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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 成人

    • <適応菌種>

      • 本剤に感性のブドウ球菌属、腸球菌属、炭疽菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、レジオネラ属
    • <適応症>

      • 敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、炭疽
  • 小児

    • ○一般感染症

      • <適応菌種>

        • 本剤に感性の炭疽菌、大腸菌、緑膿菌
      • <適応症>

        • 複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、炭疽
    • ○嚢胞性線維症における緑膿菌による呼吸器感染に伴う症状の改善

用法・用量

  • 成人

    • 通常、シプロフロキサシンとして、1回400mgを1日2回、1時間かけて点滴静注する。患者の状態に応じて1日3回に増量できる。
  • 小児

    • <一般感染症>

      • 複雑性膀胱炎、腎盂腎炎

        • 通常、シプロフロキサシンとして、1回6~10mg/kgを1日3回、1時間かけて点滴静注する。ただし、成人における1回量400mgを超えないこととする。
      • 炭疽

        • 通常、シプロフロキサシンとして、1回10mg/kgを1日2回、1時間かけて点滴静注する。ただし、成人における1回量400mgを超えないこととする。
    • <嚢胞性線維症における緑膿菌による呼吸器感染に伴う症状の改善>

      • 通常、シプロフロキサシンとして、1回10mg/kgを1日3回、1時間かけて点滴静注する。ただし、成人における1回量400mgを超えないこととする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
    • 2.2 ケトプロフェン(注射剤、坐剤)を投与中の患者[10.1参照]
    • 2.3 チザニジン塩酸塩を投与中の患者[10.1参照]
    • 2.4 ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者[10.1参照]
  • <炭疽以外>

    • 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5.1参照]
  • <複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、嚢胞性線維症、炭疽以外>

    • 2.6 小児等[9.7.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.2 うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者
本剤には塩化ナトリウムが含まれている。
9.1.3 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣を起こすことがある。[11.1.6参照]
9.1.4 重症筋無力症患者
症状を悪化させることがある。[11.1.13参照]
9.1.5 QT延長を起こすおそれのある患者
QT延長を起こすことがある。[11.1.15参照]
9.1.6 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者
必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。[8.2、11.1.16参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
慎重に投与すること。高い血中濃度が持続する。[7.1、16.6.1参照]
9.5 妊婦
<炭疽以外>
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.5参照]
<炭疽>
9.5.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性を考慮して投与すること。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
<複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、嚢胞性線維症、炭疽以外>
9.7.1 投与しないこと。動物実験(幼若イヌ、幼若ラット)で関節毒性が認められている。幼若ラット及び幼若ビーグル犬を用いた反復投与試験(経口)において、関節軟骨のびらん等が認められた。成熟動物(サル)を用いた反復静脈内投与試験においてはいずれの試験でも関節毒性は認められなかった。[2.6参照]
<複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、嚢胞性線維症、炭疽>
9.7.2 本剤の投与についてはリスクとベネフィットを考慮し慎重に判断すること。関節障害が発現するおそれがある。複雑性尿路感染症又は腎盂腎炎の小児患者を対象とした臨床試験において、関節症と判断された被験者の割合はシプロフロキサシン9.3%(31/335例)、対照薬6.0%(21/349例)であった。低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。[5.4参照]
9.8 高齢者
9.8.1 腱障害があらわれやすいとの報告がある。[11.1.11参照]
9.8.2 腎機能に十分注意し、患者の状態を観察しながら用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄され、高齢者では腎機能が低下していることが多い。[7.1、16.5、16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
8.1.1 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
8.1.2 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.1.3 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
8.2 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[9.1.6、11.1.16参照]
8.3 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製前の注意
保管中に白色の結晶が析出することがあるので、このような場合には温めて結晶を溶解して使用すること。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 原則として、点滴静注に際しては、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液で希釈すること。
14.2.2 注射針はゴム栓の刺針部(中央の凹部)にまっすぐ刺し入れること。また、同一個所に繰り返し刺さないこと。
14.2.3 大気圧で自然に内容液が排出されるため、通気針は不要である。
14.2.4 使用後の残液は使用しないこと。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 本剤と配合した時に沈殿、混濁、変色が認められた場合には投与しないこと。特にアルカリ性の溶液と配合しないこと(本剤のpHは3.9~4.5の範囲である)。配合変化試験において、すべての注射剤が検討されているわけではないが、本剤と配合した直後から24時間後までに、沈殿等が観察された薬剤があるので、配合時には配合変化データを参照すること。
14.3.2 静脈内急速投与により、点滴静注局所の血管痛、静脈炎を起こすことがあるので、これらを予防するために注射部位、注射方法等について十分注意すること。
・30分以内の点滴静注は避けること。
・希釈して緩徐に注入すること。すでに補液等が投与されている場合、側管に連結して投与することができる。
なお、著しい水分摂取制限がかかっている場合等、水分負荷がかけられない場合には希釈せずに投与することができるが、その際はできるだけ太い静脈から投与することが望ましい。
14.3.3 連結管による混合投与の場合は、Y字型連結にして使用すること。
14.3.4 分割投与しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 腎機能が低下していることが多い高齢者あるいは腎機能障害患者・血液透析患者では、腎機能に十分注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[9.2.1、9.8.2、16.5、16.6.1、16.6.3参照]
(参考)
クレアチニンクリアランス(Ccr)(mL/min)用法・用量
30≦Ccr≦601回200mgを12時間ごとに投与
Ccr<301回200mgを24時間ごとに投与
病状により必要と判断された場合には1回量として400mgを投与する。
なお、クレアチニンクリアランス値(mL/min)=[体重(kg)×(140-年齢)]/[72×血清クレアチニン値(mg/dL)]、女性の場合はこれに0.85を乗ずること。
7.2 血液透析中に除去されるシプロフロキサシンは10%程度と大きな影響は受けない。血液透析中の患者への投与に際しては、必要に応じて低用量(200mg)を24時間ごとに投与するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[16.6.1参照]
7.3 症状が緩解した場合には、速やかに経口抗菌剤の投与に切り替えることが望ましい。
<炭疽>
7.4 臨床症状が緩解した場合には、速やかに経口剤投与に切り替え、計60日間投与することを、米国疾病管理センター(CDC)が推奨している。

5.効能又は効果に関連する注意

成人
5.1 本剤の適用は、原則として他の抗菌剤にアレルギーの既往を有する患者、重症あるいは他の抗菌剤を使用しても十分な臨床効果が得られない患者に限定すること。ただし、炭疽及びレジオネラ属による感染症の適応の場合は、この限りではない。
5.2 シプロフロキサシン塩酸塩水和物(経口剤)と異なり、本剤の効能・効果は、敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、炭疽に限定されているので、それ以外の疾患には使用しないこと。
5.3 本剤のメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)に対する有効性は証明されていないので、MRSAによる感染症が明らかである場合、速やかに抗MRSA作用の強い薬剤を投与すること。
小児
5.4 本剤の適用は、原則として他の抗菌剤にアレルギーの既往を有する患者、重症あるいは他の抗菌剤を使用しても十分な臨床効果が得られない患者に限定すること。ただし、炭疽については、この限りではない。[9.7.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人に1回200、300mgを1時間点滴静注した場合、血中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。
投与量t1/2α(hr)t1/2β(hr)Cmax(μg/mL)Vc(L)Vss(L)CLtot(L/hr)AUC0-∞(μg・hr/mL)
200mg0.20±0.013.5±0.32.53±0.1629.1±2.1117.3±16.030.3±3.26.66±0.73
300mg0.12±0.032.6±0.33.33±0.5523.3±7.4111.8±21.841.5±9.37.49±1.39
t1/2:半減期、Cmax:最高血中濃度、Vc:体循環分布容積Vss:定常状態分布容積、CLtot:総クリアランスAUC:血中濃度時間曲線下面積
外国人健康成人に1回200~400mgを1時間点滴静注した結果、本薬の薬物動態は400mgまで線形であることが示唆された。
16.1.2 反復投与
日本人患者に1回400mgを1日2回又は1日3回1時間点滴静注反復投与した場合の投与開始3~6日目における血中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。
投与量AUCτ,ss(μg・hr/mL)Cmax,ss(μg/mL)t1/2,ss(hr)
400mg 1日2回25.8(23.4)[21]8.07(22.5)[22]2.44~8.10[23]
400mg 1日3回22.2(28.8)[8]8.14(24.1)[8]3.00~4.54[8]
幾何平均(変動係数%)[例数] ※:範囲
16.1.3 経口投与との比較
健康成人男子(20~22歳)6名を対象に本剤200mgを90分点滴静注により、シプロキサン錠200mg及び300mg(100mg錠2錠または3錠)を経口投与により、クロスオーバー法にてそれぞれ単回投与した。本剤200mg点滴静注時の血中濃度は投与終了時に200mg経口投与時より1.5倍高いピーク値(Cmax)を示し、その後は比較的速やかに低下し、経口投与時と同様の推移で消失した。また、200mg点滴静注時のAUC0-∞は、経口投与時の1.2倍であった。なお、200mg点滴静注時の血中濃度を300mg経口投与時注)と比較したとき、Cmaxは1.2倍、AUCは0.9倍であった。シプロフロキサシンの経口投与時のバイオアベイラビリティは、82.5%であった。
投与量Cmax(μg/mL)tmax(hr)t1/2α(hr)t1/2β(hr)CLtot(L/hr)AUC(μg・hr/mL)
300mg経口投与1.71±0.170.98±0.160.58±0.143.40±0.227.31±0.50
200mg経口投与1.41±0.090.98±0.130.61±0.103.49±0.245.42±0.21
200mg点滴静注(90分)2.06±0.071.50±0.000.24±0.053.89±0.1730.6±1.36.60±0.27
注)経口剤の承認用量は、1回100~200mgを1日2~3回。炭疽に対しては1回400mgを1日2回。
16.3 分布
体液、組織内移行性は良好であり、喀痰、胆汁、死腔液、腹水への移行が認められた。
また、外国人で肺組織、胆汁、女性性器組織(腟、卵巣、卵管、子宮)、副鼻腔粘膜、前立腺で血中濃度と同程度若しくはそれ以上、腹膜及びその滲出液、腹水、皮膚、脂肪組織、扁桃で血中濃度と同程度の体液及び組織中濃度が認められている。
16.4 代謝
健康成人に1回300mgを1時間点滴静注した場合、血中及び尿中代謝物として脱エチレン体(M1)、N-硫酸抱合体(M2)、オキソ体(M3)の3種が検出されている。血中濃度推移から求めた未変化体に対する存在比はそれぞれ1.8%、4.8%、7.3%と低かった。
16.5 排泄
本剤は主として腎臓から排泄される。健康成人に1回300mgを1時間点滴静注した場合、投与量に対する投与後24時間までの尿中排泄率は未変化体:58.1%、代謝物M1:1.0%、M2:2.6%、M3:4.6%であり、未変化体と代謝物あわせて66.3%である。[7.1、9.8.2参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
(1)クレアチニンクリアランス値(Ccr)により腎機能正常例(Ccr>90)(10例)、軽度障害者(61≦Ccr≦90)(11例)、中等度障害者(31≦Ccr≦60)(11例)及び、重度障害者(Ccr≦30)(10例)の4群に分け、1回400mg(重度障害者に対しては300mg)を8~12時間ごとに本剤を点滴静注にて反復投与したところ、腎機能低下に伴い血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められている(外国人データ)。[7.1、7.2、9.2.1参照]
クレアチニンクリアランス
投与量・投与間隔
Cmax(mg/L)
1日目
AUC(mg・hr/L)
1日目
AUC0-24c(mg・hr/L)
5日目
t1/2(hr)
1日目
CLtot(L/hr/kg)
1日目
CLr(L/hr/kg)
1日目
Ccr>90a
400mg8時間ごと(10例)
3.80(14)10.2(19)32.5(18)4.59(16)0.45(20)0.234(12)
61≦Ccr≦90a
400mg8時間ごと(11例)
4.59(20)b15.4(22)b50.4(22)b5.23(32)0.33(19)b0.138(80)
31≦Ccr≦60a
400mg12時間ごと(11例)
5.35(28)b21.5(26)b48.3(24)b5.72(13)b0.23(20)b0.087(47)b
Ccr≦30a
300mg12時間ごと(10例)
4.28(21)b30.1(28)b66.3(29)b8.33(30)b0.13(26)b0.018(86)b
幾何平均(変動係数%)a:単位mL/min/1.73m2b:p<0.05(vs.Ccr>90agroup)c:AUC0-τ,ss×投与回数/日Ccr:クレアチニンクリアランス(24時間内因性クレアチニンクリアランス試験による)CLr:腎クリアランス
(2)血液透析を受けている慢性腎障害患者7例を対象として、本剤400mgをクロスオーバー法により、血液透析終了直後及び血液透析開始2時間前にそれぞれ単回点滴静注(1時間)した際の薬物動態パラメータは以下のとおりである。パラメータに両投与時期間で大差は認められず、血液透析により除去されたシプロフロキサシンは10%程度と考えられた(外国人データ)。[7.1、7.2、9.2.1参照]
投与時期Cmax(mg/L)AUC0-24(mg・hr/L)AUC(mg・hr/L)AUCnorm(kg・hr/L)t1/2(hr)Vss(L)CLtot(L/hr)CLr(L/hr)CLd(L/hr)
血液透析後7.01(44)39.4(41)44.7(56)8.84(50)12.5(68)129.2(22)8.95(56)0.10(169)1.18(85)
血液透析2時間前5.71(45)34.6(45)38.4(55)7.65(45)11.4(62)160.4(27)10.4(55)0.11(158)2.44(37)
幾何平均(変動係数%)、7例CLd(dialysate clearance):血液透析によるクリアランスAUCnorm:体重当たりの投与量(mg/kg)で標準化したAUC
16.6.2 小児等
小児患者を対象とした母集団薬物動態解析の結果、非嚢胞性線維症小児患者(体重30kg、クレアチニンクリアランス100mL/minを想定)におけるクリアランス及び分布容積の母集団平均値はそれぞれ0.60L/h/kg及び2.16L/kgであり、承認用法・用量を投与した際の薬物動態は、小児患者と成人患者とで明らかな差はないことが推定された(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
高齢者(70~76歳)に1回200mg1日1回1時間点滴静注(1例)、1回300mg1日2回1時間点滴静注(4例)した場合、健康成人と比較してAUCの増加、CLtotの低下が認められ、またCmaxの増加、Vssの低下が示唆された。[7.1、9.8.2参照]
投与量年齢(歳)t1/2α(hr)t1/2β(hr)Cmax(μg/mL)Vc(L)Vss(L)CLtot(L/hr)AUC0-∞(μg・hr/mL)
200mg1時間点滴710.272.63.5124.969.028.86.95
300mg1時間点滴700.112.73.5324.897.229.810.08
710.303.55.7124.377.622.613.29
750.713.63.1373.5108.824.412.31
760.473.55.1636.675.419.515.37

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ケトプロフェン(注射剤、坐剤)(カピステン等)
[2.2参照]
痙攣を起こすことがあるので、併用しないこと。併用により、ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され、痙攣が誘発されると考えられている。
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、腎障害のある患者では特に注意すること。
チザニジン塩酸塩(テルネリン)
[2.3参照]
チザニジンのCmaxが7倍、AUCが10倍それぞれ上昇し、血圧低下、傾眠、めまい等があらわれたとの報告がある。チザニジンの作用を増強させるおそれがあるので、併用しないこと。チザニジンの肝での代謝を阻害し、チザニジンの血中濃度を上昇させると考えられている。
ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)
[2.4参照]
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。ロミタピドの代謝酵素(CYP3A4)が阻害されるおそれがある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
テオフィリン
アミノフィリン水和物
テオフィリンのCmaxが17%、AUCが22%それぞれ上昇したとの報告がある。テオフィリンの作用を増強させる可能性があるので、併用する場合にはテオフィリンを減量するなど適切な処置を行うこと。テオフィリンの肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。肝障害のある患者、高齢者では特に注意すること。
カフェイン
デュロキセチン塩酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。これらの薬剤の肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。
フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク、アンフェナク等
プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ただし、ケトプロフェン(注射剤、坐剤)とは併用禁忌)
ロキソプロフェン、プラノプロフェン、ザルトプロフェン等
痙攣を起こすおそれがある。症状が認められた場合、両剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。併用により、ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され、痙攣が誘発されると考えられている。
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、腎障害のある患者では特に注意すること。
シクロスポリン相互に副作用(腎障害等)が増強されるおそれがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。発現機序の詳細は不明であるが、相互に肝での代謝を抑制し、一方又は両方の血中濃度が上昇するためと考えられている。肝障害のある患者、高齢者では特に注意すること。
ワルファリンワルファリンの作用を増強し、出血、プロトロンビン時間の延長等があらわれることがある。本剤を併用する場合は、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を測定するなど、観察を十分に行うこと。発現機序の詳細は不明であるが、ワルファリンの肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。
スルホニル尿素系血糖降下剤
グリメピリド、グリベンクラミド等
スルホニル尿素系血糖降下剤の作用を増強し、低血糖があらわれることがある。発現機序の詳細は不明であるが、グリベンクラミドの肝での代謝を阻害するとの報告がある。また、膵臓のβ細胞を用いたin vitro試験において、本剤がインスリン分泌作用を促進するとの報告がある。
ロピニロール塩酸塩ロピニロールのCmaxが60%、AUCが84%それぞれ上昇したとの報告がある。ロピニロールの投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、必要に応じてロピニロールの用量を調節すること。併用により、ロピニロールの肝での代謝が阻害されるためと考えられている。
メトトレキサートメトトレキサートの血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。併用する場合には患者の状態を十分に観察すること。発現機序の詳細は不明であるが、メトトレキサートの腎尿細管からの排泄が阻害されるためと考えられている。
クラスIA抗不整脈薬
キニジン、プロカインアミド等
クラスIII抗不整脈薬
アミオダロン、ソタロール等
本剤を併用した場合、QT延長がみられるおそれがある。併用により、QT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
クロザピン
オランザピン
経口剤においてクロザピン及びその代謝物の血中濃度が29%と31%それぞれ上昇したとの報告がある。左記薬剤の投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、必要に応じて左記薬剤の用量調節をすること。併用により、左記薬剤の肝での代謝が阻害されるためと考えられている。
シルデナフィルクエン酸塩シルデナフィルのCmax及びAUCがそれぞれ約2倍上昇したとの報告がある。CYP3A4阻害によりクリアランスが減少するとの報告もあるが、発現機序の詳細は不明である。
フェニトインフェニトインの血中濃度が低下したとの報告がある。本剤を併用する場合は、フェニトインの血中濃度を測定するなど、観察を十分に行うこと。機序不明
副腎皮質ホルモン剤(経口剤、注射剤)
プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。機序不明

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、じん麻疹等)があらわれることがある。
11.1.2 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので注意すること。
11.1.4 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.5 低血糖(頻度不明)
重篤な低血糖があらわれることがある。高齢者、特にスルホニル尿素系血糖降下剤併用患者であらわれやすい。
11.1.6 痙攣(頻度不明)
特に、腎機能が低下している患者や高齢者であらわれやすい。[9.1.3参照]
11.1.7 骨髄抑制、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
11.1.8 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
劇症肝炎、著しいAST、ALT等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.9 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症(いずれも頻度不明)
11.1.10 急性腎障害、間質性腎炎(いずれも頻度不明)
11.1.11 アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(いずれも頻度不明)
腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、外国において、投与終了数ヵ月後にこれらの症状を発現した症例も報告されている。[9.8.1参照]
11.1.12 錯乱、抑うつ等の精神症状(いずれも頻度不明)
11.1.13 重症筋無力症の悪化(頻度不明)[9.1.4参照]
11.1.14 血管炎(頻度不明)
11.1.15 QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(いずれも頻度不明)[9.1.5参照]
11.1.16 大動脈瘤、大動脈解離(いずれも頻度不明)[8.2、9.1.6参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒、じん麻疹、発熱、浮腫(末梢、血管、顔面、咽頭)光線過敏症、固定薬疹、血清病様反応、発赤(結節性紅斑)
腎臓クレアチニン上昇血尿、結晶尿、BUN上昇
肝臓AST上昇、ALT上昇Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇
循環器頻脈、失神、ほてり、低血圧、片頭痛
血液好酸球増多、貧血点状出血、プロトロンビン量増加、溶血性貧血、赤血球減少、白血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板増加、白血球増加
消化器下痢、嘔気、胃不快感腹痛、消化不良、膵炎、食欲不振、腹部膨満感、嘔吐、口内炎
感覚器眼内異物感味覚異常、無嗅覚、嗅覚錯誤、一過性難聴、耳鳴、視覚異常
精神神経系頭痛、めまい眠気、無力症、不眠症、不安、発汗、悪夢、幻覚、精神病、失調、末梢性ニューロパシー(しびれ感等)、筋緊張亢進、頭蓋内圧亢進、激越、意識障害、振戦
投与部位注射部位反応(血管痛、静脈炎、紅斑、炎症等)
その他高血糖関節痛、筋肉痛、モニリア症、呼吸困難、胸痛、背部痛、関節障害、筋無力症、CK上昇、倦怠感
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