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イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)、結腸・直腸癌(手術不能又は再発)、乳癌(手術不能又は再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、小児悪性固形腫瘍、治癒切除不能な膵癌

用法・用量

  • (1)小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌(手術不能又は再発)及び有棘細胞癌はA法を、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌(手術不能又は再発)はA法又はB法を使用する。また、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)はC法を、小児悪性固形腫瘍はD法を、治癒切除不能な膵癌はE法を使用する。
    • A法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、100mg/m2を1週間間隔で3~4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    • B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    • C法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、40mg/m2を3日間連日点滴静注する。これを1週毎に2~3回繰り返し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    • なお、A~C法の投与量は、年齢、症状により適宜増減する。
    • D法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、1日1回、20mg/m2を5日間連日点滴静注する。これを1週毎に2回繰り返し、少なくとも1週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    • E法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、180mg/m2を点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    • なお、D法及びE法の投与量は、患者の状態により適宜減量する。
  • (2)A法、B法及びE法では、本剤投与時、投与量に応じて500mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、90分以上かけて点滴静注する。C法では、本剤投与時、投与量に応じて250mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。D法では、本剤投与時、投与量に応じて100mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤使用にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  • 1.2 本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている。本剤の投与は、緊急時に十分に措置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、下記の患者には投与しないなど適応患者の選択を慎重に行うこと。[2.1-2.9、10.1参照]
    • ・骨髄機能抑制のある患者
    • ・感染症を合併している患者
    • ・下痢(水様便)のある患者
    • ・腸管麻痺、腸閉塞のある患者
    • ・間質性肺炎又は肺線維症の患者
    • ・多量の腹水、胸水のある患者
    • ・黄疸のある患者
    • ・アタザナビル硫酸塩を投与中の患者
    • ・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 1.3 本剤を含む小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
  • 1.4 投与に際しては、骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.3、11.1.1、11.1.2参照]
  • 1.5 骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。
    • 1.5.1 投与予定日(投与前24時間以内)に末梢血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
    • 1.5.2 投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3未満)の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.1、7.3参照]
    • 1.5.3 投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3以上)であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制が増悪して重症感染症等を併発し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.2 感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.3 下痢(水様便)のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.4 腸管麻痺、腸閉塞のある患者[腸管からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.5 間質性肺炎又は肺線維症の患者[症状が増悪し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.6 多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.7 黄疸のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2参照]
  • 2.8 アタザナビル硫酸塩を投与中の患者[1.2、10.1参照]
  • 2.9 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[1.2参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病の患者
十分な管理を行いながら投与すること。高度な下痢の持続により脱水、電解質異常を起こして糖尿病が増悪し、致命的となるおそれがある。
9.1.2 全身衰弱が著しい患者
副作用が強く発現するおそれがある。
9.1.3 遺伝性果糖不耐症の患者
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
9.1.4 グルクロン酸抱合異常の患者
Gilbert症候群のようなグルクロン酸抱合異常の患者においては、本剤の代謝が遅延することにより骨髄機能抑制等の重篤な副作用が発現する可能性が高い。
9.1.5 UGT1A1遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者
本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase、UGT)の2つの遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A16/6UGT1A128/28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A16/28)としてもつ患者では、UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し、SN-38の代謝が遅延することにより、重篤な副作用(特に好中球減少)発現の可能性が高くなることが報告されているため、十分注意すること。[16.4.1、17.3.1参照]
9.2 腎機能障害患者
腎障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
肝障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。[15.2参照]
9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット・ウサギ)で催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。[9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
<小児悪性固形腫瘍>
9.7.1 幼児又は小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
<小児悪性固形腫瘍以外>
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
骨髄機能抑制、下痢等の副作用に注意し、異常が認められた場合には、回復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔に留意すること。一般に高齢者では生理機能が低下しており、排泄が遅れる。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤はイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤とは有効性、安全性、薬物動態が異なる。本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤の代替として使用しないこと。また、本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤と同様の用法及び用量で投与しないこと。
8.2 重篤な過敏反応があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
8.3 骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を行うなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延することがあるので、投与は慎重に行うこと。[1.4、11.1.1、11.1.2、11.1.6、11.1.7参照]
8.4 本剤の投与により排便回数の増加、水様便又は腹痛を伴うような場合は、継続投与により下痢が強く発現することがある。また、腹痛を有する患者に本剤を投与した場合、高度な下痢があらわれることがある。したがって、このような場合には症状の回復を待って投与を行うこと。[11.1.2参照]
8.5 重症感染症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、出血傾向、腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞、腸炎及び間質性肺炎の発現又は増悪に十分注意すること。[8.7、11.1.1-11.1.4参照]
8.6 悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度にあらわれるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
8.7 間質性肺炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[8.5、11.1.4参照]
8.8 投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがある。
<小児悪性固形腫瘍>
8.9 本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:イリノテカン塩酸塩水和物(小児悪性固形腫瘍)」等)を熟読すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
14.1.2 本剤は、輸液に混和後、できるだけ速やかに投与すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
14.2.2 本剤は光に不安定なので直射日光を避けること。また、点滴時間が長時間におよぶ場合には遮光して投与すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 投与予定日の白血球数又は血小板数が次の投与可能条件に満たない場合は、本剤の投与を中止又は延期すること。[1.5.2、7.2参照]
投与可能条件
種類程度
白血球数3,000/mm3以上
血小板数100,000/mm3以上
7.2 投与可能条件を満たしていても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。また、白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では、投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には、投与可能条件を満たしていても、骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。[1.5.3、7.1、7.3参照]
<治癒切除不能な膵癌>
7.3 オキサリプラチン、レボホリナート、フルオロウラシルとの併用療法(FOLFIRINOX法)を行う場合には、2クール目以降、次の投与可能条件、減量基準及び減量時の投与量を参考にすること。[1.5.2、7.2参照]
2クール目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期するとともに、「減量基準」及び「減量時の投与量」を参考に、投与再開時に減量すること。)
種類程度
好中球数1,500/mm3以上
血小板数75,000/mm3以上
減量基準
前回の投与後にいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当する毎に、以下の減量方法に従って、投与レベルを1レベル減量する(「減量時の投与量」を参考にすること)。また、いずれかの程度に該当する好中球減少又は血小板減少が発現した場合は、以降のフルオロウラシル急速静脈内投与を中止する。
副作用注1)程度減量方法
好中球減少以下のいずれかの条件を満たす場合:
1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
2)500/mm3未満が7日以上持続
3)感染症又は下痢を併発し、かつ1,000/mm3未満
4)発熱性好中球減少症
本剤を優先的に減量する。
ただし、本剤の投与レベルがオキサリプラチンより低い場合は、本剤と同じレベルになるまでオキサリプラチンを減量する。
下痢発熱(38℃以上)を伴う
グレード3注3)以上フルオロウラシル持続静注を減量する。
血小板減少以下のいずれかの条件を満たす場合:
1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
2)50,000/mm3未満
オキサリプラチンを優先的に減量する。
ただし、オキサリプラチンの投与レベルが本剤より低い場合は、オキサリプラチンと同じレベルになるまで本剤を減量する。
総ビリルビン上昇2.0mg/dL超3.0mg/dL以下本剤を120mg/m2に減量する。
3.0mg/dL超本剤を90mg/m2に減量する。
粘膜炎グレード3注2)以上フルオロウラシル持続静注を減量する。
手足症候群
注1)複数の副作用が発現した場合は、薬剤毎に減量が最大となる基準を適用すること。注2)CTCAE version 4.0。
減量時の投与量(オキサリプラチン85mg/m2、本剤180mg/m2、フルオロウラシル持続静注2,400mg/m2で投与を開始した場合)
投与レベルオキサリプラチン本剤フルオロウラシル持続静注
-165mg/m2150mg/m21,800mg/m2
-250mg/m2120mg/m21,200mg/m2
-3中止中止中止

5.効能又は効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
<治癒切除不能な膵癌>
5.2 患者の病期、全身状態、UGT1A1注)遺伝子多型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.8、17.1.9参照]
注)本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素の一分子種である。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
各種悪性腫瘍患者に、イリノテカン塩酸塩水和物50~350mg/m2注1)を単回点滴静脈内投与したときの血漿中の未変化体と活性代謝物(SN-38)の濃度を測定した。未変化体は血漿中からの減衰速度が速く、t1/2が3.7~5.8時間であった。
各種悪性腫瘍患者におけるイリノテカン塩酸塩水和物投与後の未変化体及びSN-38の薬物動態学的パラメータ
投与量(mg/m2症例数Cmax(μg/mL)t1/2(hr)AUC(μg・hr/mL)
未変化体SN-38未変化体未変化体SN-38
5030.70.025.63.60.2
10041.90.035.814.20.6
16554.70.054.221.50.7
25057.60.074.527.90.9
35017.10.143.744.71.1
注1)本剤の承認された最大投与量は、180mg/m2以下である。
16.3 分布
16.3.1 動物での組織分布
ラットに14C-イリノテカン塩酸塩水和物を単回静脈内投与した後の組織内放射能濃度は、脳、中枢神経系、生殖系を除く各組織で血漿中放射能濃度より高く、速やかでかつ良好な組織移行性が認められた。
16.4 代謝
16.4.1 ヒトの肝及び各組織において、イリノテカン塩酸塩水和物はカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に直接変換される。その他イリノテカン塩酸塩水和物は、CYP3A4により一部は無毒化され、また、一部は間接的にSN-38に変換される。
SN-38は、主に肝の代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の一分子種であるUGT1A1によりグルクロン酸抱合され、SN-38のグルクロン酸抱合体(SN-38G)となり、主に胆汁中に排泄される。
UGT1A1にはUGT1A16UGT1A128等の遺伝子多型が存在し、UGT1A16、もしくはUGT1A128においては、これら遺伝子多型をもたない患者に比べてヘテロ接合体、ホモ接合体としてもつ患者の順にSN-38Gの生成能力が低下し、SN-38の代謝が遅延する。[9.1.5、17.3.1参照]
日本人におけるUGT1A16UGT1A128のアレル頻度は13.0~17.7%、8.6~13.0%との報告がある。
各種癌患者(176例)におけるUGT1A1遺伝子多型とAUC比注2)との関連性は次表のとおりである。
遺伝子多型AUC比注2)
例数中央値(四分位範囲)
UGT1A16UGT1A128をともにもたない855.55(4.13-7.26)
UGT1A16又はUGT1A128をヘテロ接合体としてもつ753.62(2.74-5.18)
UGT1A16又はUGT1A128をホモ接合体としてもつ、もしくはUGT1A16UGT1A128をヘテロ接合体としてもつ162.07(1.45-3.62)
注2)SN-38GのAUCをSN-38のAUCで除した値
16.4.2 ラットにおいてSN-38Gは、腸内細菌がもつβ-グルクロニダーゼによりSN-38に脱抱合される。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アタザナビル硫酸塩
(レイアタッツ)
[1.2、2.8参照]
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。UGT阻害作用のあるアタザナビル硫酸塩との併用により、本剤の代謝が遅延することが考えられる。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
併用により殺細胞作用が増強される。
末梢性筋弛緩剤
スキサメトニウム塩化物水和物
ベクロニウム臭化物
ロクロニウム臭化物等
末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。本剤は、動物実験で筋収縮増強作用が認められている。
CYP3A4阻害剤
アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール等)
マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
リトナビル
ジルチアゼム塩酸塩
ニフェジピン
モザバプタン塩酸塩等
グレープフルーツジュース
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の全身曝露量が増加することが考えられる。
CYP3A4誘導剤
フェニトイン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール等
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。
本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の全身曝露量が減少することが考えられる。
ソラフェニブトシル酸塩骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるソラフェニブトシル酸塩との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が上昇する可能性がある。
ラパチニブトシル酸塩水和物骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCが約40%増加したとの報告がある。
レゴラフェニブ水和物骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるレゴラフェニブ水和物との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCがそれぞれ28%及び44%増加し、Cmaxがそれぞれ22%増加及び9%減少したとの報告がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄機能抑制
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(84.2%)、好中球減少(80.8%)、血小板減少(20.4%)、貧血(61.4%)、発熱性好中球減少症(1.3%)等があらわれることがある。白血球減少(好中球減少)を認めた場合には、減少の程度に応じてG-CSF等の白血球増多剤の投与、発熱を伴う場合には適切な抗生剤の投与、その他必要に応じて適切な感染症対策を行うこと。また、高度な骨髄機能抑制の持続により、次のような疾患を併発し、死亡した例も報告されている。
・重症感染症(敗血症、肺炎等)
重篤な白血球・好中球減少に伴い、敗血症(頻度不明)、肺炎(頻度不明)等の重症感染症があらわれることがある。
・播種性血管内凝固症候群(DIC)
重篤な感染症、血小板減少に伴い、播種性血管内凝固症候群(頻度不明)があらわれることがある。[1.4、8.3、8.5参照]
11.1.2 高度な下痢、腸炎
下痢(65.5%)、大腸炎(頻度不明)、小腸炎(頻度不明)、腸炎(部位不明:頻度不明)があらわれることがある。高度な下痢の持続により、脱水、電解質異常、ショック(循環不全:頻度不明)を併発し、死亡した例も報告されている。
高度な下痢の持続により、脱水及び電解質異常等をきたし、特に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、致命的な経過をたどることがあるので、次のような処置を行うこと。
・ロペラミド塩酸塩等の止瀉剤の投与を行うこと(ただし、腸管麻痺を引き起こすことがあるので、ロペラミド塩酸塩等の予防的投与や、漫然とした投与は行わないこと)。
・脱水を認めた場合には、輸液、電解質補充を行うこと。
・重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、適切な抗生剤の投与を考慮すること。
高度な下痢や嘔吐に伴いショック(循環不全)があらわれることがあるので、呼吸困難、血圧低下等が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
なお、本剤による下痢に関しては、以下の2つの機序が考えられている。
早発型:本剤投与中あるいは投与直後に発現する。コリン作動性と考えられ、高度である場合もあるが多くは一過性であり、副交感神経遮断剤の投与により緩和することがある。
遅発型:本剤投与後24時間以降に発現する。主に本剤の活性代謝物(SN-38)による腸管粘膜傷害に基づくものと考えられ、持続することがある。[1.4、8.3-8.5参照]
11.1.3 腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞
腸管穿孔(頻度不明)、消化管出血(下血、血便を含む:頻度不明)、腸管麻痺(2.5%)、腸閉塞(0.5%)があらわれることがある。なお、腸管麻痺・腸閉塞に引き続き腸管穿孔を併発し、死亡した例が報告されている。これらの症例の中には、腸管蠕動を抑制する薬剤(ロペラミド塩酸塩、モルヒネ硫酸塩水和物等)の併用例があるので、腸管蠕動を抑制する薬剤を併用する場合には、特に注意すること。[8.5参照]
11.1.4 間質性肺炎(2.4%)[8.5、8.7参照]
11.1.5 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
過敏症状(呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.2参照]
11.1.6 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)[8.3参照]
11.1.7 急性腎障害(頻度不明)[8.3参照]
11.1.8 血栓塞栓症
肺塞栓症(頻度不明)、静脈血栓症(頻度不明)があらわれることがある。
11.1.9 脳梗塞(頻度不明)
11.1.10 心筋梗塞(頻度不明)、狭心症発作(頻度不明)
11.1.11 心室性期外収縮(0.8%)
発現頻度の算出にあたってはホジキン病の患者を含む。本剤の効能又は効果は、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)である。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

50%以上5~50%未満5%未満頻度不明
消化器食欲不振(80.9%)、悪心・嘔吐(77.2%)腹痛しゃっくり、腹部膨満感、口内炎、口唇炎、痔核、胃腸音異常胃潰瘍、胃・腹部不快感、胃炎、消化不良、便秘、食道炎、吐血、腸管運動亢進
肝臓AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇ビリルビン上昇、γ-GTP上昇
腎臓電解質異常腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)、蛋白尿、血尿、尿沈渣異常乏尿、クレアチニンクリアランス低下
呼吸器気管支炎、咽頭炎、鼻炎、発声障害、咽頭知覚不全、口腔咽頭不快感咽頭痛、咳嗽、呼吸困難、PaO2低下、上気道炎
過敏症発疹、そう痒感蕁麻疹
皮膚脱毛色素沈着、浮腫、紅斑、手足症候群、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥帯状疱疹、粘膜炎、発赤
精神神経系しびれ等の末梢神経障害、頭痛、めまい、精神症状、意識障害、傾眠、興奮・不安感、不穏痙攣、耳鳴、味覚異常、うつ病、目のかすみ、不眠、振戦、構語障害
循環器頻脈、血圧低下、動悸不整脈、徐脈、心房細動、高血圧、心電図異常
その他倦怠感、発熱、好酸球増加、総蛋白減少、アルブミン減少発汗、顔面潮紅、疼痛、腰痛、カルシウム異常、尿酸異常、尿ウロビリノーゲン異常、糖尿脱水、コリン作動性症候群、悪寒、胸部不快感、胸痛、関節痛、筋痛、鼻出血、脱力感、無力症、疲労、体重増加、体重減少、LDH低下、白血球増加、血小板増加、白血球分画の変動、CRP上昇、注射部位反応(発赤、疼痛等)、血管炎、流涙、熱感、腹水、鼻汁

発現頻度の算出にあたってはホジキン病の患者を含む。本剤の効能又は効果は、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)である。

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