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カンサイダス点滴静注用50mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症
  • ○カンジダ属又はアスペルギルス属による下記の真菌感染症

    • ○食道カンジダ症
    • ○侵襲性カンジダ症
    • ○アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)

用法・用量

  • <成人>

    • 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症

      • 通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。
    • カンジダ属又はアスペルギルス属による下記の真菌感染症

      • 食道カンジダ症

        • 通常、カスポファンギンとして50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。
      • 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

        • 通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。
  • <小児>

    • 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症、カンジダ属又はアスペルギルス属による食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

      • 通常、カスポファンギンとして投与初日に70mg/m2(体表面積)を、投与2日目以降は50mg/m2(体表面積)を1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。なお、1日1回50mg/m2(体表面積)の投与で効果不十分の場合には、1日1回70mg/m2(体表面積)まで増量することができる。いずれの場合も1日用量として70mgを超えないこと。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)
特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットでは母動物に毒性があらわれる用量(5mg/kg/日)で、胎児体重の減少並びに頭蓋及び体躯の不完全骨化発現率の増加が認められている。さらに、同用量で頸肋の発現率増加がみられている。動物試験(ラット、ウサギ)で、胎盤通過が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトの母乳中に移行するか否かは不明である。ラットでは乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
投与に際しては観察を十分に行うこと。小児の臨床試験では、成人と比べALT増加、AST増加、肝機能異常の発現頻度が高いことが報告されている。低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした国内臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の投与期間は患者の臨床症状、効果等に基づき決定し、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。[17.1.1、17.1.2参照]
8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること。[11.1.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<成人>
14.1.1 バイアル中の本剤の溶解
バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。
14.1.2 本剤投与時の調製方法
希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。通常、バイアル中で溶解した本剤の溶液の必要量(下表参照)を、250mLの希釈液の入った点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。1日1回用量が50mg又は35mgの場合には、必要に応じて希釈液を100mLに減じて用いることができる。
点滴静注液の調製法
1日1回用量調製に用いるバイアルと本数点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量希釈後の本剤の濃度
通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)
70mg70mgバイアル1本10mL0.28mg/mL推奨しない
50mgバイアル2本††14mL0.28mg/mL推奨しない
50mg70mgバイアル1本§7mL0.20mg/mL0.47mg/mL
50mgバイアル1本10mL0.20mg/mL0.47mg/mL
35mg(中等度肝機能障害用)70mgバイアル1本5mL0.14mg/mL0.34mg/mL
50mgバイアル1本7mL0.14mg/mL0.34mg/mL
† 70mgバイアル、50mgバイアルのいずれを用いる際も、バイアル中の本剤の溶解には生理食塩液あるいは注射用水を10.5mL用いること。†† 70mgバイアルが利用できない場合には、50mgバイアル2本を用いて1日1回用量70mgの点滴静注液を調製することができる。§ 50mgバイアルが利用できない場合には、70mgバイアル1本を用いて1日1回用量50mgの点滴静注液を調製することができる。∥ 100mLの希釈液を用いた調製法は推奨しない。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。
<小児>
14.1.3 患者の体表面積(BSA)に基づく1日1回の用量の計算
本剤投与前に患者の体表面積(BSA)注)に基づいて用量を計算する。
投与初日の用量(mg)は、BSA(m2)×70mg/m2で計算し、投与2日目以降の用量(mg)は、BSA(m2)×50mg/m2で計算する。
ただし、投与初日及び投与2日目以降の1日用量は、患者毎に計算された用量に関わらず、70mgを超えないこと。
14.1.4 バイアル中の本剤の溶解
バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。
14.1.5 本剤投与時の調製方法
希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。バイアル中で溶解した本剤の溶液から計算した用量に相当する必要量を、点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。
<共通>
14.1.6 本剤の調製に際しては、ブドウ糖を含む希釈液を使用しないこと。本剤はブドウ糖を含む希釈液中では不安定である。
14.1.7 調製後は速やかに使用すること。やむを得ず保存を必要とする場合でも、バイアル中で溶解した本剤の溶液は、25℃以下で24時間以内に使用すること。また、希釈した点滴静注液は、25℃以下では24時間以内、冷所(2~8℃)では48時間以内に使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤の投与に際しては、他の薬物と混合しないこと。また、他剤と同じラインで同時に点滴静注を行わないこと。他剤と連続注入する場合には、本剤の投与前後にラインを生理食塩水又は乳酸リンゲル液でフラッシュすること。他の薬物と混合した場合及び他剤と同じラインで同時に点滴静注を行った場合のデータはない。
注)患者の体表面積(BSA)は以下に示すMosteller式により算出する。

7.用法及び用量に関連する注意

<成人>
7.1
中等度の肝機能障害を伴う患者に対しては、下表を目安に本剤の用量調節をすること。[16.6.1参照]
Child-Pughスコア効能又は効果
食道カンジダ症発熱性好中球減少症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症
7~9
(中等度)
35mgを1日1回投与初日に70mg、投与2日目以降は35mgを1日1回
軽度の肝機能障害(Child-Pughスコア5~6)を伴う患者に対しては通常の用量を投与する。
重度の肝機能障害(Child-Pughスコア10以上)を伴う患者に対しては本剤の投与経験がない。
7.2 エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、本剤70mgの1日1回投与を検討すること。[10.2、16.7.3、16.7.4参照]
<小児>
7.3 3ヵ月未満の患者では血中濃度が高くなる可能性があるので、3ヵ月未満の患者に投与する際は減量を考慮すること。[16.1.2参照]
7.4 小児の肝機能障害患者に対する検討は行われていない。
7.5 エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、本剤70mg/m2(体表面積)の1日1回投与を検討すること。なお、1日用量として70mgを超えないこと。[10.2、16.7.3、16.7.4参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症>
5.1 本剤は以下の3条件を満たす症例に投与すること。
・1回の検温で38℃以上の発熱、又は1時間以上持続する37.5℃以上の発熱
・好中球数が500/mm3未満の場合、又は1,000/mm3未満で500/mm3未満に減少することが予測される場合
・適切な抗菌薬投与を行っても解熱せず、抗真菌薬の投与が必要と考えられる場合
5.2 発熱性好中球減少症の患者への投与は、発熱性好中球減少症の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。
5.3 発熱性好中球減少症に投与する場合には、投与前に適切な培養検査等を行い、起炎菌を明らかにする努力を行うこと。起炎菌が判明した際には、本剤投与継続の必要性を検討すること。
<侵襲性カンジダ症>
5.4 カンジダ血症、腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸腔内感染以外における検討は行われていない。[17.1.1、17.1.2参照]
<侵襲性アスペルギルス症>
5.5 他の治療が無効あるいは忍容性に問題がある患者に本剤の使用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 成人
(1)単回投与
日本人健康成人男性(各用量8名)にカスポファンギン20、40、70、100、150及び210mgを約60分間かけて単回静脈内投与注1)したとき、血漿中カスポファンギン濃度は静脈内投与終了時にピークに達した。また静脈内投与終了後から血漿中カスポファンギン濃度推移は多相性の消失を示し、β相の消失半減期(t1/2β)は9.62~10.37時間、γ相の消失半減期(t1/2γ)(150及び210mgのみ算出した)は41.64~41.93時間であった。投与後1時間の血漿中濃度(C1hr)、投与後24時間の血漿中濃度(C24hr)及びカスポファンギンの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は、用量比例性を示した。当該用量範囲における血漿クリアランス(CLp)は、8.72~9.24mL/minであり、ほぼ一定であった。
(2)反復投与
日本人健康成人男性にカスポファンギン50及び100mgを1日1回14日間又は投与初日に70mg、第2日~第14日に50mgを1日1回反復静脈内投与したときの平均薬物動態パラメータを表1に、また平均血漿中濃度推移を図に示す。
表1 日本人健康成人にカスポファンギンを1日1回14日間反復静脈内投与したときの平均薬物動態パラメータ
薬物動態
パラメータ
用量例数第1日第14日第14日/第1日
幾何平均
(90%信頼区間)
幾何平均
(90%信頼区間)
幾何平均比
(90%信頼区間)
AUC0-24hr(μg・hr/mL)50mg671.09
(64.46,78.41)
120.03
(109.01,132.16)
1.69
(1.62,1.76)
70/50mg††6106.61
(94.73,119.98)
123.58
(111.60,136.84)
1.16
(1.13,1.19)
100mg6141.19
(132.64,150.30)
268.60
(243.45,296.34)
1.90
(1.80,2.00)
C1hr(μg/mL)50mg68.93
(7.97,10.01)
11.90
(10.68,13.27)
1.33
(1.28,1.39)
70/50mg††614.44
(13.49,15.45)
12.41
(11.25,13.69)
0.86
(0.81,0.91)
100mg617.21
(15.46,19.15)
23.29
(21.73,24.96)
1.35
(1.29,1.43)
C24hr(μg/mL)50mg61.14
(0.94,1.38)
2.48
(2.22,2.78)
2.17
(1.99,2.38)
70/50mg††61.53
(1.21,1.94)
2.51
(2.08,3.02)
1.64
(1.49,1.81)
100mg62.28
(1.90,2.73)
6.20
(5.25,7.33)
2.72
(2.46,3.01)
t1/2β(hr)50mg613.90
(1.56)
70/50mg††613.77
(1.99)
100mg616.01
(2.87)
† t1/2βは調和平均(ジャックナイフ標準偏差)†† 第1日:70mg、第2日~第14日:50mg/日
図 日本人健康成人にカスポファンギンを1日1回14日間反復静脈内投与したときの平均血漿中濃度推移
日本人健康成人男性に投与初日にカスポファンギン70mg、第2日~第14日に40又は50mgを1日1回14日間反復静脈内投与注1)したとき、50mg投与では第2日までに定常状態に達した。
16.1.2 小児
日本人及び外国人小児患者にカスポファンギンを投与初日に70mg/m2(体表面積注2))、投与2日目以降50mg/m2(ただし1日用量として70mgを超えない)、1日1回約60分間かけて静脈内投与したときの薬物動態パラメータを表2に示す。なお、3ヵ月未満の小児患者の本薬の投与量は1日1回25mg/m2で、アムホテリシンB製剤と併用投与した。[7.3参照]
表2 日本人及び外国人小児患者にカスポファンギンを1日1回反復静脈内投与したときの定常状態における平均薬物動態パラメータ
薬物動態
パラメータ
日本人小児患者外国人小児患者
例数幾何平均
(95%信頼区間)
例数幾何平均
(95%信頼区間)
0~2ヵ月
AUC0-24hr(μg・hr/mL)
C1hr(μg/mL)1211.1††
(8,13.9)
C24hr(μg/mL)112.4††
(1.8,3.4)
3ヵ月~1歳
AUC0-24hr(μg・hr/mL)10142.60
(116.68,174.29)
C1hr(μg/mL)1018.39
(15.13,22.35)
C24hr(μg/mL)101.90
(1.42,2.54)
2~11歳
AUC0-24hr(μg・hr/mL)8202.43
(159.74,256.53)
35145.99
(131.14,162.52)
C1hr(μg/mL)925.96§
(20.20,33.36)
5517.17
(15.80,18.66)
C24hr(μg/mL)103.62§
(2.38,5.50)
572.41
(2.13,2.72)
12~17歳
AUC0-24hr(μg・hr/mL)7148.26
(93.86,234.18)
22142.64
(124.59,163.30)
C1hr(μg/mL)815.88§
(10.25,24.60)
2915.12
(13.48,16.95)
C24hr(μg/mL)83.01§
(1.87,4.85)
302.96
(2.50,3.50)
† 侵襲性カンジダ症と診断された又は強く疑われた3ヵ月未満の小児患者に対して本剤25mg/m2を約1時間かけて1日1回投与した。すべての小児患者でアムホテリシンB製剤が併用投与された。†† 投与4日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度§ 投与4~14日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度の幾何平均∥ 投与3~14日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度の幾何平均- データなし
16.3 分布
16.3.1 カスポファンギンはヒト血漿蛋白と高度に結合した(約97%)。また、ヒトで赤血球移行性は低かった。
16.3.2 健康成人男性に[3H]-カスポファンギンを単回静脈内投与したとき、マスバランスの結果から、組織中放射能は投与後36~48時間で投与量の約92%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
カスポファンギンは加水分解及びN-アセチル化によって緩徐に代謝される。カスポファンギンから開環ペプチド体が非酵素的に生成されるほか、環状ペプチドを構成するアミノ酸への加水分解及びその誘導体への代謝によってジヒドロキシホモチロシン及びN-アセチルジヒドロキシホモチロシンなどが生成された(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性に[3H]-カスポファンギンを単回静脈内投与したとき、投与後27日で、投与放射能の約41%が尿中、約34%が糞中に排泄された。未変化体の尿中排泄量はわずかであった(投与量の約1.4%)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
(1)軽度肝機能障害患者(Child-Pughスコア5~6)にカスポファンギン70mgを単回静脈内投与したとき、健康成人と比べてカスポファンギンのAUCは約55%増加した。投与初日にカスポファンギン70mg、第2日~第14日に50mgを反復静脈内投与したとき、健康成人と比べて、第7日及び第14日のカスポファンギンのAUCの増加はわずかであった(21~26%)(外国人データ)。
(2)中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)に投与初日にカスポファンギン70mg、第2日~第14日に35mgを反復静脈内投与したとき、第7日及び第14日のカスポファンギンのAUCは健康成人(第1日:70mg、第2日~第14日:50mgを投与)と同程度であった(外国人データ)。[7.1参照]
16.6.2 高齢者
(1)健康高齢者(65歳以上)にカスポファンギン70mgを単回静脈内投与したとき、カスポファンギンのAUCは、健康若年成人と比較してわずかに増加した(約28%)(外国人データ)。
(2)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症患者又は侵襲性カンジダ症患者でも同様に、若年成人患者と比較して高齢患者でわずかな年齢の影響が認められた(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
In vitro試験の結果からカスポファンギンは、肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)の低親和性の基質であることが明らかとなった。また、チトクロームP450(CYP)系薬物代謝酵素の阻害剤ではないことが示された。臨床試験では、カスポファンギンは他の薬剤のCYP3A4代謝を誘導しなかった。カスポファンギンはP-gpの基質ではなく、またCYPによりほとんど代謝されなかった。
16.7.1 シクロスポリンとの併用
健康成人にカスポファンギン70mgを1日1回反復静脈内投与時にシクロスポリン4mg/kgを単回又は3mg/kgを12時間間隔で2回経口投与したとき、カスポファンギンのAUCは約35%増加した。カスポファンギンはシクロスポリンの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 タクロリムスとの併用
健康成人にカスポファンギン70mgを1日1回反復静脈内投与時にタクロリムス0.1mg/kgを12時間間隔で2回経口投与したとき、タクロリムスの投与後12時間の血中濃度は26%減少した。一方、タクロリムスはカスポファンギンの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 リファンピシンとの併用
健康成人にカスポファンギン50mg(静脈内投与)及びリファンピシン600mg(経口投与)を1日1回14日間反復併用投与したとき、第1日にカスポファンギンのAUCは約60%増加した。リファンピシンの定常状態でカスポファンギンと併用した際は、カスポファンギンのC24hrは約30%減少したものの、AUC及びC1hrはほとんど変化しなかった。一方、カスポファンギンはリファンピシンの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[7.2、7.5、10.2参照]
16.7.4 薬物クリアランスの誘導作用を有する薬剤との併用
母集団薬物動態解析の結果から、成人患者では薬物クリアランスの誘導作用を有する薬剤(エファビレンツ、ネビラピン、デキサメタゾン、フェニトイン及びカルバマゼピン)とカスポファンギンとの併用により、カスポファンギンの血中濃度は臨床的に有意に低下する可能性が示唆された。また、小児患者でも薬物クリアランスの誘導作用を有する薬剤(デキサメタゾン)との併用により、成人患者と同様、カスポファンギンの血中濃度は臨床的に有意に低下する可能性が示唆された。[7.2、7.5、10.2参照]
16.7.5 その他の薬剤との併用
健康成人でイトラコナゾール、アムホテリシンB、ミコフェノール酸モフェチル又はネルフィナビルとカスポファンギンを併用した際、カスポファンギンの薬物動態はこれらの薬剤の影響を受けなかった。また、カスポファンギンはイトラコナゾール、アムホテリシンB及びミコフェノール酸(ミコフェノール酸モフェチルの活性代謝物)の活性代謝物の薬物動態に影響しなかった(外国人データ)。
注1)本剤の承認された用量は、通常、成人にはカスポファンギンとして投与初日は70mg又は50mgを1日1回、投与2日目以降は50mgを1日1回である。
注2)患者の体表面積(BSA)は、Mosteller式により算出した。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン
[16.7.1参照]
本剤をシクロスポリンと併用した際、シクロスポリンの血中濃度に変化はみられなかったが、本剤のAUCは増加した。また、両薬剤の併用により一過性のALT及びAST増加が認められた。シクロスポリンが投与されている患者への本剤の投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとすること。両薬剤を併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングの実施を考慮すること。併用による本剤のAUCの増加には、トランスポーター(OATP1B1)を介した本剤の肝取り込みの阻害が関与していると考えられる。
タクロリムス
[16.7.2参照]
本剤をタクロリムスと併用した際、タクロリムスの投与後12時間血中濃度(C12hr)を減少させたが、本剤の血中濃度に有意な変化はみられなかった。本剤とタクロリムスを併用する場合は、タクロリムスの血中濃度のモニタリング及び用量調節が推奨される。機序不明
リファンピシン
[7.2、7.5、16.7.3参照]
本剤をリファンピシン単回投与と併用した際、本剤のAUCが増加した。リファンピシンの誘導作用が定常状態下で本剤を併用した際、本剤のトラフ濃度が減少した。いずれにおいても、リファンピシンの血中濃度に有意な変化はみられなかった。リファンピシンの併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)を介した輸送過程が影響すると考えられる。
エファビレンツ
ネビラピン
フェニトイン
デキサメタゾン
カルバマゼピン
[7.2、7.5、16.7.4参照]
これらの薬剤と本剤の併用により、臨床的に有意な本剤の血中濃度の低下が生じるおそれがある。これらの薬剤の併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも取り込み輸送過程が影響すると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
発疹、顔面腫脹、血管浮腫、そう痒症、熱感、気管支痙攣、呼吸困難、潮紅等の異常があらわれることがある。
11.1.2 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、Al-Pの上昇や肝機能障害があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満頻度不明
眼障害眼そう痒症
胃腸障害悪心、腹部圧痛、下痢、血便排泄、下部消化管出血、口の感覚鈍麻嘔吐
全身障害及び投与局所様態悪寒、発熱、血管穿刺部位炎症腫脹、末梢性浮腫
肝胆道系障害肝機能異常
臨床検査ALT増加、AST増加、γ-GTP増加血中Al-P増加、血中カリウム減少、プロトロンビン時間延長、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、血中ビリルビン増加、血中カルシウム減少、血中クロール増加、血中ブドウ糖減少、血中カリウム増加、CRP増加、ヘマトクリット減少、血小板数減少、総蛋白減少、白血球数減少、尿中ビリルビン増加、好酸球数増加、LDH増加ヘモグロビン減少、抱合ビリルビン増加、血中アルブミン減少、血中クレアチニン増加、血中マグネシウム減少
代謝及び栄養障害糖尿病低カリウム血症、高カルシウム血症
神経系障害浮動性めまい、頭痛、失神
皮膚及び皮下組織障害発疹そう痒症、多汗症
血管障害静脈炎、高血圧、血管障害潮紅
呼吸器、胸郭及び縦隔障害肺水腫呼吸困難
血液及びリンパ系障害貧血
腎及び尿路障害腎機能障害
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