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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○眼瞼痙攣、○片側顔面痙攣、○痙性斜頸、○上肢痙縮、○下肢痙縮、○2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、○重度の原発性腋窩多汗症、○斜視、○痙攣性発声障害、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁

用法・用量

  • <眼瞼痙攣>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25~2.5単位/部位を、1眼当たり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3~4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、投与間隔は8週以上とすること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果と見られる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用が現れた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。
      また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。
      • <注射部位>
  • <片側顔面痙攣>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を痙攣筋に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。
      • ・初回投与の場合には合計で10単位を投与する。
      • ・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができる。
      • ・症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。
    • ※痙攣筋:眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頸筋、オトガイ筋等
  • <痙性斜頸>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。
      • ・初回投与の場合には合計で30~60単位を投与する。
      • ・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計180単位を上限として投与することができる。
      • ・症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。
    • ※緊張筋:胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頸筋等
  • <上肢痙縮>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
    • ※緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等
  • <下肢痙縮>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
    • ※緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等
  • <2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

    • 通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。ただし、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
  • <重度の原発性腋窩多汗症>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10~15ヵ所)に1~2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。
  • <斜視>

    • 通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を外眼筋に筋肉内注射する。
      • ・初回投与

        • (1)上下斜視の場合

          • 上直筋又は下直筋に1.25~2.5単位
        • (2)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合

          • 内直筋又は外直筋に1.25~2.5単位
        • (3)20~50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合

          • 内直筋又は外直筋に2.5~5.0単位
        • (4)1ヵ月以上持続する外転神経麻痺の場合

          • 内直筋に1.25~2.5単位
      • ・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。
      • ・前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。
      • ・1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えないこと。
  • <痙攣性発声障害>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。
      • ・内転型痙攣性発声障害

        • 初回投与

          • 片側の甲状披裂筋に2.5単位を投与する。
        • 再投与

          • 前回の効果が減弱した場合には、片側又は両側の甲状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、片側あたり2.5単位を超えないこと。
      • ・外転型痙攣性発声障害

        • 初回投与

          • 片側の後輪状披裂筋に5.0単位を投与する。
        • 再投与

          • 前回の効果が減弱した場合には、片側の後輪状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、5.0単位を超えないこと。
  • <既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
  • <既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁>

    • 通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

禁忌 

【警告】

  • <効能共通>

    • 1.1 本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素であるため、使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱以外には使用しないこと。ミオクローヌス性ジストニーの患者で、本剤による治療中に因果関係を否定できない死亡例の報告がある。[8.1参照]
  • <眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、重度の原発性腋窩多汗症>

    • 1.2 講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が投与を行うこと。
  • <痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害>

    • 1.3 講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、筋電図測定技術及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が投与を行うこと。
      本剤による治療中に因果関係を完全に否定できない死亡例の報告がある。痙性斜頸、上肢痙縮、痙攣性発声障害患者では、特に呼吸障害、嚥下障害等頸部関連筋に関する副作用があらわれるおそれがある。
  • <過活動膀胱、神経因性膀胱>

    • 1.4 講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、膀胱鏡を用いた本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が投与を行うこと。
  • <痙性斜頸、痙攣性発声障害>

    • 1.5 頸部関連筋への投与により、呼吸困難があらわれることがある。嚥下障害から嚥下性肺炎を引き起こし、また、投与部近位への拡散により呼吸機能低下に至ったとする報告がある。[8.2.9、11.1.3参照]
  • <眼瞼痙攣>

    • 1.6 1回投与量として100単位を投与し、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる呼吸困難及び筋無力症が発現したという報告がある。[8.4、9.1.4、13.1.2、15.2.2参照]
  • <神経因性膀胱>

    • 1.7 自律神経異常反射を来しやすい背景を有する患者には、緊急時に十分対応できる医療施設において、全身麻酔や血圧モニタリングを実施できる環境の下、本剤を投与すること。[7.31、9.1.5参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]
    • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[8.2.5、9.4.1、9.5、9.6、15.1.3、15.2.1参照]
    • 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • <痙性斜頸>

    • 2.4 高度の呼吸機能障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。]
  • <過活動膀胱、神経因性膀胱>

    • 2.5 尿路感染症を有する患者及び導尿を日常的に実施していない尿閉を有する患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 慢性の呼吸器障害のある患者
本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。
9.1.2 重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者
本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある。
9.1.3 閉塞隅角緑内障のある患者又はその素因(狭隅角等)のある患者
本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある。
9.1.4 神経学的障害のある患者
嚥下困難等を有する患者、脳性麻痺等重度の障害を有する小児患者、痙縮患者等では、投与部位以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用のリスクが増加するため特に注意すること。[1.6、8.4、13.1.2、15.2.2参照]
<神経因性膀胱>
9.1.5 自律神経異常反射を来しやすい背景を有する患者
本剤の投与手技に起因する自律神経異常反射を来すおそれがあることから、直ちに適切な処置を行えるようにしておくこと。[1.7、7.31参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。[2.2、8.2.5、9.5、15.1.3、15.2.1参照]
9.4.2 男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。精子形成期間に投与されることを避けるため。[8.2.6参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。外国において、本剤を投与された患者で胎児死亡が報告されており、また、動物実験で妊娠及び胎児への影響が認められている。[2.2、8.2.5、9.4.1、15.1.3、15.2.1参照]
9.6 授乳婦
投与しないこと。[2.2参照]
9.7 小児等
9.7.1 2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足及び12歳以上の斜視患者以外の適応では、小児を対象とする有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[17.1.7、17.1.9参照]
9.7.2 小児において本剤による治療中に死亡例が報告されており、その中には重度の神経筋疾患、嚥下困難、嚥下性肺炎、痙攣発作、心臓疾患等の危険因子を有する症例も認められた。四肢麻痺の患者、経管栄養補給を受けている患者又は嚥下性肺炎や肺疾患の既往を有する患者等、重度の障害を有する小児患者に投与する場合には、観察を十分に行うこと。
9.8 高齢者
少量(6.用法及び用量の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤は眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱の適応のみに使用する製剤のため、眉間又は目尻の表情皺に対しては、ボトックスビスタ注用50単位を用いること。これら以外の適応には安全性が確立していないので絶対使用しないこと。[1.1参照]
8.2 本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。
8.2.1 本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素である。
8.2.2 本剤の投与は対症療法であり、その効果は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害では通常3~4ヵ月、重度の原発性腋窩多汗症では通常4~9ヵ月、過活動膀胱では通常4~8ヵ月、神経因性膀胱では通常8~11ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
8.2.3 本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。[8.3参照]
8.2.4 他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る。[10.2参照]
8.2.5 妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。[2.2、9.4.1、9.5、15.1.3、15.2.1参照]
8.2.6 男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。[9.4.2参照]
8.2.7 日常生活を制限されていた患者は、本剤投与後、過度の筋収縮を伴う労作を避け、活動を徐々に再開する。
8.2.8 本剤投与後、3~4ヵ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。
8.2.9 痙性斜頸及び痙攣性発声障害に対する本剤の、特に初回及び2回目の投与後1、2週間は、嚥下障害、声質の変化、息苦しい等の発現に留意するとともに、発現が認められた場合には、直ちに専門医の診療を受ける。[1.5、11.1.3参照]
8.2.10 痙性斜頸に対する本剤投与後、姿勢の変化により今まで緊張していなかった筋が緊張することがある。[7.10参照]
8.2.11 上肢痙縮及び下肢痙縮患者においては、本剤投与に伴う活動性の上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
8.2.12 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤投与により、残尿量が増加し導尿が必要になる場合がある。また、本剤投与により尿閉及び尿路感染が発現することがある。本剤投与後に排尿困難、混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。[11.1.5、11.1.6参照]
8.2.13 脊髄損傷等を有する神経因性膀胱患者においては、本剤投与により筋力低下等が発現した場合、日常生活動作の制限が増大する可能性がある。
8.3 本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性がある。効果の減弱がみられる場合には、抗体検査を実施する。抗体産生がみられない場合は、追加投与することができる。抗体が産生された場合には、投与を中止すること。[8.2.3参照]
8.4 ボツリヌス毒素の投与により、投与部位以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。[1.6、9.1.4、13.1.2、15.2.2参照]
8.5 本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.6 本剤はできるだけ少量(6.用法及び用量の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始することが望ましい。なお、疾患の重症度に応じて高用量を投与しても、効果は期待できない場合がある。
<眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、斜視>
8.7 本剤を眼輪筋又は外眼筋へ投与する場合は、以下の点に注意すること。
・投与時ごとに視力検査を実施することが望ましい。[15.1.2参照]
・眼科的観察を併せて実施し、特に眼球を傷害しないように眼球の保護に十分注意すること。また、経過観察を十分に行い、眼科的異常があらわれた場合には、直ちに精密検査を受けさせること。
8.8 本剤の眼瞼深部への投与により、本剤が眼筋に作用することによって複視があらわれることがあるので、投与部位に十分注意し、慎重に投与すること。
8.9 本剤は、低用量でも閉瞼不全等の副作用発現がみられることがあるので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。
<斜視>
8.10 外眼筋への投与により、眼窩に針を刺入することによって球後出血が生じ、網膜循環に障害を来すおそれがあるので、適切な検査や眼窩減圧の処置を行うことが望ましい。また、眼球を針で穿通した場合には、検眼鏡による診断を行うこと。
<痙攣性発声障害>
8.11 抗血小板薬及び抗凝固薬を投与中の患者においては、喉頭への注射によって出血や血腫が生じ、誤嚥や呼吸困難につながるおそれがあることから、本剤投与前に抗血小板薬及び抗凝固薬の休薬等を行うこと。
<過活動膀胱、神経因性膀胱>
8.12 本剤を投与する場合は、尿路感染の発現に注意し、適切な感染対策を講じること。[11.1.6参照]
8.13 抗血小板薬及び抗凝固薬を投与中の患者においては、排尿筋への注射による出血のリスクが増大することから、本剤投与前に抗血小板薬及び抗凝固薬の休薬等を行うこと。
8.14 本剤の投与手技により血尿、排尿困難、膀胱痛等が発現するおそれがある。本剤投与後は患者の状態を十分に観察し、症状があらわれた場合には適切に処置すること。
8.15 導尿を実施していない患者においては、投与後2週間以内に残尿量を測定し、その後は必要に応じて投与後12週までを目安に残尿量測定を定期的に行うこと。[11.1.5参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 調製方法
(1)本剤1バイアルは日局生理食塩液を用いて溶解する。
溶解液の量(日局生理食塩液)溶解後のボツリヌス毒素濃度
50単位1.0mL5.0単位/0.1mL
2.0mL2.5単位/0.1mL
4.0mL1.25単位/0.1mL
5.0mL1.0単位/0.1mL
100単位1.0mL10.0単位/0.1mL
2.0mL5.0単位/0.1mL
4.0mL2.5単位/0.1mL
8.0mL1.25単位/0.1mL
10.0mL1.0単位/0.1mL
神経因性膀胱への投与に際し、本剤200単位を30mLの薬液として調製する場合は、[1]100単位バイアル2本をそれぞれ6mLの日局生理食塩液で溶解し、[2]合計12mLの薬液を3本の10mLシリンジに4mLずつ吸引した後、[3]各シリンジに追加で6mLの日局生理食塩液を吸引する。3本のシリンジはそれぞれ薬液10mL(約67単位)を含有する。[7.33参照]
(2)バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しないこと。そのバイアルに0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄すること。
(3)変性するので、泡立ちや激しい撹拌を避けること。
(4)保存剤を含んでいないので、調製後は速やかに使用する。なお、調製後は冷凍しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与部位
<眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱>
(1)用法及び用量に示すとおり、適用部位の筋肉内にのみ注射すること。特に、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合は、より正確に目標とする部位を同定するため、必ず筋電計を用いて筋活動電位を確認すること。
<重度の原発性腋窩多汗症>
(2)用法及び用量に示すとおり、皮内にのみ注射すること。
14.2.2 投与時期
<痙攣性発声障害>
全身麻酔の必要な手術を予定している患者においては、本剤の作用による声帯の弛緩が周術期の誤嚥等のリスクを増加させる可能性があるため、手術が終了してから本剤を投与することが望ましい。
14.3 廃棄時の注意
処置後、残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。また、薬液の触れた器具等は同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。
14.4 汚染時の注意
14.4.1 本剤が飛散した場合はすべて拭き取る。
(1)溶解前の場合は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭き、乾かす。
(2)溶解後の場合は、吸収性素材で拭き取った後に、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で拭き、乾かす。
14.4.2 本剤が皮膚に付着した場合は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗い、水で洗い流す。
14.4.3 本剤が眼に入った場合は、水で洗い流す。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 複数の適応に本剤を同時投与した場合の安全性は確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましい。やむを得ず同時に投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として400単位を上限とすること。ただし、上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与では合計600単位を上限とし、患者の状態に応じて徐々に増量する等、慎重に投与すること。海外臨床試験において、成人を対象に上肢痙縮及び下肢痙縮に合計600単位を同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、複数の適応に本剤を同時投与した経験はない。
7.2 本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。
7.3 本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、安全性及び有効性は確立しておらず、同時に投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]
7.4 他のボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法及び用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること。他のボツリヌス毒素製剤の投与後に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立されていない。先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]
<眼瞼痙攣>
7.5 眼瞼下垂があらわれることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避けること。
<片側顔面痙攣>
7.6 痙攣筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.7 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、痙攣している筋肉内に注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
投与筋1部位当たりの投与量(単位/部位)投与部位数(部位)
初回投与眼輪筋1.254
その他の筋痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与
初回投与後の追加投与及び再投与眼輪筋2.5注1)4
皺眉筋2.51
前頭筋2.51
口輪筋2.52
大頬骨筋5.01
小頬骨筋5.01
笑筋5.01
オトガイ筋5.01
広頸筋注2)2.5上限4
注1)臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位当たり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与すること。注2)広頸筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意すること。
<痙性斜頸>
7.8 緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.9 投与による効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で追加投与を行うこと。
7.10 本剤注射により投与筋の筋緊張が低下したのち、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢を来すことがあるため、初回投与以降では緊張が亢進している筋を注意深く同定し、投与すること。[8.2.10参照]
7.11 初回及び初回後の追加投与を含む240単位までの投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮すること。
7.12 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
投与筋初回投与量注3)、投与部位数最高投与量注4)
胸鎖乳突筋注1)15-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
僧帽筋30-60単位を2ヵ所以上に分割100単位
板状筋25-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
斜角筋15-25単位50単位
僧帽筋前縁15-30単位100単位
肩甲挙筋注2)20-30単位80単位
傍脊柱筋20単位50単位
広頸筋20-30単位80単位
注1)胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。注2)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。注3)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。注4)各投与部位への投与量は30単位を上限とすること。
<上肢痙縮>
7.13 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.14 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
上腕二頭筋702
上腕筋451
腕橈骨筋451
橈側手根屈筋501
尺側手根屈筋501
深指屈筋501
浅指屈筋501
長母指屈筋201
母指内転筋201
<下肢痙縮>
7.15 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.16 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
腓腹筋(内側頭)753
腓腹筋(外側頭)753
ヒラメ筋753
後脛骨筋753
<2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>
7.17 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.18 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。
(他の筋肉図については、<下肢痙縮>を参照)
<重度の原発性腋窩多汗症>
7.19 投与前にMinor'sヨウ素デンプン反応等の染色法を使用して目標とする発汗部位を同定すること。
7.20 注射針は針先端の斜め部分を上にして、皮膚表面に対し45°の角度で約2mmの深さへの皮内注射が推奨されている。また、効果のない部分を最小限にとどめるため、注射位置を下図のように等間隔でジグザグ状に配置することが推奨されている。
<斜視>
7.21 外眼筋に投与する際には、筋電計等の使用や外眼筋の外科的露出により、注意深く目標とする部位を同定すること。
7.22 本剤投与前に点眼麻酔薬の投与が推奨されている。
7.23 薬液量は1つの筋あたり0.05~0.15mLが推奨されている。
7.24 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、初回投与では以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
投与筋初回投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
内直筋1.25~2.5注1)又は2.5~5.0注2)1
外直筋1.25~2.5注1)又は2.5~5.0注2)1
上直筋1.25~2.5注3)1
下直筋1.25~2.5注3)1
注1)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視注2)20~50プリズムジオプトリーの水平斜視注3)上下斜視
<痙攣性発声障害>
7.25 内喉頭筋に投与する際には、筋電計を用いて注意深く目標とする筋を同定すること。
7.26 薬液量は片側あたり0.1mLが推奨されている。
7.27 内転型痙攣性発声障害の治療では、患者を背臥位とし、輪状軟骨上縁の正中より約5mm外側(投与側)に注射針を経皮的に刺入した後、輪状甲状間膜を貫通させて甲状披裂筋へと到達させる。両側投与を行った場合には嚥下障害等の有害事象がより長期間持続することがあるので、再投与時の両側投与の要否は、片側投与による治療効果と有害事象の発現状況を確認した後に慎重に検討すること。
7.28 外転型痙攣性発声障害では、投与前の内視鏡検査により、左右の声帯の可動性及び声門間隙の大きさを確認し、通常、病的運動が強い側の後輪状披裂筋に投与する。注射の際には患者を背臥位とし、投与側の反対側へ頭部を回旋させた上で、輪状軟骨の後面に向けて外側方向から経皮的に注射針を刺入する。投与側の声帯が動かなくなった場合に声門の閉鎖又は狭窄による呼吸困難等が生じないよう、反対側の声帯が十分動く場合にのみ投与することとし、両側への投与は行わないこと。
7.29 混合型痙攣性発声障害における有効性及び安全性は確立していない。甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与後に重篤な呼吸困難が報告されていることから、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与は避けること。
<過活動膀胱、神経因性膀胱>
7.30 排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.31 本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行うこと。局所麻酔薬を注入した場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄すること。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行うこと。[1.7、9.1.5参照]
7.32 膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する。その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通するおそれがあるため、生理食塩液の過量注入に注意すること。投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認すること。
7.33 本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されている。各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避けること。[14.1.1参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>
5.1 本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。
5.2 本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
5.3 痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
<重度の原発性腋窩多汗症、痙攣性発声障害>
5.4 診断及び本剤による治療は、国内外のガイドライン等の情報を参考にして慎重に行うこと。
<斜視>
5.5 陳旧性の麻痺性斜視の改善に対しては効果を有しない(外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く)。
5.6 50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋の弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討すること。
<過活動膀胱>
5.7 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者
・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が副作用の発現により困難な患者
・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者
5.8 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮すること。
<神経因性膀胱>
5.9 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
・抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者
・抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者
・抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者
5.10 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先すること。また、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したときの血漿中濃度は、2時間後に最高値となり、投与量の3%が認められ、24時間後には1%であった。
16.3 分布
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したとき、投与部位の筋肉内には、投与直後に投与量の84%を認めたが、24時間後には5%に減少し、消失半減期は約10時間と推定された。
16.5 排泄
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したとき、投与後24時間以内に投与量の60%が尿中排泄された。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
筋弛緩剤
ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物
ダントロレンナトリウム水和物等
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
筋弛緩作用を有する薬剤
スペクチノマイシン塩酸塩水和物
アミノグリコシド系抗生物質
ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等
ポリペプチド系抗生物質
ポリミキシンB硫酸塩等
テトラサイクリン系抗生物質
リンコマイシン系抗生物質
抗痙縮剤
バクロフェン等
抗コリン剤
ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等
ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬
ジアゼパム、エチゾラム等
ベンザミド系薬剤
チアプリド塩酸塩、スルピリド等
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
他のボツリヌス毒素製剤
[7.3、7.4、8.2.4参照]
過剰な筋弛緩があらわれることがあり、呼吸困難、嚥下障害等を発現するリスクが高まるおそれがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー、血清病(0.01%)
本剤投与後、悪心等の体調の変化がないか、患者の状態を十分観察し、異常がないことを確認すること。呼吸困難、全身潮紅、血管性浮腫、発疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
11.1.2 眼障害(0.34%)
重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔の報告があるので、兎眼、閉瞼不全等があらわれた場合には、眼球の乾燥を避けるため人工涙液等の点眼剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
11.1.3 嚥下障害(0.75%)、呼吸障害(0.03%)
嚥下障害から嚥下性肺炎を来し、重篤な呼吸困難に至ったとする報告がある。また、本剤の投与により呼吸機能低下があらわれることがある。初回及び2回目の投与後1、2週間は嚥下障害、声質の変化、呼吸困難等の発現に特に留意すること。[1.5、8.2.9参照]
11.1.4 痙攣発作(0.01%未満)
痙攣発作あるいはその再発が報告されている。痙攣発作の素因のある患者に投与する場合には特に注意すること。なお、小児では大部分が脳性麻痺患者からの報告であった。
11.1.5 尿閉(0.05%)
排尿困難等の症状があらわれた場合には、必要に応じて導尿を実施すること。[8.2.12、8.15参照]
11.1.6 尿路感染(0.06%)
混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。[8.2.12、8.12参照]
発現頻度には使用成績調査の結果を含む。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.5~2%未満0.5%未満頻度不明
過剰な筋弛緩作用兎眼、閉瞼不全、局所性筋力低下(頸部筋脱力、口角下垂等)、眼瞼下垂、顔面麻痺眼瞼内反、筋力低下眼瞼外反
流涙眼の乾燥感、複視、角膜糜爛、霧視(感)、角膜炎、結膜炎、眼痛、視力低下、眼脂、羞明、斜視、眼運動障害、眼の刺激眼球後出血、眼の貫通性外傷、ホームズ・アディー瞳孔、硝子体出血
皮膚発疹、そう痒感、脱毛(睫毛眉毛脱落を含む)、皮膚炎、多形紅斑乾癬様皮疹、斑状出血、皮膚の異臭、皮下結節
注射部位注射部出血斑注1)、注射部腫脹、注射部疼痛、近隣筋の疼痛及び緊張亢進、注射部ひきつり感、注射部熱感、注射部不快感、注射部感染、注射部位過敏反応気胸注2)
血液白血球減少、血小板減少
呼吸器肺炎、感冒様症状、呼吸不全、発声障害、咳嗽、誤嚥上気道性喘鳴
消化器嚥下障害食欲不振、嘔気、嘔吐、口内乾燥、下痢、便秘、腹痛レッチング
精神神経系頭痛、感覚鈍麻、めまい、失神、感覚異常、傾眠、神経根障害、不眠症不器用、運動低下
筋骨格筋緊張亢進、筋痛、四肢痛、筋痙縮、関節痛弾発指、滑液包炎
泌尿器排尿困難、残尿量増加、頻尿細菌尿、膀胱憩室、尿失禁
その他肝機能検査値異常、倦怠(感)、脱力(感)、CK上昇、発熱、発汗注3)、耳鳴、構語障害、ほてり、転倒、挫傷、歩行障害、ウイルス感染、疼痛、関節脱臼聴力低下、耳感染、起立性低血圧、脱神経性萎縮/筋肉萎縮、疲労

発現頻度には使用成績調査の結果を含む。
注1)眼瞼痙攣患者において、眼瞼の軟部組織に斑状出血が起こる可能性があるため、注射直後に注射部位を軽く押さえることで斑状出血を軽減できる。
注2)投与手技に関連した気胸が報告されているので、肺(特に肺尖部)に近い部位に投与する場合には注意すること。
注3)原発性腋窩多汗症患者において、腋窩部以外からの発汗が増加することがある。

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