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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

用法・用量

  • アトーゼット配合錠LD

    • 通常、成人には1日1回1錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg)を食後に経口投与する。
  • アトーゼット配合錠HD

    • 通常、成人には1日1回1錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/20mg)を食後に経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 重篤な肝機能障害のある患者及び肝代謝能が低下していると考えられる以下のような患者

    • 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸[9.3.1、16.6.2参照]
  • 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6参照]
  • 2.4 グレカプレビル・ピブレンタスビルを投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病患者
エゼチミブでは空腹時血糖の上昇及びアトルバスタチンでは糖尿病の悪化が報告されている。
9.1.2 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
・甲状腺機能低下症の患者
・遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
・薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
・アルコール中毒患者
アトルバスタチンでは横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。[11.1.3参照]
9.1.3 重症筋無力症又はその既往歴のある患者
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。[11.1.9参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎障害又はその既往歴のある患者
アトルバスタチンでは横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。[11.1.3参照]
9.2.2 腎機能検査値異常のある患者
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。[10.2、11.1.3参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者及び肝代謝能が低下していると考えられる以下のような患者
急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
投与しないこと。アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、アトルバスタチンは主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。[2.2、16.6.2参照]
9.3.2 中等度の肝機能障害のある患者
投与しないことが望ましい。エゼチミブの血漿中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.3.3 肝障害又はその既往歴のある患者(9.3.1、9.3.2に該当する患者を除く)
エゼチミブでは肝機能障害の程度に応じて血漿中薬物濃度の上昇が認められた。アトルバスタチンは主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。エゼチミブとアトルバスタチンの併用投与において、ラットで胎児の発育抑制、ウサギで骨格奇形が認められている。アトルバスタチンの動物実験において、出生児数の減少及び生存、発育に対する影響が認められ、胎児にも生存率低下と発育抑制が認められている。また、ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更に、ヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。[2.3参照]
9.6 授乳婦
投与しないこと。エゼチミブでは、ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、妊娠後から授乳期まで投与したラットで乳児への移行が認められている。アトルバスタチンでは、ラットで乳汁中への移行が報告されている。[2.3参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用が発現した場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。一般に生理機能が低下している。また、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。[11.1.3、16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤は、エゼチミブ10mgとアトルバスタチンとして10mgあるいは20mgとの配合剤であり、エゼチミブとアトルバスタチン双方の副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。[11.参照]
8.2 あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や、高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.3 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.4 アトルバスタチン投与中に劇症肝炎等の肝炎があらわれることがあるので、悪心・嘔吐、倦怠感等の症状があらわれた場合には投与を中止し、医師等に連絡するよう患者に指導すること。本剤の投与開始又はアトルバスタチンの増量時より12週までの間に1回以上、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと。[11.1.5参照]
8.5 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと。[11.1.6参照]
8.6 高血糖、糖尿病があらわれることがあるので、口渇、頻尿、全身倦怠感等の症状の発現に注意するとともに、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと。[11.1.7参照]
8.7 甲状腺機能低下症、閉塞性胆のう胆道疾患、慢性腎不全、膵炎等の疾患の合併、血清脂質に悪影響を与える薬剤の服用等の二次的要因により高脂血症を呈している場合は、原疾患の治療、薬剤の切り替え等を可能な限り実施した上で本剤での治療を考慮すること。
8.8 エゼチミブとフィブラート系薬剤の併用に関しては、使用経験が限られている。併用する場合は、胆石症などの副作用の発現に注意すること。フィブラート系薬剤では胆汁へのコレステロール排泄を増加させ、胆石形成がみられることがある。エゼチミブはイヌで胆のう胆汁中のコレステロール濃度の上昇が報告されている。[15.1、15.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 以下のエゼチミブとアトルバスタチンカルシウム水和物の用法及び用量を踏まえ、患者毎に本剤の適用を考慮すること。
エゼチミブ
通常、成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
アトルバスタチンカルシウム水和物
<高コレステロール血症>
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
<家族性高コレステロール血症>
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。
7.2 原則として、エゼチミブ10mg及びアトルバスタチンとして10mgを併用している場合、あるいはアトルバスタチンとして10mgを使用し効果不十分な場合に、本剤LD(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg)の適用を検討すること。
7.3 原則として、エゼチミブ10mg及びアトルバスタチンとして20mgを併用している場合、あるいはアトルバスタチンとして20mg又はエゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mgを使用し効果不十分な場合に、本剤HD(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/20mg)の適用を検討すること。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤を高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の治療の第一選択薬として用いないこと。
5.2 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.3 ホモ接合体性家族性高コレステロール血症については、LDLアフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
健康成人男女に、本剤1錠[エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg(149例)又は10mg/20mg(48例)]あるいは同用量のエゼチミブ(10mg 1錠)及びアトルバスタチン(10mg 1錠又は2錠)の単剤を併用でクロスオーバー法により絶食下で経口投与した。本剤投与時のエゼチミブ、エゼチミブ抱合体及びアトルバスタチンの薬物動態パラメータは以下の表のとおりであり、本剤と同用量のエゼチミブ及びアトルバスタチンの単剤併用で、生物学的同等性が認められた。
表 本剤10mg/10mg及び10mg/20mgを単回経口投与した際の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータエゼチミブエゼチミブ抱合体アトルバスタチン
10mg/10mg
例数149149149
Cmax(ng/mL又はng Eq/mL††5.78(5.38,6.21)73.3(68.7,78.2)3.85(3.56,4.15)
AUC0-last(ng・hr/mL又はng Eq・hr/mL††92.2(87.2,97.5)553(520,587)18.8(17.8,19.8)
Tmax§(hr)1.50[0.483,24.0]1.02[0.483,4.00]0.750[0.233,6.00]
t1/2(hr)18.2(48)17.3(50)10.0(33)
10mg/20mg
例数484848
Cmax(ng/mL又はng Eq/mL††7.65(6.73,8.68)59.8(53.9,66.3)9.53(8.22,11.0)
AUC0-last(ng・hr/mL又はng Eq・hr/mL††97.3(86.6,109)400(361,443)39.3(35.9,43.2)
Tmax§(hr)1.50[0.500,8.03]1.50[0.500,3.00]0.875[0.500,4.00]
t1/2(hr)19.2(45)17.1(48)9.63(34)
各値は幾何平均値(95%信頼区間)†エゼチミブ及びアトルバスタチン††エゼチミブ抱合体§中央値[最小値,最大値]∥幾何平均値(CV%)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
(1)エゼチミブ
健康成人男性に本剤10mg/10mg(13例)及び10mg/20mg(14例)を食後又は空腹時に単回投与したとき、空腹時に比べて食後投与での血漿中エゼチミブ(非抱合体)のAUCは5%~14%、Cmaxは14%~18%低かった。
(2)アトルバスタチン
健康成人男性に本剤10mg/10mg(13例)及び10mg/20mg(14例)を食後又は空腹時に単回投与したとき、空腹時に比べて食後投与での血漿中アトルバスタチンのAUCは21%~23%、Cmaxは47%~68%低かった。
16.3 分布
16.3.1 エゼチミブ
ヒト血漿に添加したときの蛋白結合率は、3H-エゼチミブ99.5%~99.8%、3H-エゼチミブ抱合体87.8%~92.0%であった。肝機能障害や腎機能障害による血漿蛋白結合率への影響は認められていない。
16.3.2 アトルバスタチン
ヒト血漿中の蛋白結合率は、95.6%~99.0%以上であった。
16.4 代謝
16.4.1 エゼチミブ
エゼチミブは、主に小腸における初回通過効果によって主要活性代謝物であるエゼチミブ抱合体(フェノール性水酸基におけるグルクロン酸抱合体)に代謝される。
健康成人男性(8例)に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、血漿中の総放射能に占めるエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体の割合(AUC比)はそれぞれ11%及び82%(合計93%)であった(外国人データ)。
16.4.2 アトルバスタチン
健康成人6例にアトルバスタチン10及び40mg注)を単回経口投与したとき、血漿中にアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M-1)及び2位の水酸化体(M-2)の2種類が確認されているが、血漿中主活性代謝物はM-2であった。
アトルバスタチンの主要代謝臓器は肝臓であり、M-1及びM-2はCYP3A4によって生成することが明らかにされている。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 エゼチミブ
(1)尿・糞中排泄
健康成人男性(8例)に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、投与後240時間までの放射能排泄率は糞中に78%、尿中に11%であった(外国人データ)。
健康成人男性(各6例)にエゼチミブ10、20注)、40mg注)を単回経口投与したとき、投与後72時間までのエゼチミブ(非抱合体)としての尿中排泄率は0.05%未満であり、尿中総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)排泄率は8.7%~11%であった。
(2)胆汁中排泄(腸肝循環)
エゼチミブ抱合体は胆汁中に排泄されたのち、腸内細菌叢による脱抱合をうけ、一部はエゼチミブ(非抱合体)として再吸収される(腸肝循環)。
胆管カニューレを施した雌雄ラットに14C-エゼチミブを単回経口投与したとき、投与後48時間までに排泄された放射能は、胆汁中に40%~63%、尿中には3%以下であり、未吸収のまま糞中に排泄された放射能は21%~32%であった。採取された胆汁を別ラットの十二指腸内へ投与したとき、投与放射能の54%~81%が再吸収ののち再び胆汁中に排泄された。
16.5.2 アトルバスタチン
健康成人に14C-アトルバスタチンを経口投与したとき、放射能の尿中排泄率は極めて低く(<2%)、糞中に未変化体、M-1及びM-2がそれぞれ糞中放射能の8.3%、11.7%及び18.2%排泄された。更に、14C-アトルバスタチンを用いたヒト胆汁中排泄試験では、経口投与された放射能の43.7%~70.2%が胆汁中に排泄され、未変化体の他にM-1、M-2及びM-2のグルクロン酸抱合体が同定された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを重度の慢性腎機能障害患者(8例、クレアチニンクリアランス10~29mL/min)に単回経口投与したとき、健康成人(9例、クレアチニンクリアランス>80mL/min)と比較して血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCにそれぞれ約1.6倍及び1.5倍の上昇が認められた(外国人データ)。
(2)アトルバスタチン
腎機能正常者6例及び腎機能障害者14例にアトルバスタチン10mgを1日1回2週間反復経口投与したとき、腎機能障害は、アトルバスタチンの薬効及び体内動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを軽度、中等度又は重度の慢性肝機能障害患者(各4例)若しくは健康成人(8例)に単回経口投与したとき、軽度、中等度及び重度の肝機能障害者の血漿中エゼチミブ(非抱合体)のCmaxは、健康成人と比べて、それぞれ1.1倍、3.4倍及び4.2倍、AUCはそれぞれ1.4倍、5.8倍及び4.9倍高く、エゼチミブ抱合体のCmaxは、それぞれ1.4倍、1.8倍及び1.9倍、AUCはそれぞれ1.7倍、3.1倍及び4.0倍高かった。肝機能障害の程度に応じたエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体の血漿中薬物濃度の上昇が認められた(外国人データ)。[9.3.2、9.3.3参照]
(2)アトルバスタチン
アトルバスタチン10mgを健康成人及び肝硬変患者8例ずつに1日1回2週間反復経口投与したとき、肝硬変患者では健康成人に比べてChild-Pugh A患者(5例)及びChild-Pugh B患者(3例)において、Cmax及びAUC0-24hrの著しい増加がみられ、Tmax及び半減期はほとんど変化しなかった。また、血清脂質に対する作用には差がなかった(外国人データ)。[2.2、9.3.1、9.3.3参照]
16.6.3 高齢者
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを高齢者(12例、年齢65~75歳)に1日1回10日間経口投与したとき、非高齢対照群(11例、年齢20~24歳)と比較して血漿中エゼチミブ抱合体濃度のAUCに約2.4倍の上昇が認められたが、血漿中エゼチミブ(非抱合体)濃度のAUCに明らかな変化は認められなかった。
(2)アトルバスタチン
アトルバスタチン10mgを高齢者(6例、年齢66~73歳)に単回経口投与したとき、非高齢対照群(6例、年齢20~22歳)と比較して血漿中アトルバスタチン濃度のCmax及びAUC0-∞は約2倍に増加したが、Tmax及び半減期に明らかな変化は認められなかった。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 エゼチミブ
(1)チトクロムP450酵素系への影響
健康成人(12例)を対象として、エゼチミブ20mg注)と各種チトクロムP450酵素系の基質となる代表的な指標薬を併用したとき、CYP1A2、CYP2C8/9、CYP2D6及びCYP3A4活性、並びにN-アセチルトランスフェラーゼ活性への影響は認められなかった(外国人データ)。
(2)フェノフィブラートとの相互作用
成人(8例、LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として、フェノフィブラート200mg(1日1回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を併用したとき、血漿中エゼチミブ抱合体濃度のCmax及びAUCはそれぞれ約1.7倍及び1.5倍上昇したが、臨床上意味のあるものではなかった。フェノフィブラートの薬物動態に及ぼすエゼチミブの影響は認められなかった(外国人データ)。
(3)シクロスポリン製剤との相互作用
クレアチニンクリアランスが50mL/minを超え、かつ、一定用量(75~150mg 1日2回)のシクロスポリン製剤を服用中の腎移植患者(8例)にエゼチミブ10mgを単回投与したとき、総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)のAUCは健康成人と比較して約3.4倍高値を示した。別の試験で、重度の腎機能障害のため腎移植を行い、シクロスポリン製剤を含む複数の薬剤による治療を受けていた患者(1例、クレアチニンクリアランス:13.2mL/min)にエゼチミブ10mgを単回投与したとき、総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)のAUCは健康成人と比較して約12倍高値を示した。健康成人(12例)を対象として、エゼチミブ20mg注)(1日1回8日間)の連投7日目にシクロスポリン製剤100mgを単回経口投与したとき、血液中シクロスポリン濃度のCmax及びAUCはシクロスポリン単独投与と比較してそれぞれ10%及び15%上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
(4)コレスチラミンによる影響
成人(8例、LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として、コレスチラミン4g(1日2回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を併用したとき、血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCはそれぞれ約1/5及び1/2に低下した(外国人データ)。[10.2参照]
(5)その他の薬物動態学的相互作用
薬物相互作用に関する臨床試験で、エゼチミブ10mgとワルファリン、ジゴキシン、経口避妊薬(エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル)を併用した結果、これらの薬物動態への影響は認められなかった。シメチジンとエゼチミブ10mgを併用した結果、エゼチミブのバイオアベイラビリティに対する影響は認められなかった。制酸剤(水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを含有)とエゼチミブ10mgを併用したとき、血漿中エゼチミブ抱合体濃度のCmaxは約30%低下したが、AUCへの影響は認められなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は1日1回1錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg又は10mg/20mg)を食後に経口投与である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
グレカプレビル・ピブレンタスビル:
(マヴィレット)
[2.4参照]
アトルバスタチンとグレカプレビル・ピブレンタスビル(400mg・120mg)の併用により、アトルバスタチンのAUCが8.28倍、Cmaxが22.0倍に上昇したとの報告がある。アトルバスタチンの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。機序:グレカプレビルのOATP1B1/1B3及びBCRP阻害、ピブレンタスビルのOATP1B1及びBCRP阻害に基づく作用によるものと考えられている。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
フィブラート系薬剤:
ベザフィブラート等
[9.2.2、11.1.3参照]
HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。
危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ニコチン酸製剤:
ニセリトロール等
[11.1.3参照]
HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:ニコチン酸製剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。
危険因子:腎機能障害
免疫抑制剤:
シクロスポリン等
[11.1.3、16.7.1参照]
1)エゼチミブとの併用によりエゼチミブ及びシクロスポリンの血中濃度の上昇がみられた。本剤と併用する場合は、シクロスポリンの血中濃度のモニターを十分に行うこと。
2)[1]HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
[2]アトルバスタチンとシクロスポリンとの併用により、アトルバスタチンのAUC0-24hrが8.7倍に上昇したとの報告がある。
機序:1)不明
2)[1]シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、[2]シクロスポリンによるHMG-CoA還元酵素阻害剤の代謝・胆汁中排泄に対する競合阻害に基づく相互作用、[3]シクロスポリンによる本剤の肝への取り込み阻害に基づく相互作用が示唆されている。
危険因子:腎機能障害
アゾール系抗真菌薬:
イトラコナゾール等
エリスロマイシン
[11.1.3参照]
HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:アゾール系抗真菌薬又はエリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用が考えられている。
危険因子:腎機能障害
クラリスロマイシンアトルバスタチンとの併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度の有意な上昇(Cmax:+55.9%、AUC0-Tlast:+81.8%)がみられたとの報告がある。機序:クラリスロマイシンのCYP3A4に対する阻害作用が考えられている。
HIVプロテアーゼ阻害剤:
ロピナビル・リトナビル
メシル酸ネルフィナビル等
アトルバスタチンとロピナビル・リトナビルとの併用により、アトルバスタチンのAUCが5.88倍、アトルバスタチンとメシル酸ネルフィナビルとの併用により、アトルバスタチンのAUCが約1.7倍に上昇するとの報告がある。機序:これらの薬剤によるCYP3A4の阻害が考えられている。
グラゾプレビルアトルバスタチンとグラゾプレビル(200mg)との併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度の上昇がみられた(Cmax:5.66倍、AUC0-∞:3.00倍)。機序:グラゾプレビルによる腸管のCYP3A及びBCRPの阻害が考えられている。
レテルモビルアトルバスタチンとの併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度の上昇がみられた(Cmax:2.17倍、AUC0-∞:3.29倍)。機序:レテルモビルによるCYP3A、OATP1B1/1B3及びBCRPの阻害が考えられている。
グレープフルーツジュースアトルバスタチンとグレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、アトルバスタチンのAUC0-72hrが約2.5倍に上昇したとの報告がある。機序:グレープフルーツジュースによるCYP3A4の阻害が考えられている。
エファビレンツアトルバスタチンとの併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-12%、AUC0-24hr:-43%)との報告がある。機序:エファビレンツによるCYP3A4の誘導が考えられている。
リファンピシンリファンピシン投与17時間後にアトルバスタチンを投与したところアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-40%、AUC:-80%)との報告がある。機序:リファンピシンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
ベキサロテンアトルバスタチンとの併用によりアトルバスタチンのAUCが約50%低下したとの報告がある。機序:ベキサロテンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
陰イオン交換樹脂:
コレスチミド
コレスチラミン等
[16.7.1参照]
1)エゼチミブとの併用によりエゼチミブの血中濃度の低下がみられた。本剤は陰イオン交換樹脂の投与前2時間あるいは投与後4時間以上の間隔をあけて投与すること。
2)アトルバスタチンとの併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が約25%低下したが、LDLコレステロールの低下率はそれぞれを単独で使用したときより大きかったとの報告がある。
機序:1)エゼチミブが陰イオン交換樹脂と結合し、吸収が遅延あるいは減少する可能性がある。
2)これらの薬剤によるアトルバスタチンの吸収阻害(吸着)に基づく血漿中薬物濃度の低下が考えられている。
ジゴキシンアトルバスタチンとの併用により定常状態において血漿中ジゴキシン濃度が上昇する(アトルバスタチン10mg投与でCmax:+9.9%、AUC0-24hr:+3.6%、CLr:129→128mL/min、アトルバスタチン80mg投与でCmax:+20.0%、AUC0-24hr:+14.8%、CLr:160→149mL/min)ことが報告されている。本剤を併用する場合は、ジゴキシンの血漿中薬物濃度のモニターを十分に行うこと。機序:アトルバスタチンによるジゴキシンのP-gpを介した排出の抑制が示唆されている。
経口避妊薬:
ノルエチンドロン-エチニルエストラジオール
アトルバスタチンとの併用によりノルエチンドロン(Cmax:+24%、AUC0-24hr:+28%)及びエチニルエストラジオール(Cmax:+30%、AUC0-24hr:+19%)の血漿中濃度の上昇が認められたとの報告がある。機序:アトルバスタチンによるノルエチンドロン及びエチニルエストラジオールの初回通過効果の減少が考えられている。
クマリン系抗凝固剤:
ワルファリン等
エゼチミブとの併用によりプロトロンビン時間国際標準比(INR)の上昇がみられた。本剤を併用する場合には適宜INR検査を行うこと。機序:不明

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.1 過敏症(頻度不明)
アナフィラキシー、血管神経性浮腫、発疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
11.1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
水疱性発疹があらわれたとの報告がある。
11.1.3 横紋筋融解症、ミオパチー(いずれも頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。また、ミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。[9.1.2、9.2.1、9.2.2、9.8、10.2参照]
11.1.4 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明)
アトルバスタチン投与中に近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
11.1.5 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)[8.4参照]
11.1.6 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症(いずれも頻度不明)[8.5参照]
11.1.7 高血糖、糖尿病(いずれも頻度不明)[8.6参照]
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9 重症筋無力症(頻度不明)
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。[9.1.3参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]

1%以上1%未満頻度不明
感染症及び寄生虫症結膜炎、口腔ヘルペス、帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎
精神障害悪夢、睡眠障害、不眠(症)、うつ病、抑うつ
神経系障害めまい、しびれ、頭痛、異常感覚、錯感覚、味覚異常、眠気、健忘症、脳梗塞、坐骨神経痛、末梢性ニューロパチー
心臓障害期外収縮、動悸、頻脈、洞性徐脈
呼吸器、胸郭及び縦隔障害咳嗽、呼吸困難
胃腸障害胃炎、腹部膨満、便秘悪心、嘔吐、消化不良、腹痛、下痢、膵炎、口唇炎、口内炎、口内乾燥、口腔内不快感、口のしびれ、舌のしびれ、舌炎、舌痛、胸やけ、胃食道逆流性疾患、胃不快感、心窩部痛(心窩部の疼痛)、鼓腸放屁、腹部不快感、下腹部痛、軟便、排便回数増加
肝胆道系障害胆汁うっ滞性黄疸、胆石症、胆嚢炎
皮膚及び皮下組織障害そう痒症、発疹、ざ瘡、蕁麻疹、発赤、光線過敏、皮膚乾燥、皮膚亀裂、脱毛症、爪の障害
筋骨格系及び結合組織障害関節痛、筋肉痛、筋痙縮、背部痛、頸・肩のこり、こわばり感、四肢痛、筋肉疲労、筋力低下、筋炎、腱炎、腱痛
腎及び尿路障害蛋白尿、血尿、着色尿、排尿困難、頻尿
一般・全身障害及び投与部位の状態胸痛、無力症、浮腫(顔面・四肢等)、口渇、疼痛、熱感、発熱、全身倦怠(感)、疲労
臨床検査ALT増加AST増加、γ-GTP増加、Al-P増加血中CK増加、BUN増加、HbA1c増加、アミラーゼ増加、肝機能検査異常、血圧上昇、血小板数減少、血中ACTH増加、血中K増加、血中LDH増加、血中TSH増加、血中アルドステロン減少、血中クレアチニン増加、血中コリンエステラーゼ増加、血中コルチゾール増加、血中テストステロン減少、血中ビリルビン増加、血中ブドウ糖増加、血中ミオグロビン増加、血中リン増加、血中鉄減少、血中尿酸増加、体重増加、白血球数減少
その他食欲減退、耳鳴、霧視、ほてり、貧血、低血糖、女性化乳房、勃起不全
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