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ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「BMD」

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)

    • ○透析患者
    • ○慢性肝疾患患者

用法・用量

  • 通常、成人には、ナルフラフィン塩酸塩として1日1回2.5μgを夕食後又は就寝前に経口投与する。なお、症状に応じて増量することができるが、1日1回5μgを限度とする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
<慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合>
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
<効能共通>
9.3.1 重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者
重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。[8.1、16.1.1参照]
<透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
9.3.2 中等度(Child-Pugh分類グレードB)の肝障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、胎盤通過、生存胎児数の減少、出産率の低下及び出生児体重の減少が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者に対する本剤の投与にあたっては、リスク・ベネフィットを勘案し、投与中は患者の状態を十分に観察すること。[9.3.1、16.1.1参照]
8.2 眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
8.3 本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
8.4 本剤の投与により、プロラクチン値上昇等の内分泌機能異常があらわれることがあるので、適宜検査を実施することが望ましい。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、さらには穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<血液透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.1 本剤の投与から血液透析開始までは十分な間隔をあけること。本剤は血液透析により除去されることから、本剤服用から血液透析までの時間が短い場合、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。[16.8.1参照]
<腹膜透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.2 本剤の投与から透析液交換までは十分な間隔をあけること。本剤服用から透析液交換までの時間が短い場合、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。[16.1.1参照]
<慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.3 本剤の投与は1日1回2.5μgから開始し、効果不十分な場合に1日1回5μgへの増量を検討すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)血液透析患者(16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。
薬物動態パラメータ
投与群(μg)例数Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(pg・hr/mL)t1/2(hr)
2.583.15±0.824.25±1.5866.26±15.5414.21±4.93
586.51±2.763.00±0.93120.59±71.9014.03±7.44
※ n=2(平均値±標準偏差)
(2)腹膜透析患者(16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。腹膜透析の方法(連続携行式腹膜透析(CAPD)、持続的周期的腹膜透析(CCPD))、自動腹膜潅流装置(APD)の有無及び透析液の種類により、未変化体の薬物動態パラメータに明らかな差異は認められなかった。なお、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)5μg投与群において、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)投与から初回の透析液交換までの時間が3時間と規定された5例のうち1例で、未変化体のCmax及びAUC0-∞がそれぞれ5.37pg/mL及び156.54pg・h/mLと低下する傾向が認められた。[7.2参照]
薬物動態パラメータ
投与群(μg)例数Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(pg・hr/mL)t1/2(hr)
2.553.81±0.881.0092.67±23.4720.99±4.22
5118.28±3.002.00193.74±57.5224.77±3.23
※ 中央値(平均値±標準偏差)
(3)軽度(Child-Pugh分類グレードA)の代償性肝硬変患者(12例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。健康成人男子と比較してCmaxやAUCが上昇する傾向は認められなかった。
薬物動態パラメータ
投与群(μg)例数Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(pg・hr/mL)t1/2(hr)
2.563.63±1.262.33±1.0334.58±13.555.37±2.11
566.76±2.031.50±0.5558.06±26.286.61±2.46
※ n=4(平均値±標準偏差)
(4)中等度(Child-Pugh分類グレードB)の慢性肝疾患患者(延べ30例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。軽度(Child-Pugh分類グレードA)の肝障害患者と比較してCmaxとAUCは上昇する傾向が認められた。[9.3.2参照]
薬物動態パラメータ
投与群(μg)例数Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(pg・hr/mL)t1/2(hr)
2.5166.36±2.621.81±1.52117.4±51.417.52±10.69
51411.71±4.451.50±1.02197.7±97.014.59±5.27
(平均値±標準偏差)
(5)重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害患者における薬物動態は検討されていない。[8.1、9.3.1参照]
16.1.2 反復投与
血液透析患者(14~16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口反復投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。
薬物動態パラメータ
投与群(μg)例数Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(pg・hr/mL)t1/2(hr)
2.575.70±3.854.14±1.35210.25±144.2825.33±10.52
5710.25±1.743.86±1.21358.86±179.2428.34±8.55
※ n=6(平均値±標準偏差)
また、透析時では非透析時と比較しt1/2が短縮しており、透析時及び非透析時のt1/2はそれぞれ、5.11~11.17(hr)、13.55~64.37(hr)であった。
16.1.3 生物学的同等性試験
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「BMD」とレミッチカプセル2.5μgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(ナルフラフィン塩酸塩として2.5μg)健康成人男子に絶食単回経口投与して未変化体の血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ参考パラメータ
投与群AUC0→48(pg・hr/mL)Cmax(pg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「BMD」29.617±6.9952.334±0.5472.7±1.210.88±1.59
レミッチカプセル2.5μg28.267±6.4952.285±0.5342.4±1.010.65±1.59
(平均値±標準偏差、n=18)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男子(12例)を対象に、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)10μgを食後に経口単回投与した時のAUC0-48hr及びCmaxは空腹時投与の場合とほぼ同等であり、食事の影響は認められなかった。
(注1)通常の1回投与量は2.5μgである。
(注2)開発段階の製剤での試験成績であるが、当該製剤はレミッチカプセルと溶出挙動の類似性から同等であると考えられている。
薬物動態パラメータに対する食事の影響
投与方法Cmax(pg/mL)Tmax(hr)AUC0-48hr(pg・hr/mL)t1/2(hr)
空腹時投与12.67±3.953.1±1.1114.46±34.265.99±1.35
食後投与13.68±3.653.2±1.3126.03±38.105.90±1.10
(平均値±標準偏差)
16.3 分布
16.3.1 ヒト血漿タンパク結合率は、73.3~76.3%であり、性差は認められなかった(in vitro)。
16.3.2 ラットに経口単回投与した後の全身オートラジオグラム及び組織中放射能濃度測定結果から、投与後15分に食道、肝臓、消化管及びその内容物に高い放射能の分布が認められた。また、投与後168時間では肝臓、腎臓、甲状腺及び腸内容物に放射能が認められた。
16.4 代謝
16.4.1 in vitro試験、代謝
in vitro代謝評価系による検討から、主代謝酵素はCYP3A4であった。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男子(6例)を対象に、トリチウムで標識したナルフラフィン塩酸塩を静脈内単回投与した時の薬物動態を検討したところ、投与後14日間での糞中排泄率は56.0%、尿中の排泄率は36.2%で、累積排泄率は92.2%となった。尿中では主に未変化体として、糞中では主に脱シクロプロピルメチル体として排泄された。主代謝物は脱シクロプロピルメチル体であり、その他にグルクロン酸抱合体が認められた(外国人データ)。
16.5.2 4種の透析膜を用いて透析による除去について検討したところ、未変化体の透析膜面積1.5m2換算クリアランスは44.6~61.8mL/minと算出され、健康成人男子における未変化体の腎クリアランス170~210mL/minと比較すると小さいものの、未変化体は膜種に関係なく透析により除去されるものと考えられた。また、代謝物(脱シクロプロピルメチル体及びグルクロン酸抱合体)についても膜種に関係なく除去されるものと考えられた。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用
健康成人男子(22例)を対象に、ナルフラフィン塩酸塩(液剤)10μgを単独で経口単回投与した時とケトコナゾールを反復投与で併用した時、ナルフラフィン塩酸塩(液剤)のAUC0-∞はケトコナゾールを併用することにより160.5%となり、ケトコナゾールはナルフラフィン塩酸塩の薬物動態に影響した(外国人データ)。[10.2参照]
(注)通常の1回投与量は2.5μgである。
16.7.2 in vitro試験、代謝
ナルフラフィン塩酸塩のAUCに及ぼす影響についてin vitro代謝評価系を用いて検討したところ、そのAUCはケトコナゾール併用時に最大5.5倍、ミデカマイシン併用時に最大2.5倍、シクロスポリン併用時に最大2.3倍となる可能性が示された。[10.2参照]
16.7.3 ヒトP糖タンパク(MDR1)発現LLC-PK1細胞を用いたin vitro試験
ナルフラフィン塩酸塩はP糖タンパクの基質であるが、P糖タンパクを介したジゴキシンの輸送に影響を及ぼさないことが示された。一方、ナルフラフィン塩酸塩のP糖タンパクを介した輸送はケトコナゾール、ベラパミル塩酸塩、シクロスポリン、タクロリムス、セチリジン塩酸塩により阻害されることが示された。
16.7.4 非吸収性薬剤とのin vitro吸着試験
ナルフラフィン塩酸塩の高リン血症治療剤であるセベラマー塩酸塩(陰イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は11.9~14.7%、高カリウム血症治療剤であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム(陽イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は62.4~72.7%、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(陽イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は98.8~98.9%であった。
16.8 その他
16.8.1 血液透析の影響
ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)投与時の血漿中濃度に対する透析回数(週1、2、3回)、透析時間(2、4、6時間)、透析の実施時期(午前、午後、夜間)、投与から透析までの間隔(4、8、12時間)の影響をシミュレーションにより検討した結果、投与から透析までの間隔が4時間以内の血液透析では血漿中濃度が低下する可能性があるが、8時間以上の血液透析では影響はないと考えられた。その他の項目については血漿中濃度に影響はないと考えられた。[7.1、13.2参照]

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害作用のある薬剤等
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、ミデカマイシン、リトナビル、シクロスポリン、ニフェジピン、シメチジン、グレープフルーツジュース等
[16.7.1、16.7.2参照]
本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があるため、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。CYP3A4阻害作用のある薬剤等との併用により本剤の代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬本剤との併用により、不眠、幻覚、眠気、浮動性めまい、振戦、せん妄等が認められる可能性があるので、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、副作用の発現に注意すること。本剤による中枢性の副作用が増強される可能性がある。
オピオイド系薬剤本剤の作用が増強あるいは減弱されるおそれがある。両剤の薬理学的な相互作用(増強又は拮抗)が考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
精神・神経系不眠注1),注2)眠気注1),注2)、浮動性めまい、頭痛いらいら感、幻覚、構語障害、レストレスレッグス症候群、振戦、しびれ不穏、せん妄、易怒性
消化器系便秘注1),注2)口渇、悪心、下痢嘔吐、食欲不振、腹部不快感、胃炎、口内炎
皮膚そう痒の悪化、湿疹、発疹蕁麻疹、紅斑、丘疹色素沈着
肝臓総胆汁酸上昇AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇LDH上昇
腎臓頻尿・夜間頻尿注2),注3)多尿注3)
循環器系動悸、ほてり、血圧上昇
内分泌系プロラクチン上昇テストステロン低下、甲状腺刺激ホルモン低下、甲状腺刺激ホルモン上昇、抗利尿ホルモン上昇女性化乳房
血液好酸球増多、貧血
尿尿中血陽性注3)、尿中蛋白陽性注3)
その他倦怠感胸部不快感、脱力感、回転性めまい、異常感、浮腫、血中リン低下

注1)血液透析患者への投与時は投与開始後2週間以内にあらわれることが多い。
注2)慢性肝疾患患者への投与時は投与開始後4週間以内にあらわれることが多い。
注3)慢性肝疾患患者を対象とした国内臨床試験での発現頻度。

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