M2 0.80 1.60 M3 1.07 3.14 M4 1.29 3.33 M5 2.43 4.37 (健康成人男子24例)
- 健康成人男子を対象にモザバプタン塩酸塩30mgを反復経口投与し、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物のCYP3A4及びCYP2D6による代謝に及ぼす影響を検討した。デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物のCYP2D6による代謝にはモザバプタン塩酸塩の影響は認められなかったが、CYP3A4による代謝はモザバプタン塩酸塩により阻害された。(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物単独投与時に比べモザバプタン塩酸塩併用時には、尿中3-methoxymorphinan/dextromethorphan比が0.51倍となった。)
- 健康成人男子を対象にモザバプタン塩酸塩30mgの単独投与時及びフロセミド20mgとの併用投与時の循環血漿量に及ぼす影響を検討した。循環血漿量の投与前からの変化率は、モザバプタン塩酸塩単独投与時に投与後2時間、4時間でそれぞれ-1.2%、-3.9%であったのに対し、フロセミド併用時には、投与後2時間、4時間でそれぞれ-10.6%、-11.4%であり、フロセミドとの併用による作用の増強がみられた。
- 健康成人男子に、イトラコナゾール100mgを7日間反復経口投与後、モザバプタン塩酸塩30mgとイトラコナゾール200mgを併用したところ、未変化体及び主要活性代謝物のCmax及びAUC∞が、イトラコナゾール併用により増加した(表2)。ただし、薬力学的作用には、明らかな影響を認めなかった。