製品名 エリル点滴静注液30mg
個人契約のトライアルまたはお申込みで全コンテンツが閲覧可能
- 一般名
- fasudil hydrochloride hydrate
- 薬効分類
-
中枢神経薬(その他)>蛋白リン酸化酵素阻害薬
- 価格
-
30.8mg2mL1管:2387円/管
- 製薬会社
-
- 製造販売元:旭化成ファーマ株式会社
-
効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善
用法・用量
- 通常、成人には、塩酸ファスジルとして1回30mgを50~100mLの電解質液または糖液で希釈し、1日2~3回、約30分間かけて点滴静注する。
本剤の投与は、くも膜下出血術後早期に開始し、2週間投与することが望ましい。
- 禁忌
-
【警告】
- 本剤の臨床試験において、頭蓋内出血(脳内出血、硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳室内出血、頭皮下血腫、くも膜下出血)の発現が認められている。本剤の投与は緊急時に十分対応できる医療施設において行うこと。また、本剤の投与に際しては、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
【禁忌】次の患者には投与しないこと
出血している患者
頭蓋内出血[「警告」の項参照]
頭蓋内出血の可能性のある患者
出血した動脈瘤に対する十分な止血処置を術中に施すことができなかった患者[「警告」の項参照]
- 低血圧の患者[本剤の投与により低血圧があらわれることがある。]
- 副作用
-
- 頭蓋内出血(1.72%)
- 頭蓋内出血があらわれることがある。[「2.重要な基本的注意」の(1)及び(2)の項参照]
- 消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血(0.27%)
- 消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血等の出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- ショック(0.02%)
- ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 麻痺性イレウス(0.04%)
- 麻痺性イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、著しい便秘、腹部膨満感等の症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
- 注意
-
慎重投与
次の患者には慎重に投与すること
- 術前から糖尿病を合併している患者、術中所見で主幹動脈に動脈硬化がみられた患者[頭蓋内出血を起こした例がある(「2.重要な基本的注意」の(2)の項参照)。]
- 腎機能障害のある患者[排泄が遅延して、血中濃度が持続する可能性があり、低血圧が認められることがあるので、低血圧が観察された場合には減量(例えば1回10mg)すること。]
- 肝機能障害のある患者[代謝が遅延して、血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれる可能性がある。]
- 重篤な意識障害のある患者[使用経験が少なく、有効性が確立されていない。]
- 70歳以上の高齢者[機能予後の改善がみられない可能性があり、有効性が確立されていない。]
- くも膜下出血に重症の脳血管障害(モヤモヤ病、巨大脳動脈瘤など)を合併している患者[使用経験がなく、有効性及び安全性が確立されていない。]
重要な基本的注意
- 本剤の臨床試験において、頭蓋内出血(666例中8例9件、その内訳は脳内出血3件、硬膜外血腫2件、硬膜下血腫1件、脳室内出血1件、頭皮下血腫1件、くも膜下出血1件)の発現が認められている。なお、プラセボを対照とした比較試験では、本剤での頭蓋内出血の発現率は1.5%(136例中2例)であり、プラセボでの発現率は1.4%(140例中2例)であった。
- 本剤の投与に際しては、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、頭蓋内出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 本剤の投与により低血圧があらわれることがあるので、血圧の変動に注意し、投与速度に注意するなど慎重に投与すること。
- 本剤の投与は、2週間を目安とし、漫然と投与しないこと。
適用上の注意
- 投与経路
- 点滴静注にのみ使用すること。
- ウサギで大槽内投与により痙攣が発現したとの報告があるので、髄腔内には投与しないこと。
- その他
- 本剤はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすることが望ましい。
高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しており、腎機能が低下している可能性があるので、減量する(例えば1回10mg)など注意すること。なお、臨床試験及び市販後調査では、65歳以上の高齢者での副作用発現率は11.96%(1,798例中215例)であった。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[24時間持続静脈内投与によりラットに12日間投与した器官形成期投与試験で、奇形(腹部閉鎖障害)を有する仔がみられたとの報告がある。また、24時間持続静脈内投与によりウサギに14日間投与した器官形成期投与試験で、奇形(頭部神経管障害、腹部閉鎖障害)を有する仔が認められたとの報告がある。]
- 授乳中の婦人に投与する場合には授乳を避けさせること。[ラットに静脈内投与した実験で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
- 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
薬物動態
- 健康成人に塩酸ファスジル0.4mg/kgを単回30分間静脈内持続投与したときの血漿中未変化体濃度は、投与終了時に最高値に達し、速やかに減衰した。消失半減期は、約16分であった。また、塩酸ファスジルの主代謝物は、イソキノリン骨格の1位の水酸化体及びその抱合体であった。未変化体及び代謝物を合わせた投与後24時間までの尿中累積排泄率は、投与量の67%であった。
- くも膜下出血術後患者に、塩酸ファスジル30mgを1日3回、14日間反復点滴静注したときの血漿中濃度推移は、健康成人に類似していた。
- 〈参考〉
- ラット及びサルに、14C標識塩酸ファスジルを静脈内投与すると、血液中放射能濃度は投与終了直後より速やかに減少し、消失半減期はラットで約1時間、サルでは1.4時間であった。放射能は投与後速やかに各組織に移行した。特に腎臓、肝臓に高濃度に分布し、その消失は血漿中濃度に比べ緩徐であった。また脳内への移行が認められた。サルにおいては、ぶどう膜及び皮膚にも分布し、その消失は緩徐であった。ラット及びサルともに排泄は速やかであり、ラットでは尿及び胆汁に同程度に排泄され、サルでは主に尿に排泄された。乳汁及び胎児への移行が認められたが、消失は速やかであった。主代謝物は、イソキノリン骨格の1位の水酸化体及びその抱合体であり、主たる代謝組織は肝臓であった。ラットの1日1回反復静脈内投与において、血漿中濃度は21回投与時には定常状態に近いと考えられた。尿糞中排泄において反復投与の影響は認められなかった。反復投与時の組織内濃度は投与回数に伴い上昇したが、21回投与時には定常状態に近いと判断され、また、反復投与後の組織からの消失は血漿中濃度に比べ緩徐であり、単回投与の場合に比べ遅延の傾向が認められた。