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テモダール点滴静注用100mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○悪性神経膠腫
  • ○再発又は難治性のユーイング肉腫

用法・用量

  • <効能共通>

    • 下記のとおり本剤を90分間かけて静脈内投与する。
  • <悪性神経膠腫>

    • 初発の悪性神経膠腫の場合

      • 放射線照射との併用にて、通常、成人ではテモゾロミドとして75mg/m2(体表面積)を1日1回42日間投与し、4週間休薬する。その後、本剤単独にて、テモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールでは1回200mg/m2に増量することができる。
    • 再発の悪性神経膠腫の場合

      • 通常、成人ではテモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールで1回200mg/m2に増量することができる。
  • <再発又は難治性のユーイング肉腫>

    • イリノテカンとの併用において、通常、テモゾロミドとして1回100mg/m2を1日1回連日5日間投与し、16日間以上休薬する。これを1クールとし、投与を反復する。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤による治療は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  • 1.2 本剤と放射線照射を併用する場合に、重篤な副作用や放射線照射による合併症が発現する可能性があるため、放射線照射とがん化学療法の併用治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
  • 1.3 本剤の投与後にニューモシスチス肺炎が発生することがあるため、適切な措置の実施を考慮すること。[8.4、11.1.2、17.1.3参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤又はダカルバジンに対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者
骨髄機能抑制が増強するおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄機能抑制により、感染症が悪化するおそれがある。[11.1.1、11.1.2参照]
9.1.3 肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者
B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者において、本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること。[8.5、11.1.2参照]
9.1.4 水痘患者
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5、15.2.3参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2.3参照]
9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット、ウサギにおいて、胚・胎児死亡及び奇形(50mg/m2/日)が報告されている。[2.2、9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
<悪性神経膠腫>
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[16.6.3参照]
<再発又は難治性のユーイング肉腫>
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
海外の臨床試験(カプセル剤投与時)において、高齢者(70歳超)では、70歳以下の患者と比較すると、好中球減少及び血小板減少の発現が増加することが認められている。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の投与にあたっては、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1、11.1.6参照]
8.2 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分に注意すること。
8.3 カプセル剤による治療後に、骨髄異形成症候群(MDS)や骨髄性白血病を含む二次性悪性腫瘍が報告されている。
8.4 本剤の投与では放射線照射との併用期間中は、リンパ球数にかかわらず、ニューモシスチス肺炎に十分注意し、あらかじめ適切な措置を講ずること。[1.3、11.1.2、17.1.3参照]
8.5 本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。[9.1.3、11.1.2参照]
8.6 本剤の投与では、悪心、嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度に認められるため、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。[17.1.1、17.1.3参照]
8.7 再発又は難治性のユーイング肉腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を調製する際、手袋を使用すること。本剤が皮膚又は粘膜に接触した場合、直ちに水及び石鹸で十分に洗うこと。
14.1.2 本剤は室温(約25℃)で、本剤1バイアルに注射用水41mLを加え、穏やかに円を描くように回して溶解する(テモゾロミド2.5mg/mL)。その際、振り混ぜないこと。必要に応じて生理食塩液にて希釈して用いることができる。
14.1.3 溶解後、溶液中に異物を認める場合は使用しないこと。
14.1.4 調製後は14時間以内に投与を終了すること。また、残液は使用しないこと。
14.1.5 体表面積より計算した必要量を無菌的に輸液バッグに移すこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は輸液ポンプを用い、90分間かけて点滴静注すること。投与に際し、他の注射剤との配合又は混注は行わないこと。
14.2.2 本剤と他の注射剤の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと(他の注射剤との適合性試験は実施していない)。なお、本剤と生理食塩液は同じ点滴ラインで投与できるが、ブドウ糖注射液とは投与しないこと。
14.2.3 末梢静脈から投与する際に、局所の組織障害を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<悪性神経膠腫>
7.1 初発の悪性神経膠腫の場合
7.1.1 放射線照射との併用時
(1)本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。
・好中球数が1,500/mm3以上
・血小板数が100,000/mm3以上
(2)少なくとも週1回の頻度で血液検査を実施し、本剤継続の可否を判断すること。以下の副作用発現時は投与量の増減を行わず、下記の基準に基づき休薬又は中止すること。
項目継続基準休薬基準中止基準
好中球数1,500/mm3以上500/mm3以上、
1,500/mm3未満
500/mm3未満
血小板数100,000/mm3以上10,000/mm3以上、
100,000/mm3未満
10,000/mm3未満
非血液学的な副作用注)
(NCI-CTC Grade)
Grade 1以下中等度の副作用
(Grade 2)
重度又は生命を脅かす副作用
(Grade 3又は4)
注)脱毛、悪心、嘔吐は含まない。
(3)放射線照射の中断により放射線治療期間が延長した場合、(2)の継続基準の条件を満たしたときに限り、42日間連日点滴静注を最長49日まで延長することができる。
7.1.2 放射線照射後の単剤投与時
(1)本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。
・好中球数が1,500/mm3以上
・血小板数が100,000/mm3以上
(2)第1クールの期間中、次の条件をすべて満たした場合に限り、第2クールで投与量を200mg/m2/日に増量すること。なお、第2クール開始時に増量できなかった場合、それ以後のクールでは増量しないこと。
・好中球数の最低値が1,500/mm3以上
・血小板数の最低値が100,000/mm3以上
・脱毛、悪心、嘔吐を除く非血液学的な副作用の程度がGrade 2(中等度)以下
(3)各クールの期間中、血液検査を適切な時期に実施し、好中球数及び血小板数の最低値に基づいて次クールでの用量調整の必要性について判断すること。なお、好中球数及び血小板数が最低値に達するのは本剤投与後22日以降と比較的遅いことが知られている。また、各クールの開始にあたっては、適切な時期に血液検査を実施し、好中球数が1,500/mm3以上、血小板数が100,000/mm3以上になるまで投与を開始しないこと。
(4)各クール開始にあたっては、直前のクールにおいて次の場合には本剤を50mg/m2減量とすること。
・好中球数の最低値が1,000/mm3未満
・血小板数の最低値が50,000/mm3未満
・脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 3の非血液学的な副作用が出現した場合
(5)次の場合は本剤の投与を中止すること。
・脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 4の非血液学的な副作用が出現した場合
・100mg/m2/日未満に減量が必要となった場合
・脱毛、悪心、嘔吐を除く、減量後に直前のクールと同じGrade 3の非血液学的な副作用が再度出現した場合
7.2 再発の悪性神経膠腫の場合
7.2.1 本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。
・好中球数が1,500/mm3以上
・血小板数が100,000/mm3以上
7.2.2 第1クール以後、次の条件をすべて満たした場合に限り、次クールの投与量を200mg/m2/日に増量することができる。
・好中球数の最低値が1,500/mm3以上
・血小板数の最低値が100,000/mm3以上
7.2.3 各クールの期間中、血液検査を適切な時期に実施し、好中球数及び血小板数の最低値に基づいて次クールでの用量調整の必要性について判断すること。なお、好中球数及び血小板数が最低値に達するのは本剤投与後22日以降と比較的遅いことが知られている。また、各クールの開始にあたっては、適切な時期に血液検査を実施し、好中球数が1,500/mm3以上、血小板数が100,000/mm3以上になるまで投与を開始しないこと。
7.2.4 各クール開始にあたっては、直前のクールにおいて次の場合には本剤を50mg/m2減量とすること。
・好中球数の最低値が1,000/mm3未満
・血小板数の最低値が50,000/mm3未満
・脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 3の非血液学的な副作用が出現した場合
7.2.5 100mg/m2/日未満に減量が必要となった場合は本剤の投与を中止すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 注射剤とカプセル剤の生物学的同等性
中枢神経系悪性腫瘍患者(19例)にテモゾロミド注射剤及びカプセル剤150mg/m2をそれぞれクロスオーバー法により静脈内投与(1.5時間持続注入)及び経口投与(空腹時)したとき、血漿中未変化体及び活性代謝物MTIC(5-[(1Z)-3-Methyltriaz-1-en-1-yl]-1H-imidazole-4-carboxamide)濃度推移及び薬物動態パラメータは以下に示すとおりであった。「注射剤の1.5時間静脈内持続注入」は「カプセル剤の経口投与」と生物学的に同等であることが確認された(外国人データ)。
図1 テモゾロミドの血漿中濃度推移
図2 MTICの血漿中濃度推移
表1 中枢神経系悪性腫瘍患者におけるテモゾロミド及びMTICの薬物動態パラメータ
テモゾロミド
製剤(投与経路)Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2(hr)AUC0-t(μg・hr/mL)
注射剤(静脈内)1.50(0.92-2.00)7.44(21)1.81(12)23.4(18)
カプセル剤(経口)1.00(0.25-2.00)7.68(19)1.91(13)22.0(14)
点推定値(%)a)(90%信頼区間)97(91-102)106(103-109)
MTIC
製剤(投与経路)Tmax(hr)Cmax(ng/mL)t1/2(hr)AUC0-t(ng・hr/mL)
注射剤(静脈内)1.50(1.25-1.75)320(61)1.80(16)941(53)
カプセル剤(経口)1.00(0.25-2.00)333(62)1.77(11)944(60)
点推定値(%)a)(90%信頼区間)98(91-105)103(98-108)
平均値(%CV、n=19)[ただしTmaxは中央値(範囲)]
a:注射剤(静脈内投与)/カプセル剤(経口投与)
16.1.2 カプセル剤の単回及び反復投与
悪性神経膠腫の再発患者(6例)にカプセル剤の150又は200mg/m2を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したときの投与1日目及び5日目における未変化体及びMTICの薬物動態パラメータは以下に示すとおりであり、未変化体及びMTICともに反復投与による蓄積性は認められなかった。
表2 悪性神経膠腫の再発患者におけるカプセル剤の薬物動態パラメータ
分析対象投与量(mg/m2投与(日)Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2λz(hr)AUC0-t(μg・hr/mL)R
テモゾロミド150(6例)11.42(52)7.87(38)2.14(25)25.7(15)
50.96(53)8.38(36)2.29(35)25.2(10)0.986(8)
200(3例)10.58(25)15.3(5)2.03(4)35.1(6)
50.92(57)14.0(30)2.02(5)36.0(4)1.03(3)
MTIC150(6例)11.42(52)0.145(38)1.98(24)0.426(15)
51.08(43)0.154(28)1.83(12)0.425(12)1.00(16)
200(3例)10.75(33)0.272(15)1.93(6)0.594(7)
50.92(57)0.284(33)1.87(3)0.636(7)1.07(1)
:AUC0-24hrに基づく累積係数平均値(%CV)
また、進行性癌患者(26例)に100、150、200、250、500、750又は1,000mg/m2注)を単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度のCmax及びAUCは用量に比例して上昇し、体内動態の線形性が認められた(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合
ヒトに14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、放射能の血漿蛋白結合率は12%~16%であった(in vivo、外国人データ)。
16.3.2 脳脊髄液中への移行
神経膠腫患者にカプセル剤の75mg/m2を放射線治療との併用により1日1回42~49日間反復経口投与したとき(23例)及び200mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき(32例)、脳脊髄液中への未変化体の移行が認められ、脳脊髄液/血漿のAUC比はそれぞれ20.6%及び20.3%であった(外国人データ)。また、脳転移を有する悪性黒色腫患者(1例)にカプセル剤の150mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき、脳脊髄液中未変化体濃度は血漿中濃度とほぼ平行して推移し、脳脊髄液/血漿のAUC比は約30%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
テモゾロミドの主要な生体内変換は、テトラジン環の4位のカルボニル基におけるpH依存的な加水分解と脱炭酸によるMTICへの変換と、続いて起こるAIC(5-Amino-1H-imidazole-4-carboxamide)への分解であり、このMTICからAICへの分解過程でDNAのアルキル化分子であるメチルジアゾニウムイオンが産生される。これら一連の反応は薬物代謝酵素に依存しない化学反応である。
16.5 排泄
進行性癌患者(6例)に14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、投与後7日間で尿及び糞中にそれぞれ投与した放射能の約37%及び約0.8%が回収された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計445例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスとクレアチニンクリアランスの間には関連性が認められなかった(外国人データ)。なお、重度の腎機能障害患者並びに血液透析が必要な患者における薬物動態の検討は実施されていない。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害患者(肝細胞癌患者13例)にカプセル剤の150mg/m2を単回経口投与したとき、血漿中未変化体及びMTIC濃度は肝機能正常患者と差を認めなかった(外国人データ)。なお、重度の肝機能障害患者での薬物動態については十分な検討が実施されていない。[9.3.1参照]
16.6.3 小児
小児の進行性癌患者(年齢:3~17歳、19例)にカプセル剤の100、120、160、200又は240mg/m2注)を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したとき、投与5日目の血漿中未変化体濃度のTmaxは1.3~1.9時間、t1/2λzは1.4~1.8時間であり、Cmax及びAUCはいずれも投与量に比例して上昇した。200mg/m2投与群のAUCについて同用量投与時の成人と比較すると、小児で成人の約1.4倍高値を示した(外国人データ)。[9.7.1参照]
16.6.4 クリアランスに及ぼす生体側の影響因子
各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計359例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスは、体のサイズ(体表面積、体重)及び性別(女性は男性より5%程度クリアランスが低下した)による影響を受けるが、年齢(19~78歳)、喫煙、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、Al-P、AST、ALT及びクレアチニンクリアランスによる影響を受けなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 その他
(1)クリアランスに及ぼす併用薬の影響
各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計359例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、バルプロ酸との併用ではクリアランスが約4.7%低下したが、デキサメタゾン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、H2受容体拮抗薬、オンダンセトロン又はプロクロルペラジンとの併用により影響を受けなかった(外国人データ)。
注)初発及び再発の悪性神経膠腫における成人の承認最大用量(一回量)は200mg/m2(静脈内投与)、再発又は難治性のユーイング肉腫における承認最大用量(一回量)は100mg/m2(静脈内投与)である。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注1)
11.1.1 骨髄機能抑制(頻度不明、頻度不明)
汎血球減少(2.6%、0.5%)、好中球減少(42.1%、3.5%)、血小板減少(26.3%、8.8%)、貧血(13.2%、2.5%)、リンパ球減少(42.1%、頻度不明)、白血球減少(34.2%、3.8%)等があらわれることがある。[8.1、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.2 ニューモシスチス肺炎(2.6%、頻度不明)、感染症(頻度不明、頻度不明)
ニューモシスチス肺炎(2.6%、頻度不明)、サイトメガロウイルス感染症(頻度不明、頻度不明)等の日和見感染や敗血症(2.6%、0.5%)等、重篤な感染症があらわれることがある。リンパ球減少が認められた場合には、リンパ球数が回復(Grade 1以下)するまでニューモシスチス肺炎に対する措置を継続すること。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎又は肝炎があらわれることがある。特に長期間の使用はステロイド剤との併用の有無にかかわらず感染症の発現リスクを高めることがある。なお、敗血症の合併症として、播種性血管内凝固症候群(DIC)、急性腎障害、呼吸不全等が報告されている。[8.4、8.5、9.1.2、9.1.3、17.1.3参照]
11.1.3 間質性肺炎(頻度不明、頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。
11.1.4 脳出血(2.6%、0.3%)
血小板減少を認めた症例で脳出血があらわれたとの報告がある。
11.1.5 アナフィラキシー(頻度不明、頻度不明注2)
11.1.6 肝機能障害(頻度不明、頻度不明)、黄疸(頻度不明、頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されている。[8.1参照]
11.1.7 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明、頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明、頻度不明)
注1)「重大な副作用」の発現頻度は、カプセル剤の国内臨床試験、海外臨床試験(初回再発退形成性星細胞腫及び初回再発膠芽腫)をもとに国内、海外の順に記載した。当該試験において各事象が発現していない場合は頻度不明とした。
注2)海外の臨床試験及び市販後に基づく頻度(カプセル剤承認時):0.01%未満

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2.1 国内で認められた副作用注3)

10%以上10%未満頻度不明
全身症状倦怠感発熱、悪寒
精神神経系頭痛めまい、意識障害、感情不安定、焦燥、傾眠
血液貧血(ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、赤血球減少)、白血球減少、リンパ球減少、好中球減少、血小板減少単球減少、白血球増多、好中球増多、好酸球増多、好塩基球増多、単球増多
肝臓AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇γ-GTP上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇
腎臓BUN上昇、クレアチニン上昇、尿潜血、蛋白尿、尿検査異常
循環器胸部不快感、動悸、心嚢液貯留
消化器悪心、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢腹痛、胃不快感、口内・口唇炎、胃腸炎、歯肉炎消化不良
皮膚点状出血、帯状疱疹、白癬、そう痒、蜂巣炎、発疹脱毛、多形紅斑
神経・筋しびれ、痙攣、振戦、片麻痺無力症
呼吸器上気道感染、胸水、しゃっくり
霧視、眼瞼炎
投与部位注射部反応(疼痛、刺激感、紅斑、腫脹、熱感、そう痒感)
その他疲労浮腫、熱感、CRP上昇、血糖値上昇、ヘモグロビンA1C上昇、血清総蛋白減少、アルブミン減少、血中ナトリウム減少、水頭症味覚異常、体重減少、疼痛、血腫、尿崩症

注3)副作用発現頻度はカプセル剤の臨床試験成績に基づく

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2.2 海外で認められた副作用

10%以上10%未満注4)
全身症状発熱、倦怠感
精神神経系頭痛不眠、めまい、錯乱、健忘、失神、傾眠、うつ病
血液血小板減少、白血球減少、好中球減少、貧血
腎臓頻尿
消化器悪心、嘔吐、便秘食欲不振、口内炎、下痢、消化不良、腹痛
皮膚脱毛、発疹、紅斑、そう痒、点状出血、紫斑、帯状疱疹
神経・筋痙攣、協調運動失調、感覚異常、麻痺、片麻痺、無力症
呼吸器呼吸困難、気管支炎、肺炎、鼻出血
その他疲労浮腫、味覚異常、感染症、疼痛、体重減少、口腔カンジダ症

注4)カプセル剤の海外臨床試験(初回再発退形成性星細胞腫及び初回再発膠芽腫)で4例(1%)以上の発現が認められた副作用(単剤投与)

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