製品名 (無効20190430)
ヴィキラックス配合錠
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- 一般名
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Ombitasvir Hydrate
Paritaprevir Hydrate
Ritonavir - 薬効分類
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抗ウイルス薬>抗肝炎ウイルス薬
- 価格
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1錠:22201.1円/錠
- 製薬会社
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- 製造販売元:アッヴィ合同会社.
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
- セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
用法・用量
セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の場合
- 通常,成人には1日1回2錠(オムビタスビルとして25mg,パリタプレビルとして150mg及びリトナビルとして100mg)を食後に経口投与し,投与期間は12週間とする.
セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善の場合
- リバビリンとの併用において,通常,成人には1日1回2錠(オムビタスビルとして25mg,パリタプレビルとして150mg及びリトナビルとして100mg)を食後に経口投与し,投与期間は16週間とする.
- 禁忌
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【警告】
- 本剤は,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること.
【禁忌】次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 中等度以上(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害のある患者
次の薬剤を投与中の患者
アゼルニジピン,トリアゾラム,ミダゾラム,ブロナンセリン,ピモジド,エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ),タダラフィル(アドシルカ),リバーロキサバン,バルデナフィル塩酸塩水和物,リオシグアト,シンバスタチン,アトルバスタチンカルシウム水和物,カルバマゼピン,フェニトイン,ホスフェニトインナトリウム水和物,フェノバルビタール,リファンピシン,エファビレンツ,セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品,エチニルエストラジオール含有製剤(「相互作用」の項参照)
- 腎機能又は肝機能障害のある患者で,コルヒチンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 副作用
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- セログループ1(ジェノタイプ1)
- 体液貯留
- 末梢性浮腫(4.1%),浮腫(1.4%),顔面浮腫(0.6%),肺水腫(0.3%)があらわれることがある.低血圧(1.1%),無尿(0.3%)に至った例も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.なお,体液貯留はCa拮抗剤を併用している患者であらわれやすい.(「相互作用」の項参照)
- 肝機能障害,肝不全
- ALT(GPT)※(0.3%),ビリルビン※※(0.3%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある.また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがある.肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い,観察を十分に行うこと.悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.ALT(GPT)が基準値上限の10倍を持続的に超える場合,あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
- ※基準値上限5倍超,※※基準値上限3倍超
- 急性腎不全(頻度不明)
- 急性腎不全があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
- セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)
- 体液貯留
- 末梢性浮腫(1.9%),浮腫(0.6%),顔面浮腫,肺水腫があらわれることがある.低血圧(0.6%),無尿に至った例も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.なお,体液貯留はCa拮抗剤を併用している患者であらわれやすい.(「相互作用」の項参照)
- 肝機能障害,肝不全
- ALT(GPT)※(1.3%),ビリルビン※※(3.8%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある.また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがある.肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い,観察を十分に行うこと.悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.ALT(GPT)が基準値上限の10倍を持続的に超える場合,あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
- ※基準値上限5倍超,※※基準値上限3倍超
- 急性腎不全(頻度不明)
- 急性腎不全があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
- 貧血
- 貧血(10.1%)があらわれることがあるので,ヘモグロビン量を定期的に測定するなど観察を十分に行い,ヘモグロビン量の減少を認めた場合は,リバビリンの添付文書に従いリバビリンの用量を調節するなど,適切な処置を行うこと.
- 注意
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次の患者には慎重に投与すること
- B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化するおそれがある.](「重要な基本的注意」の項参照)
- 肝機能障害があらわれることがあるので,本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと.肝機能障害は主に本剤投与開始4週以内にあらわれやすいので,投与開始初期は必要に応じてより頻回に肝機能検査を行うこと.肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察すること.肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「副作用」の項参照)
- B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において,C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後,C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている.本剤投与に先立って,B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること.B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は,HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること.
- 本剤投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン,BUN等)を行うこと.特に,腎機能が低下している患者,Ca拮抗剤を併用している患者では,急激に腎機能が悪化することがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.(「重大な副作用」の項参照)
- セログループ2(ジェノタイプ2)に対しては,リバビリンと併用するため,リバビリンの添付文書に記載されている,警告,禁忌,慎重投与,重要な基本的注意,重大な副作用等の使用上の注意を必ず確認すること.
- 薬剤交付時
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
- セログループ2(ジェノタイプ2)において,本剤と併用するリバビリンの投与量は,リバビリンの添付文書に定められた用法・用量に従うこと.併用にあたっては,投与開始前にヘモグロビン量が12g/dL以上であることを確認すること.また,投与中にリバビリンの用量調節や投与中止を必要とする副作用が発現した場合には,リバビリンの添付文書を参照すること.
- 本剤の使用に際しては,HCV RNAが陽性であることを確認すること.
- セログループ1(ジェノタイプ1)においては,肝予備能,臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認すること.また,セログループ2(ジェノタイプ2)においては,組織像又は肝予備能,血小板数等により肝硬変でないことを確認すること.
- セログループ2(ジェノタイプ2)においては,IFN製剤による治療経験の有無等により,有効性が異なるため,本剤によるベネフィット・リスクを考慮したうえで,投与の可否を判断すること.(「臨床成績」の項参照)
- 本剤をHIV/HCV重複感染患者に使用する場合,抗HIV療法によってHIVのウイルス学的抑制が得られている患者にのみ投与すること.(本剤に含まれるリトナビルにより,HIVプロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じるおそれがある.)
- 一般に高齢者では生理機能が低下しており,既往歴や合併症を伴っていることが多いので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
- セログループ1(ジェノタイプ1)
- 妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.]
- セログループ2(ジェノタイプ2)
- 本剤はリバビリンと併用するため,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.また,妊娠していないことを確認するため,治療開始に先立ちリバビリンの添付文書を参照し,妊娠検査を実施すること.[リバビリンの動物実験で催奇形性及び胚・胎児致死作用が認められている.]
- 授乳中の婦人には投与しないこと.やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.[本剤成分がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告されている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質M13,オムビタスビル未変化体が認められた.]
- 小児等における安全性は確立していない.[使用経験がない.]
- 血中濃度と薬物動態パラメータ
- 単回投与(日本人データ)
- 健康成人被験者におけるオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル(25mg/150mg/100mg)空腹時及び非絶食時単回経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動態パラメータを下表に示す.
- 健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)単回経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動態パラメータ
空腹時(20例) 高脂肪朝食(20例) 最小二乗幾何平均比(90%信頼区間) オムビタスビル Cmax(ng/mL) 59.0(27) 115(26) 1.953(1.681-2.269) Tmax(h) 4.0(3.0-6.0) 5.0(4.0-6.0) - AUC∞(ng・h/mL) 847(26) 1462(20) 1.725(1.522-1.956) t1/2(h) 24.2(18.6-41.6) 23.5(18.5-36.1) - パリタプレビル Cmax(ng/mL) 321(123) 1598(68) 4.982(3.253-7.628) Tmax(h) 4.0(2.0-6.0) 5.0(4.0-8.0) - AUC∞(ng・h/mL) 2383(117) 7822(68) 3.283(2.362-4.563) t1/2(h) 5.7(3.5-11.1) 5.4(4.0-8.9) - リトナビル Cmax(ng/mL) 881(62) 1203(37) 1.366(1.031-1.809) Tmax(h) 4.0(2.0-5.0) 5.0(4.0-6.0) - AUC∞(ng・h/mL) 5553(52) 7465(38) 1.344(1.097-1.647) t1/2(h) 4.3(3.3-5.5) 3.9(3.1-6.3) - Cmax及びAUC∞:幾何平均(CV%)Tmax:中央値(範囲)t1/2:調和平均(範囲)
- 反復投与(日本人データ)
- 健康成人被験者にオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル(25mg/150mg/100mg)を1日1回14日間食後反復経口投与した.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの曝露量は9~12日後に定常状態に到達した.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの14日目の薬物動態パラメータを下表に示す.
- 健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)1日1回14日間反復経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動態パラメータ
オムビタスビル パリタプレビル リトナビル Cmax(ng/mL) 154(21) 3840(46) 1748(19) Tmax(h) 5.0(14) 4.3(28) 4.0(16) AUC24(ng・h/mL) 1558(21) 19625(49) 9707(23) C24(ng/mL) 29.7(23) 37.8(46) 19.3(51) Cmax,AUC24及びC24:幾何平均(CV%)Tmax:平均(CV%)
- 分布(外国人データ)
- オムビタスビルのヒト血漿蛋白結合率は0.09~9μg/mLで99.9%であった.パリタプレビルのヒト血漿蛋白結合率は0.08~8μg/mLで97~98.6%であった.ヒトにおけるオムビタスビル及びパリタプレビルの血液/血漿中濃度比は約0.5~0.7であり,これらは全血中の主として血漿分画に分布した.
健康成人に25μg静脈内投与したときのオムビタスビルの定常状態分布容積(Vss)は173Lであった.健康成人に100μg静脈内投与したときのパリタプレビルのVssは103Lであった.
- 代謝及び排泄(in vitro及び外国人データ)
- オムビタスビルはアミド加水分解を経て酸化的代謝を受ける.パリタプレビルは主としてCYP3A4/5により代謝される.リトナビルは主としてCYP3A4/5により代謝される.
健康成人における14C-オムビタスビルの単回経口投与で,投与量の90.2%(未変化体87.8%)が糞中に排泄され,1.91%(未変化体0.03%)が尿中に排泄された.
オムビタスビル(パリタプレビル及びリトナビル併用)単回経口投与におけるオムビタスビルの消失半減期は22.3時間であった.
健康成人における14C-パリタプレビル(リトナビル併用)の単回経口投与で,投与量の87.8%(未変化体1.1%)が糞中に排泄され,8.76%(未変化体0.05%)が尿中に排泄された.パリタプレビル(リトナビル及びオムビタスビル併用)単回経口投与後のパリタプレビルの消失半減期は5.1時間であった.
健康成人にオムビタスビル25μgを静脈内投与したときの全身クリアランスは7.51L/hであった.健康成人にパリタプレビル100μg(リトナビルと併用)を静脈内投与したときの全身クリアランスは25.9L/hであった.
- 肝機能障害患者(外国人データ)
- HCV非感染の軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A,スコア5~6),中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B,スコア7~9)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C,スコア10~15)においてオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル,dasabuvir(国内未承認)の単回投与時の薬物動態を検討した.(dasabuvir:NS5BエンコードHCV RNA依存性RNAポリメラーゼに対する非ヌクレオシド系palm1阻害剤.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルとの併用で使用される.)
- 肝機能正常者と比較し,軽度肝機能障害患者において,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルのAUCはそれぞれ8%,29%,34%減少した.
- 肝機能正常者と比較し,中等度肝機能障害患者において,オムビタスビル,リトナビルのAUCは共に30%減少したが,パリタプレビルのAUCは62%増加した.
- 肝機能正常者と比較し,重度肝機能障害患者において,オムビタスビルのAUCは54%減少し,パリタプレビル,リトナビルのAUCはそれぞれ950%及び13%増加した.
- 腎機能障害患者(外国人データ)
- HCV非感染の軽度(CLcr:60~89mL/min),中等度(CLcr:30~59mL/min)及び重度(CLcr:15~29mL/min)の腎機能障害患者において,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル単回投与時の薬物動態を検討した.
- 腎機能正常者と比較し,軽度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均Cmax及びAUCは同程度(1~9%の変化),パリタプレビルの平均Cmax及びAUCは同程度(11%の変化),リトナビルの平均Cmax及びAUCは28~40%高い値であった.
- 腎機能正常者と比較し,中等度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均Cmax及びAUCは同程度(2~14%の変化),パリタプレビルの平均Cmax及びAUCは同程度(19%までの変化),リトナビルの平均Cmax及びAUCは51~76%高い値であった.
- 腎機能正常者と比較し,重度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均Cmax及びAUCは同程度(2~18%の変化),パリタプレビルの平均Cmaxは22%低くAUCは25%高く,リトナビルの平均Cmax及びAUCは71~108%高い値であった.
- C型慢性肝炎患者(日本人データ)
- 本剤(オムビタスビル25mg,パリタプレビル150mg,リトナビル100mg,1日1回)をC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者にジェノタイプ1bではリバビリン非併用で12週間,ジェノタイプ2ではリバビリン併用で12及び16週間投与した.HCVジェノタイプ1b及びジェノタイプ2感染患者における第III相臨床試験から得たデータによりポピュレーションPK解析を実施した.オムビタスビル,パリタプレビル又はリトナビルの見かけのクリアランス又は見かけの分布容積に対してリバビリンの併用は有意な共変量ではなかった.オムビタスビルの定常状態Cmax及びAUCは慢性肝炎患者でそれぞれ55ng/mL及び1140ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ46ng/mL及び932ng・h/mLであった.また,パリタプレビルの定常状態Cmax及びAUCは慢性肝炎患者でそれぞれ197ng/mL及び2970ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ439ng/mL及び6380ng・h/mLであった.リトナビルの定常状態Cmax及びAUCは慢性肝炎患者でそれぞれ154ng/mL及び2500ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ238ng/mL及び3840ng・h/mLであった.ポピュレーションPK解析の被験者平均年齢は60歳(19~76歳)であった.オムビタスビルの経口クリアランス(CL/F)に対して性別,クレアチニンクリアランス及び代償性肝硬変が有意な共変量であった.パリタプレビル及びリトナビルのCL/Fに対して代償性肝硬変のみが有意な共変量であった.
- 薬物相互作用
- in vitroデータ
- パリタプレビルは主にCYP3A4,副次的にCYP3A5で代謝される.リトナビルは主にCYP3Aで代謝され,副次的にCYP2D6で代謝される.パリタプレビル及びリトナビルはCYP3A4基質であり,CYP3A4誘導作用を有する薬剤との併用により,血中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがある.パリタプレビル及びリトナビルの血中濃度はCYP3A4阻害作用を有する薬剤(ケトコナゾール等)により上昇するおそれがある.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルは臨床用量においてCYP1A2,2B6,2C8,2C9,2D6を阻害しなかった.リトナビルはCYP2C19又はCYP1A2で代謝される薬剤の血中濃度を低下させるおそれがある.
オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルはP-gpの基質である.パリタプレビルはBCRPとOATP1B1/1B3の基質である.パリタプレビルはOATP1B1とOATP1B3の阻害剤である.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルはいずれも有機カチオントランスポーター(OCT1)の基質でも阻害剤でもない.パリタプレビルとリトナビルはP-gpとBCRPの阻害剤である.オムビタスビル及びパリタプレビルはUGT1A1の阻害剤であり,リトナビルはCYP3A4の阻害剤である.
- 臨床試験(日本人及び外国人データ)
- 併用薬がオムビタスビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬 用量(mg) 本剤(OBV/PTV/r) 用量(mg) 例数 OBVの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)AUC Cmax ワルファリン 5 単回 25/150/100 QD 11 1.047(0.989,1.109) 1.025(0.949,1.107) プラバスタチン 10 QD 11 0.944(0.878,1.016) 0.975(0.898,1.058) ロスバスタチン 5 QD 12 0.876(0.832,0.923) 0.888(0.812,0.971) ジゴキシン 0.5 単回 11 1.016(0.978,1.056) 0.993(0.946,1.041) ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 1.256(1.197,1.318) 0.978(0.923,1.036) アタザナビル 300 QD 25/150/100 QD 10 0.911(0.814,1.020) 0.834(0.742,0.937) ロピナビル・リトナビル 400・100 BID 18 1.252(1.188,1.319) 1.071(1.012,1.134) ロピナビル・リトナビル 800・200 QPMb 11 1.093(1.003,1.193) 0.970(0.867,1.084) エムトリシタビン・テノホビル 200・300 QD 9 0.999(0.944,1.058) 0.966(0.889,1.049) ダルナビル 800 QD 9 1.006(0.910,1.113) 1.008(0.868,1.171) ダルナビル/リトナビル 600 BID/100 QPMa,b 7 0.727(0.659,0.801) 0.757(0.653,0.878) リルピビリン 25 QDc 10 1.088(1.037,1.141) 1.105(1.022,1.195) シクロスポリン 10 単回 12 1.096(1.071,1.122) 1.061(1.016,1.109) タクロリムス 0.5 単回 11 0.954(0.913,0.995) 0.942(0.891,0.996) カルバマゼピン 200 BIDa 25/150/100 単回 12 0.685(0.635,0.739) 0.690(0.607,0.784) オメプラゾール 40 QD 25/150/100 QD 12 0.996(0.883,1.124) 0.960(0.807,1.144) エスシタロプラム 10 単回 11 1.031(1.000,1.062) 1.157(1.087,1.232) デュロキセチン 60 単回 12 1.043(0.996,1.092) 1.035(0.922,1.162) エチニルエストラジオール/norgestimate 0.035/0.25 QDd 9 0.966(0.814,1.147) 1.047(0.811,1.352) ノルエチステロン 0.35 QDa 12 0.990(0.941,1.041) 1.003(0.934,1.077) アムロジピン 5 単回a 14 1.003(0.971,1.037) 1.002(0.948,1.059) フロセミド 20 単回a 12 1.065(1.009,1.124) 1.136(1.025,1.260) アルプラゾラム 0.5 単回a 12 0.998(0.960,1.037) 0.983(0.928,1.040) ゾルピデム 5 単回a 12 1.034(1.000,1.069) 1.071(0.998,1.149) ウルソデオキシコール酸 50 TIDe 12 0.968(0.935,1.001) 0.951(0.907,0.997) グリチルリチン 80 QDe 12 1.026(0.994,1.059) 1.025(0.961,1.094) ジアゼパム 2 単回a 13 0.975(0.927,1.025) 0.999(0.928,1.076) Hydrocodone bitartrate/アセトアミノフェン 5/300 単回a 15 0.974(0.932,1.018) 1.007(0.926,1.096) Carisoprodol 250 単回a 14 0.949(0.924,0.974) 0.980(0.922,1.040) Cyclobenzaprine 5 単回a 14 1.000(0.966,1.034) 0.975(0.915,1.038) メトホルミン 500 単回a 12 1.007(0.969,1.046) 0.923(0.871,0.979) スルファメトキサゾール/トリメトプリム 800/160 BIDa 25/150/100 単回 11 0.848(0.800,0.899) 0.883(0.832,0.937) ドルテグラビル 50 QDa 25/150/100 QD 11 0.952(0.902,1.004) 0.960(0.894,1.031) アバカビル/ラミブジン 600/300 QDa 11 0.909(0.866,0.953) 0.822(0.758,0.891) ソホスブビル 400 QD 8 0.932(0.866,1.002) 0.960(0.885,1.041) エベロリムス 0.75単回a 12 1.019(0.990,1.050) 0.990(0.951,1.032) シロリムス 0.5 単回a 11 1.020(0.957,1.088) 1.033(0.926,1.151)
- 併用薬がパリタプレビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬 用量(mg) 本剤(OBV/PTV/r) 用量(mg) 例数 PTVの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)AUC Cmax ワルファリン 5 単回 25/150/100 QD 11 1.107(0.937,1.308) 1.154(0.863,1.544) プラバスタチン 10 QD 11 1.329(1.091,1.618) 1.441(1.149,1.807) ロスバスタチン 5 QD 12 1.218(1.052,1.410) 1.396(1.122,1.737) ジゴキシン 0.5 単回 11 1.117(0.997,1.252) 1.152(0.974,1.363) ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 2.161(1.759,2.657) 1.723(1.316,2.255) gemfibrozil 600 BIDf PTV/r
150/100 単回11 1.376(1.178,1.609) 1.214(0.939,1.568) アタザナビル 300 QD 25/150/100 QD 10 2.874(2.082,3.968) 2.742(1.762,4.265) ロピナビル・リトナビル 400・100 BID 18 6.102(4.295,8.669) 4.760(3.544,6.393) ロピナビル・リトナビル 800・200 QPMb 11 3.547(2.366,5.319) 1.783(1.262,2.518) エムトリシタビン・テノホビル 200・300 QD 9 1.041(0.737,1.471) 1.017(0.631,1.641) ダルナビル 800 QD 9 1.937(1.363,2.752) 2.092(1.351,3.239) ダルナビル/リトナビル 600 BID/100 QPMa,b 7 0.590(0.442,0.788) 0.696(0.432,1.120) リルピビリン 25 QDc 10 1.234(0.929,1.638) 1.304(0.942,1.805) シクロスポリン 10 単回 12 1.455(1.289,1.642) 1.389(1.102,1.750) タクロリムス 0.5 単回 11 0.794(0.689,0.915) 0.706(0.549,0.907) カルバマゼピン 200 BIDa 25/150/100 単回 12 0.295(0.231,0.377) 0.344(0.247,0.480) オメプラゾール 40 QD 25/150/100 QD 12 0.926(0.638,1.343) 1.019(0.642,1.618) エスシタロプラム 10 単回 11 1.019(0.816,1.272) 1.188(0.841,1.676) デュロキセチン 60 単回 12 0.963(0.702,1.321) 1.070(0.633,1.808) エチニルエストラジオール/norgestimate 0.035/0.25 QDd 9 0.664(0.422,1.044) 0.700(0.404,1.214) ノルエチステロン 0.35 QDa 12 1.229(0.962,1.570) 1.244(0.954,1.621) アムロジピン 5 単回a 14 0.777(0.684,0.882) 0.774(0.639,0.937) フロセミド 20 単回a 12 0.916(0.695,1.208) 0.925(0.628,1.360) アルプラゾラム 0.5 単回a 12 0.964(0.734,1.267) 0.913(0.636,1.310) ゾルピデム 5 単回a 12 0.680(0.546,0.848) 0.630(0.463,0.857) ウルソデオキシコール酸 50 TIDe 12 0.910(0.778,1.066) 1.006(0.814,1.245) グリチルリチン 80 QDe 12 0.941(0.806,1.098) 0.917(0.746,1.126) ジアゼパム 2 単回a 13 0.912(0.778,1.069) 0.952(0.772,1.175) Hydrocodone bitartrate/アセトアミノフェン 5/300 単回a 15 1.026(0.890,1.182) 1.008(0.803,1.265) Carisoprodol 250 単回a 14 0.957(0.848,1.080) 0.877(0.746,1.031) Cyclobenzaprine 5 単回a 14 1.130(0.995,1.283) 1.141(0.986,1.321) メトホルミン 500 単回a 12 0.795(0.611,1.034) 0.631(0.436,0.913) スルファメトキサゾール/トリメトプリム 800/160 BIDa 25/150/100 単回 11 0.869(0.715,1.057) 0.780(0.606,1.005) ドルテグラビル 50 QDa 25/150/100 QD 11 0.835(0.668,1.042) 0.888(0.694,1.135) アバカビル/ラミブジン 600/300 QDa 11 0.822(0.695,0.971) 0.836(0.686,1.019) ソホスブビル 400 QD 8 0.905(0.623,1.314) 0.899(0.633,1.275) エベロリムス 0.75単回a 12 1.260(1.066,1.489) 1.218(1.034,1.434) シロリムス 0.5 単回a 11 1.189(0.971,1.457) 1.179(0.905,1.537)
- 国内未発売の薬剤を含む
- a.本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ
- b.本剤投与約12時間後にロピナビル/r(800/200mgQPM)とダルナビル/r(600/100mgQPM)を投与した.
- c.朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用.
- d.本剤/dasabuvir(国内未承認)(3例)又は本剤(6例)とエチニルエストラジオール及びnorgestimateとの併用.
- e.日本人データ
- f.PTV/r/dasabuvir(国内未承認)のデータ
- QD:1日1回投与,QPM:1日1回午後投与,BID:1日2回投与,TID:1日3回投与
- 本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響
併用薬 用量(mg) 本剤(OBV/PTV/r) 用量(mg) 例数 併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)AUC Cmax ワルファリン 5 単回a 25/150/100 QD 11 0.845(0.755,0.947) 0.900(0.818,0.991) プラバスタチン 10 QD 10 1.763(1.456,2.134) 1.428(1.086,1.876) ロスバスタチン 5 QD 12 1.334(1.142,1.557) 2.611(2.014,3.386) ジゴキシン 0.5 単回 11 1.364(1.207,1.541) 1.576(1.434,1.731) ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 2.050(1.931,2.176) 1.104(1.049,1.161) アタザナビル 300 QDb 25/150/100 QD 11 0.929(0.847,1.019) 0.896(0.829,0.968) ラルテグラビル 400 BID 12 1.204(0.742,1.953) 1.216(0.783,1.888) ロピナビル・リトナビル 400・100 BID 18 1.132§(1.091,1.174) 1.062§(0.990,1.140) ロピナビル・リトナビル 800・200 QPMd 11 1.169§(1.086,1.260) 1.051§(0.949,1.165) エムトリシタビン 200 QD 9 1.072(1.001,1.148) 0.941(0.835,1.060) テノホビル 300 QD 1.010(0.956,1.067) 0.802(0.714,0.902) ダルナビル 800 QDb※ 9 0.918(0.840,1.003) 0.993(0.915,1.077) ダルナビル/リトナビル 600 BID/100 QPMd※※ 7 0.797§§(0.736,0.863) 0.871§§(0.793,0.957) リルピビリン 25 QDe 10 3.245(2.795,3.768) 2.545(2.077,3.118) シクロスポリン 10 単回 12 4.280(3.656,5.009) 0.825(0.724,0.940) タクロリムス 0.5 単回 11 85.813(67.875,108.491) 4.267(3.491,5.216) カルバマゼピン 200 BIDc 25/150/100 単回 12 1.170(1.126,1.216) 1.104(1.074,1.135) ブプレノルフィン 4-16 QD 25/150/100 QD 11 1.505(1.269,1.784) 1.190(1.013,1.399) ナロキソン 1-4 QD 11 1.113(0.907,1.366) 0.986(0.838,1.159) メサドン 20-120 QDf 12 0.957(0.893,1.026) 0.944(0.899,0.991) オメプラゾール 40 QD 12 0.458(0.273,0.770) 0.475(0.288,0.782) エスシタロプラム 10 単回 11 0.753(0.672,0.844) 0.915(0.849,0.987) デュロキセチン 60 単回 12 0.800(0.711,0.901) 0.832(0.718,0.964) エチニルエストラジオール 0.035 QDg 9 1.055(0.955,1.165) 1.162(0.900,1.501) norgestimate 0.25 QDg 9 2.604(2.301,2.947) 2.014(1.773,2.286) ノルエチステロン 0.35 QDc 12 0.909(0.756,1.092) 0.833(0.686,1.010) アムロジピン 5 単回c 14 2.572(2.312,2.862) 1.262(1.110,1.436) フロセミド 20 単回c 12 1.083(1.004,1.169) 1.419(1.168,1.724) アルプラゾラム 0.5 単回c 12 1.336(1.151,1.550) 1.086(1.030,1.145) ゾルピデム 5 単回c 12 0.953(0.742,1.225) 0.937(0.755,1.163) ウルソデオキシコール酸 50 TIDh 12 0.811(0.692,0.949) 0.904(0.720,1.136) グリチルリチン 80 QDh 12 1.493(1.382,1.613) 1.005(0.985,1.025) ジアゼパム 2 単回c 13 0.775(0.729,0.824) 1.180(1.074,1.298) ノルジアゼパム(ジアゼパム代謝物)c 0.562(0.453,0.697) 1.104(1.026,1.187) Hydrocodone bitartrate 5 単回c 15 1.899(1.719,2.097) 1.265(1.144,1.398) アセトアミノフェン 300 単回c 15 1.169(1.085,1.259) 1.021(0.886,1.178) Carisoprodol 250 単回c 14 0.616(0.545,0.697) 0.542(0.470,0.626) Meprobamate(carisoprodol代謝物)c 1.091(1.025,1.161) 1.174(1.100,1.253) Cyclobenzaprine 5 単回c 14 0.598(0.529,0.676) 0.676(0.613,0.745) Norcyclobenzaprine(cyclobenzaprine代謝物)c 0.741(0.643,0.854) 1.034(0.868,1.230) メトホルミン 500 単回c 12 0.904(0.844,0.968) 0.769(0.713,0.829) スルファメトキサゾール 800 BIDc 25/150/100 単回 11 1.171(1.144,1.197) 1.214(1.151,1.281) トリメトプリム 160 BIDc 11 1.219(1.184,1.256) 1.173(1.124,1.224) ドルテグラビル 50 QDc 25/150/100 QD 11 1.380(1.295,1.469) 1.219(1.153,1.288) アバカビル 600 QDc 11 0.943(0.901,0.986) 0.873(0.777,0.979) ラミブジン 300 QDc 11 0.876(0.821,0.934) 0.778(0.719,0.842) ソホスブビル 400 QD 7 1.930(1.411,2.639) 1.642(0.994,2.712) GS-331007(ソホスブビル代謝物) 1.320(1.253,1.390) 1.161(1.038,1.300) エベロリムス 0.75単回c 12 27.119(24.457,30.070) 4.742(4.288,5.245) シロリムス 0.5 単回c 11 37.993(31.484,45.847) 6.403(5.338,7.682) 国内未発売の薬剤を含むa.S-ワルファリンの変化量.R-ワルファリンの変化量も同様であった.b.本剤非併用時にはリトナビル100mgをQD投与した.c.本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータd.本剤投与約12時間後にロピナビル/r(800/200mgQPM)とダルナビル/r(600/100mgQPM)を投与した.e.朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用.f.S-メサドンの変化量g.本剤/dasabuvir(国内未承認)(3例)又は本剤(6例)とエチニルエストラジオール及びnorgestimateとの併用.h.日本人データ※ ダルナビルCmin:26%減少 変化率0.741(90%信頼区間:0.627,0.877)※※ ダルナビルCmin:43%減少 変化率0.567(90%信頼区間:0.432,0.668)§ ロピナビルの変化率§§ ダルナビルの変化率QD:1日1回投与,QPM:1日1回午後投与,BID:1日2回投与,TID:1日3回投与
- 心電図に対する影響(外国人データ)
- 健康成人(60例)を対象に,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの組み合わせがQTc間隔に及ぼす影響をプラセボ及び陽性対照のTQT試験で検討した.オムビタスビル,パリタプレビル及びリトナビルは臨床的なQTc延長を示さなかった.