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ヨンデリス点滴静注用0.25mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 悪性軟部腫瘍

用法・用量

  • 通常、成人にはトラベクテジンとして1回1.2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者[11.1.4参照]
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[8.2、9.1.2、11.1.2参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。[8.2、9.1.1、11.1.2、11.1.5参照]
9.1.3 アントラサイクリン系薬剤による治療歴のある患者又は心機能障害のある患者
心機能障害が発現又は増悪するおそれがある。[8.4、11.1.6参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。[15.2.2参照]
9.4.2 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5、15.2.1参照]
9.4.3 男性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットで本剤の胎盤及び胎児への移行が確認されており、胎児への影響又は催奇形性を示す可能性がある。[2.2、9.4.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトでの乳汁移行に関するデータはない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.3、11.1.1参照]
8.2 骨髄機能が抑制され、敗血症性ショック等の好中球減少に伴う感染等があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.3、9.1.1、9.1.2、11.1.2、11.1.5参照]
8.3 横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感等の症状を観察するとともに、本剤投与開始前及び投与中は定期的にCKの検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.3、11.1.3参照]
8.4 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心エコー等の心機能検査(左室駆出率の測定を含む)を行うとともに、心機能障害に関連する臨床的な徴候や症状を十分に観察すること。[9.1.3、11.1.6参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤の調製にあたっては、溶解時及び希釈時は生理食塩液を使用すること。また、本剤は他の薬剤とは混注しないこと。
14.1.2 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に本剤、溶解液及び希釈液が付着した場合は、直ちに多量の流水及び石けんでよく洗い流すこと。
14.2 調製方法
14.2.1 無菌的環境下の安全キャビネット内で、0.25mgバイアルには5mL、1mgバイアルには20mLの生理食塩液をシリンジで注入し溶解する。溶解液の使用は、1回のみとする。
14.2.2 完全に溶解するまでバイアルを振とうする。溶解液は無色澄明であることを確認する。
14.2.3 必要な量の溶解液をバイアルから抜き取り、500mL~1000mLの生理食塩液の入った点滴バッグに注入する。
14.2.4 溶解液及び希釈液は調製後速やかに使用すること。溶解から30時間以内に投与を終了すること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 必ず中心静脈からの点滴投与とし、末梢静脈、皮下、筋肉内には投与しないこと。[7.2参照]
14.3.2 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように投与すること。[7.2参照]
14.3.3 他の薬剤等との配合又は同じ静注ラインでの同時注入は避けること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 薬液が漏出した場合、重度の組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈から投与すること。[14.3.1、14.3.2参照]
7.3 本剤の投与にあたっては、以下の基準を参考に必要に応じて、休薬又は減量すること。[8.1-8.3参照]
・本剤投与開始前の臨床検査値が「投与開始基準」の基準値を満たさない場合は、本剤を投与しない又は基準値に回復するまで投与を延期すること。
投与開始基準
項目基準値
好中球数1500/mm3以上
ヘモグロビン9.0g/dL以上
血小板数10×104/mm3以上
アルブミン2.5g/dL以上
総ビリルビン1.5mg/dL以下
AST施設基準値上限の2.5倍以下
ALT
ALP注1)
CK
クレアチニンクリアランス注2)30mL/min以上
注1)原疾患に起因する場合を除く。注2)計算値はCockcroft-Gault式を用いて算出。実測した場合は、実測値にて本基準を満たすこと。
・「減量基準」に該当する副作用が発現した場合は、1段階ごとに減量すること。ただし、最低投与量は0.8mg/m2とする。
減量基準
項目減量基準
好中球数500/mm3未満が6日間以上持続する。又は500/mm3未満で発熱、感染を伴う。
血小板数2.5×104/mm3未満
総ビリルビン1.5mg/dLを超える。
AST投与後21日目以降に施設基準値上限の2.5倍を超える。
ALT
ALP施設基準値上限の2.5倍を超える。
非血液毒性グレード3注3)以上
注3)CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。
減量の目安
減量段階投与量
通常投与量1.2mg/m2
1段階減量1.0mg/m2
2段階減量0.8mg/m2

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤の化学療法未治療例における有効性及び安全性は確立していない。
5.2 臨床試験に組み入れられた病理組織型以外の患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.3 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)日本人の悪性軟部腫瘍患者に本剤1.2mg/m2を24時間かけて点滴静注したときの血漿中トラベクテジン濃度は多相性の消失を示し、平均の最終相消失半減期は107時間であった。
本剤を1.2mg/m2で24時間点滴静注したときの血漿中トラベクテジン濃度推移
平均値+標準偏差(n=37)
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
本剤投与開始約30分前に20mgを静脈内投与
本剤を1.2mg/m2で24時間点滴静注したときのトラベクテジンの薬物動態パラメータ
tmax(h)Cmax(pg/mL)AUCinf(ng・h/mL)t1/2(h)CL(L/h)Vdss(L)
24.3(1.47,27.2)1660(1720)66.0(24.7)107(29)34.3(10.4)3040(1170)
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、tmax及びCmaxはn=37、その他はn=33
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
本剤投与開始約30分前に20mgを静脈内投与
(2)固形癌患者、肉腫患者に本剤を24時間かけて点滴静注注1)した場合、0.05~1.8mg/m2の用量範囲でCmax及びAUC48hに用量比例性がみられた(外国人データ)。
16.1.2 反復投与
固形癌患者に本剤1.5mg/m2を24時間かけて21日を1サイクルとして反復点滴静注1)したときのCmax、AUCinf及びCLについて、サイクル1と2との間に明確な差異は認められなかった(外国人データ)。
本剤を21日サイクルで反復投与したときのサイクル1及び2におけるトラベクテジンの薬物動態パラメータ(1.5mg/m2、24時間点滴静注注1)
サイクルtmax(h)Cmax(pg/mL)AUCinf(ng・h/mL)t1/2(h)CL(L/h)Vdz(L)
124.1(2.0,26.5)1840(1121)56.8(24.9)103.2(41.8)54.7(23.5)7509(3412)
223.5(2.0,25.6)1724(1436)58.1(49.0)77.4(57.3)71.0(51.2)5655(3142)
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、n=24(サイクル1、tmax及びCmaxはn=23)、n=20(サイクル2)
16.3 分布
In vitro試験において、未変化体の血漿蛋白結合率は10~100ng/mLの濃度範囲で97.28~97.77%であり、検討された濃度範囲において、概ね一定であった。
また、in vitro試験において、トラベクテジンはP-糖蛋白(P-gp)の基質であることが示された。
16.4 代謝
16.4.1 In vitro試験において、トラベクテジンは主にCYP3A4で代謝されることが示された。[10.参照]
16.4.2 14C標識トラベクテジン1.1mgをヒトに投与したときの総放射能のAUCinfに対する未変化体のAUCinf比について、3時間かけて点滴静注注1)した際の6例の平均値は0.082、24時間かけて点滴静注した際の個別値(n=2)はそれぞれ0.077及び0.086であり、血漿中において、未変化体と比較して代謝物の占める割合が大きいことが示唆された(外国人データ)。
16.5 排泄
固形癌患者(n=8)に1.1mgの用量で14C標識トラベクテジンを24時間又は3時間かけて点滴静注注1)したとき、17日間までに投与された放射能の57.6%が糞中に排泄され、10日間までに尿中には5.8%が排泄された。未変化体は排泄された放射能の1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
肝機能障害注2)を有する固形癌患者に本剤(0.58又は0.9mg/m2投与、各n=3)を3時間かけて点滴静注注1),注3)した場合、用量補正したCmax及びAUClastは、正常な肝機能の患者(1.3mg/m2投与、n=9)と比較して、それぞれ40%及び97%増加した(外国人データ)。[9.3参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
固形癌患者(11例)に本剤0.2又は0.58mg/m2を3時間かけて点滴静注注1),注3)するとともに、ケトコナゾール注4)200mgを本剤の投与12時間前から12時間ごとにそれぞれ計6又は15回反復経口投与した際に、ケトコナゾール非併用時(本剤1.3mg/m2、用量補正)と比較して、本剤0.58mg/m2投与時(8例)のCmax及びAUClastはそれぞれ21及び66%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
固形癌患者(8例)にリファンピシン600mg(第1~6日目)を1日1回反復経口投与するとともに、本剤1.3mg/m2を3時間かけて点滴静注注1),注3)(第6日目)した際に、リファンピシン非併用時と比較して、本剤のCmax及びAUCinfはそれぞれ22及び38%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 その他の薬剤
悪性軟部腫瘍患者(38例)に本剤1.3、1.5又は1.65mg/m2を3時間かけて点滴静注注1)するとともに、デキサメタゾン4mgを1日2回、本剤の投与前日から4日間反復経口投与した際に、デキサメタゾン非併用時と比較して、本剤のクリアランス(17例)は28%増加した(外国人データ)。
注1)本剤の承認用法・用量
1回1.2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注。1サイクルを21日間として、投与を繰り返す。
注2)総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍超~3倍以下、かつAST及びALTが施設基準値上限の8倍未満
注3)本剤投与30分以上前にデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム20mgを静脈内投与することとされた。
注4)経口剤は国内未承認

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A阻害剤(ケトコナゾール注)、クラリスロマイシン、アプレピタント等)
[16.7.1参照]
本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用が避けられない場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等)
[16.7.2参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝不全、肝機能障害
肝不全(頻度不明)及びAST(47.2%)、ALT(66.7%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 骨髄抑制
好中球減少(83.3%)、白血球減少(55.6%)、血小板減少(36.1%)、貧血(30.6%)、リンパ球減少(22.2%)、発熱性好中球減少症(13.9%)があらわれることがある。[8.2、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.3 横紋筋融解症(2.8%)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.3参照]
11.1.4 重篤な過敏症
過敏症(頻度不明)により死亡に至った例も報告されている。[2.1参照]
11.1.5 感染症
肺炎(2.8%)、敗血症性ショック(頻度不明)等があらわれることがある。[8.2、9.1.2参照]
11.1.6 心機能障害
うっ血性心不全(2.8%)及び左室駆出率低下(頻度不明)等の心機能障害があらわれることがある。[8.4、9.1.3参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

20%以上5~20%未満5%未満頻度不明
消化器悪心(88.9%)、食欲不振(58.3%)、便秘(47.2%)、嘔吐口内炎、下痢、味覚異常、消化不良腹痛膵炎
肝臓γ-GTP上昇ALP上昇、ビリルビン上昇
精神神経系頭痛、末梢感覚性神経障害浮動性めまい不眠症、錯感覚
呼吸器咳嗽、呼吸困難
筋骨格系筋肉痛、CK上昇関節痛、背部痛
循環器潮紅、低血圧
皮膚・皮下組織系脱毛、注射部位反応注射部位壊死、注射部位紅斑、注射部位疼痛、皮下溢血
その他倦怠感(44.4%)発熱、疲労、浮腫低カリウム血症、体重減少脱水、静脈炎、クレアチニン上昇、アルブミン減少
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