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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制

用法・用量

  • 通常、成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mgを1日1回経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤を含むB型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の重度の急性増悪が報告されている。
    そのため、B型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと。経過に応じて、B型肝炎に対する再治療が必要となることもある。[8.1、8.5参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 HIV/HBV重複感染患者
本剤のみの投与は避けること。薬剤耐性HIVが出現する可能性がある。[8.4参照]
9.1.2 腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査も実施すること。[7.3、8.2、9.2、10.2、11.1.1、16.6.1参照]
9.2 腎機能障害患者
高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.3、8.2、9.1.2、10.2、11.1.1、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 非代償性肝硬変患者
非代償性肝硬変患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。テノホビルはサルにおいて胎盤を通過することが認められているが、胎児組織への蓄積は認められていない。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤は、主として腎臓から排泄されるが、一般に高齢者では生理機能が低下しているため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤によるB型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B型慢性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用すること。[1.、8.5参照]
8.2 本剤の投与に際しては、クレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能障害の有無に注意すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。[7.3、9.1.2、9.2、10.2、11.1.1、16.6.1参照]
8.3 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を長期間行った患者において、骨粗鬆症が発現し、股関節領域等の骨折を起こした症例が報告されている。
長期投与時には定期的に骨密度検査を行うなど骨密度減少に注意し、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、海外臨床試験において、本剤の96週間投与により、腰椎と大腿骨の骨密度の低下が認められている。主な骨密度の低下は、腰椎では投与開始後24週時にかけて、大腿骨では投与開始後72週時にかけて発現した。
8.4 本剤を投与する前にHIV感染の有無を確認すること。[9.1.1参照]
8.5 本剤は、投与中止により肝機能の悪化若しくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること。[1.、8.1参照]

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与期間、併用薬等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。
7.2 本剤の有効成分であるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。またテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
7.3 腎機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するので、腎機能の低下に応じて次の投与方法を目安とする。[8.2、9.1.2、9.2、11.1.1、16.6.1参照]
クレアチニンクリアランス投与方法
50mL/min以上300mgを1日1回
30~49mL/min300mgを2日に1回
10~29mL/min300mgを3~4日に1回
血液透析患者300mgを7日に1回注)又は累積約12時間の透析終了後に300mgを投与
注)血液透析実施後。なお、クレアチニンクリアランスが10mL/min未満で、透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤投与開始に先立ち、HBV-DNA定量により、ウイルスの増殖を確認すること。
5.2 本剤の投与開始時期、他の抗ウイルス剤に対する耐性がみられた患者への使用等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性に本剤300mgを空腹時に経口投与した場合、本剤の活性成分であるテノホビルの血清中濃度は1.2±0.5時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCはそれぞれ212±43ng/mL及び2197±516ng・hr/mLであった。テノホビルの消失は二相性を示し、最終相の半減期は15.1±2.3時間であった。
健康成人に本剤300mgを空腹時に経口投与した場合、テノホビルの血清中濃度はそれぞれ1.0±0.4時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCは、それぞれ296±90ng/mL及び2287±685ng・hr/mLであった(外国人データ)。
テノホビルの薬物動態は、本剤の投与量が75~600mgの範囲において用量に比例し、また、反復投与による影響を受けなかった(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人に本剤300mgを軽食とともに経口投与した時の血清中テノホビルの全身曝露量は空腹時投与と同程度であったものの、健康成人に本剤300mgを高脂肪食(食事内容:1055kcal、脂肪54%)摂取後に単回経口投与した時の血清中テノホビルのAUC(0-t)は空腹時に比べて約40%、Cmaxは約14%上昇した(外国人データ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
HIV患者に本剤300mgを空腹時に投与した時の経口バイオアベイラビリティは25%であった(外国人データ)。
16.3 分布
テノホビル1.0mg/kg及び3.0mg/kg静脈内投与後の定常状態での分布容積は、それぞれ1.3±0.6L/kg及び1.2±0.4L/kgであった(外国人データ)。テノホビルのヒト血漿及び血清蛋白結合率(in vitro)は、0.01~25μg/mLのテノホビル濃度範囲においてそれぞれ0.7%未満及び7.2%未満であった。
16.4 代謝
In vitro試験から、テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示されている。
16.5 排泄
テノホビルを静脈内投与した場合は、投与量の70~80%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。テノホビルは、糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される。また、健康成人男性に本剤300mgを空腹時に経口投与した時、投与後48時間までのテノホビルの尿中排泄率は24±4%であり、腎クリアランス(CLr)は287±64mL/minであった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
腎機能低下者を対象に、本剤300mgを単回投与した場合、クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者において、テノホビルのCmax及びAUCが上昇した(表1)(外国人データ)。
表1 腎機能低下を有する患者に本剤300mgを単回経口投与した後の血清中テノホビルの薬物動態パラメータ
CLcr(mL/min)例数Cmax(ng/mL)AUC(0-inf)(ng・hr/mL)CL/F(mL/min)CLr(mL/min)
>803335.5±31.82184.5±257.41043.7±115.4243.5±33.3
50~8010330.4±61.03063.8±927.0807.7±279.2168.6±27.5
30~498372.1±156.16008.5±2504.7444.4±209.8100.6±27.5
<30(12~28)注1)11601.6±185.315984.7±7223.0177.0±97.143.0±31.2
末期腎不全患者(透析前)91061±252.844900.8±12956.8注2)
末期腎不全患者(透析後)8904.5±326.315768.1±5366.3注2)
Mean±SD注1)CLcrが10mL/min未満で、透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない。注2)AUC(0-t)
なお、血液透析による除去率は54%で、本剤300mg単回投与時には4時間の血液透析により投与量の約10%が除去された。[7.3、8.2、9.1.2、9.2、10.2、11.1.1、13.1参照]
16.7 薬物相互作用
In vitro試験において、in vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において、テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4、CYP2D6、CYP2C9、CYP2E1又はCYP1A1/2)を阻害しなかったが、テノホビル ジソプロキシルはCYP1A1/2をわずかに(6%)阻害した。また、テノホビル ジソプロキシルはPgp及びBCRPの、テノホビルはOAT1、OAT3及びMRPの基質であり、テノホビル ジソプロキシルはMRP、BCRP、OAT1、OAT3、OCT2及びMATE1を、テノホビルはPgp、MRP、BCRP、OAT3、OCT2及びMATE1を介した輸送を阻害しないと考えられた。[10.参照]
16.7.1 ジダノシン
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とジダノシンを併用投与した時、ジダノシンのAUC及びCmaxがそれぞれ60%及び64%上昇した。本剤の薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 ロピナビル・リトナビル
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とロピナビル・リトナビルを併用投与した時、テノホビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ32%、15%及び51%上昇した。ロピナビル及びリトナビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 レジパスビル・ソホスブビル
TDF含有製剤として、エファビレンツ・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ98%及び79%上昇した。エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び32%上昇した。アタザナビル、リトナビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ35%及び47%上昇した。ダルナビル、リトナビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ50%及び64%上昇した。レジパスビル及びソホスブビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
注)TDF含有製剤として、エファビレンツ・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩600・200・300mgを1日1回、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・25・300mgを1日1回、アタザナビル300mg、リトナビル100mg及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgをそれぞれ1日1回又はダルナビル800mg、リトナビル100mg及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgをそれぞれ1日1回、レジパスビル・ソホスブビル90・400mgと併用投与した。
16.7.4 ベルパタスビル・ソホスブビル
TDF含有製剤として、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とベルパタスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び44%上昇した。また、ラルテグラビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とベルパタスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び46%上昇した。ベルパタスビル及びソホスブビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
注)TDF含有製剤として、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・25・300mgを1日1回、又はラルテグラビル400mgを1日2回及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgを1日1回、ベルパタスビル・ソホスブビル100・400mgと併用投与した。
16.7.5 アタザナビル
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とアタザナビルの併用により、アタザナビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ25%、21%及び40%低下し、テノホビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ24%、14%及び22%上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 その他の薬剤
アバカビル、サキナビル+リトナビル、ネルフィナビル、ラミブジン、インジナビル、エファビレンツとの併用により、テノホビルの薬物動態に変化はみられなかった。本剤との併用により、アバカビル、ノルゲスチメート・エチニルエストラジオール、リバビリン、サキナビル+リトナビル、ネルフィナビル、ラミブジン、インジナビル、エファビレンツの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ジダノシン
[16.7.1参照]
膵炎、乳酸アシドーシス等のジダノシンによる副作用を増強するおそれがあるので、ジダノシンの減量を考慮すること。機序不明だが、ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。
アタザナビル硫酸塩
[16.7.4参照]
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので、本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には、本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また、本剤による副作用を増強するおそれがある。機序不明だが、アタザナビルのAUC、Cmax及びCminが低下し、テノホビルのAUC、Cmax及びCminが上昇する。
ロピナビル・リトナビル
[16.7.2参照]
本剤による副作用を増強するおそれがある。機序不明だが、テノホビルのAUC及びCminが上昇する。
アシクロビル
バラシクロビル塩酸塩
ガンシクロビル
バルガンシクロビル塩酸塩
これらの薬剤又は本剤による副作用を増強するおそれがある。尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により、排泄が遅延し、これらの薬剤又は本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
レジパスビル・ソホスブビル
[16.7.3参照]
本剤とレジパスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇する。作用機序は不明であるが、本剤が基質となるPgp及びBCRPに対するレジパスビルの阻害作用が関与すると考えられる。
ベルパタスビル・ソホスブビル
[16.7.4参照]
本剤とベルパタスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇する。作用機序は不明であるが、本剤が基質となるPgp及びBCRPに対するベルパタスビルの阻害作用が関与すると考えられる。
腎毒性を有する薬剤
[8.2、9.1.2、9.2、11.1.1、16.6.1参照]
併用は避けることが望ましい。腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腎不全等の重度の腎機能障害(頻度不明)
腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等観察を十分に行い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。[7.3、8.2、9.1.2、9.2、10.2、16.6.1参照]
11.1.2 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
11.1.3 膵炎(頻度不明)
血中アミラーゼ、リパーゼ、血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられ、膵炎と診断された場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1~5%未満1%未満頻度不明
消化器悪心、腹痛下痢、嘔吐、鼓腸
腎臓蛋白尿、多尿
肝臓肝炎
過敏症アレルギー反応(血管浮腫)
代謝低カリウム血症、低リン酸血症、体脂肪の再分布/蓄積
筋骨格骨軟化症(骨痛、骨折)、ミオパチー
臨床検査肝機能検査値異常(AST、ALT及びγ-GTP増加等)、クレアチニン増加、アミラーゼ増加、リパーゼ増加
その他発疹浮動性めまい、呼吸困難、無力症
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