薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖尿病用薬 インスリン製剤 ビグアナイド系薬剤 α-グルコシダーゼ阻害剤 DPP-4阻害剤 GLP-1受容体作動薬 SGLT2阻害剤 チアゾリジン系薬剤 [11.1.2参照] | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 作用機序が異なる薬理作用の相加作用による血糖降下作用の増強による。 |
サリチル酸製剤 アスピリン等 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 血中蛋白との結合抑制及び抱合代謝阻害による。ただし、アスピリンとして1回量1500mgの併用時に影響する可能性があるが、低用量(アスピリンとして1回量300mg)では影響しない。 |
クロフィブラート等 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害による。 |
サルファ剤 スルファメトキサゾール等 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害による。 |
β-遮断剤 プロプラノロール塩酸塩等 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 肝臓における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強により血糖が低下する。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | 肝臓における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強により血糖が低下する。 |
タンパク同化ホルモン剤 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | タンパク同化ホルモン剤が糖尿病患者のみに起こる血糖降下作用に加えて代謝抑制・排泄遅延説がある。 |
テトラサイクリン系抗生物質 テトラサイクリン塩酸塩 ミノサイクリン塩酸塩等 | 低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。 チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。 | インスリン感受性促進による。 |
アドレナリン | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 末梢でのグルコースの取り込み抑制及び肝臓での糖新生の促進により、血糖値を上昇させる。 |
副腎皮質ホルモン メチルプレドニゾロン等 | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下による。 |
卵胞ホルモン エチニルエストラジオール等 | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 機序不明 コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等が考えられる。 |
ニコチン酸 | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 肝臓でのブドウ糖の同化抑制による。 |
イソニアジド | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 糖質代謝の障害による血糖値上昇及び耐糖能異常による。 |
ピラジナミド | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 機序不明 血糖値のコントロールがむずかしいとの報告がある。 |
フェノチアジン系薬剤 クロルプロマジン等 | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | インスリン遊離抑制、副腎からのエピネフリン遊離による。 |
利尿剤 チアジド系等 | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 血清カリウムの低下、インスリンの分泌障害、組織におけるインスリンの感受性低下による。 |
フェニトイン | 経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。 食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。 併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | インスリン分泌を直接抑制する。 |
甲状腺ホルモン 乾燥甲状腺等 | 血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する。 | 血糖コントロール条件が変わることがある。 |