製品名 トレプロスト注射液20mg
トレプロスト注射液50mg
トレプロスト注射液100mg
トレプロスト注射液200mg

一般名
Treprostinil
薬効分類
昇圧・心不全・冠動脈・末梢血管疾患薬
 >プロスタサイクリン誘導体製剤
価格
20mg20mL1瓶:178508円/瓶
50mg20mL1瓶:325469円/瓶
100mg20mL1瓶:511854円/瓶
200mg20mL1瓶:803546円/瓶

製薬会社
効能・効果
用法・容量

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスII、III及びIV)

用法・用量

  • 通常、成人にはトレプロスチニルとして1.25ng/kg/分の投与速度で持続静脈内投与又は持続皮下投与を開始する。この初期投与速度が本剤の全身性の副作用により耐えられない場合は、投与速度を0.625ng/kg/分に減量する。
  • 患者の状態を十分に観察しながら、原則、最初の4週間は、1週間あたり最大1.25ng/kg/分で増量し、その後は臨床症状に応じて1週間あたり最大2.5ng/kg/分で増量し、最適投与速度を決定する。1週間あたり1.25又は2.5ng/kg/分を超えて増量する場合、患者の忍容性を十分確認しながら慎重に投与する。最適投与速度の決定にあたっては、本剤の副作用と肺高血圧症状の改善を指標とする。
禁忌

【警告】

  • 外国で本剤の急激な中止により死亡に至った症例が報告されているので、本剤を休薬又は投与中止する場合は、徐々に減量すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 右心不全の急性増悪時の患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがあるので、カテコールアミンの投与等の処置を行い、状態が安定するまでは投与しないこと。]
  • 重篤な左心機能障害を有する患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。]
  • 重篤な低血圧患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。]
副作用
血圧低下、失神(頻度不明注1)
過度の血圧低下、失神があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血(頻度不明注1)
消化管出血、鼻出血、皮下注射部位又はカテーテル留置部位の出血等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
血小板減少(10.5%)、好中球減少(2.6%)
血小板減少、好中球減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
甲状腺機能亢進症(頻度不明注1)
甲状腺機能亢進症があらわれることがあるので、必要に応じて甲状腺機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
血流感染(21.7%)
持続静脈内投与時に中心静脈カテーテル留置に伴う合併症として重篤な血流感染があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
注射部位の局所反応(100%注2)
持続皮下投与時に注射部位の局所反応(疼痛、紅斑、腫脹、熱感等)が高頻度にあらわれることがある。特に持続皮下投与の継続が困難な疼痛があらわれることがあるため、これらの症状があらわれた場合には、適切な処置(NSAIDs内服、クーリング/ヒーティング等)を行うこと。
注1)自発報告又は海外での報告のため頻度不明。
注2)重篤性にかかわらず、注射部位の局所反応すべての頻度を算出した。
注意

次の患者には慎重に投与すること

高度に肺血管抵抗が上昇している患者[肺血管抵抗が高度に上昇した病態を示す肺高血圧症の末期と考えられる患者では、心機能も著しく低下していることから、観察を十分に行い慎重に投与すること。]
出血傾向のある患者[本剤の血小板凝集抑制作用により、出血を助長するおそれがある。]
低血圧の患者[本剤の血管拡張作用により、血圧をさらに低下させるおそれがある。]
肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇する。また、重度の肝障害のある患者での使用経験はない。](「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
腎障害のある患者[排泄が遅延するおそれがある。]
本剤の投与は、病状の変化への適切な対応が重要であるため、緊急時に十分な対応が可能な医療施設において肺高血圧症及び心不全の治療に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例にのみ行うこと。
自己投与に移行する前に、自己投与方法(薬液調製方法、無菌的操作方法、精密持続点滴装置の操作方法等)について予め患者に十分教育を行い、患者自らが適切に使用可能と医師が判断した患者に対してのみ投与を開始すること。
持続皮下投与にあたっては、下記の点に注意すること。
神経走行部位、発赤、硬結、挫傷、線条、瘢痕、浮腫、結節、ベルトライン等の部位は避けること。
注射針刺入直後に疼痛を訴えた場合は、直ちに注射針を抜き、部位を変えて刺入すること。
注射部位は腹部、臀部、上腕、大腿等広範囲に求め、順序良く移動し、同一部位への短期間内の繰り返し注射を避けること。なお、国内臨床試験では腹部が主な投与部位とされた。
国内臨床試験において、持続皮下投与時に注射部位の局所反応が高頻度に認められた。注射部位の局所反応(特に注射部位疼痛)があらわれた場合には、適切な処置(NSAIDs内服、クーリング/ヒーティング等)を実施すること。持続皮下投与の継続が困難な場合、本剤の投与中止又は持続静脈内投与への変更を検討すること。
持続静脈内投与にあたっては、敗血症などの重篤な感染症があらわれることがあるので、下記の点に注意すること。
薬液の調製、薬液の交換及び輸液セットの交換は、無菌的に行うこと。
注射部位は常に清潔に保つこと。注射部位を保護するドレッシング材等を交換する際は、注射部位の観察を行うこと。
注射部位の異常や原因不明の発熱が認められた場合は、医師又はその他医療従事者に連絡し、指示を受けるよう患者に指導すること。
中心静脈カテーテルを介した感染が起こった場合など、臨床的に必要と判断される場合は一時的に末梢静脈内投与を行うことを考慮すること。血栓性静脈炎のリスクがあるため、なるべく太い静脈を選び、長期間の末梢静脈内投与は避けること。
肺静脈閉塞性疾患を有する患者では、本剤の血管拡張作用により、心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。肺静脈閉塞性疾患を有する患者に対しては本剤を投与しないことが望ましい。
本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。
臨床試験において、めまい等が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
投与経路
本剤は静脈内投与又は皮下投与にのみ使用すること。
使用時
本剤の変色又はバイアル内に微粒子が認められるものは使用しないこと。
配合変化試験を実施していないので、他の薬剤との混合は避けること。
静脈内投与の場合、日局注射用水又は日局生理食塩液で希釈して投与する。皮下投与の場合、希釈せずそのまま投与する。
保存及び取扱い
本剤を希釈した場合、37℃では48時間以内に投与を終了すること。また、本剤を希釈せずに薬液容器に入れた場合、37℃では72時間以内に投与を終了すること。
薬液交換時、使用後の薬液容器内の残液は再使用しないこと。
穿刺後のバイアルは30日以内に使用すること。
投与時
精密持続点滴装置の誤操作により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、本剤の投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。また、精密持続点滴装置の故障や誤作動等により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、精密持続点滴装置は常に予備を用意しておくこと。(投与量の過多又は不足により、本剤の血管拡張作用に関連する副作用が発現したり、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがある。)
カテーテルの閉塞により、本剤の投与量が不足し、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがあるので、カテーテルの閉塞が疑われた場合(精密持続点滴装置のアラームが作動、薬液容器内の残量が通常より多い等)には、至急適切な処置を行うこと。
投与開始時及び投与速度調節の際は患者の症状をよく観察し、心拍数、血圧等血行動態の変化による副作用の発現に留意し、異常が認められた場合には本剤の減量など適切な処置を行うこと。
肺高血圧症状が急激に増悪するおそれがあるので、突然の投与中止又は急激な減量を避けること。
本剤の減量中又は投与中止後に症状の悪化又は再発が認められることがあるので、患者の状態に注意し、このような場合には、適宜増量又は再投与する等の適切な処置を行うこと。
本剤の消失半減期は0.8~4.6時間であるため、長時間投与を中止した後再開する場合には投与速度を再設定すること。
本剤の投与経路を変更する場合は、原則、同一用量で変更し、変更後は患者の症状をよく観察すること。
肝障害のある患者において、本剤の血中濃度が上昇するため、0.625ng/kg/分から投与を開始し、慎重に増量すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)
国内外において290ng/kg/分を超えた投与速度の経験は少ないため、290ng/kg/分を超えて投与する場合は患者の状態に十分注意すること。
本剤は肺動脈性肺高血圧症と診断された患者にのみ使用すること。
先天性短絡性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症については、Eisenmenger症候群あるいは術後に肺高血圧の残存している患者にのみ使用すること。
本剤は経口肺血管拡張薬で十分な治療効果が得られない場合に適用を考慮すること。
特発性肺動脈性肺高血圧症、遺伝性肺動脈性肺高血圧症及び膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症以外の肺動脈性肺高血圧症における有効性及び安全性は確立していない。
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので注意すること。

妊婦・産婦・授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ウサギ)において骨格変異(腰肋骨)を有する胎児の出現率の増加がヒトでの推定最高全身曝露量(推定最高臨床用量525ng/kg/分投与時)の0.1倍で認められている。]
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[類薬の動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
血中濃度
健康成人
健康成人24例に、本剤を持続皮下投与又は持続静脈内投与(2.5、5、10又は15ng/kg/分、150分間)したときの薬物動態パラメータ(Cmax、Css、tmax、AUC及びt1/2)は以下のとおりであった。皮下投与及び静脈内投与ともにCmax及びAUCは投与量(投与速度)にほぼ比例して増加した。皮下投与時の生物学的利用率は99~124%であった。
健康成人に150分間持続皮下投与したときの血漿中濃度推移
健康成人に150分間持続静脈内投与したときの血漿中濃度推移
健康成人に150分間持続皮下投与又は持続静脈内投与したときの薬物動態パラメータ注1)
投与経路投与速度
(ng/kg/分)
nCmax
(ng/mL)
Css注2)
(ng/mL)
tmax
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
t1/2注3)
(hr)
皮下2.560.29±0.060.27±0.062.4±0.30.67±0.150.53±0.16
560.57±0.070.51±0.062.6±0.01.26±0.150.61±0.18
1060.95±0.130.94±0.092.5±0.22.35±0.220.82±0.15
1541.25±0.131.15±0.112.5±0.02.89±0.270.82±0.21
静脈内2.560.24±0.040.22±0.042.1±0.60.54±0.090.14±0.04
560.54±0.030.48±0.041.4±1.01.19±0.110.29±0.10
1060.93±0.060.87±0.062.3±0.32.18±0.160.52±0.16
1551.30±0.201.25±0.231.8±0.63.12±0.570.79±0.27
(Mean±S.D.)注1)モデルに依存しない解析により算出注2)投与速度と全身クリアランスから算出した定常状態における血漿中濃度(推定値)注3)検出された最終消失相の消失半減期
生物学的同等性
健康成人51例に本剤を持続皮下投与又は持続静脈内投与(10ng/kg/分、72時間)したときの定常状態(投与開始から48~72時間)におけるCmax及びAUCは生物学的に同等であることが確認された(外国人データ)。
肺動脈性肺高血圧症患者
WHO機能分類クラスII~IVの肺動脈性肺高血圧症患者38例に本剤を持続皮下投与又は持続静脈内投与したときの定常状態における血漿中濃度は、皮下投与が定量下限未満(<0.025)~10.944ng/mL(投与速度の範囲:1.250~81.942ng/kg/分)、静脈内投与が0.480~24.861ng/mL(投与速度の範囲:3.125~161.000ng/kg/分)であった。各被験者の血漿中濃度は概ね投与速度に比例して増加した。
肺動脈性肺高血圧症患者に持続皮下投与又は持続静脈内投与したときの定常状態における血漿中濃度
分布
In vitro試験において、トレプロスチニルのヒト血漿たん白結合率は、96.1~96.3%(平衡透析法)、91.0%(限外ろ過法)であり、結合率に濃度依存性は認められなかった。
健康成人24例に、本剤を持続皮下投与又は持続静脈内投与(15ng/kg/分、150分間)したときの消失相の分布容積(VZ及びVZ/F)は、皮下投与では926mL/kg、静脈内投与では815mL/kgであった。
代謝・排泄
In vitro試験において、トレプロスチニルは主にCYP2C8(一部CYP2C9)により代謝されることが示唆された。トレプロスチニルは各種CYP分子種(CYP1A2、2A6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A及び3A4)に対して顕著な阻害は示さなかった。また、ヒト肝細胞を用いた試験において、CYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19及び3A4の顕著な誘導は認められなかった。
健康成人24例に、本剤を持続皮下投与又は持続静脈内投与(2.5、5、10又は15ng/kg/分、150分間)したとき、投与開始後48時間までに、未変化体及び未変化体のグルクロナイドとして、皮下投与ではそれぞれ投与量の5.4~6.8%及び11.2~15.0%、静脈内投与ではそれぞれ投与量の4.5~6.1%及び11.0~13.5%が尿中に排泄された。
健康成人6例に14Cで標識した本剤を持続皮下投与(15ng/kg/分、8時間)したとき、投与開始後224時間までに、投与放射能の78.6%が尿中に、13.4%が糞中に排泄された。尿中には、未変化体として投与放射能の3.7%が排泄され、5種の代謝物(3種のトレプロスチニル3-ヒドロキシオクチル側鎖の酸化体、未変化体のグルクロナイド、1種の構造未同定代謝物)が、それぞれ投与放射能の10.2~15.5%排泄された(外国人データ)。
相互作用(外国人データ)
本剤を用いた試験の成績
アセトアミノフェン
健康成人26例にアセトアミノフェン1000mgを6時間ごとに7回反復経口投与し、5回目の投与の後、本剤を15ng/kg/分で6時間併用持続皮下投与したとき、本剤の薬物動態に影響は認められなかった。
ワルファリン
健康成人15例に本剤を5ng/kg/分(1日目)及び10ng/kg/分(2~9日目)で持続皮下投与し、3日目にワルファリン25mgを併用経口投与したとき、血清中R-ワルファリン及びS-ワルファリンの薬物動態に影響は認められなかった。また、ワルファリンの抗凝固作用(プロトロンビン時間の国際標準比(INR)値)に影響は認められなかった。
本剤の有効成分であるトレプロスチニルの経口剤を用いた海外臨床試験の成績
ボセンタン
健康成人23例にトレプロスチニルの経口剤1mgを1日2回とボセンタン125mgを1日2回、4.5日間反復併用経口投与したとき、トレプロスチニル及びボセンタンの薬物動態に影響は認められなかった。
シルデナフィル
健康成人18例にトレプロスチニルの経口剤1mgを1日2回とシルデナフィル20mgを1日3回、4.5日間反復併用経口投与したとき、トレプロスチニル及びシルデナフィルの薬物動態に影響は認められなかった。
リファンピシン
健康成人20例にトレプロスチニルの経口剤1mgを1日目(単独投与)及び11日目(併用投与)に経口投与し、リファンピシン600mgを3日目から12日目に反復経口投与したとき、11日目のトレプロスチニルのCmax及びAUCはそれぞれ16.6%及び21.7%低下した。
ゲムフィブロジル(国内未承認)
健康成人20例にゲムフィブロジル600mgを1日2回、4日間反復経口投与し、3日目にトレプロスチニルの経口剤1mgを併用経口投与したとき、トレプロスチニルのCmax及びAUCはそれぞれ96.4%及び91.6%上昇した。
フルコナゾール
健康成人20例にフルコナゾールを7日間反復経口投与(1日目400mg、引き続き200mgを6日間)し、6日目にトレプロスチニルの経口剤1mgを併用経口投与したとき、AUCがやや低下したものの(14.6%低下)、トレプロスチニルの薬物動態に顕著な影響は認められなかった。
肝機能障害患者(外国人データ)
軽度又は中等度(Child-Pugh分類クラスA又はB)の肝機能障害を有する門脈肺高血圧症患者9例に本剤を持続皮下投与(10ng/kg/分、150分間)したとき、軽度(5例)及び中等度(4例)の肝機能障害患者におけるCmax及びAUCは、健康成人に比べて、軽度肝機能障害患者がそれぞれ127%及び161%、中等度肝機能障害患者がそれぞれ340%及び412%上昇した。