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エピルビシン塩酸塩注射用10mg「サワイ」、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解

    • 急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)
  • ○以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法

    • 乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)

用法・用量

  • <急性白血病>

    • エピルビシン塩酸塩として15mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回5~7日間連日静脈内に投与し3週間休薬する。これを1クールとし、必要に応じて2~3クール反復する。
  • <悪性リンパ腫>

    • エピルビシン塩酸塩として40~60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。
  • <乳癌、卵巣癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)>

    • エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。
  • <肝癌>

    • エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、肝動脈内に挿入されたカテーテルより、1日1回肝動脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。
  • <膀胱癌(表在性膀胱癌に限る)>

    • エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)を30mLの日局生理食塩液に溶解し、1日1回3日間連日膀胱腔内に注入し4日間休薬する。これを1クールとし、通常2~4クール反復する。
      注入に際しては、ネラトンカテーテルで導尿し十分に膀胱腔内を空にした後、同カテーテルよりエピルビシン塩酸塩溶液を注入し、1~2時間膀胱腔内に把持する。
      なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
  • <乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法>

    • ・シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。
    • ・シクロホスファミド水和物、フルオロウラシルとの併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。
    • なお、投与量は年齢、症状により適宜減量する。
  • <肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>

    • エピルビシン塩酸塩として10mg(力価)に対し、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルを0.5~2mLの割合で加え、肝動脈内に挿入されたカテーテルより肝動脈内に投与する。本剤の投与量は、1日60mg(力価)/m2(体表面積)とするが、患者の状態により適宜増減し、腫瘍血管に乳濁液が充満した時点で終了すること。

禁忌 

【警告】

  • 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。
    また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <用法共通>

    • 2.1 心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれるおそれがある。]
    • 2.2 本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
    • 2.3 他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[うっ血性心不全があらわれるおそれがある。][9.1.4参照]
  • <肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>

    • 2.4 ヨード系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
    • 2.5 重篤な甲状腺疾患のある患者[9.1.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<用法共通>
9.1.1 骨髄抑制のある患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。
9.1.3 水痘患者
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
9.1.4 他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者(他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量に達している患者を除く)
心筋障害があらわれるおそれがある。[2.3、8.2、10.2、11.1.1参照]
<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
9.1.5 甲状腺疾患のある患者(重篤な甲状腺疾患のある患者を除く)
本剤の乳濁液はヨード化合物を含むため、ヨード摂取量の増加により甲状腺障害を増悪させるおそれがある。[2.5参照]
9.1.6 血管造影で明らかな肝内シャントがある患者
本剤が肝内シャントを介して正常組織に流入し、血管塞栓による重篤な副作用を起こすおそれがある。
9.1.7 血管造影で明らかな門脈腫瘍栓がある患者
門脈血が遮断されているため、本剤の投与により投与部位の血流が低下し、肝不全を起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
<用法共通>
9.3.1 副作用が強くあらわれるおそれがある。
<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
9.3.2 総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者又は重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝不全を起こすことがある。[11.1.6参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2.2参照]
9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。外国で妊娠中に本剤とシクロホスファミド水和物を投与された患者の胎児において、心毒性が認められ死亡に至った例も報告されている。動物実験(ラット)で胎児毒性が報告されており、またアントラサイクリン系の他の抗悪性腫瘍剤では、動物実験で催奇形性が報告されている。[9.4.1、15.2.2参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児での副作用として主なものは、食欲不振、白血球減少、悪心等が報告されている。
9.8 高齢者
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。心毒性、骨髄抑制があらわれやすく、また本剤は主として肝臓で代謝されるが、肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

8.重要な基本的注意

<用法共通>
8.1 骨髄抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、適宜臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。[11.1.1、11.1.2参照]
8.2 アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が900mg/m2(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので注意すること。本剤の総投与量が900mg/m2以下であっても、うっ血性心不全を起こすことがある。特に、他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者及び心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者では心機能検査を行い、慎重に投与すること。[9.1.4、10.2、11.1.1参照]
8.3 心筋障害等の心毒性については、本剤の投与終了後も発現することがあるので、長期にわたり観察すること。[11.1.1参照]
8.4 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
<肝動脈内投与>
8.5 肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死、肝不全、胆嚢炎等の肝・胆道障害があらわれることがあるので、造影剤等により薬剤の分布領域をよく確認すること。[11.1.6参照]
<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
8.6 投与時にショック、血圧低下、徐脈等があらわれることがあるので、投与中及び投与直後は経過観察を十分に行うこと。[11.1.3参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<用法共通>
14.1.1 本剤は溶解時のpHにより安定性が低下することがあるので、日局注射用水又は日局生理食塩液に溶解して投与すること。
また、配合変化を起こす可能性があるので他の薬剤との混注を避けること。
14.1.2 溶解後速やかに使用すること。
14.1.3 本剤が眼や皮膚に付着した場合には直ちに水で洗浄し、適切な処置を行うこと。
<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
14.1.4 本剤の乳濁液の調製にあたっては、本剤を生理食塩水、非イオン性造影剤等で溶解後に、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルを加えること。
14.2 薬剤投与時の注意
<用法共通>
14.2.1 本剤は用法・用量にしたがって使用し、皮下、筋肉内投与はしないこと。
14.2.2 腹腔内に投与すると、腸管の癒着を起こすことがあるので、腹腔内投与はしないこと。
<静脈内投与>
14.2.3 血管痛、静脈炎、血栓を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。また、同一部位への反復投与により、血管の硬化を起こすことがある。
14.2.4 薬液が血管外に漏れると、注射部位に疼痛、灼熱感、炎症、腫脹、壊死を起こすことがあるので、点滴の側管を利用する等、薬液が血管外に漏れないように投与すること。
<肝動脈内投与>
14.2.5 本剤が標的とする部位以外へ流入することにより、重篤な胃穿孔、消化管出血、胃・十二指腸潰瘍、脳梗塞、肺梗塞、肺塞栓、成人呼吸窮迫症候群、脊髄梗塞等があらわれることがあるので、造影剤等によりカテーテルの先端位置、薬剤の分布領域をよく確認し、カテーテルの逸脱・移動、注入速度等に随時注意すること。なお、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[11.1.7参照]
14.2.6 疼痛、発赤、紅斑、びらん、潰瘍等の皮膚障害があらわれ、皮膚壊死に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
14.2.7 本剤の乳濁液は固有肝動脈より可能な限り末梢から投与すること。腫瘍の栄養血管が下横隔動脈、左胃動脈等肝動脈以外である場合は、それらの栄養血管の血管走行を十分検査し、投与すること。投与に際しては、本剤の大動脈への逆流及び胃十二指腸動脈内への流入を回避するように十分注意して、カテーテルを挿入しX線透視下に少量ずつ投与すること。
14.2.8 門脈本幹との著明なAPシャントのある患者に投与する場合には、シャントより肝側までカテーテルを挿入すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)>
再投与を行う場合には、肝機能の回復状況等の患者の状態に応じて適切な投与間隔を設定すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
癌患者7例にエピルビシン40、60、80、100mg/m2を静脈内投与したとき、血中濃度は3相性を示し、α相4.67分、β相1.15時間、γ相36.5時間の半減期で消失した。
16.4 代謝
癌患者にエピルビシンを静脈内投与したとき、尿中及び血中におけるエピルビシンの代謝物は、還元代謝物(エピルビシノール)の他にグルクロン酸抱合体が認められる(外国人データ)。
16.5 排泄
癌患者にエピルビシンを静脈内投与したとき、48時間までの尿中排泄率は投与量の10.7%である(外国人データ)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
アントラサイクリン系薬剤等
[8.2、9.1.4参照]
これらの薬剤が過去に投与されている場合、あるいは併用療法を行う場合は、心筋障害が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。心筋に対する蓄積毒性が増強される。
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射[8.2参照]心筋障害が増強するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。心筋に対する蓄積毒性が増強される。
抗悪性腫瘍剤骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。ともに骨髄抑制作用を有する。
抗悪性腫瘍剤二次性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生することがあるので、本剤の投与終了後も長期にわたり注意すること。機序は不明である。
放射線照射骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。ともに骨髄抑制作用を有する。
パクリタキセル本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあるので、併用する場合は、パクリタキセルの前に本剤を投与すること。本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、本剤の未変化体の血漿中濃度が上昇する。
シメチジンシメチジンが本剤のAUCを増加させる。シメチジンが本剤の代謝酵素であるP450を阻害する。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<用法共通>
11.1.1 心筋障害(0.1%)
心筋障害、更にうっ血性心不全等の症状があらわれることがある。[8.1-8.3、9.1.4参照]
11.1.2 骨髄抑制(頻度不明)
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、出血傾向があらわれることがある。なお、高度な骨髄抑制により致命的な感染症(敗血症)や消化管出血があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.3 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、呼吸困難、発赤、意識低下等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.6参照]
11.1.4 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
<膀胱腔内注入>
11.1.5 萎縮膀胱(頻度不明)
<肝動脈内投与>
11.1.6 肝・胆道障害(頻度不明)
肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死、肝不全、胆嚢炎等の肝・胆道障害があらわれることがある。[8.5、9.3.2参照]
11.1.7 胃潰瘍(0.1%未満)、十二指腸潰瘍(0.1%未満)、消化管出血(頻度不明)[14.2.5参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上0.1~5%未満0.1%未満頻度不明
心臓心電図異常、不整脈、頻脈胸痛
過敏症発疹紅斑、発赤蕁麻疹
肝臓肝機能異常(AST・ALT上昇等)
腎臓腎機能異常(BUN上昇等)
消化器悪心・嘔吐、食欲不振口内炎、下痢、腹痛食道炎、胃炎
皮膚高度の脱毛色素沈着、そう痒症肝動脈内投与時の発赤、紅斑、びらん、潰瘍等の皮膚障害、皮膚壊死
精神神経系倦怠感しびれ、疼痛、頭痛耳痛・耳鳴、不眠、意識障害、知覚異常(口腔内異和感)
泌尿器頻尿・排尿痛・膀胱炎・血尿等の膀胱刺激症状注1)頻尿、血尿
呼吸器呼吸困難、気胸・血胸注2)
注射部位静脈内投与による血管痛、静脈炎、血栓
その他発熱悪寒、顔面浮腫、血圧低下ほてり

注1)膀胱腔内注入による。
注2)肺転移を有する症例の治療中にあらわれたとの報告がある。
注)使用成績調査を含む。

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