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ベルソムラ錠10mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 不眠症

用法・用量

  • 通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン、ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン、リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビルを投与中の患者[10.1、16.7.2参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.2 重度の呼吸機能障害を有する患者
重度の呼吸機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。[17.3.1参照]
9.1.3 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
スボレキサントの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。[16.6.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。高齢者での薬物動態試験において、非高齢者と比較して血漿中濃度が高くなる傾向が認められている。[16.6.1参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。[17.3.1参照]
8.2 症状が改善した場合は、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。[17.1.1、17.3.1参照]
7.2 入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、本剤の食事と同時又は食直後の服用は避けること。食後投与では、空腹時投与に比べ、投与直後のスボレキサントの血漿中濃度が低下することがある。[16.2.1参照]
7.3 他の不眠症治療薬と併用したときの有効性及び安全性は確立されていない。
7.4 CYP3Aを中等度に阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤を併用する場合は1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。[10.2、16.7.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(12例)に、本剤40mgを空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5時間(1.0~3.0時間)で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、平均半減期(t1/2)は10.0時間であった(表1)。
表1 日本人健康成人に本剤40mgを空腹時に単回経口投与後のスボレキサントの血漿中薬物動態パラメータ
AUC0-∞(μM・hr)Cmax(μM)Tmax††(hr)t1/2§(hr)
12.15(10.97,13.46)1.007(0.858,1.182)1.5(1.0,3.0)10.0±1.0
n=12†幾何平均(95%信頼区間)、††中央値(最小値、最大値)§調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)
16.1.2 単回投与
健康成人(16例)に、本剤10~40mgを空腹時単回経口投与したところ、スボレキサントの曝露量は用量比例性を下回った(外国人データ)(表2)。
表2 外国人健康成人に本剤10~40mgを空腹時に単回経口投与後のスボレキサントの血漿中薬物動態パラメータ
AUC0-∞(μM・hr)Cmax(μM)Tmax††(hr)t1/2§(hr)
10mg5.32(4.55,6.23)0.456(0.403,0.516)1.5(1.0,4.0)12.1±1.8
20mg9.51(8.12,11.14)0.646(0.572,0.731)1.0(1.0,4.0)12.5±2.6
40mg16.21(13.85,18.98)0.956(0.845,1.082)2.0(1.0,4.0)12.6±2.5
n=16†幾何平均(95%信頼区間)、††中央値(最小値、最大値)§調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)
16.1.3 反復投与
健康成人(30例)に、本剤10~100mgを1日1回14日間反復投与したとき、3日目までに定常状態に到達し、スボレキサント40mgの平均t1/2(約12時間、95%信頼区間:12.0~13.1時間)から予想される値と一致した。AUC0-24hrの累積係数は1.21~1.60で、いずれの用量でも類似していた(外国人データ)。
16.2 吸収
本剤20mgを投与した際の平均絶対バイオアベイラビリティは62%(5~95パーセンタイル:55~69%)であると推定された。
16.2.1 食事の影響
本剤40mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは23%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1時間延長した(日本人データ)。
本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは9%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1.5時間延長した(外国人データ)。[7.2参照]
16.3 分布
スボレキサントの平均分布容積は約49Lであった。
スボレキサントのヒト血漿蛋白結合率は高く(>99%)、赤血球に特異的に分布することはなかった。スボレキサントは、ヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質のいずれにも結合した。
16.4 代謝
スボレキサントは主として代謝により消失し、その代謝には主にCYP3Aが関与し、CYP2C19もわずかに関与していた。血漿中には主にスボレキサント及びその水酸化代謝物が認められた。この代謝物は脳内で薬理作用を示さないと考えられる。
16.5 排泄
スボレキサントの主な排泄経路は糞便を介するものであり、経口投与した14C標識スボレキサントの約66%が糞便中に排泄されるのに対し、尿中への排泄は23%であった。スボレキサントは主として代謝物として排泄され、糞便中及び尿中のスボレキサントは投与量の1%未満であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 年齢
健康成人に、本剤40mgを1日1回14日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、10.64μM・hr、1.080μM及び9.4時間であった。健康高齢者に、本剤40mgを1日1回7日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、17.88μM・hr、1.336μM及び18.4時間であり、健康成人と比べて、AUC0-24hr及びCmaxは高値を示し、t1/2の延長がみられた。高齢不眠症患者及び非高齢不眠症患者に、本剤15mg及び20mgをそれぞれ1日1回反復投与した際の定常状態でのスボレキサントの投与後9時間の血漿中濃度(C9hr)は、それぞれ0.362μM及び0.321μMで同程度であった(外国人データ)。[9.8参照]
16.6.2 腎機能障害
重度腎機能障害患者(CLcr:30mL/min/1.73m2以下)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmax及びAUCは、健康成人と比較して15%及び22%高かった(外国人データ)。
16.6.3 肝機能障害
中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmaxは、健康成人と比較して6%低く、AUCは3%高かった。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア10~15)での薬物動態は検討していない(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6.4 BMI
本剤20mgを不眠症患者に反復投与した際の定常状態でのスボレキサントのC9hrは、低体重患者(BMI:18.5kg/m2未満、6例)で0.171μM、標準BMI(18.5kg/m2以上、25kg/m2未満、139例)の患者で0.323μM、前肥満患者(BMI:25kg/m2以上、30kg/m2未満、94例)で0.384μM及び肥満患者(BMI:30kg/m2以上、42例)で0.353μMであった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 アルコール
健康成人30例に本剤40mg及びアルコール0.70g/kgを併用単回投与した際、精神運動機能の相加的な低下がみられた(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 スボレキサントの薬物動態に対する併用薬の影響
(1)ケトコナゾール
本剤(4mg単回)とCYP3Aを強く阻害するケトコナゾール(400mg 1日1回経口反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは23%及び179%増加した(外国人データ)。[2.2、10.1参照]
(2)ジルチアゼム
本剤(20mg単回)とジルチアゼム(240mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは22%及び105%増加した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
(3)リファンピシン
本剤(40mg単回)とリファンピシン(600mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは64%及び88%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 併用薬の薬物動態に対するスボレキサントの影響
(1)In vitro代謝試験
スボレキサントはCYP3A及び腸管のP糖蛋白を阻害する可能性があることが示されている。他のヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6)及びトランスポーター(OATP1B1、BCRP、OCT2)に対しては、臨床的に意味のある阻害を生じる可能性は低いと考えられる。スボレキサントを反復投与することによって、主にCYP分子種によって代謝される薬剤の代謝を誘導する可能性は低い。
(2)ジゴキシン(P糖蛋白基質)
本剤(40mg 1日1回反復)とジゴキシン(0.5mg単回)を併用した際、ジゴキシンのCmax及びAUCは21%及び27%増加した。スボレキサント投与時のジゴキシン濃度は最初の6時間以内に増加した(外国人データ)。[10.2参照]
注)本剤の承認用量は成人には1日20mg、高齢者には1日15mgである。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
イトラコナゾール:
イトリゾール
ポサコナゾール:
ノクサフィル
ボリコナゾール:
ブイフェンド
クラリスロマイシン:
クラリシッド
ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン:
ボノサップ
ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン:
ラベキュア
リトナビル:
ノービア
ニルマトレルビル・リトナビル:
パキロビッド
エンシトレルビル:
ゾコーバ
[2.2、16.7.2参照]
本剤の作用を著しく増強させるおそれがある。スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アルコール(飲酒)
[16.7.1参照]
精神運動機能の相加的な低下を生じる可能性がある。本剤を服用時に飲酒は避けさせること。本剤及びアルコールは中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)中枢神経系に対する抑制作用を増強させるおそれがある。本剤及びこれらの薬剤は中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。
CYP3Aを中等度に阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)
[7.4、16.7.2参照]
傾眠、疲労等の本剤の副作用が増強するおそれがあるため、併用する際には1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを中等度に阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を上昇させる。
CYP3Aを強く誘導する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)
[16.7.2参照]
本剤の作用を減弱させるおそれがある。スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く誘導し、スボレキサントの血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
[16.7.3参照]
ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。本剤と併用する場合は、ジゴキシンの血漿中濃度をモニタリングすること。スボレキサントはP糖蛋白阻害作用を有する。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1~5%未満1%未満頻度不明
心臓障害動悸
胃腸障害悪心、嘔吐
一般・全身障害及び投与部位の状態疲労
神経系障害傾眠、頭痛、浮動性めまい睡眠時麻痺
精神障害悪夢異常な夢、入眠時幻覚睡眠時随伴症注)、夢遊症注)、傾眠時幻覚注)、不安、激越
皮膚及び皮下組織障害そう痒症

注)海外臨床試験でみられた副作用。高用量(成人:40mg、高齢者:30mg)投与群を含む。

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