製品名 クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL
クラビット点滴静注500mg/20mL
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- 一般名
- Levofloxacin Hydrate
- 薬効分類
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抗菌薬>抗菌薬(キノロン系)
- 価格
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500mg100mL1キット:4044円/キット
500mg20mL1瓶:4080円/瓶
- 製薬会社
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- 製造販売元:第一三共株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
<適応菌種>
- レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
<適応症>
- 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、腸チフス、パラチフス、子宮内感染、子宮付属器炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱
用法・用量
- 通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回、約60分間かけて点滴静注する。
- 禁忌
-
【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 小児等(「小児等への投与」及び「その他の注意」の項参照)
- ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対しては、炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。
- 副作用
-
- ショック(頻度不明注1))、アナフィラキシー(頻度不明注1))
- ショック、アナフィラキシー(初期症状:紅斑、悪寒、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明注1))、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注1))
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 痙攣(頻度不明注1))
- 痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- QT延長(頻度不明注1))、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明注1))
- QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 急性腎障害(頻度不明注1))、間質性腎炎(頻度不明注1))
- 急性腎障害、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 劇症肝炎(頻度不明注1))、肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明注1))
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 汎血球減少症(頻度不明注1))、無顆粒球症(頻度不明注1))、溶血性貧血(頻度不明注1))、血小板減少(頻度不明注1))
- 汎血球減少症、無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、ヘモグロビン尿等を伴う溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 間質性肺炎(0.2%)、好酸球性肺炎(頻度不明注1))
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明注1))
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 横紋筋融解症(頻度不明注1))
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 低血糖(頻度不明注1))
- 低血糖があらわれることがあり、低血糖性昏睡に至る例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病患者(特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
- アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明注1))
- アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。臓器移植の既往のある患者であらわれやすい。
- 錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状(頻度不明注1))
- 錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 過敏性血管炎(頻度不明注1))
- 過敏性血管炎があらわれることがあるので、発熱、腹痛、関節痛、紫斑、斑状丘疹や、皮膚生検で白血球破砕性血管炎等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 重症筋無力症の悪化(頻度不明注1))
- 重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 大動脈瘤、大動脈解離(頻度不明注2))
- 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)。
- 末梢神経障害(頻度不明注1))
- 末梢神経障害があらわれることがあるので、しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 注1)同一成分含有の製剤又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
- 注2)海外の疫学研究における報告のため頻度不明。
- 注意
-
慎重投与
次の患者には慎重に投与すること
- 高度の腎機能障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)。]
- うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者[バッグ製剤には塩化ナトリウムが含まれている。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
- キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすことがある。]
- 重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある。]
- 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者[海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
- 高齢者[腱障害があらわれやすいとの報告がある(「高齢者への投与」の項参照)。]
重要な基本的注意
- 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
- 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
- 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
- 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に投与開始直後は注意深く観察すること。
- 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
- 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子を有する患者では、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)。
適用上の注意
- 投与経路
- 本剤は点滴静注にのみ使用すること。
- 調製方法
- 本剤のバイアル製剤は、生理食塩液等で希釈することが望ましい(「臨床成績」の項参照)。なお、調製後は速やかに使用すること(希釈液については「取扱い上の注意」の項参照)。
- 投与時
- 本剤を他剤と配合した時に、沈殿、混濁が認められた場合には、投与しないこと。
- 本剤はヘパリンナトリウムと配合変化が認められているので、静脈内カテーテル留置を行う際、ヘパリンナトリウムによる血液凝固防止(ヘパリンロック)前後は、ルート内を生理食塩液で洗浄(フラッシング)すること。
- 同一の点滴ルートを使用し、本剤と他剤を連続して投与する場合は、本剤と配合変化(沈殿、混濁等)が認められる薬剤があるため、配合変化試験データを参照すること。
用法用量に関連する使用上の注意
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- 腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして(経口剤に切り替えた場合には経口剤の投与期間も含め)14日間投与すること。
- 炭疽の発症及び進展の抑制には、欧州医薬品庁(EMA)が60日間の投与を推奨している。症状が緩解した場合には、経口投与に切り替えること(「薬物動態」の項参照)。
- 長期投与が必要となる場合には、経過観察を十分に行うこと。
- 本剤は点滴静注にのみ使用すること。
- 腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、下記の用法・用量を目安として、必要に応じて投与量を減じ、投与間隔をあけて投与することが望ましい(「薬物動態」の項参照)。
腎機能Ccr(mL/min) 用法・用量 20≦Ccr<50 初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。 Ccr<20 初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。
高齢者への投与
- 本剤は、主として腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので投与量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
- 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[オフロキサシンでヒト母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していないので、投与しないこと(「その他の注意」の項参照)。
薬物動態
- 血中濃度
- 血漿中濃度の推移
- 国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
- レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の血漿中濃度推移(8例、平均値±標準偏差)
- レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の薬物動態パラメータ
(ノンコンパートメント解析、8例、平均値±標準偏差)例数 Tmax
(hr)Cmax
(μg/mL)t1/2
(hr)AUC0-72hr
(μg・hr/mL)500mg点滴静注 8 1.00±0.00 9.79±1.05 8.05±1.54 51.96±4.96 t1/2:終末相の消失半減期
- 高齢者における体内動態
- 国内において健康高齢者(65~79歳)及び健康非高齢者(20~45歳)にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合の薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
(ノンコンパートメント解析、48例、平均値±標準偏差) 群 例数 Tmax
(hr)Cmax
(μg/mL)AUC0-24hr
(μg・hr/mL)高齢者 24 1.00±0.00 11.19±2.26 75.98±11.51 非高齢者 24 1.00±0.00 9.25±1.94 56.63±10.89
- 血漿蛋白結合率
- 国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを単回点滴静注した場合、ex vivoでの血漿蛋白結合率は、点滴開始1~12時間後において限外ろ過法で約29~33%であった。
- 分布
- 日本人における成績
- 患者にレボフロキサシン1回500mgを60分間で点滴静注した場合、喀痰(点滴開始0.5~4時間後で対血漿中濃度比:0.45~1.54、5例)、胆嚢胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.78~2.16、2例)、胆管胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.37~2.31、4例)、腟分泌物(点滴開始3~7時間後で対血漿中濃度比:1.17~2.21、7例)、腹腔内滲出液(点滴開始7~9時間後で対血漿中濃度比:1.35~2.30、3例)に移行性を示した。
- 外国人における成績
- 健康成人又は患者にレボフロキサシン500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:0.2~1.5)、気管支粘膜(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:0.9~1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:1.1~3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:4.1~18.9)、肺組織(投与後2.28~25.43時間で対血漿中濃度比:1.06~9.98)に移行性を示した。
- 代謝
- 国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを1日1回7日間反復投与(60分間点滴静注)した場合、投与量に対する投与後24時間後までの代謝物(脱メチル体及びN-オキサイド体)の尿中排泄率は、いずれも投与量の1%未満であった。
- 排泄
- 国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、点滴開始後0~4時間までの平均尿中濃度は、513.38μg/mL、投与量に対する投与後72時間までの未変化体の尿中排泄率は、93.9%であった。
- 経口投与との比較
- 国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合又は単回経口投与した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
(ノンコンパートメント解析、48例、平均値±標準偏差) 例数 Tmax
(hr)Cmax
(μg/mL)t1/2
(hr)AUC0-72hr
(μg・hr/mL)500mg点滴静注 8 1.00±0.00 9.79±1.05 8.05±1.54 51.96±4.96 500mg経口投与 40 0.99±0.54 8.04±1.98 7.89±1.04 50.86±6.46
- 腎機能障害患者での体内動態
- 母集団薬物動態パラメータを用い、レボフロキサシンを腎機能低下患者に推奨される用法・用量で、7日間反復点滴静注した場合の薬物動態パラメータを推定した。腎機能低下患者に血漿中濃度の上昇は認められず、投与7日目のAUC0-24hは腎機能正常者に500mg1日1回反復点滴静注した場合と大きな差は認められなかった。なお、血液透析又はCAPDは、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり、透析後の追加投与は不要と考えられる。
腎機能
(Ccr mL/min)用法・用量の目安 母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注1) Cmax(μg/mL) AUC0-24h(μg・h/mL)注2) 50≦Ccr 500mgを1日1回投与 Cmax≦12.26 AUC0-24h≦111.75 20≦Ccr<50 初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与 6.13<Cmax≦8.15 55.87<AUC0-24h≦106.36 10≦Ccr<20 初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与 6.24<Cmax≦7.15 53.18<AUC0-24h≦76.11 注1)体重60kgとした場合注2)隔日投与ではAUC0-48h×1/2
- シメチジン、プロベネシドによる影響
- 国内において健康成人にシメチジン400mgを1日2回3日間又はプロベネシド500mgを1日4回5日間投与し、シメチジン投与1日目又はプロベネシド投与3日目にレボフロキサシン500mgを60分間で点滴静注したところ、シメチジンの併用によって、AUC0-72hrは1.3倍に上昇し、t1/2は7.6時間から11.7時間に延長した。またプロベネシドの併用によって、AUC0-72hrは1.5倍に上昇し、t1/2は7.6時間から12.4時間に延長した。一方、Cmax及び累積尿中排泄率(投与後0~72時間)にシメチジン又はプロベネシド併用による大きな差は認められなかった。