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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 肝細胞癌におけるリピオドリゼーション

用法・用量

  • ミリプラチン70mgを本剤懸濁用液3.5mLに懸濁し、1日1回肝動脈内に挿入されたカテーテルより投与する。本剤の投与は、腫瘍血管に懸濁液が充満した時点で終了すること。ただし、上限を1回6mL(ミリプラチンとして120mg)とする。また、繰り返し投与する場合には、4週間以上の観察期間をおくこと。

禁忌 

【警告】

  • 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び肝細胞癌に対する局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波熱凝固療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法・肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例にのみ使用すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから実施すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤、他の白金を含む薬剤又はヨード系薬剤に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者[9.1.1参照]
  • 2.2 重篤な甲状腺疾患のある患者[9.1.2参照]
  • 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本剤、他の白金を含む薬剤又はヨード系薬剤に対する過敏症の既往歴のある患者[2.1参照]
9.1.2 甲状腺疾患のある患者
本剤懸濁用液はヨード化合物であり、ヨード摂取量の増加により甲状腺障害を増悪させるおそれがある。[2.2参照]
9.1.3 血管造影で明らかな肝内シャントがある患者
本剤が肝内シャントを介して正常組織に流入し、血管塞栓による重篤な副作用を起こすおそれがある。
9.1.4 血管造影で明らかな門脈腫瘍栓がある患者
門脈血が遮断されているため、本剤の投与により投与部位の血流が低下し、肝不全を起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者又は肝障害度Cの患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝不全を起こすことがある。[8.2、11.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤投与10~14ヵ月後でも、Cmaxの約17%の血漿中ミリプラチン由来白金濃度が検出された。[16.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。[2.3、15.2参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象にした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与量及び投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 発熱がほとんど全例にあらわれ、本剤投与直後及び投与後1週間以降に認められることがあるため、患者の状態を十分に観察し、解熱剤の投与等適切な処置を行うこと。[11.1.3参照]
8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[9.3.1、11.1.1参照]
8.3 本剤投与時にショック、血圧低下、徐脈等があらわれることがあるので、投与中及び投与直後は経過観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
8.4 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状を十分に観察すること。[11.1.6参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤の使用にあたっては、本剤懸濁用液を使用すること。
14.1.2 懸濁液の調製にあたっては、ミリプラチン70mgに本剤懸濁用液を3.5mL加えた後、直ちに(1分間以内に)均一な懸濁液が得られるまで液を激しく振り混ぜ、液中に明らかな塊がないことを確認した上で使用すること。
14.1.3 調製後の懸濁液は粘稠なため、バイアルを反転させバイアル壁にそって懸濁液を流下させた後、ゆっくりと注射筒へ吸引すること。
14.1.4 懸濁液は用時調製し、調製後は速やかに(1時間以内に)使用すること。
14.1.5 調製時に、注射針に塗布されているシリコーン油により不溶物を生じることがある。調製後に懸濁液中に不溶物がないか目視で確認すること。不溶物が認められた場合は使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 調製後の懸濁液は油性成分を含有しているため、ポリカーボネート製の三方活栓や延長チューブ等を使用すると、そのコネクター部分が破損し、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性があるので使用を避けること。
14.2.2 ポリ塩化ビニル製のカテーテル、延長チューブ等を使用した場合、可塑剤であるDEHP(di-2-ethylhexyl phthalate:フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)が懸濁液中に溶出するおそれがあるので、DEHPを含まないカテーテル、延長チューブ等を使用すること。
14.2.3 標的とする部位以外への流入により、重篤な胃穿孔、消化管出血、胃・十二指腸潰瘍、脳梗塞、肺梗塞、肺塞栓、成人呼吸窮迫症候群、脊髄梗塞等が起こるおそれがあるので、投与に際しては以下の点に注意すること。
(1)本剤は肝動脈(固有肝動脈、右肝動脈、左肝動脈、中肝動脈等)内投与にのみ使用すること。また、固有肝動脈より可能な限り末梢から投与すること。ただし、腫瘍の栄養血管が下横隔動脈、左胃動脈等肝動脈以外である場合は、それらの栄養血管の血管走行を十分検査し、投与すること。本剤の大動脈への逆流及び胃十二指腸動脈内への流入を回避するように十分注意して、カテーテルを挿入すること。
(2)門脈本幹との著明なAPシャントのある患者に投与する場合には、シャントより肝側までカテーテルを挿入すること。
(3)X線透視下に懸濁液が粒状になる速度で少量ずつ投与すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 多孔性ゼラチン粒等の塞栓材を併用した場合の有効性及び安全性は確立していない。
7.2 他の抗悪性腫瘍剤と併用した場合の有効性及び安全性は確立していない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
肝細胞癌患者の肝動脈内にミリプラチン懸濁液20mg/mL(最大投与液量6mL)を1回又は2回投与したとき、血漿中ミリプラチン由来白金濃度は、1回目投与後(15例)は18~37日に6.3~22ng/mLの、2回目投与後(11例)は7~34日に8.9~54ng/mLのCmaxに達した後、緩やかに減少し、投与12~15週後、投与6~8ヵ月後、投与10~14ヵ月後に、それぞれCmaxの47.3±12.5%(13例、平均値±標準偏差)、31.0±6.4%(8例)、17.1±3.7%(5例)が検出された。[9.4参照]
16.3 分布
肝細胞癌患者2例の肝動脈内にミリプラチン懸濁液20mg/mLを2回(1例は総投与量60mg、他の1例は200mg)投与したとき、肝臓中にミリプラチン由来白金が高濃度で検出され、非腫瘍部位よりも腫瘍部位がより高濃度であった。
症例総投与量
(1回目、2回目)
2回目投与後日数試料総白金濃度(ng/g tissue)
腫瘍部位非腫瘍部位
160mg
(40mg、20mg)
3ヵ月250,00029,000
2200mg
(100mg、100mg)
172日試料162,00022,000
試料2260,00067,000
16.4 代謝
ヒト凍結肝細胞で、肝細胞癌患者における血漿中ミリプラチン由来白金濃度の最大値(54ng/mL)の14倍の曝露レベルにおいても、ミリプラチン懸濁液はCYP3A4活性に影響を及ぼさなかった(in vitro)。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害(5~10%)、黄疸(頻度不明)、肝不全(頻度不明)
本剤投与直後よりAST、ALT、ビリルビン、ALP、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。また、肝不全に至ることがある。[8.2、9.3.1参照]
11.1.2 肝・胆道障害(頻度不明)
胆嚢炎、胆汁性嚢胞、肝膿瘍等の肝・胆道障害があらわれることがある。
11.1.3 感染症(1%未満)
重症化して敗血症(1%未満)があらわれることがある。発熱の遷延が認められ、感染症の兆候がある場合は、感染症に対する処置も行うこと。[8.1参照]
11.1.4 骨髄抑制(1%未満)
好中球減少(1%未満)等の骨髄抑制があらわれることがある。
11.1.5 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、血圧低下等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.3参照]
11.1.6 間質性肺炎(頻度不明)
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.7 急性腎障害(頻度不明)
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、BUN、血清クレアチニン値等の異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上10%未満頻度不明
感染症鼻咽頭炎、腎盂腎炎、唾液腺炎
肝臓AST上昇(58.4%)、ALT上昇(53.1%)、LDH増加(49.6%)、血中ビリルビン増加(48.7%)、γ-GTP上昇(39.8%)、血中アルブミン減少(37.2%)、ALP上昇(26.5%)、ウロビリン尿(18.6%)腹水LAP上昇、HPT値減少
筋骨格系背部痛(10.6%)関節痛、肩部痛、顎関節症、頚部痛、四肢痛
血液好酸球増多(80.5%)注1)、リンパ球減少(42.5%)、血小板減少(37.2%)、好中球減少(37.2%)、白血球減少(29.2%)、単球増多(28.3%)、プロトロンビン時間延長(26.5%)、好塩基球増多(18.6%)、赤血球減少(17.7%)、白血球増多(16.8%)、ヘモグロビン減少(11.5%)白血球分画異常、好中球増多、単球減少、リンパ球増多、好酸球減少、好塩基球減少、血小板増多ヘマトクリット減少
呼吸器咳嗽、呼吸困難、咽頭不快感、湿性咳嗽
循環器血圧上昇、血圧低下、心電図異常、ほてり、徐脈、潮紅、動悸
消化器悪心・嘔吐(52.2%)、食欲不振(32.7%)、血中アミラーゼ増加(16.8%)、下痢(13.3%)腹痛、便秘、胃部不快感、腹部不快感、口内炎、腹部膨満感、口渇、胃炎、胃潰瘍、血中アミラーゼ減少、心窩部不快感リパーゼ増加
精神神経系頭痛、不眠、めまい、感覚鈍麻、肝性脳症、頭部不快感
全身症状発熱(94.7%)注2)、倦怠感(29.2%)、悪寒(27.4%)浮腫、脱力感
投与部位疼痛(39.8%)静脈周囲炎
泌尿器NAG上昇(76.1%)、カリウム、カルシウム、ナトリウム、クロール等の電解質異常(37.2%)、尿中クレアチニン上昇(31.9%)、尿中クレアチニン減少(28.3%)、総蛋白減少(26.5%)、総蛋白増加(17.7%)、尿中蛋白陽性(15.0%)BUN上昇、血中クレアチニン上昇、尿潜血、排尿困難、乏尿
皮膚発疹・湿疹、紅斑、そう痒
その他CRP上昇(91.2%)、血糖上昇(23.9%)尿糖陽性、インスリン分泌能低下、HbA1c増加、血糖低下、高アンモニア血症、眼瞼出血、胸痛、耳鳴、糖尿病

注1)承認までの臨床試験において、好酸球増多が多くの患者で認められ、投与後3週間程度で最高値に達し、特に処置なく投与後5週間程度で回復した。2回目の投与時は、好酸球数が増加する患者の割合は減少し、増加の程度も低下した。
注2)承認までの臨床試験において、ほとんど全例に本剤の投与直後及び投与後1週間以降に発熱が認められた。

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