製品名 トラゼンタ錠5mg

一般名
Linagliptin
薬効分類
糖尿病治療薬
 >DPP-4阻害薬
価格
5mg1錠:155.4円/錠

製薬会社
効能・効果
用法・容量

効能・効果

  • 2型糖尿病

用法・用量

  • 通常、成人にはリナグリプチンとして5mgを1日1回経口投与する。
禁忌
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤を投与すべきでない。]
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
副作用
低血糖症(2.1%)
本剤の投与により低血糖症があらわれることがある。なお、他のDPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症があらわれ、意識消失を来たす例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。[「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「相互作用」及び「臨床成績」の項参照]
腸閉塞(頻度不明)
腸閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与」の項参照]
肝機能障害(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
類天疱瘡(頻度不明)
類天疱瘡があらわれることがあるので、水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
急性膵炎(頻度不明)
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
注意

次の患者には慎重に投与すること

スルホニルウレア剤又はインスリン製剤を投与中の患者[併用により低血糖のリスクが増加するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照)]
次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者[腸閉塞を起こすおそれがある。(「重大な副作用」の項参照)]
本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤又はインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合にはスルホニルウレア剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。[「慎重投与」、「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照]
急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[「重大な副作用」の項参照]
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても食後血糖に対する効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意の上、常に投与継続の可否、薬剤の選択等に注意すること。
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
本剤とインスリン製剤との併用についての有効性及び安全性は検討されていない。
本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
高齢者への使用経験が少ないため、副作用発現に留意し、経過を十分観察しながら慎重に投与すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与を考慮すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット及びウサギ)で、胎児への移行が報告されている。]
授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
血中濃度
単回投与
日本人健康成人男性に、本剤1、2.5、5、10mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中濃度推移を図1に、血漿中未変化体の薬物動態パラメータを表1に示す。Cmax及びAUC0-tzは用量比以下の上昇を示した(本剤の国内承認用量は5mgである)。
図1 健康成人男性に空腹時単回経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差)
表1 健康成人男性に空腹時単回経口投与後の血漿中薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]1mg
n=6
2.5mg
n=6
5mg
n=6
10mg
n=6
AUC0-tz[nM・h]196(28.8)404(15.7)582(32.8)847(21.5)
Cmax[nM]4.27(32.1)5.92(18.3)9.00(40.6)23.1(32.1)
tmax[h]1.77(1.50-4.00)2.00(1.00-8.00)6.00(2.00-8.00)1.50(1.00-6.00)
t1/2[h]104(14.0)96.9(13.3)105(8.26)113(18.4)
幾何平均値(幾何変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
反復投与
日本人健康成人男性に、本剤5mgを空腹時1日1回12日間反復経口投与したときの血漿中濃度推移を図2に示す。投与3日後には見かけ上一定濃度となり、Cmax及びAUCτから算出した累積係数は1.4以下であった。
図2 健康成人男性に5mg空腹時反復経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値±標準偏差、n=6)
日本人2型糖尿病患者(159例)に本剤5mgを1日1回26週間投与したときのトラフ時の血漿中濃度の幾何平均値(幾何変動係数%)は6.42nM(33.0%)~7.15nM(30.5%)であった。
食事の影響(外国人データ)
健康成人に、本剤5mgを食後に単回投与したとき、Cmaxは約15%低下した。空腹時投与に比べてtmaxは延長し、AUC0-72hには食事の影響はみられなかった。
表2 本剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]空腹時
n=31
食後
n=32
AUC0-72h[nM・h]229(25.9)236(20.0)
Cmax[nM]7.04(34.0)5.97(19.5)
tmax[h]1.02(0.517-8.00)2.99(0.500-8.00)
幾何平均値(幾何変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
吸収(外国人データ)
外国人健康成人男性に、本剤10mgを錠剤として経口投与したとき及び5mgを静脈内投与したとき(各10例)のデータを用いて絶対バイオアベイラビリティを算出した結果、約30%であった(母集団薬物動態解析による推定値)(本剤の国内承認用量は5mgである)。
分布
リナグリプチンのin vitro血漿蛋白結合率は濃度依存的であり、2nMでの98.8%から20nMでの84%へと減少した。30nM以上では蛋白結合率はほぼ一定であった。
代謝
in vitroデータ)ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞による14C-リナグリプチンの代謝は極めて弱いが、主たる代謝物の生成にはCYP3A4が関与しており、他のCYP酵素の関与はなかった。リナグリプチンはヒト肝ミクロソームのCYP3A4活性を競合的に阻害するがその程度は弱く(Ki=115μM)、CYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、4A11を阻害しなかった。また、ヒト肝ミクロソームのCYP3A4を弱~中程度に不可逆的に阻害した。酵素誘導試験においてCYP1A2、2B6、3A4の誘導はみられなかった。
(外国人データ)健康成人に14C-リナグリプチン10mgを経口投与したとき(6例)、血漿中には主に未変化体が認められ(血漿中放射能に対する割合は約62%)、主な代謝物はCYP3A4によって生成するピペリジニル基の水酸化体であった(血漿中放射能に対する割合は約5%)(本剤の国内承認用量は5mgである)。
排泄
日本人健康成人(6例)に本剤5mgを単回経口投与したときの投与24時間後までの尿中未変化体排泄率は約0.6%であった。腎クリアランスは、単回経口投与時は7.09mL/minであった。
(外国人データ)外国人健康成人(6例)に14C-リナグリプチン10mgを単回経口投与したとき、投与後96時間までに投与放射能の約5%が尿中に、約80%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄された放射能に対する未変化体の割合はそれぞれ71%及び91%であった(本剤の国内承認用量は5mgである)。
in vitroデータ)リナグリプチンはP-糖蛋白の基質であり、弱い阻害剤であった(IC50:約55μM)。
腎機能障害患者(外国人データ)
健康被験者及び軽度、中等度腎機能障害患者に本剤5mg単回及び反復投与、ならびに高度及び末期腎機能障害患者に本剤5mg単回投与を行った(表3)。単回投与後のAUC0-24hは健康被験者に比べて、軽度、中等度、高度、末期腎機能障害患者でそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.4倍、1.5倍であり、Cmaxはそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.5倍、1.5倍であった。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて、軽度及び中等度腎機能障害患者でそれぞれ約1.1倍及び1.7倍であり、Cmax,ssはそれぞれ約1.0倍及び1.5倍であった。
腎機能正常及び高度腎機能障害を有する2型糖尿病患者に本剤5mg反復投与を行った(表4)。高度腎機能障害を有する2型糖尿病患者における反復投与後のAUCτ,ss及びCmax,ssは腎機能正常2型糖尿病患者に比べて、ともに約1.4倍であった。腎機能障害患者の累積係数は健康被験者と同程度であり、尿中排泄率は腎機能障害の程度によらず全群で低かった。
表3 健康被験者及び腎機能障害患者に本剤5mg単回投与後の薬物動態パラメータ
パラメータ[単位]健康被験者注)
n=6
軽度腎機能障害注)
n=6
中等度腎機能障害注)
n=6
高度腎機能障害注)
n=6
末期腎機能障害注)
n=6
AUC0-24h[nM・h]101(32.6)130(11.0)158(44.3)142(26.3)155(16.8)
Cmax[nM]7.32(62.7)9.20(18.1)11.5(89.1)10.8(55.0)11.0(28.6)
fe0-24h[%]0.232(183)0.332(117)0.368(391)0.308(104)
CLR,0-24h[mL/min]4.06(119)4.50(132)4.12(208)3.83(77.0)
幾何平均値(幾何変動係数%)、-:算出せず注)健康被験者:クレアチニンクリアランス(Ccr)>80mL/min、軽度腎機能障害:Ccr>50~≦80mL/min、中等度腎機能障害:Ccr>30~≦50mL/min、高度腎機能障害:Ccr≦30mL/min、末期腎機能障害:Ccr≦30mL/minで血液透析が必要
表4 腎機能正常及び高度腎機能障害を有する2型糖尿病患者に本剤5mg反復投与後の薬物動態パラメータ
パラメータ[単位]腎機能正常注)
n=11
高度腎機能障害注)
n=10
AUCτ,ss[nM・h]185(22.8)262(43.8)
Cmax,ss[nM]16.7(32.1)22.6(60.8)
幾何平均値(幾何変動係数%)注)腎機能正常:Ccr>80mL/min、高度腎機能障害:Ccr≦30mL/min
肝機能障害患者(外国人データ)
健康被験者(n=8)及び軽度(Child-Pughスコア6、n=8)、中等度(Child-Pughスコア7~9、n=9)、高度(Child-Pughスコア10~15、n=8)肝機能障害患者に本剤5mg単回投与、ならびに健康被験者及び軽度、中等度肝機能障害患者に本剤5mg1日1回7日間反復投与を行った。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて軽度及び中等度肝機能障害患者でそれぞれ約0.8倍及び0.9倍であり、Cmax,ssは約0.6倍及び0.9倍であった。また、高度肝機能障害患者のAUC0-24hは健康被験者に比べて1.0倍、Cmaxは0.8倍であった。
肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は健康被験者よりやや低く(最大36%:軽度肝機能障害患者のCmax,ss)、肝機能の低下に伴う曝露の増加はみられなかった。
高齢者
日本人2型糖尿病患者(159例)に本剤5mgを1日1回26週間投与したときのトラフ時の血漿中濃度の幾何平均値(幾何変動係数%)は65歳未満で6.57nM(31.1%)、65歳以上で7.66nM(26.9%)であった。
薬物相互作用
薬物相互作用のin vitroにおける評価については4.代謝の項を参照。
in vivoにおける結果
リトナビルとの併用(外国人データ)
健康成人(12例)に本剤5mgとリトナビル(強力なP-糖蛋白及びCYP3A4の阻害剤)200mg1日2回を併用投与した場合、リナグリプチンのAUC0-24h及びCmaxは本剤単独投与に比べて2倍及び3倍上昇した。
リファンピシンとの併用(外国人データ)
健康成人(16例)に本剤5mg1日1回及びリファンピシン(強力なP-糖蛋白及びCYP3A4の誘導剤)600mg1日1回6日間併用投与した場合、リナグリプチンのAUCτ,ss及びCmax,ssは、それぞれ40%及び44%低下した。
シンバスタチンとの併用(外国人データ)
健康成人(20例)に本剤10mg1日1回とシンバスタチン(CYP3A4の基質)40mg1日1回6日間併用投与した場合、シンバスタチン及びシンバスタチン酸のAUCτ,ss及びCmax,ssは本剤併用投与により10%~34%上昇した(本剤の国内承認用量は5mgである)。
メトホルミンとの併用(外国人データ)
健康成人(16例)に本剤10mg1日1回とメトホルミン(有機カチオントランスポーターで輸送される)850mg1日3回(2550mg/日)3日間併用投与した場合、メトホルミンのAUCτ,ssに本剤併用投与の影響はみられなかったが、Cmax,ssは11%低下した。リナグリプチンのCmax,ssにメトホルミン併用投与の影響はみられなかったが、AUCτ,ssは20%上昇した(本剤の国内承認用量は5mgである)。
ピオグリタゾンとの併用(外国人データ)
健康成人(20例)に本剤10mg1日1回とピオグリタゾン(CYP2C8及び3A4で代謝される)45mg1日1回7日間併用投与した場合、リナグリプチンの薬物動態に対するピオグリタゾン併用投与の影響はみられなかった。ピオグリタゾンのAUCτ,ssに本剤併用投与の影響はみられなかったが、Cmax,ssは14%低下した。ピオグリタゾンの活性代謝物であるM-III及びM-IVのAUCτ,ss及びCmax,ssに本剤併用投与の影響はみられなかった(本剤の国内承認用量は5mgである)。
グリベンクラミドとの併用(外国人データ)
健康成人(20例)に本剤5mg1日1回とグリベンクラミド(CYP2C9で代謝される)1.75mg単回併用投与した場合、リナグリプチンの薬物動態に対するグリベンクラミド併用投与の影響はみられなかった。グリベンクラミドのAUC0-∞及びCmaxは本剤併用投与により14%低下した。
その他の薬剤との併用(外国人データ)
ワルファリン(CYP2C9の基質)、ジゴキシン(P-糖蛋白で輸送される)、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)との薬物相互作用試験の結果、本剤との併用投与による、これらの薬剤の薬物動態に対する影響はみられなかった。