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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症

用法・用量

  • レバチオ錠20mg

    • <レバチオ錠>

      • 成人

        • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
      • 1歳以上の小児

        • 体重20kg超の場合

          • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
  • レバチオODフィルム20mg

    • <レバチオODフィルム>

      • 成人

        • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
      • 1歳以上の小児

        • 体重20kg超の場合

          • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
  • レバチオ懸濁用ドライシロップ900mg

    • <レバチオ懸濁用ドライシロップ>

      • 成人

        • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
      • 1歳以上の小児

        • 体重8kg以上20kg以下の場合

          • 通常、シルデナフィルとして1回10mgを1日3回経口投与する。
        • 体重20kg超の場合

          • 通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤と硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されないよう十分注意すること。[2.2、10.1参照]
  • ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者[1.、10.1参照]
  • 2.3 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh Class C)[9.3.1参照]
  • 2.4 リトナビル含有製剤、ダルナビル含有製剤、イトラコナゾール及びコビシスタット含有製剤を投与中の患者[10.1参照]
  • 2.5 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳梗塞・脳出血又は心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者
これらの患者における有効性及び安全性は確立していない。
9.1.2 出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者
ニトロプルシドナトリウム(NO供与薬)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。
9.1.3 低血圧(血圧<90/50mmHg)、体液減少、重度左室流出路閉塞、自律神経機能障害等が認められる患者
本剤の血管拡張作用によりこれらの基礎疾患を増悪させるおそれがある。
9.1.4 網膜色素変性症患者
ホスホジエステラーゼの遺伝的障害を持つ症例が少数認められている。
9.1.5 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者
本剤の薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。
9.1.6 鎌状赤血球貧血の患者
持続勃起症の素因となり得る。また、鎌状赤血球貧血に伴う肺動脈性肺高血圧症を対象とした海外臨床試験において、プラセボ投与例に比べ本剤投与例において入院が必要となる血管閉塞発作が多く報告され、試験が早期中止された。
9.1.7 多発性骨髄腫、白血病等の患者
持続勃起症の素因となり得る。
9.1.8 肺静脈閉塞性疾患を有する患者
本剤を投与しないことが望ましい。このような患者における有効性及び安全性は確立していない。肺血管拡張薬は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
9.1.9 出血の危険因子(ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法、抗血小板療法、結合組織疾患に伴う血小板機能異常、経鼻酸素療法)を保有している肺動脈性肺高血圧症患者
本剤の投与を開始した場合、鼻出血等の出血の危険性が高まることがある。[10.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス:Ccr<30mL/min)のある患者
血漿中濃度が上昇することが認められている。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh Class C)
投与しないこと。シルデナフィルは主に肝臓で代謝されることから肝硬変等の重度の肝機能障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。[2.3参照]
9.3.2 中等度又は軽度の肝機能障害のある患者
血漿中濃度が上昇することが認められている。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト母乳中への移行が報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は体重8kg未満の幼児及び小児を対象とした臨床試験は実施していない。[15.1.4、15.1.5参照]
9.8 高齢者
本剤のクリアランスが低下する。[16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 エポプロステノールを除く他の肺動脈性肺高血圧症治療薬と併用する場合には、有効性、安全性が確立していないので十分な観察を行いながら投与すること。
8.2 めまいや視覚障害、色視症、霧視等が認められているので自動車の運転や機械の操作に従事する場合には注意させること。
8.3 本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.2参照]
8.4 本剤投与後に急激な聴力低下又は突発性難聴(耳鳴り、めまいを伴うことがある)があらわれた場合には、速やかに耳鼻科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.3参照]
8.5 4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国市販後有害事象で少数例報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<レバチオ錠>
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
<レバチオODフィルム>
14.1.2 アルミ包装をめくり、薬剤(フィルム)を取り出し、開封後速やかに服用するよう指導すること。
14.1.3 本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。なお、本剤は寝たままの状態では服用させないこと。
<レバチオ懸濁用ドライシロップ>
14.1.4 ドライシロップの状態で分包して交付しないこと。懸濁せずにドライシロップのまま服用しないよう指導すること。
14.2 薬剤投与時の注意
<レバチオ懸濁用ドライシロップ>
14.2.1 調製方法
本剤の容器に水60mLを加えて振り混ぜた後、さらに水30mLを加えて振り混ぜてシロップ剤を調製する。1瓶について90mLの水を加えて懸濁するとシルデナフィルとして10mg/mLの溶液112mLとなる。なお、調製後のシロップ剤を水もしくは他の液でさらに希釈しないこと。
14.2.2 投与時
調製後のシロップ剤を約10秒間振とう後、正確に1回量を量りとること。
14.2.3 保存時
調製後のシロップ剤は、30℃以下で遮光して保存し、凍結させたり、本剤以外の容器に移し替えたりしないこと。調製後のシロップ剤は調製日から30日以内に使用し、残液及び容器は廃棄すること。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 肺動脈性肺高血圧症に関するWHO機能分類クラスIにおける有効性・安全性は確立されていない。
5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
5.3 小児では、特発性又は遺伝性肺動脈性肺高血圧症及び先天性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症以外の肺動脈性肺高血圧症における有効性・安全性は確立されていない。
5.4 小児では、小児の肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識及び経験を有する医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対して適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人20名にシルデナフィル25、50、100及び150mg注)を単回経口投与した時のCmaxはそれぞれ105、192、425及び674ng/mLであった。0時間から最終濃度測定時間(t)までのAUC(AUCt)はそれぞれ231、504、1148及び1977ng・hr/mLであり、投与量に比例して増加した。血漿中のシルデナフィルは終末相における消失半減期(t1/2)3.23~3.31時間で速やかに消失した(表1及び図1)。
表1 シルデナフィルを健康成人に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
投与量(mg)Tmax(hr)Cmax(ng/mL)AUCt(ng・hr/mL)AUC(ng・hr/mL)t1/2(hr)
250.8±0.6105±62231±103
500.9±0.4192±102504±202
1000.8±0.4425±1471148±2741190±3013.31±0.81
1500.9±0.5674±2391977±7332044±7213.23±0.73
算術平均値±標準偏差(n=20)Tmax:最高血漿中濃度到達時間Cmax:最高血漿中濃度AUCt:0時間から最終定量可能時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積AUC:0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積t1/2:消失半減期
図1 シルデナフィルを健康成人に単回経口投与したときの血漿中濃度推移
16.1.2 反復投与
健康成人9又は10名にシルデナフィル25、50及び75mg注)を1日3回10日間反復経口投与したところ、投与後1.3時間付近でCmaxに到達した。10日目における25、50及び75mg投与量群のCmaxはそれぞれ155、327及び535ng/mL、0時間から8時間までのAUC(AUC8)はそれぞれ438、1032及び1837ng・hr/mLであった。シルデナフィルは反復投与後3日以内に定常状態に達した(外国人データ)。
成人肺動脈性肺高血圧症患者9名にシルデナフィル20mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、Tmax、AUC8、定常状態時の平均血漿中濃度(Css,av)及びトラフ濃度の平均値はそれぞれ164.9ng/mL、1.1時間、545.1ng・hr/mL、68.1ng/mL及び19.6ng/mLであった。
体重20kg以下の小児肺動脈性肺高血圧症患者3名に、シルデナフィル10mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、AUC8、Css,av及びトラフ濃度の平均値は、219.0ng/mL、395.3ng・hr/mL、49.4ng/mL及び8.0ng/mLであり、Tmaxの中央値は1.0時間であった。また、体重20kg超の小児肺動脈性肺高血圧症患者3名に、シルデナフィル20mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、AUC8、Css,av及びトラフ濃度の平均値は、114.3ng/mL、357.3ng・hr/mL、44.6ng/mL及び18.6ng/mLであり、Tmaxの中央値は1.0時間であった。
16.1.3 生物学的同等性
<レバチオ懸濁用ドライシロップ>
健康成人42名に、クロスオーバー法によりドライシロップ剤を水で懸濁したシロップ剤としてシルデナフィル20mg及びレバチオ錠20mgをそれぞれ空腹時単回経口投与したときの、シルデナフィルの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下の図及び表の通りであった。本試験の結果から、ドライシロップ剤(シルデナフィルとして20mg)はレバチオ錠20mgと生物学的に同等であることが確認された(外国人データ)。
図2 レバチオ懸濁用ドライシロップ(シルデナフィルとして20mg)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの血漿中濃度推移
表2 レバチオ懸濁用ドライシロップ(シルデナフィルとして20mg)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの薬物動態パラメータ
剤形及び投与量Cmax(ng/mL)AUCt(ng・hr/mL)Tmaxa)(hr)t1/2(hr)
レバチオ懸濁用ドライシロップ(シルデナフィルとして20mg)78.9±35.1178±860.50(0.25-1.50)2.46±0.41
レバチオ錠20mg82.3±35.9197±910.75(0.25-6.03)2.51±0.46
a)Tmaxは中央値(範囲)、その他のパラメータは算術平均値±標準偏差(n=42)Cmax:最高血漿中濃度AUCt:0時間から最終定量可能時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax:最高血漿中濃度到達時間t1/2:消失半減期
<レバチオODフィルム>
健康成人男性40又は93名に、クロスオーバー法によりレバチオODフィルム20mg(水なし又は水で服用)及びレバチオ錠20mg(水で服用)をそれぞれ空腹時単回経口投与したときの、シルデナフィルの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下の図及び表の通りであった。レバチオODフィルム20mgは、水なし又は水で服用した場合のいずれにおいても、レバチオ錠20mgと生物学的に同等であることが確認された。
(1)水なしで服用
図3 レバチオODフィルム20mg(水なしで服用)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの血漿中濃度推移
表3 レバチオODフィルム20mg(水なしで服用)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの薬物動態パラメータ
剤形及び投与量Cmax(ng/mL)AUC14(ng・hr/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
ODフィルム20mg(水なしで服用)103±40294±911.5±0.92.24±0.43
レバチオ錠20mg(水で服用)106±47269±831.3±0.82.33±0.59
算術平均値±標準偏差(n=40)Cmax:最高血漿中濃度AUC14:0時間から14時間(最終サンプリング時間)までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax:最高血漿中濃度到達時間t1/2:消失半減期
(2)水で服用
図4 レバチオODフィルム20mg(水で服用)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの血漿中濃度推移
表4 レバチオODフィルム20mg(水で服用)及びレバチオ錠20mgを健康成人に単回経口投与したときのシルデナフィルの薬物動態パラメータ
剤形及び投与量Cmax(ng/mL)AUC14(ng・hr/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
ODフィルム20mg(水で服用)106±41265±830.9±0.52.22±0.57
レバチオ錠20mg(水で服用)104±49256±831.0±0.72.14±0.47
算術平均値±標準偏差(n=93)Cmax:最高血漿中濃度AUC14:0時間から14時間(最終サンプリング時間)までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax:最高血漿中濃度到達時間t1/2:消失半減期
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人12名にシルデナフィル50mg注)を単回経口又は静脈内投与したところ、経口投与後のシルデナフィルのバイオアベイラビリティは41%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
<レバチオ錠>
健康成人16名にシルデナフィル50mg注)を食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxの平均値は食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び1.2時間であり、食後投与により吸収速度が有意に減少し、Tmaxが1.8時間延長することが認められた。Cmaxの平均値は食後投与で149ng/mL、空腹時投与で255ng/mLであり、AUCの平均値はそれぞれ697.5及び806.2ng・hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ42%及び14%有意に減少した。
<レバチオ懸濁用ドライシロップ>
健康成人12名にドライシロップ剤を水で懸濁したシロップ剤としてシルデナフィル20mgを食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxの中央値は食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び0.5時間であり、食後投与により吸収速度が減少し、Tmaxが2.5時間延長した。Cmaxの平均値は食後投与で48.0ng/mL、空腹時投与で103.8ng/mLであり、AUCの平均値はそれぞれ282.2及び254.6ng・hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ53%減少及び11%増加した(外国人データ)。
16.3 分布
平衡透析法によるin vitro試験において、シルデナフィルの血漿蛋白結合率は、0.01~10.0μg/mLの濃度範囲で96.2~96.5%であり、濃度によらず一定値を示した。シルデナフィルは主にアルブミンと結合した。
16.4 代謝
シルデナフィルは主として肝臓で代謝され、その主要代謝物N-脱メチル体の生成速度はCYP3A4が最も速く、次いでCYP2C9であった。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 健康成人6名にシルデナフィル10、25、50、75、100及び150mg注)を単回経口投与した時の投与後48時間までの投与量に対する未変化体の累積尿中排泄率は、0.3~0.6%とわずかであり、投与量に関係なくほぼ一定の値を示した。
16.5.2 健康成人6名にシルデナフィル50又は100mg注)を1日1回7日間反復経口投与した時の投与量に対する未変化体の24時間毎の尿中排泄率は0.2~0.9%の間で推移し、単回投与時と同程度であり反復投与による変化はなかった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
健康被験者8名及び腎機能障害患者16名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時、腎機能の低下が軽度(クレアチニンクリアランス:Ccr=50~80mL/min)及び中等度(Ccr=30~49mL/min)の腎機能障害患者では血漿中シルデナフィルのCmax及びAUCは健康被験者における値と有意差がなかったが、重度腎機能障害患者(Ccr<30mL/min)ではCmax及びAUCともに健康被験者に比べて約2倍高い値を示した(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
健康被験者12名及び肝機能障害患者12名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時のシルデナフィルのCmax及びAUCの平均値は健康被験者と比較して、それぞれ約47%及び85%増加し、シルデナフィルの経口クリアランスは46%低下した(外国人データ)。[9.3.2参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者(65歳以上)15名及び健康若年者(18~45歳)15名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時のTmaxは、高齢者及び若年者でそれぞれ1.2時間及び1.1時間となりほぼ同様であった。Cmaxは高齢者で302.5ng/mL、若年者で178.2ng/mLであり、高齢者は若年者より60~70%高い値を示した。AUCは高齢者及び若年者でそれぞれ1077.0及び586.0ng・hr/mLとなり、高齢者が若年者の約2倍高い値を示した。t1/2は高齢者で3.8時間、若年者で2.6時間であり、高齢者において長かった。高齢者ではクリアランスが48%低下した(外国人データ)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リトナビル(強力なCYP3A4阻害薬)
健康成人において、リトナビル500mg(1日2回)の反復投与時に、シルデナフィル100mg注)を単回併用投与したときのシルデナフィルのCmax及びAUCは、単独投与時と比較してそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加した(外国人データ)。[10.1参照]
16.7.2 エリスロマイシン及びシメチジン(CYP3A4阻害薬)
健康成人において、エリスロマイシン500mg(1日2回)の反復投与時にシルデナフィル100mg注)を、またシメチジン800mg(1日1回)の反復投与時にシルデナフィル50mg注)を単回併用投与したときのシルデナフィルのCmaxは、単独投与時と比較してそれぞれ2.6倍、1.5倍に増加し、AUCはそれぞれ2.8倍、1.6倍に増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ボセンタン(CYP3A4及びCYP2C9誘導薬)
(1)健康成人において、シルデナフィル80mg(1日3回)注)及びボセンタン125mg(1日2回)を反復併用投与したときのシルデナフィルのCmax及びAUCは、単独投与時と比較してそれぞれ0.45倍及び0.37倍に減少した。また、ボセンタンのCmax及びAUCは、単独投与時と比較してそれぞれ1.4倍及び1.5倍に増加した(外国人データ)。[10.2参照]
(2)成人肺動脈性肺高血圧症患者にシルデナフィル20mg(1日3回)とボセンタン62.5~125mg(1日2回)を併用投与した時、ポピュレーションPK解析から得られたボセンタン併用投与時のシルデナフィルのCss,avは、シルデナフィル単独投与時と比較して0.27倍に減少した。一方、シルデナフィル20mg(1日3回)との併用投与時のボセンタンのCss,avは、ボセンタン単独投与時と比較して1.2倍に増加した(外国人データ)。[10.2参照]
注)本剤の承認用法用量は、成人には1回20mgを1日3回経口投与、1歳以上の小児には、体重8kg以上20kg以下の場合:1回10mgを1日3回経口投与、体重20kg超の場合:1回20mgを1日3回経口投与である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
硝酸薬及びNO供与薬
ニトログリセリン
亜硝酸アミル
硝酸イソソルビド
ニコランジル等
[1.、2.2参照]
降圧作用を増強することがある。NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する降圧作用が増強する。
リトナビル含有製剤
(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
ダルナビル含有製剤
(プリジスタ、プレジコビックス)
イトラコナゾール
(イトリゾール)
コビシスタット含有製剤
(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス)
[2.4、16.7.1参照]
本剤の血漿中濃度が上昇する。
リトナビルとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加した。
CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害するおそれがある。
sGC刺激剤
リオシグアト(アデムパス)
[2.5参照]
症候性低血圧を起こすことがある。リオシグアト投与により細胞内cGMP濃度が増加し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの細胞内濃度が増大し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害薬
(エリスロマイシン、シメチジン、アタザナビル、クラリスロマイシン、エンシトレルビル フマル酸等)
[16.7.2参照]
本剤の血漿中濃度が上昇する。
エリスロマイシン及びシメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、Cmaxはそれぞれ2.6倍及び1.5倍に増加し、AUCはそれぞれ2.8倍及び1.6倍に増加した。
CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害するおそれがある。
CYP3A4誘導薬
(デキサメタゾン、フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール等)
本剤の血漿中濃度が低下する。これらの薬剤により誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。
ボセンタン
(トラクリア)
[16.7.3参照]
(1)血圧低下作用が増強するおそれがある。
(2)本剤の血漿中濃度が低下し、Cmax及びAUCがそれぞれ0.45倍及び0.37倍に減少した。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
(2)ボセンタンにより誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。
降圧薬アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある。本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。
α遮断薬ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。
起立性低血圧が発現することを最小限に抑えるため、本剤を投与する前にα遮断薬療法中の患者の血行動態が安定していることを確認すること。
本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。
カルペリチド降圧作用が増強するおそれがある。本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。
ビタミンK拮抗薬
(ワルファリン)
[9.1.9参照]
出血(鼻出血等)の危険性が高まることがある。本剤は微小血管が豊富な鼻甲介の血流量を増加させるため、併用により鼻出血の発現を増強するおそれがある。
また、結合組織疾患に伴う血小板機能異常がみられる患者及び経鼻酸素療法(鼻粘膜を乾燥させる)や抗凝固療法を併用している患者では鼻出血などの出血が発現しやすい。
アミオダロン塩酸塩アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがある。機序不明。
類薬とアミオダロン塩酸塩の併用により、QTc延長があらわれるおそれがあるとの報告がある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1%以上5%未満1%未満
神経系障害頭痛(30.6%)、めまい錯感覚片頭痛、感覚鈍麻、失神
血管障害潮紅低血圧、ほてり血管障害
胃腸障害消化不良、腹痛、悪心、下痢嘔吐、胃炎、胃食道逆流性疾患腹部不快感、便秘
筋骨格系及び結合組織障害四肢痛、筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛、顎痛頚部痛
呼吸器、胸郭及び縦隔障害鼻出血、咳嗽、鼻閉、呼吸困難咽喉頭疼痛、鼻咽頭炎、鼻漏、気管支炎、上気道感染
眼障害色視症(青視症、黄視症など)、霧視、結膜充血、眼充血、視覚障害、白内障、羞明、網膜血管障害、光視症結膜炎、眼部不快感、網膜出血、視覚の明るさ、眼痛、複視、屈折障害、光輪視、視野欠損、眼出血、色覚異常、流涙増加、眼圧迫感、眼刺激、眼部腫脹、眼変性障害、視力障害、視力低下
耳及び迷路障害耳鳴、難聴
皮膚及び皮下組織障害そう痒症、発疹、紅斑多汗症
一般・全身障害及び投与部位の状態浮腫、胸痛、疲労、発熱疼痛、無力症、倦怠感、胸部不快感、熱感
心臓障害動悸、頻脈、不整脈、チアノーゼ
精神障害不眠症
代謝及び栄養障害食欲不振
血液及びリンパ系障害貧血
生殖系及び乳房障害自発陰茎勃起、勃起増強、持続勃起症
臨床検査体重減少、ALT増加、AST増加、ヘモグロビン減少、リンパ球数減少
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