今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

シクロスポリンカプセル10mg「日医工」、他

一部のコンテンツを閲覧になるにはご契約が必要となります。

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○下記の臓器移植における拒絶反応の抑制

    • 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
  • ○骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制

  • ○ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る)

  • ○尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬

  • ○再生不良性貧血、赤芽球癆

  • ○ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)

  • ○全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)

  • ○アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)

  • ○細胞移植に伴う免疫反応の抑制

用法・用量

  • <腎移植>

    • 通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量9~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、以後1日2mg/kgずつ減量する。維持量は1日量4~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
  • <肝移植>

    • 通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
  • <心移植、肺移植、膵移植>

    • 通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量10~15mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量2~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
  • <小腸移植>

    • 通常、シクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。ただし、通常移植1日前からシクロスポリン注射剤で投与を開始し、内服可能となった後はできるだけ速やかに経口投与に切り換える。
  • <骨髄移植>

    • 通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量6~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、3~6ヵ月間継続し、その後徐々に減量し中止する。
  • <ベーチェット病及びその他の非感染性ぶどう膜炎>

    • 通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与を開始し、以後1ヵ月毎に1日1~2mg/kgずつ減量又は増量する。維持量は1日量3~5mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
  • <乾癬>

    • 通常、1日量5mg/kgを2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は1ヵ月毎に1日1mg/kgずつ減量し、維持量は1日量3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。
  • <再生不良性貧血>

    • 通常、シクロスポリンとして1日量6mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減する。
  • <ネフローゼ症候群>

    • 通常、シクロスポリンとして下記の用量を1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
    • (1)頻回再発型の症例

      • 成人には1日量1.5mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量2.5mg/kgを投与する。
    • (2)ステロイドに抵抗性を示す症例

      • 成人には1日量3mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量5mg/kgを投与する。
  • <全身型重症筋無力症>

    • 通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は徐々に減量し、維持量は3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。
  • <アトピー性皮膚炎>

    • 通常、成人にはシクロスポリンとして1日量3mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが1日量5mg/kgを超えないこと。
  • <細胞移植に伴う免疫反応の抑制>

    • 再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 臓器移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
  • 1.2 アトピー性皮膚炎における本剤の投与は、アトピー性皮膚炎の治療に精通している医師のもとで、患者又はその家族に有効性及び危険性を予め十分説明し、理解したことを確認した上で投与を開始すること。[9.7.1参照]
  • 1.3 本剤はサンディミュン(内用液又はカプセル)と生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上しているので、サンディミュンから本剤に切り換える際には、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)の上昇による副作用の発現に注意すること。特に、高用量での切り換え時には、サンディミュンの投与量を上回らないようにするなど、注意すること。十分なサンディミュン使用経験を持つ専門医のもとで行うこと。
    一方、本剤からサンディミュンへの切り換えについては、シクロスポリンの血中濃度が低下することがあるので、原則として切り換えを行わないこと。特に移植患者では、用量不足によって拒絶反応が発現するおそれがある。[7.1、8.2、16.1.1、16.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 タクロリムス(外用剤を除く)、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ボセンタン、アリスキレン、アスナプレビル、バニプレビル、グラゾプレビル、ペマフィブラートを投与中の患者[10.1参照]
  • 2.3 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを服用中の患者[9.2、9.3、10.2参照]
  • 2.4 生ワクチンを接種しないこと[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 膵機能障害のある患者
膵機能が悪化するおそれがある。
9.1.2 高血圧症の患者
血圧の上昇及び症状の悪化が報告されている。
9.1.3 感染症のある患者
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。
9.1.4 悪性腫瘍又はその既往歴のある患者
免疫抑制により進行又は再発するおそれがある。
9.1.5 PUVA療法を含む紫外線療法中の患者
[10.2参照]
9.1.6 肝炎ウイルスキャリアの患者
肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。
9.1.7 神経ベーチェット病の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。[8.10参照]
9.2 腎機能障害患者
腎機能が悪化するおそれがあるため、慎重に投与すること。また、コルヒチンを服用中の患者には投与しないこと。[2.3、10.2参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能が悪化し、本剤の代謝あるいは胆汁中への排泄が遅延するおそれがあるため、慎重に投与すること。また、コルヒチンを服用中の患者には投与しないこと。[2.3、10.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で催奇形作用、また、難産及び周産期死亡が報告されている。ヒトで胎盤を通過することが報告されている。妊娠中に本剤を投与された女性において、早産及び児への影響(低出生体重、先天奇形)の報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行するとの報告がある。
9.7 小児等
9.7.1 アトピー性皮膚炎患者へは本剤投与による治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等に対する本剤の臨床試験は実施されていない。[1.2参照]
なお、他の適応疾患については、適応患者の選択を慎重に行い、投与する際には患者の状態を十分に観察すること。低出生体重児、新生児又は乳児に対する臨床試験は実施していない。
9.7.2 一般に小児での多毛の発現率(10~18%)は成人(2~6%)に比べ高い傾向がある。
9.7.3 小児のネフローゼ症候群に投与する際には、副作用の発現に十分注意すること。一般に小児と成人の副作用の発現率は同程度(35%前後)であるが、ネフローゼ症候群に対する臨床試験の結果(サンディミュン内用液及びカプセルでの成績)では成人(18~32%)に比べ小児(26~41%)で発現率が高い傾向がみられ、特に小児での多毛(10~18%)、ALP上昇(7%前後)の発現が成人(多毛:2~3%、ALP上昇:1%前後)に比べ高かった。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤投与時のシクロスポリンの吸収は患者により個人差があるので、血中濃度の高い場合の副作用並びに血中濃度の低い場合の拒絶反応の発現等を防ぐため、患者の状況に応じて血中濃度を測定すること。[7.2参照]
8.2 本剤からサンディミュンへの切り換えは、本剤とサンディミュン(内用液又はカプセル)が生物学的に同等ではないことからシクロスポリンの血中濃度が低下するおそれがあるため、このような切り換えは原則として行わないこと。やむを得ず切り換える場合は、血中濃度の測定を頻回に行うとともに患者の状態を十分観察し、必要に応じて投与量を調節すること。[1.3、16.1.1、16.1.2参照]
8.3 本剤はサンディミュン(内用液又はカプセル)と生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上しており、シクロスポリン含有量が同じでも血中濃度に差があるため、本剤とサンディミュンを同時に用いることは避けること。[16.1.1、16.1.2参照]
8.4 腎・肝・膵機能障害等の副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血球数算定、クレアチニン、BUN、ビリルビン、AST、ALT、アミラーゼ、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1、11.1.2、11.1.7参照]
8.5 感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[11.1.4参照]
8.6 他の免疫抑制剤と併用する場合は、過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、悪性リンパ腫発生の可能性があるので、十分注意すること。[10.2、11.1.11参照]
8.7 本剤の投与により副腎皮質ホルモン剤維持量の減量が可能であるが、副腎皮質ホルモン剤の副作用の発現についても引き続き観察を十分に行うこと。
8.8 血圧上昇があらわれることがあり、可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症に至ることがあるので、定期的に血圧測定を行い、血圧上昇があらわれた場合には、降圧剤治療を行うなど適切な処置を行うこと。[11.1.3参照]
8.9 低マグネシウム血症により中枢神経系障害があらわれることがあるので、特に移植直後は血清マグネシウム値に注意し、マグネシウム低下がみられた場合にはマグネシウムを補給するなど、適切な処置を行うこと。
<ベーチェット病>
8.10 神経ベーチェット病症状(頭痛、発熱、情動失禁、運動失調、錐体外路症状、意識障害、髄液細胞増多等)の誘発又は悪化が報告されているので注意して使用し、経過を十分観察すること。[9.1.7、11.1.12参照]
<ネフローゼ症候群>
8.11 特に腎機能検査値(クレアチニン、BUN等)の変動に注意すること。
<アトピー性皮膚炎>
8.12 リンパ節腫脹を合併することがあるが、通常は自然に消失するか疾患の改善により消失する。患者の状態を定期的に観察し、本剤によってアトピー性皮膚炎が改善された後にリンパ節腫脹が持続している場合は、悪性リンパ腫の除外診断のため生検を実施することが望ましい。
8.13 活動性単純ヘルペス感染は、本剤投与前に治療しておくことが望ましい。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 サンディミュン(内用液又はカプセル)から本剤に切り換えて投与する場合は、原則として1:1の比(mg/kg/日)で切り換えて投与するが、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)が上昇して副作用を発現するおそれがあるので、切り換え前後で血中濃度の測定及び臨床検査(血清クレアチニン、血圧等)を頻回に行うとともに患者の状態を十分観察し、必要に応じて投与量を調節すること。ただし、通常の開始用量(初めてサンディミュンを服用する時の投与量)より高い用量を服用している患者で、一時的に免疫抑制作用が不十分となっても病状が悪化して危険な状態に陥る可能性のない患者では、切り換え時の投与量は多くても通常の開始用量とし、血中濃度及び患者の状態に応じて投与量を調節すること。[1.3、16.1.1、16.1.2参照]
7.2 本剤の投与にあたっては血中トラフ値(trough level)を測定し、投与量を調節すること。[8.1参照]
7.2.1 臓器移植患者に投与する際には、過量投与による副作用の発現及び低用量投与による拒絶反応の発現等を防ぐため、血中濃度の測定を移植直後は頻回に行い、その後は1ヵ月に1回を目安に測定し、投与量を調節すること。
7.2.2 ベーチェット病及びその他の非感染性ぶどう膜炎、乾癬、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎患者に投与する際には、副作用の発現を防ぐため、1ヵ月に1回を目安に血中濃度を測定し、投与量を調節することが望ましい。
<臓器移植>
7.3 3剤あるいは4剤の免疫抑制剤を組み合わせた多剤免疫抑制療法を行う場合には、本剤の初期投与量を低く設定することが可能な場合もあるが、移植患者の状態及び併用される他の免疫抑制剤の種類・投与量等を考慮して投与量を調節すること。
<再生不良性貧血>
7.4 本剤の投与量及び投与期間について、診療ガイドライン等の最新の情報を参考とし、効果がみられない場合は他の適切な治療法を考慮すること。
<ネフローゼ症候群>
7.5 本剤の効果は、通常、1~3ヵ月であらわれるが、3ヵ月以上継続投与しても効果があらわれない場合には投与を中止することが望ましい。また、効果がみられた場合には、その効果が維持できる用量まで減量することが望ましい。
7.6 本剤の使用前に副腎皮質ホルモン剤が維持投与されている場合は、その維持量に本剤を上乗せすること。症状により、副腎皮質ホルモン剤は適宜減量するが、増量を行う場合には本剤の使用は一旦中止すること。
<アトピー性皮膚炎>
7.7 投与期間はできる限り短期間にとどめること。本剤の投与中は有効性及び安全性の評価を定期的に行うこと。8週間の投与でも改善がみられない場合には投与を中止すること。なお、1回の治療期間は12週間以内を目安とする。

5.効能又は効果に関連する注意

<再生不良性貧血>
5.1 診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。また、寛解例で本剤投与中止後に再燃したため再投与する場合の有効性及び安全性については、十分な評価が確立していないので、患者の状態をみながら治療上の有益性が優先すると判断される場合にのみ投与すること。
<ネフローゼ症候群>
5.2 副腎皮質ホルモン剤に反応はするものの頻回に再発を繰り返す患者、又は副腎皮質ホルモン剤治療に抵抗性を示す患者に限ること。
<全身型重症筋無力症>
5.3 本剤を単独で投与した際の有効性については使用経験がなく明らかでない。
<アトピー性皮膚炎>
5.4 ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の既存治療で十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ患者を対象にすること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 移植後腎機能の安定した18例の腎移植患者に、それまで服用していたサンディミュンと同量のネオーラル又はサンディミュンをクロスオーバー法で投与した時(1日2回12時間毎)、全血中シクロスポリン濃度を測定して比較した結果、単位投与量当たりの薬物動態パラメータは、表のとおりであった。[1.3、7.1、8.2、8.3参照]
パラメータネオーラルサンディミュン変化率(%)
AUC0-12hr/Dose
(ng・hr/mL/mg)
34.4±11.1429.4±14.1917
Cmax/Dose(ng/mL/mg)11±2.9448.61±4.70127.8
Cmin/Dose(ng/mL/mg)0.749±0.4270.701±0.426.8
Tmax(hr)1.1±0.21.6±1.57-31.3
(平均値±S.D.)※変化率=100×(ネオーラル-サンディミュン)/サンディミュン
16.1.2 サンディミュンに吸収不良を示す20例の腎移植患者で、ネオーラルの投与によりdose normalizedしたCmaxおよぴAUC0-12(投与後12時間までのAUC)の平均値は各々サンディミュンに比べ約1.9倍および2.7倍に増加した。(吸収不良例:dose normalized AUC1-5hrが10ng・hr/mL/mg以下)[1.3、7.1、8.2、8.3参照]
16.1.3 生物学的同等性試験
(1)シクロスポリンカプセル10mg「日医工」
シクロスポリンカプセル10mg「日医工」及びネオーラル10mgカプセルを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(シクロスポリンとして10mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して全血中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0→12
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
シクロスポリン
カプセル10mg「日医工」
52.4±14.722.6±4.51.30±
0.26
2.27±
0.83
ネオーラル
10mgカプセル
52.1±13.722.0±4.41.20±
0.42
2.49±
0.95
(1カプセル投与,Mean±S.D., n=10)
(2)シクロスポリンカプセル25mg「日医工」
シクロスポリンカプセル25mg「日医工」及びネオーラル25mgカプセルを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(シクロスポリンとして25mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して全血中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0→12
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
シクロスポリン
カプセル25mg「日医工」
223.1±71.994.7±20.81.43±
0.44
1.89±
0.60
ネオーラル
25mgカプセル
203.2±59.387.4±22.41.50±
0.49
1.72±
0.51
(1カプセル投与,Mean±S.D., n=20)
(3)シクロスポリンカプセル50mg「日医工」
シクロスポリンカプセル50mg「日医工」及びネオーラル50mgカプセルを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(シクロスポリンとして50mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して全血中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0→24
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
シクロスポリン
カプセル50mg「日医工」
746.8±166.2254.5±59.91.55±
0.39
4.74±
1.29
ネオーラル
50mgカプセル
768.7±167.7275.0±67.91.43±
0.41
5.21±
1.97
(1カプセル投与,Mean±S.D., n=20)
全血中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
ネオーラルはサンディミュンと比較して胆汁分泌量や食事による影響を受けにくいとの報告がある。
16.4 代謝
シクロスポリンは主としてチトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝され、主要代謝物はモノヒドロキシ体、ジヒドロキシ体、N-脱メチル体であった(外国人のデータ)。
16.5 排泄
シクロスポリンは主として胆汁を介して排泄される。腎機能が保たれている患者に3H-シクロスポリンを経口投与した場合、尿中排泄率は6%で、未変化体としては投与量の0.1%であった(96時間値)(外国人のデータ)。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン
(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)
[2.4参照]
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。
タクロリムス(外用剤を除く)
(プログラフ)
[2.2参照]
本剤の血中濃度が上昇することがある。また、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので併用しないこと。本剤の代謝が阻害されること及び副作用が相互に増強されると考えられる。
ピタバスタチン
(リバロ)
ロスバスタチン
(クレストール)
[2.2参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇(ピタバスタチン:Cmax6.6倍、AUC4.6倍、ロスバスタチン:Cmax10.6倍、AUC7.1倍)し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、横紋筋融解症等の重篤な副作用が発現するおそれがある。本剤により、これらの薬剤の血漿中の濃度が上昇する。
ボセンタン
(トラクリア)
[2.2参照]
ボセンタンの血中濃度が急激に上昇したとの報告があり、副作用が発現するおそれがある。また、本剤の血中濃度が約50%低下したとの報告がある。本剤が、ボセンタンのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、ボセンタンの血中濃度が上昇すると考えられる。また、ボセンタンはCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられる。
アリスキレン
(ラジレス)
[2.2参照]
アリスキレンの血中濃度が上昇するおそれがある。空腹時の併用投与によりアリスキレンのCmaxが約2.5倍、AUCが約5倍に上昇した。本剤のP糖蛋白阻害によりアリスキレンのP糖蛋白を介した排出が抑制されると考えられる。
アスナプレビル
(スンベプラ)
[2.2参照]
アスナプレビルの治療効果が減少するおそれがある。本剤の有機アニオントランスポーター阻害により、これらの薬剤の肝取込みが抑制されると考えられる。
バニプレビル
(バニヘップ)
グラゾプレビル
(グラジナ)
[2.2参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。本剤の有機アニオントランスポーター阻害により、これらの薬剤の肝取込みが抑制されると考えられる。
ペマフィブラート
(パルモディア)
[2.2参照]
ペマフィブラートの血中濃度が上昇したとの報告がある。本剤の有機アニオントランスポーター及びCYP3A阻害により、ペマフィブラートの血中濃度が上昇すると考えられる。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
PUVA療法を含む紫外線療法
[9.1.5参照]
PUVA療法を含む紫外線療法との併用は皮膚癌発現のリスクを高める危険性があるため、やむを得ず併用する場合は定期的に皮膚癌又は前癌病変の有無を観察すること。PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告があり、本剤併用による免疫抑制下では皮膚癌の発現を促進する可能性がある。
免疫抑制剤
ムロモナブCD3(OKT3)
抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)製剤等
[8.6参照]
過度の免疫抑制が起こることがある。共に免疫抑制作用を有するため。
ホスカルネット
アムホテリシンB
アミノ糖系抗生物質
ゲンタマイシン
トブラマイシン等
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
シプロフロキサシン
バンコマイシン
ガンシクロビル
フィブラート系薬剤
ベザフィブラート
フェノフィブラート等
腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
メルファラン注射剤腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。機序は不明である。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク
ナプロキセン
スリンダク
インドメタシン等
腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク
ナプロキセン
スリンダク
インドメタシン等
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
アミオダロン
カルシウム拮抗剤
ジルチアゼム
ニカルジピン
ベラパミル
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
ジョサマイシン等
キヌプリスチン・ダルホプリスチン
クロラムフェニコール
アゾール系抗真菌剤
フルコナゾール
イトラコナゾール等
ノルフロキサシン
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル
サキナビル等
コビシスタットを含有する製剤
卵胞・黄体ホルモン剤
ダナゾール
ブロモクリプチン
アロプリノール
フルボキサミン
イマチニブ
ダサチニブ
テラプレビル
シメプレビル
スチリペントール
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
代謝酵素の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
メトクロプラミド本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
胃腸運動が亢進し、胃内容排出時間が短縮されるため、本剤の吸収が増加すると考えられる。
アセタゾラミド
カルベジロール
ヒドロキシクロロキン
メトロニダゾール
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
機序は不明である。
グレープフルーツジュース本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
リファンピシン
チクロピジン
抗てんかん剤
フェノバルビタール
フェニトイン
カルバマゼピン
モダフィニル
デフェラシロクス
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
オクトレオチド
ランレオチド
パシレオチド
プロブコール
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。これらの薬剤が本剤の吸収を阻害すると考えられる。
テルビナフィン本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。機序は不明である。
エトラビリン本剤の血中濃度に影響を与える可能性があるため、注意して投与すること。エトラビリンの代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度に変化が起こることがある。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。セイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素が本剤の代謝を促進すると考えられる。
副腎皮質ホルモン剤高用量メチルプレドニゾロンとの併用により本剤の血中濃度上昇及び痙攣の報告がある。また、プレドニゾロンのクリアランスを低下させるとの報告もある。相互に代謝を阻害すると考えられる。
ドセタキセル
パクリタキセル
本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。代謝酵素を競合することにより、本剤又はこれらの薬剤の代謝が阻害される可能性がある。
レテルモビル本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。レテルモビルのCYP3A阻害により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、本剤の有機アニオントランスポーター阻害によりレテルモビルの血中濃度が上昇する可能性がある。
エゼチミブ本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。機序は不明である。
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル本剤又はパリタプレビルの血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。リトナビルのCYP3A4阻害及びパリタプレビルの有機アニオントランスポーター阻害により本剤の血中濃度が上昇すると考えられる。本剤の有機アニオントランスポーター、乳癌耐性蛋白及びP糖蛋白阻害により、パリタプレビルの血中濃度が上昇すると考えられる。
コルヒチン
[2.3、9.2、9.3参照]
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。機序は不明である。
コルヒチン
[2.3、9.2、9.3参照]
コルヒチンの血中濃度が上昇し、コルヒチンの作用が増強するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察すること。なお、肝臓又は腎臓に障害のある患者にはコルヒチンを投与しないこと。本剤のP糖蛋白阻害によりコルヒチンの血中濃度が上昇することがある。
トルバプタン
チカグレロル
レンバチニブ
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
ダビガトラン
エドキサバン
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強するおそれがある。本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
リファキシミンリファキシミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。本剤のP糖蛋白、CYP3A4、有機アニオントランスポーター阻害によりリファキシミンの血中濃度が上昇することがある。
リオシグアトリオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがある。P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害によりリオシグアトの血中濃度が上昇することがある。
グレカプレビル・ピブレンタスビルこれらの薬剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。本剤の有機アニオントランスポーター、P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害により、これらの薬剤の血中濃度が上昇すると考えられる。
レパグリニドレパグリニドの血中濃度が上昇し、血糖降下作用が増強するおそれがある。本剤が、レパグリニドのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、レパグリニドの血中濃度が上昇すると考えられる。
カスポファンギンカスポファンギンのAUCが増加したとの報告がある。また、併用により一過性のAST及びALTの増加が認められたとの報告がある。本剤が投与されている患者へのカスポファンギンの投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングを考慮すること。本剤がカスポファンギンの肝細胞への取り込みを抑制することによると考えられる。
HMG-CoA還元酵素阻害剤
シンバスタチン
プラバスタチン等
筋肉痛、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とした急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、患者の状態を十分に観察すること。HMG-CoA還元酵素阻害剤の血中からの消失が遅延すると考えられる。
ジゴキシンジゴキシンの血中濃度が上昇することがあるので、ジゴキシンの血中濃度を参考に投与量を調節するなどジギタリス中毒に注意すること。ジゴキシンの腎からの排泄を抑制すると考えられる。
ジゴキシン高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
アンブリセンタン本剤との併用によりアンブリセンタンの血中濃度が上昇しAUCが約2倍になるとの報告がある。機序は不明である。
テオフィリンテオフィリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、テオフィリンの血中濃度を参考に投与量を調節すること。機序は不明である。
不活化ワクチン
不活化インフルエンザワクチン等
ワクチンの効果が得られないおそれがある。免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
ニフェジピン歯肉肥厚があらわれやすい。歯肉肥厚の副作用が相互に増強されると考えられる。
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン等
エプレレノン
カリウム製剤
ACE阻害剤
アンジオテンシンII受容体拮抗剤
β-遮断剤
ヘパリン
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
利尿剤
チアジド系利尿剤
フロセミド等
高尿酸血症及びこれに伴う痛風があらわれやすいので、血中尿酸値に注意すること。高尿酸血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
ブロナンセリン
ナルフラフィン
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。代謝酵素の競合により、これらの薬剤の代謝が阻害されると考えられる。
エベロリムスエベロリムスのバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。本剤の用量を変更する際には、エベロリムスの用量調節も行うこと。代謝酵素の競合により、エベロリムスの代謝が阻害されると考えられる。
エベロリムスエベロリムスが本剤の腎毒性を増強するおそれがある。機序は不明である。
ミコフェノール酸モフェチルミコフェノール酸モフェチルの血中濃度が低下したとの報告がある。ミコフェノール酸モフェチルの腸肝循環が阻害され血中濃度が低下すると考えられる。
アメナメビルアメナメビルの血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。機序は不明である。
外用活性型ビタミンD3製剤
タカルシトール
カルシポトリオール
血清カルシウム値が上昇する可能性がある。本剤による腎機能低下があらわれた場合に、活性型ビタミンD3による血清カルシウム値上昇がよりあらわれやすくなると考えられる。
エルトロンボパグエルトロンボパグの血中濃度が低下したとの報告及び高値を示したとの報告がある。機序は不明である。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<効能共通>
11.1.1 腎障害(5%以上)
腎機能障害は本剤の副作用として高頻度にみられる。主な発現機序は用量依存的な腎血管収縮作用によると考えられ、通常、減量又は休薬により回復する。BUN上昇、クレアチニン上昇を示し腎血流量減少、糸球体濾過値の低下がみられる。尿細管機能への影響としてカリウム排泄減少による高カリウム血症、尿酸排泄低下による高尿酸血症、マグネシウム再吸収低下による低マグネシウム血症がみられる。また、器質的な腎障害(尿細管萎縮、細動脈病変、間質の線維化等)があらわれることがある。移植後の大量投与や、腎疾患のある患者への使用あるいは腎毒性のある薬剤[10.1、10.2参照]との併用により起こりやすい。なお、腎移植後にクレアチニン、BUNの上昇がみられた場合は、本剤による腎障害か拒絶反応かを注意深く観察し、鑑別する必要がある。[8.4参照]
11.1.2 肝障害、肝不全(1%~5%未満)
肝機能障害、黄疸等の肝障害、肝不全があらわれることがあるので、AST、ALT、ALP、LDH、ビリルビンの上昇等の異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.3 可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害(1%未満)
全身痙攣、意識障害、失見当識、錯乱、運動麻痺、小脳性運動失調、視覚障害、視神経乳頭浮腫、不眠等の症状があらわれた場合には、CT、MRIによる画像診断を行うとともに、本剤を減量又は中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等適切な処置を行うこと。[8.8参照]
11.1.4 感染症(1%~5%未満)
細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症(肺炎、敗血症、尿路感染症、単純疱疹、帯状疱疹等)を併発することがある。アトピー性皮膚炎患者で黄色ブドウ球菌による皮膚感染を併発した場合は、適切な抗菌剤によってコントロールすること。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。強力な免疫抑制下では急激に重症化することがある。[8.5参照]
11.1.5 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.6 BKウイルス腎症(頻度不明)
11.1.7 急性膵炎(1%未満)
初期症状として上腹部の激痛、発熱、血糖上昇、アミラーゼ上昇等があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.8 血栓性微小血管障害
溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)(1%未満)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様症状(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神神経症状を主徴とする)(頻度不明)等の血栓性微小血管障害があらわれることがある。
11.1.9 溶血性貧血、血小板減少(各1%未満)
11.1.10 横紋筋融解症(1%未満)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.11 悪性腫瘍(1%未満)
他の免疫抑制剤と併用する場合に、過度の免疫抑制により悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)の発現の可能性が高まることがある。[8.6参照]
<ベーチェット病>
11.1.12 神経ベーチェット病症状(1%~5%未満)
神経ベーチェット病症状(頭痛、発熱、情動失禁、運動失調、錐体外路症状、意識障害、髄液細胞増多等)が誘発又は悪化することがあるので、このような場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.10参照]
<全身型重症筋無力症>
11.1.13 クリーゼ(頻度不明)
使用に際しては患者の状態をよく観察し、このような症状があらわれた場合には人工呼吸器等の適切な処置を行うこと。
ネオーラル内用液・カプセル、サンディミュン内用液・カプセル・注射液に関する使用成績調査を含む。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1%~5%未満1%未満頻度不明
過敏症発疹
循環器血圧上昇
血液貧血、白血球減少
消化器悪心・嘔吐消化管潰瘍、腹痛、胃部不快感、食欲不振、下痢、腹部膨満感
皮膚多毛脱毛、ざ瘡
精神神経系振戦頭痛、しびれ、めまい、眠気、異常感覚、末梢神経障害片頭痛
代謝異常糖尿・高血糖、高尿酸血症、高脂血症高カリウム血症、低マグネシウム血症、体液貯留
感覚器耳鳴、難聴視力障害
筋骨格系ミオパシー、筋痛、筋脱力、筋痙攣、関節痛下肢痛
その他歯肉肥厚出血傾向(鼻出血、皮下出血、消化管出血、血尿)、熱感、のぼせ、発熱、けん怠感、浮腫、体重増加、女性化乳房月経障害、良性頭蓋内圧亢進症

ネオーラル内用液・カプセル、サンディミュン内用液・カプセル・注射液に関する使用成績調査を含む。

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから