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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症

用法・用量

  • 通常、成人にはイロプロストとして初回は1回2.5μgをネブライザを用いて吸入し、忍容性を確認した上で2回目以降は1回5.0μgに増量して1日6~9回吸入する。1回5.0μgに忍容性がない場合には、1回2.5μgに減量する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 出血している又は出血リスクが高い患者(活動性消化管潰瘍、外傷、頭蓋内出血等)[本剤の血小板凝集抑制作用により、出血を助長するおそれがある。]
  • 2.3 肺静脈閉塞性疾患を有する肺高血圧症の患者[本剤の血管拡張作用により、肺水腫を誘発するおそれがある。]
  • 2.4 重度の冠動脈疾患又は不安定狭心症の患者、6ヵ月以内に心筋梗塞を発症した患者、医師の管理下にない非代償性心不全のある患者、重度の不整脈のある患者、3ヵ月以内に脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳卒中等)を発症した患者、肺高血圧症に関連しない心機能障害を伴う先天性又は後天性心臓弁疾患のある患者[これらの患者における安全性は確立していない。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 気道疾患(急性気管支炎、急性肺感染症、慢性閉塞性肺疾患又は重度の気管支喘息等)を合併している患者
気管支痙攣が誘発されるおそれがある。
9.1.2 低血圧の患者
本剤の血管拡張作用により、低血圧をさらに悪化させるおそれがある。
9.1.3 失神の既往歴のある患者
大きい負荷となる労作等を避けること。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 透析を受けている腎不全患者又は腎障害のある患者(クレアチニン・クリアランス30mL/min以下)
排泄が遅延するおそれがある。[7.3、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.4、16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で、反復持続静脈内投与時に胎児及び新生児に前肢異常(短指)が報告されている。一方、交配14日前から分娩後最長21日目まで反復経口投与したラットにおける曝露量は、ヒトの1日最大曝露量(最高臨床用量5.0μg1日9回投与時)の273倍(Cmax)及び237倍(AUC)であったが、胎児又は出生児の前肢異常は認められなかった。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、静脈内投与)では乳汁中に少量(投与量の1%未満)移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量及び投与間隔を調節するなどした上で、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 肺水腫の兆候がみられた場合には、肺静脈閉塞性疾患との関連性を疑い、投与を中止すること。
8.2 本剤の吸入により失神の頻度が増加した際には、本剤の効果不足又は疾患の悪化も疑い、治療法を再検討すること。
8.3 めまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。特に投与初期には注意すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
使用にあたっては、ネブライザの取扱説明書を用いて、使用方法を患者に十分に指導すること。[7.2参照]
14.2 薬剤投与時の注意
以下の点に注意すること。
・吸入ごとに新しいアンプル全量を使用直前にネブライザに移し、4~10分かけて吸入し、吸入後ネブライザ内に残った液は捨てること。
・本剤の希釈又は他剤との混合は避けること。
・本剤が皮膚に付着したり、眼に入らないように気をつけること。また、本剤を吸入する際には、十分に換気すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 吸入間隔は少なくとも2時間以上あけること。
7.2 本剤の吸入にはI-neb AADネブライザを使用すること。[14.1参照]
7.3 透析を受けている腎不全患者又は腎障害のある患者(クレアチニン・クリアランス30mL/min以下)では、1回2.5μgを通常よりも長い吸入間隔(最大1日6回)で投与し始め、患者の状態を観察しながら吸入間隔を調節すること。1回5.0μgに増量する際にも通常よりも長い吸入間隔(最大1日6回)で投与し、患者の状態を観察しながら吸入間隔を調節すること。[9.2.1、16.6.1参照]
7.4 肝障害のある患者では、1回2.5μgを通常よりも長い吸入間隔(最大1日6回)で投与し始め、患者の状態を観察しながら吸入間隔を調節すること。1回5.0μgに増量する際にも通常よりも長い吸入間隔(最大1日6回)で投与し、患者の状態を観察しながら吸入間隔を調節すること。[9.3、16.6.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 WHO機能分類クラスIにおける有効性及び安全性は確立していない。
5.2 本剤の使用にあたっては、最新の肺動脈性肺高血圧症に対する治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
日本人肺動脈性肺高血圧症患者に本剤2.5及び5.0μgを1日6~9回で12週間吸入投与したとき、本剤は速やかに吸収され、血漿中イロプロスト濃度は、ほとんどの患者において吸入投与終了時にピークに達し、Cmax及びAUCは用量に比例して増加した。消失半減期は約8~9分であった。
投与量(例数)Cmax(pg/mL)tmax※1(min)AUC(pg・h/mL)t1/2(min)
2.5μg(n=4)56.7/74.85.5(3-14)25.0/49.1※29.12/9.58※2
5.0μg(n=19)101/68.59.0(6-13)45.9/30.5※38.16/37.3※3
幾何平均値/幾何CV%※1:吸入開始後の時間,中央値(範囲)※2:n=2※3:n=9
16.3 分布
16.3.1 健康被験者に1及び3ng/kg/minで45分間単回静脈内投与したときの定常状態における分布容積は0.7~0.8L/kgであった。また、血漿中イロプロストの消失は2相性であり、α相及びβ相の消失半減期はそれぞれ約3~4分及び約20~26分であった。クリアランスは約20mL/min/kgであった(外国人データ)。
16.3.2 イロプロストは0.03~30ng/mLの範囲でヒト血漿タンパクに対して約60%の結合率を示し、タンパク結合率に濃度依存性はみられなかった。結合タンパクの約75%はアルブミンであった(in vitro)。
16.4 代謝
健康被験者に静脈内投与したとき、イロプロストはそのカルボン酸側鎖が主にβ酸化を受け、未変化体としては排泄されなかった。主要代謝物は、薬理活性のないテトラノル体及びそのグルクロン酸抱合体であった(外国人データ)。
In vitroでの試験結果から、イロプロストの代謝においてCYP酵素の役割が非常に小さいことが示された。
16.5 排泄
健康被験者に[3H]イロプロストを2ng/kg/minで4時間静脈内投与したとき、投与後7日間に回収された総放射能は投与量の81%であり、その内訳として68%が尿中に、12%が糞中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
中等度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス30mL/min以上60mL/min未満)、重度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス30mL/min未満)及び透析患者に1ng/kg/minで60分間単回静脈内投与したときの全身クリアランスはそれぞれ20、16及び5mL/min/kgで、中等度の腎機能障害患者は健康被験者(約20mL/min/kg)と類似していたが、重度の腎機能障害患者ではやや低下し、透析患者では顕著に低下した(外国人データ)。[7.3、9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者に1ng/kg/minで60分間単回静脈内投与したとき、全身クリアランスは健康成人と比較して約1/2の10mL/min/kgに減少した(外国人データ)。[7.4、9.3参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 アセチルサリチル酸
健康被験者においてアセチルサリチル酸10~300mgの反復経口投与は、イロプロスト0.5~2ng/kg/minで1時間静脈内投与後の薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.2 ジゴキシン
末梢動脈閉塞性疾患患者においてイロプロスト0.5~2ng/kg/minで1日6時間の反復静脈内投与は、ジゴキシン0.25mgを反復経口投与したときの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.3 ニフェジピン
健康被験者においてニフェジピン20mgの併用投与は、イロプロスト1~2ng/kg/minで2時間静脈内投与したときの血行力学(血圧、心拍数、起立反応及び末梢血流)に影響を及ぼさなかった。また、肺高血圧症患者においてニフェジピン20~240mgの併用投与は、イロプロスト0.5~10ng/kg/minの最大耐量で15分間静脈内投与したときの薬力学に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.4 硫酸メピンドロール
健康被験者において硫酸メピンドロール5mgの併用投与は、イロプロスト1~2ng/kg/minで2時間静脈内投与したときの血行力学(血圧、心拍数、起立反応及び末梢血流)に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.5 ペントキシフィリン
健康被験者においてペントキシフィリン400mgの併用投与は、イロプロスト1~2ng/kg/minで2時間静脈内投与したときの血行力学(血圧、心拍数、起立反応及び末梢血流)に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.6 カプトプリル
健康被験者においてカプトプリル12.5mgの併用投与は、イロプロスト0.5~2ng/kg/minで2.5時間静脈内投与したときの血行力学(心拍数、血圧及び末梢血流)に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.7 ジルチアゼム
肺高血圧症患者においてジルチアゼム60~720mgの併用投与は、イロプロスト0.5~10ng/kg/minの最大耐量で15分間静脈内投与したときの薬力学に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
降圧剤・血管拡張剤
カルシウム拮抗剤
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
利尿剤
プロスタグランジンE1、E2、I2誘導体製剤等
血圧低下作用を増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて用量調節すること。本剤の血管拡張作用により、降圧作用が増強することが考えられる。
抗凝固剤
ヘパリン製剤、ワルファリンカリウム等
出血の危険性が増大するおそれがある。本剤の血小板凝集抑制作用により、出血傾向が増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
クロピドグレル硫酸塩、チクロピジン塩酸塩、アスピリン、非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤等
出血の危険性が増大するおそれがある。本剤の血小板凝集抑制作用により、出血傾向が増強される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
脳出血(頻度不明)、頭蓋内出血(頻度不明)等の出血があらわれ、致死的な場合もある。また、抗凝固剤を併用している患者では、鼻出血(1.9%)及び喀血(1.3%)等があらわれやすい。
11.1.2 気管支痙攣(頻度不明)
致死的な場合もある。
11.1.3 過度の血圧低下(頻度不明)
致死的な場合もある。
11.1.4 失神(3.1%)
低血圧等が認められることがある。
11.1.5 血小板減少症(頻度不明)
11.1.6 頻脈(1.3%)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上1~10%未満1%未満頻度不明
循環器潮紅ほてり、低血圧、動悸
消化器悪心、下痢、腹部不快感、口・舌刺激(口・舌痛を含む)、味覚異常嘔吐
精神神経系頭痛めまい
呼吸器咳嗽咽喉刺激感、胸痛、鼻閉、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛咽頭障害、気管障害、呼吸困難、喘鳴
皮膚発疹皮下出血
その他顎痛/開口障害末梢性浮腫背部痛過敏症
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