製品名 クレストール錠2.5mg
クレストール錠5mg
クレストールOD錠2.5mg
クレストールOD錠5mg
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- 一般名
- Rosuvastatin Calcium
- 薬効分類
-
脂質代謝異常治療薬>スタチン
- 価格
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2.5mg1錠:52.8円/錠
5mg1錠:99.9円/錠
2.5mg1錠:52.8円/錠
5mg1錠:99.9円/錠
- 製薬会社
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- 26.1 製造販売元:アストラゼネカ株式会社
26.2 販売元:塩野義製薬株式会社
- 26.1 製造販売元:アストラゼネカ株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
用法・用量
- 通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
- 禁忌
-
【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 肝機能が低下していると考えられる以下のような患者
- 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸[9.3.1、9.3.2、16.6.2参照]
- 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6参照]
- 2.4 シクロスポリンを投与中の患者[10.1、16.7.2参照]
- 副作用
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- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.1.1 横紋筋融解症(0.1%未満)
- 筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止すること。
- 11.1.2 ミオパチー(頻度不明)
- 広範な筋肉痛、高度な脱力感や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
- 11.1.3 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明)
- 近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
- 11.1.4 肝炎(0.1%未満)、肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明)
- 肝炎、AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.3参照]
- 11.1.5 血小板減少(0.1%未満)[8.4参照]
- 11.1.6 過敏症状(0.1%未満)
- 血管浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
- 11.1.7 間質性肺炎(0.1%未満)
- 長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 11.1.8 末梢神経障害(0.1%未満)
- 四肢の感覚鈍麻、しびれ感等の感覚障害、疼痛、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがある。
- 11.1.9 多形紅斑(頻度不明)
- 発現頻度は使用成績調査から算出した。
- 注意
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9.特定の背景を有する患者に関する注意
- 9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
- ・アルコール中毒患者
- ・甲状腺機能低下症の患者
- ・遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
- ・薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
- 9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 腎機能検査値異常のある患者
- 本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。[10.2参照]
- 9.2.2 腎障害又はその既往歴のある患者
- 横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある。[7.1、7.2、16.6.3参照]
- 9.2.3 重度の腎障害のある患者
- 本剤の血中濃度が高くなるおそれがある。[7.1、7.2、16.6.3参照]
- 9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 肝機能が低下していると考えられる以下のような患者
- 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
- 投与しないこと。これらの患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある。[2.2、16.6.2参照]
- 9.3.2 肝障害又はその既往歴のある患者
- 本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child-Pughスコアが8~9の患者では、血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある。[2.2、16.6.2参照]
- 9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。[2.3参照]
- 9.6 授乳婦
- 投与しないこと。ラットで乳汁中への移行が報告されている。[2.3参照]
- 9.7 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
8.重要な基本的注意
- 8.1 あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
- 8.2 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
- 8.3 投与開始又は増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと。[11.1.4参照]
- 8.4 血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
14.適用上の注意
- 14.1 薬剤調製時の注意
- <OD錠>
- 本剤は一包化調剤を避けること。[20.2参照]
- 14.2 薬剤交付時の注意
- <製剤共通>
- 14.2.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
- <OD錠>
- 14.2.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
7.用法及び用量に関連する注意
- 7.1 クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m2未満の患者に投与する場合には、2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする。[9.2.2、9.2.3、16.6.3参照]
- 7.2 特に20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。20mg投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。[9.2.2、9.2.3、16.6.3参照]
5.効能又は効果に関連する注意
- 5.1 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
- 5.2 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
16.薬物動態
- 16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回投与
- 健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウムを5mgの用量で空腹時に単回経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度は投与後5時間にCmaxを示し、消失半減期(t1/2)は20.2±7.8時間であった。また、Cmax及びAUC0-24hはそれぞれ3.56±1.35ng/mL及び31.3±13.6ng・h/mLであった(平均値±標準偏差)。
なお、ロスバスタチンの体内動態は線形であると考えられている(外国人データ)。
- 健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウムを5mgの用量で空腹時に単回経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度は投与後5時間にCmaxを示し、消失半減期(t1/2)は20.2±7.8時間であった。また、Cmax及びAUC0-24hはそれぞれ3.56±1.35ng/mL及び31.3±13.6ng・h/mLであった(平均値±標準偏差)。
- 16.1.2 生物学的同等性
- 健康成人男性にクレストール錠5mg又はクレストールOD錠5mgそれぞれ1錠をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25)の範囲内であり、クレストールOD錠は、水なしで服用又は水ありで服用した場合のいずれにおいてもクレストール錠と生物学的に同等であった。
クレストールOD錠2.5mgは、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン」(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)に基づき、クレストールOD錠5mgを標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。- 表1 健康成人男性における薬物動態パラメータ
用量 n Cmaxa)(ng/mL) Tmaxb)(h) AUC0-lasta)(ng・h/mL) t1/2b)(h) クレストール錠5mg 65 4.56(50.3) 4.02±1.49 48.90(39.7) 14.0±10.9c) クレストールOD錠5mg 水なし 65 4.31(49.1) 3.89±1.35 48.26(40.1) 14.2±11.8c) 水あり 64 4.53(51.3) 3.92±1.47 48.31(40.6) 14.7±10.3d) a)幾何平均値(変動係数)、b)平均値±標準偏差、c)n=64、d)n=63 - 図 クレストール錠5mg及びクレストールOD錠5mgを水なし、水ありで服用したときの血漿中ロスバスタチン濃度推移(平均値±標準偏差)
- 健康成人男性にクレストール錠5mg又はクレストールOD錠5mgそれぞれ1錠をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25)の範囲内であり、クレストールOD錠は、水なしで服用又は水ありで服用した場合のいずれにおいてもクレストール錠と生物学的に同等であった。
- 16.1.3 反復投与
- 健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウム10及び20mgを1日1回7日間、空腹時に反復経口投与したところ、投与後24時間の血漿中ロスバスタチン濃度は徐々に上昇し、反復投与3回目にはほぼ定常状態に到達した。定常状態におけるAUC0-24hは単回投与時の1.2倍であり、その値は単回投与での結果からの予測値と同程度であった。したがって、反復投与による予想以上の蓄積性はないと考えられた。なお、日本人におけるCmax及びAUCは白人の約2倍であった。
- 表2 健康成人男性におけるロスバスタチンの薬物動態パラメータ(n=6)
用量(mg) Cmaxa)(ng/mL) Tmaxb)(h) AUC0-24ha)(ng・h/mL) AUC0-∞a)(ng・h/mL) t1/2c)(h) 10 単回 7.87(54.4) 5(4-5) 74.2(56.0) 126(39.3)d) 15.1±5.36d) 反復 9.38(71.5) 5(5-5) 90.5(67.0) 167(30.0)e) 18.4±4.62e) 20 単回 20.5(54.6) 4(3-5) 171(53.0) 209(50.1) 19.1±5.81 反復 22.1(68.0) 5(5-5) 206(63.9) 248(62.2) 14.8±5.76 a)幾何平均値(変動係数)、b)中央値(範囲)、c)平均値±標準偏差
d)n=3、e)n=4- 図 健康成人男性における1日1回7日間反復経口投与時の血漿中ロスバスタチン濃度推移(幾何平均値±標準偏差、n=6)
- 高コレステロール血症患者に本剤2.5~20mgを1日1回6週間反復経口投与し、定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度を測定した。高コレステロール血症患者の血漿中ロスバスタチン濃度は用量にほぼ比例して増加し、健康成人男性での値(投与後10時間の幾何平均値、10mg:4.06ng/mL、20mg:9.82ng/mL)とほぼ同程度であった。なお、本試験で日本人と白人の結果を比較したところ、日本人における定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度は白人の約2倍であった。
- 表3 高コレステロール血症患者における定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度
投与量 血漿中ロスバスタチン濃度(ng/mL) 2.5mg(n=16) 1.26(72.7) 5mg(n=12) 2.62(41.5) 10mg(n=13) 4.17(75.5) 20mg(n=17) 11.7(50.0) 幾何平均値(変動係数)採血時間:投与後7~16時間
- 健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウム10及び20mgを1日1回7日間、空腹時に反復経口投与したところ、投与後24時間の血漿中ロスバスタチン濃度は徐々に上昇し、反復投与3回目にはほぼ定常状態に到達した。定常状態におけるAUC0-24hは単回投与時の1.2倍であり、その値は単回投与での結果からの予測値と同程度であった。したがって、反復投与による予想以上の蓄積性はないと考えられた。なお、日本人におけるCmax及びAUCは白人の約2倍であった。
- 16.1.4 投与時間の影響
- 外国人健康成人21例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、午前7時あるいは午後6時に経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度推移は両投与時間で同様であり、本剤の体内動態は投与時間の影響を受けないと考えられた。
- 16.2 吸収
- 16.2.1 生物学的利用率
- 健康成人男性10例におけるロスバスタチンの生物学的利用率は29.0%(90%信頼区間:24.1~34.9)であった。また、静脈内投与して得られたロスバスタチンの全身クリアランス及び腎クリアランスはそれぞれ31.9及び11.6L/hであり、ロスバスタチンは主に肝臓による消失を受けると考えられた。
- 16.2.2 食事の影響
- 外国人健康成人20例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、空腹時(食後3時間)あるいは食後に経口投与した。食後投与したときの本剤の吸収は空腹時に比べて緩やかであり、Cmaxは食事によって20%低下した。しかし、食後投与時のAUC0-24hは空腹時投与の94%であり、本剤の吸収量への食事の影響はないと考えられた。
- 16.3 分布
- ヒト血漿中におけるロスバスタチンの蛋白結合率は89.0%(日本人)~88.0%(外国人)であり、主結合蛋白はアルブミンであった。
- 16.4 代謝
- 外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった。
ヒト血漿中にはN-脱メチル体及び5S-ラクトン体が検出されたが、HMG-CoA還元酵素阻害活性体濃度はロスバスタチン濃度と同様の推移を示し、血漿中におけるHMG-CoA還元酵素阻害活性に対する代謝物の寄与はわずかであると考えられた(外国人データ)。
- 外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった。
- 16.5 排泄
- 外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、放射能は主に糞中に排泄され(90.2%)、尿中放射能排泄率は10.4%であった。また、尿及び糞中への未変化体排泄率は、それぞれ投与量の4.9%及び76.8%であった。
- 16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 性差及び加齢の影響
- 外国人の男性若年者、男性高齢者、女性若年者及び女性高齢者各8例にロスバスタチンカルシウム40mg(承認外用量)を単回経口投与したところ、男性のCmax及びAUC0-tはそれぞれ女性の82%及び91%であった。また、若年者のCmax及びAUC0-tはそれぞれ高齢者の112%及び106%であり、臨床上問題となる性差や加齢の影響はないと考えられた。
- 16.6.2 肝障害の影響
- Child-Pugh A(スコア:5~6)あるいはChild-Pugh B(スコア:7~9)の肝障害を有する外国人患者各6例にロスバスタチンカルシウム10mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した。肝障害患者のCmax及びAUC0-24hは健康成人群のそれぞれ1.5~2.1倍及び1.05~1.2倍であり、特に、Child-Pughスコアが8~9の患者2例における血漿中濃度は、他に比べて高かった。[2.2、9.3参照]
- 16.6.3 腎障害の影響
- 重症度の異なる腎障害を有する外国人患者(4~8例)にロスバスタチンカルシウム20mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した。軽度から中等度の腎障害のある患者では、ロスバスタチンの血漿中濃度に対する影響はほとんど認められなかった。しかし、重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に比べて血漿中濃度が約3倍に上昇した。[7.1、9.2参照]
- 16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 制酸剤
- 制酸剤を同時併用投与した場合、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hはそれぞれ50%及び46%まで低下したが、ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった(外国人データ)。[10.2参照]
- 16.7.2 シクロスポリン
- シクロスポリンを投与されている心臓移植患者にロスバスタチンを併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hは、健康成人に単独で反復投与したときに比べてそれぞれ10.6倍及び7.1倍上昇した(外国人データ)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、シクロスポリンはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。[2.4、10.1参照]
- 16.7.3 ゲムフィブロジル
- ゲムフィブロジル(本邦未承認)と併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ2.21倍及び1.88倍に増加した(外国人データ)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、ゲムフィブロジルはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。
- 16.7.4 その他の薬剤
- ロスバスタチンの体内動態に及ぼすP450阻害剤の影響を検討するために、フルコナゾール(CYP2C9及びCYP2C19の阻害剤)、ケトコナゾール、イトラコナゾール及びエリスロマイシン(以上CYP3A4及びP糖蛋白の阻害剤)との併用試験を実施したが、明らかな相互作用は認められなかった(外国人データ)。
- ワルファリン(CYP2C9及びCYP3A4の基質)あるいはジゴキシンの体内動態に及ぼす影響を検討したが、薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。
- CYP3A4誘導作用の有無を検討するために、経口避妊薬との併用試験を実施したが、エチニルエストラジオールの血漿中濃度に減少はみられず、ロスバスタチンはCYP3A4に対する誘導作用を示さないと考えられた(外国人データ)。
- 16.7.5 in vitro試験
- ヒト遊離肝細胞を用いるin vitro試験においてN-脱メチル体が生成したが、その代謝速度は非常に緩徐であった。また、N-脱メチル化に関与する主なP450分子種はCYP2C9及びCYP2C19であったが、CYP2D6やCYP3A4が関与する可能性も示唆された。
ロスバスタチン(50μg/mL)によるP450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)活性の阻害率は10%以下であった。
- ヒト遊離肝細胞を用いるin vitro試験においてN-脱メチル体が生成したが、その代謝速度は非常に緩徐であった。また、N-脱メチル化に関与する主なP450分子種はCYP2C9及びCYP2C19であったが、CYP2D6やCYP3A4が関与する可能性も示唆された。