製品名 ジレニアカプセル0.5mg

一般名
Fingolimod Hydrochloride
薬効分類
中枢神経薬(その他)
 >多発性硬化症治療薬
価格
0.5mg1カプセル:8148.7円/カプセル

製薬会社
効能・効果
用法・容量

効能・効果

  • 多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制

用法・用量

  • 通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する。
禁忌

【警告】

  • 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤の安全性及び有効性についての十分な知識と多発性硬化症の治療経験をもつ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、黄斑浮腫等の重篤な眼疾患が発現することがあるので、十分に対応できる眼科医と連携がとれる場合にのみ使用すること。
  • 本剤の投与開始後、数日間にわたり心拍数の低下作用がみられる。特に投与初期は大きく心拍数が低下することがあるので、循環器を専門とする医師と連携するなど、適切な処置が行える管理下で投与を開始すること。(「2.重要な基本的注意」、【薬物動態】の項参照)
  • 重篤な感染症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。また、本剤との関連性は明らかではないが、Epstein-Barrウイルスに関連した悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患の発現も報告されている。本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(「2.重要な基本的注意」、「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 重篤な感染症のある患者(「2.重要な基本的注意」の項参照)
  • クラスIa(キニジン、プロカインアミド等)又はクラスIII(アミオダロン、ソタロール等)抗不整脈剤を投与中の患者(「3.相互作用」の項参照)
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「2.重要な基本的注意」、「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
副作用
注1)
感染症(45.3%)
細菌、真菌、ウイルス等による感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。播種性帯状疱疹注2)、ヘルペス脳炎注2)の死亡例が報告されている。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
徐脈性不整脈(徐脈:11.2%、房室ブロック(第I度から第II度:5.0%、第III度注2):0.04%)等)
心拍数低下、房室伝導の遅延等の徐脈性不整脈があらわれ、血圧低下、浮動性めまい、疲労、動悸等の症状を伴うこともあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
黄斑浮腫注2)(0.6%)
黄斑浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には眼科学的検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
悪性リンパ腫(頻度不明)
悪性リンパ腫が認められたとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
可逆性後白質脳症症候群注2)(頻度不明)
可逆性後白質脳症症候群があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
虚血性及び出血性脳卒中注2)(頻度不明)
虚血性及び出血性脳卒中があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、頭痛、嘔気、麻痺症状、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
末梢動脈閉塞性疾患注2)(0.04%)
末梢動脈閉塞性疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、四肢の疼痛、しびれ等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1)承認時までの国内臨床試験の集計を優先して記載した。国内臨床試験で発現頻度が算出できなかった副作用は、承認用法・用量(1日1回0.5mg)を含む外国臨床試験で認められた副作用の発現頻度に基づき記載した。なお、承認時までの国内外臨床試験で発現頻度が算出できなかった副作用は、頻度不明とした。
注2)承認時までに外国臨床試験で発現した副作用
注1)
黄斑浮腫注2)(0.6%)
黄斑浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には眼科学的検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
可逆性後白質脳症症候群注2)(頻度不明)
可逆性後白質脳症症候群があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
虚血性及び出血性脳卒中注2)(頻度不明)
虚血性及び出血性脳卒中があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、頭痛、嘔気、麻痺症状、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
末梢動脈閉塞性疾患注2)(0.04%)
末梢動脈閉塞性疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、四肢の疼痛、しびれ等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注1)承認時までの国内臨床試験の集計を優先して記載した。国内臨床試験で発現頻度が算出できなかった副作用は、承認用法・用量(1日1回0.5mg)を含む外国臨床試験で認められた副作用の発現頻度に基づき記載した。なお、承認時までの国内外臨床試験で発現頻度が算出できなかった副作用は、頻度不明とした。
注2)承認時までに外国臨床試験で発現した副作用
注意

次の患者には慎重に投与すること

感染症のある患者又は感染症が疑われる患者〔感染症が増悪するおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
水痘又は帯状疱疹の既往歴がなく、予防接種を受けていない患者(「2.重要な基本的注意」の項参照)
易感染性の状態にある患者〔感染症を誘発するおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
第II度以上の房室ブロック、洞不全症候群、虚血性心疾患又はうっ血性心不全のある患者〔投与開始時に重篤な心リズム障害があらわれるおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
心拍数の低い患者、β遮断薬を投与中の患者、カルシウム拮抗薬を投与中の患者又は失神の既往歴のある患者〔投与開始時に本剤による心拍数低下の影響を受けやすい。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
低カリウム血症、先天性QT延長症候群又はQT延長のある患者〔QT間隔を過度に延長させるおそれがある。〕(【薬物動態】の項参照)
高血圧の患者〔症状が増悪するおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
黄斑浮腫のある患者、糖尿病の患者又はブドウ膜炎の既往歴のある患者〔黄斑浮腫が増悪又は発現するおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」の項参照)
肝機能障害又はその既往歴のある患者〔血中濃度が上昇又は半減期が延長するおそれがある。また、症状が増悪するおそれがある。〕(「2.重要な基本的注意」、【薬物動態】の項参照)
重度の呼吸器疾患を有する患者〔症状が増悪するおそれがある。〕
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
本剤の投与開始時には心拍数低下、房室伝導の遅延が生じることがあるため、本剤投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。
初回投与後少なくとも6時間はバイタルサインの観察を行い、初回投与前及び初回投与6時間後に12誘導心電図を測定すること。また、初回投与後24時間は心拍数及び血圧の測定に加え、連続的に心電図をモニターすることが望ましい。(「1.慎重投与」、「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、適切な処置を行い、少なくともそれらの徴候・症状が消失し、安定化するまで患者を観察すること。また、次の投与時(翌日又は休薬後再開時)にも心電図をモニターする等、十分な注意、観察を行うこと。(「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
投与初期には、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をする際には注意させること。
本剤の薬物濃度が定常状態に到達した後に2週間を超える休薬をした場合は、投与再開時に心拍数及び房室伝導に対する影響が認められるおそれがあるため、初回投与時と同様の注意、観察を行うこと。なお、休薬期間が2週間以内の場合も、投与再開時は十分に注意すること。(【薬物動態】の項参照)
また、本剤の薬物濃度が定常状態に到達する前に休薬し、投与を再開する場合は、投与期間や休薬期間を考慮し、初回投与時と同様の注意、観察を行う等十分に注意すること。
本剤は末梢血リンパ球を減少させる作用を有することから、本剤の投与により感染症のリスクが増大するおそれがある。本剤投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。
本剤投与開始前に血液検査(血球数算定等)を行うとともに、投与中には定期的に血液検査を行うこと。リンパ球数が200/mm3を下回った場合には、2週後を目処に再検査を実施し、連続して200/mm3未満であった場合には、原則として投与を中断し、リンパ球数が回復するまで患者の状態を慎重に観察するとともに、感染症の徴候に注意を払う等、適切な処置を行うこと。投与再開については、リンパ球数が600/mm3以上まで回復することを目安とし、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること。(「4.副作用(1)重大な副作用」、【薬効薬理】の項参照)
本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に初感染すると重症化するおそれがあるため、本剤投与開始前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認し、必要に応じてワクチン接種を考慮すること。接種する場合はワクチンの効果が十分に得られるまで本剤投与開始を延期すること。(「3.相互作用」、「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
患者に対し、感染症状(発熱、けん怠感等)があらわれた場合には直ちに主治医に連絡するよう指導すること。また、治療中に感染症が疑われる症状が認められた場合には、本剤の投与中断を考慮するとともに、早期に適切な処置を行うこと。重篤な感染症が発現した場合には本剤の投与を中断し、適切な処置を行うこと。投与再開については、感染症の回復を確認し、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること。(「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
無症候性も含め、特に投与初期には黄斑浮腫があらわれることがあるため、投与開始3~4ヵ月後に眼底検査を含む眼科学的検査を実施し、患者が視覚障害を訴えた場合にも眼科学的検査を実施すること。
糖尿病の患者又はブドウ膜炎の既往歴のある患者では黄斑浮腫が発現するリスクが増大するため、本剤投与開始前に眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な検査を実施すること。黄斑浮腫が確認された場合には、投与を中断し、適切な処置を行うこと。回復後の投与再開については、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること。(「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照)
肝機能異常があらわれることがあるので、本剤投与開始前に肝機能検査(トランスアミナーゼ、ビリルビン等)を行うとともに、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。また、本剤投与中に肝機能障害を疑う臨床症状があらわれた場合にも肝機能検査を行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中断し、適切な処置を行うこと。(「4.副作用(2)その他の副作用」の項参照)
本剤投与により血圧上昇があらわれることがあるため、投与中は定期的に血圧測定を行うなど患者の状態を注意深く観察し、血圧上昇が認められた場合には適切な処置を行うこと。(「4.副作用(2)その他の副作用」の項参照)
本剤は消失半減期が長く(6~9日間)、投与中止後の本剤の血中からの消失には最長で2ヵ月かかる場合があり、その間リンパ球数減少などの薬力学的効果も持続するため、感染症の発現等に注意すること。(「3.相互作用」、【薬物動態】、【薬効薬理】の項参照)
妊娠可能な婦人に対しては、本剤の投与を開始する前に、患者が妊娠していないことを確認すること。患者に対して本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与期間中及び最終投与後2ヵ月間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。また、本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること。(【禁忌】、「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
一次性進行型多発性硬化症患者を対象とした海外のプラセボ対照臨床試験において、身体的障害の進行抑制効果は示されなかったとの報告がある。(「10.その他の注意」の項参照)
高齢者では、心機能、肝機能及び免疫機能等が低下していることが多いため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないこと。〔本剤投与中に妊娠した患者において、奇形を有する児が認められたとの報告がある。動物実験において、胚・胎児死亡率の増加(ラット及びウサギ)、内臓異常(ラット:総動脈幹遺残及び心室中隔欠損等)及び骨格変異(ウサギ)を含む発生毒性が認められている。〕
本剤投与中は授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。〕
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
血中濃度
単回投与
健康成人(19例)にフィンゴリモド1.25、2.5、5mgを単回経口投与したとき、投与16時間後(中央値)に最高血中薬物濃度(Cmax)に到達し、消失半減期は5.8~7.6日間であった。
フィンゴリモド1.25、2.5、5mgを単回経口投与したときの未変化体の血中濃度推移(平均値+標準偏差)
フィンゴリモド1.25、2.5、5mgを単回経口投与したときの未変化体の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ1.25mg
N=6
2.5mg
N=7
5mg
N=6
Tmax(h)16(16~36)16(16~36)16(12~36)
Cmax(ng/mL)1.1±0.21.9±0.33.5±1.2
AUClast(ng・h/mL)168±27353±87823±292
T1/2(days)5.9±2.45.8±1.57.6±3.4
平均値±標準偏差、※中央値(最小値~最大値)
反復投与
健康成人(6例)にフィンゴリモド5mgを1日1回7日間反復経口投与したときの、未変化体及び活性本体であるリン酸化体の投与1日目及び7日目の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。未変化体の消失半減期は7.9日間であり、単回投与と同様であった。
フィンゴリモド5mgを7日間反復経口投与したときの未変化体及びリン酸化体の薬物動態パラメータ
投与1日目投与7日目
Tmax(h)Cmax(ng/mL)AUCtau(ng・h/mL)Tmax(h)Cmax(ng/mL)AUCtau(ng・h/mL)T1/2(days)
未変化体14(6~16)3.1±0.854±1212(6~16)18.2±4.8382±1067.9±2.0
リン酸化体14(6~16)3.7±1.152±149(6~16)11.3±3.5236±766.0±2.4
平均値±標準偏差、※中央値(最小値~最大値)
多発性硬化症患者(108例)にフィンゴリモド0.5又は1.25mgを1日1回6ヵ月間反復経口投与したとき、薬物濃度はいずれも投与2ヵ月後までに定常状態に到達し、定常状態における未変化体及びリン酸化体の血中濃度は下表のとおりであった。
フィンゴリモド0.5又は1.25mgを6ヵ月間反復経口投与したときの未変化体及びリン酸化体の血中濃度
未変化体リン酸化体
評価時期0.5mg群1.25mg群0.5mg群1.25mg群
15日後2.64±1.01(54)6.76±2.59(54)1.37±0.61(54)3.60±1.54(54)
1ヵ月後3.15±1.30(54)8.01±2.55(51)1.69±0.87(54)4.32±1.52(51)
2ヵ月後2.96±1.23(52)8.77±3.08(50)1.57±0.81(51)4.88±1.93(50)
3ヵ月後3.19±1.31(51)8.61±3.02(49)1.70±0.86(50)4.80±1.92(49)
6ヵ月後3.50±1.44(47)8.92±3.55(48)1.82±0.81(47)4.84±2.09(48)
ng/mL(例数)
食事の影響
健康成人男子(29例)にフィンゴリモド1.25mgを空腹時又は高脂肪食摂取後30分に単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUC並びにリン酸化体のAUCに食事の影響は認められなかったが、リン酸化体のCmaxは食事により34%低下した。また、未変化体及びリン酸化体ともに食事により吸収が遅延した。(外国人のデータ)
吸収
健康成人(40例)にフィンゴリモド1.25mgを単回経口投与したとき、投与後12~16時間で最高血中濃度に到達し、そのバイオアベイラビリティは93%であった。(外国人のデータ)
分布
フィンゴリモドの血球への移行性は高く、血球移行率は約86%であった。リン酸化体の血球移行率は18%以下であった。フィンゴリモド及びリン酸化体の蛋白結合率は99.7%以上であった。(in vitro
代謝
フィンゴリモドの主要代謝経路は、薬理学的に活性を有するフィンゴリモドリン酸化体(S)-エナンチオマーへの可逆的なリン酸化、主にCYP4F2を介する酸化的代謝及びその後の脂肪酸β酸化様の分解、及び非極性セラミド類似体の生成であった。
排泄
健康成人男子(4例)に14C標識したフィンゴリモド4.47mgを単回経口投与したとき、投与量の約81%が不活性代謝物として尿中に排泄され、未変化体及びリン酸化体は尿中には排泄されなかった。糞中には投与放射能量の約11%が排泄され、未変化体及びリン酸化体はそれぞれ投与量の2.4%及び1.7%であった。単回投与後34日間の回収率は投与量の89%であった。(外国人のデータ)
腎機能障害患者における薬物動態
重度(Ccr 30mL/min未満)の腎機能障害者(9例)にフィンゴリモド1.25mgを単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmax及びAUCがそれぞれ32%及び43%増加し、リン酸化体のCmax及びAUCがそれぞれ25%及び14%増加した。未変化体及びリン酸化体とも、消失半減期に変化はみられなかった。なお、不活性代謝物M2(カルボン酸代謝物)のCmaxは3倍以上、不活性代謝物M3(カルボン酸代謝物)のCmax及びAUCはそれぞれ8倍及び14倍に増加した。(外国人のデータ)
肝機能障害患者における薬物動態
軽度(Child-Pugh分類クラスA)、中等度(Child-Pugh分類クラスB)及び重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害者(22例)にフィンゴリモド(1又は5mg)を単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmaxに変化はみられなかったが、AUCがそれぞれ12%、44%及び103%増加した。軽度の肝機能障害者では消失半減期に変化はみられなかったが、中等度及び重度の肝機能障害者では消失半減期がそれぞれ49%及び50%延長した。リン酸化体は重度の肝機能障害者においてのみ測定し、健康成人に比べてCmax及びAUCがそれぞれ22%及び29%減少した。(外国人のデータ)
薬物相互作用
ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
健康成人(22例)にケトコナゾール200mgを1日2回9日間反復経口投与し、4日目にフィンゴリモド5mgを単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ約1.2倍及び約1.7倍に増加した。リン酸化体のCmaxはケトコナゾールの影響を受けなかったが、AUCは約1.7倍に増加した。ケトコナゾールの血漿中トラフ濃度に影響は認められなかった。(外国人のデータ)
シクロスポリン
乾癬患者(12例)にシクロスポリン200mgを1日2回8日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド1mgを単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、シクロスポリンのCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
経口避妊薬
健康成人女性(31例)に経口避妊薬(エチニルエストラジオール30μg及びレボノルゲストレル150μgの配合剤)を1日1回28日間反復経口投与し、15日目から28日目までフィンゴリモド0.5mgを反復経口投与したとき、エチニルエストラジオールのCmax及びAUCに影響は認められなかった。レボノルゲストレルのCmax及びAUCは、フィンゴリモドの併用によりそれぞれ1.1倍及び1.2倍に増加した。また、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
アトロピン
健康成人(22例)にアトロピン(初回に0.25mgを静脈内投与し、心拍数110~120bpm又は総投与量2mgに達するまで0.25mgを追加投与)とフィンゴリモド5mgを併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
イソプロテレノール
健康成人(14例)にイソプロテレノール(1μg/mLのイソプロテレノール溶液を心拍数110±10bpm又は最大注入速度5μg/minに達するまで静脈内投与[最大投与量100μg])とフィンゴリモド5mgを併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
アテノロール
健康成人(12例)にアテノロール50mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mgを単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、アテノロールのCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
ジルチアゼム
健康成人(13例)にジルチアゼム240mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mgを単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、ジルチアゼムのCmax及びAUCに影響は認められなかった。(外国人のデータ)
カルバマゼピン
健康成人(23例)にカルバマゼピン100~600mgを漸増投与で1日2回49日間反復経口投与し、定常状態に達した35日目にフィンゴリモド2mgを単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び40%減少した。リン酸化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び38%減少した。(外国人のデータ)
QT間隔に対する作用
健康成人(113例)にフィンゴリモド1.25mg及び2.5mgを1日1回7日間用量漸増法で反復経口投与したとき、QTcFは延長し、90%信頼区間の上限は14msec以下であった。(外国人のデータ)
フィンゴリモド1.25、2.5mgを反復投与又はモキシフロキサシン400mgを単回投与したときのQTcF延長時間
薬剤QTcF延長時間(msec)#1(プラセボとの差[90%又は96%信頼区間#2])
フィンゴリモド1.25mg10.64[7.46、13.83]
フィンゴリモド2.5mg10.65[7.41、13.88]
モキシフロキサシン400mg10.61[5.94、15.28]
#1 12誘導心電図は投与7日目の投与後(プラセボ群及びフィンゴリモド投与群は0、1.5、3、6、8及び12時間、モキシフロキサシン投与群は1.5、3及び6時間)に測定した。#2 フィンゴリモドは90%信頼区間、モキシフロキサシンは96%信頼区間を示す。
心拍数に対する作用
健康成人(各6例)を対象にフィンゴリモド5mgを反復経口投与したとき、心拍数は以下のとおり推移した。
本剤の用法及び用量は1日1回0.5mgである。(【用法及び用量】の項参照)