製品名 トラディアンス配合錠AP
トラディアンス配合錠BP

一般名
Empagliflozin
Linagliptin
薬効分類
糖尿病治療薬
 >糖尿病治療薬配合薬
価格



製薬会社
効能・効果
用法・容量

効能・効果

  • 2型糖尿病
    ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。

用法・用量

  • トラディアンス配合錠AP

    • 通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして10mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
  • トラディアンス配合錠BP

    • 通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
禁忌
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
副作用
低血糖(0.5%)
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤又はインスリン製剤)との併用で低血糖があらわれることがある。なお、他のDPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合でも低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。[「慎重投与(2)」、「重要な基本的注意(1)」、「相互作用」、「臨床成績」の項参照]
脱水(頻度不明)
脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。[「慎重投与(3)」、「重要な基本的注意(8)」、「相互作用」、「その他の副作用」、「高齢者への投与」の項参照]
ケトアシドーシス(頻度不明)
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意(9)」の項参照]
腎盂腎炎(頻度不明)、敗血症(頻度不明)
腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意(7)」の項参照]
腸閉塞(頻度不明)
腸閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与(7)」の項参照]
肝機能障害(0.2%)
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
類天疱瘡(頻度不明)
類天疱瘡があらわれることがあるので、水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
急性膵炎(頻度不明)
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意(10)」の項参照]
注意

次の患者には慎重に投与すること

次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
他の糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤)を投与中の患者[併用により低血糖を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意(1)」、「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照)]
脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等)[本剤の成分であるエンパグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意(8)」、「相互作用」、「重大な副作用」及び「高齢者への投与」の項参照)]
尿路感染、性器感染のある患者[症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意(7)」の項参照)]
高度肝機能障害患者[使用経験がなく安全性が確立していない。(「薬物動態」の項参照)]
中等度腎機能障害患者[「重要な基本的注意(6)及び(8)」、「薬物動態」の項参照]
腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者[腸閉塞を起こすおそれがある。(「重大な副作用」の項参照)]
本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤又はインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合には、これらの薬剤の減量を検討すること。[「慎重投与(2)」、「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照]
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3カ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や減量する必要がある場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意の上、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
本剤の成分であるエンパグリフロジン投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること。[「慎重投与(6)」、「その他の副作用」の項参照]
本剤の成分であるエンパグリフロジン投与により、尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。また、腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること。[「慎重投与(4)」、「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項参照]
本剤の成分であるエンパグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎機能障害患者、利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。[「慎重投与(3)及び(6)」、「相互作用」、「重大な副作用」、「その他の副作用」及び「高齢者への投与」の項参照]
本剤の成分であるエンパグリフロジンの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。
悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について説明するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること。[「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項参照]
本剤の成分であるリナグリプチン投与により、急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[「重大な副作用」の項参照]
本剤の成分であるエンパグリフロジンは、尿中グルコース排泄促進作用を有する。排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
本剤の成分であるエンパグリフロジン投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。[「その他の副作用」の項参照]
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。[「重大な副作用」の項参照]
本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。
本剤の成分であるリナグリプチンとGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
トラディアンス配合錠AP
本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
トラディアンス配合錠AP(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして10mg/5mg)については、原則として以下の場合に使用を検討すること。
既にエンパグリフロジン10mg及びリナグリプチン5mgを併用し状態が安定している場合
エンパグリフロジン10mgの単剤治療により効果不十分な場合
リナグリプチン5mgの単剤治療により効果不十分な場合
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の成分であるエンパグリフロジンの効果が期待できないため、投与しないこと。[「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」の項参照]
中等度腎機能障害患者では本剤の成分であるエンパグリフロジンの効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。[「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」の項参照]
本剤投与中において、本剤の投与がエンパグリフロジン及びリナグリプチンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
トラディアンス配合錠BP
本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
トラディアンス配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして25mg/5mg)については、原則として以下の場合に使用を検討すること。なお、特にエンパグリフロジン10mg及びリナグリプチン5mgの治療により効果不十分な場合に投与する際は、経過を十分に観察すること。
既にエンパグリフロジン25mg及びリナグリプチン5mgを併用し状態が安定している場合
エンパグリフロジン10mg及びリナグリプチン5mgの治療により効果不十分な場合
エンパグリフロジン25mgの単剤治療により効果不十分な場合
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の成分であるエンパグリフロジンの効果が期待できないため、投与しないこと。[「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」の項参照]
中等度腎機能障害患者では本剤の成分であるエンパグリフロジンの効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。[「重要な基本的注意(6)」、「薬物動態」の項参照]
本剤投与中において、本剤の投与がエンパグリフロジン及びリナグリプチンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、本剤の成分であるエンパグリフロジンの国内外の臨床試験の併合解析において、75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、エンパグリフロジン25mg群で体液量減少の有害事象の発現割合が高かった。[「重要な基本的注意(8)」の項参照]
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので、注意すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。本剤の成分であるエンパグリフロジンの動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。また、動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。本剤の成分であるリナグリプチンの動物実験(ラット及びウサギ)で、胎児への移行が報告されている。]
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[本剤の成分であるエンパグリフロジン及びリナグリプチンの動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。]
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
血漿中濃度
単回投与(外国人データ)
健康成人を対象として、本剤又は単剤併用をクロスオーバー法により空腹時単回経口投与した。本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン10mg/5mg)と単剤併用(エンパグリフロジン10mgとリナグリプチン5mg)投与後(56例)、並びに本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン25mg/5mg)と単剤併用(エンパグリフロジン25mgとリナグリプチン5mg)投与後(42例)の血漿中濃度推移データを図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。本剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは、単剤併用時と類似しており、生物学的同等性の基準を満たす製剤であることが確認されている。
図1 健康成人に空腹時単回経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差)
エンパグリフロジン/リナグリプチン10mg/5mg
エンパグリフロジン/リナグリプチン25mg/5mg
表1 健康成人に空腹時単回経口投与後の血漿中薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]エンパグリフロジンリナグリプチン
本剤単剤併用本剤単剤併用
10mg/5mgN=55N=54N=55N=54
AUC0-tz[nM・h]2590(17.5)2560(19.3)288(23.0)291(23.6)
Cmax[nM]380(24.6)374(22.4)9.92(36.6)9.35(42.7)
tmax[h]1.50(0.667-4.00)1.02(0.667-4.00)2.02(0.333-6.03)2.00(0.333-6.02)
t1/2[h]10.1(27.4)10.3(24.1)54.4(21.0)55.1(22.9)
25mg/5mgN=42N=40N=42N=40
AUC0-tz[nM・h]6110(21.2)5840(20.5)271(22.1)256(21.7)
Cmax[nM]892(26.5)826(23.5)8.71(37.0)7.83(30.5)
tmax[h]1.50(0.667-4.00)1.25(0.667-3.98)1.50(0.333-6.03)1.75(0.667-10.0)
t1/2[h]14.0(35.6)13.7(37.4)55.3(18.7)56.0(26.6)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
食事の影響
日本人健康成人男性(22例)に、本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン25mg/5mg)を空腹時及び食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-tzの幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)とその90%信頼区間は、エンパグリフロジンで74.9[66.3,84.6]%及び86.0[83.4,88.7]%、リナグリプチンで55.7[48.2,64.3]%及び82.2[78.4,86.2]%であった。空腹時投与に比べてtmaxの中央値はエンパグリフロジンで1.0時間、リナグリプチンで0.5時間延長した。
吸収
エンパグリフロジン
エンパグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティの検討は行っていない。
リナグリプチン
(外国人データ)健康成人男性に、リナグリプチン10mgを錠剤として経口投与したとき及び5mgを静脈内投与したとき(各10例)のデータを用いて絶対バイオアベイラビリティを算出した結果、約30%であった(母集団薬物動態解析による推定値)。
(リナグリプチンの承認用量は5mgである。)
分布
エンパグリフロジン
日本人2型糖尿病患者(腎機能正常、8例)にエンパグリフロジン25mgを単回経口投与したときのエンパグリフロジンの血漿蛋白結合率は84.7%であった。外国人健康成人男性(8例)に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を経口投与したときの血球/血漿の放射能濃度の分布比は28.6~36.8%であった。
(エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。)
リナグリプチン
リナグリプチンのin vitro血漿蛋白結合率は濃度依存的であり、2nMでの98.8%から20nMでの84%へと減少した。30nM以上では蛋白結合率はほぼ一定であった。
代謝
エンパグリフロジン
in vitroデータ)ヒトの肝ミクロソーム及び単離肝細胞では、エンパグリフロジンはほとんど代謝を受けなかった。主たる代謝物の生成にはUGT2B7、UGT1A3、UGT1A8及びUGT1A9が関与しており、CYP酵素の関与はほとんどなかった。
エンパグリフロジンはヒト肝ミクロソームのCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4を阻害せず、CYP1A2、2B6、3A4を誘導しなかった。
(外国人データ)健康成人男性に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を経口投与したとき(8例)、血漿中には主に未変化体が認められ(血漿中放射能に対する割合は75%超)、主な代謝物はグルクロン酸抱合体であった(血漿中放射能に対する割合は約3.3~7.4%)。
(エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。)
リナグリプチン
in vitroデータ)ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞での14C-リナグリプチンの代謝は極めて低い。主たる代謝物の生成にはCYP3A4のみが関与していた。
リナグリプチンはヒト肝ミクロソームのCYP3A4活性を競合的に阻害するがその程度は弱く(Ki=115μM)、CYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、4A11を阻害しなかった。また、ヒト肝ミクロソームのCYP3A4を弱~中程度に不可逆的に阻害した。CYP1A2、2B6、3A4を誘導しなかった。
(外国人データ)健康成人に14C-リナグリプチン10mgを経口投与したとき(6例)、血漿中には主に未変化体が認められ(血漿中放射能に対する割合は約62%)、主な代謝物はCYP3A4によって生成するピペリジニル基の水酸化体であった(血漿中放射能に対する割合は約5%)。
(リナグリプチンの承認用量は5mgである。)
排泄
エンパグリフロジン
日本人健康成人男性(各6例)にエンパグリフロジン10mg及び25mgを単回経口投与したときの投与後72時間までの尿中未変化体排泄率はそれぞれ投与量の21.3%及び22.9%であった。
(外国人データ)健康成人男性(8例)に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を単回経口投与したとき、投与放射能の約54.4%が尿中に、約41.2%が糞中に排泄された。
(エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。)
in vitroデータ)エンパグリフロジンはP-gp、BCRP、OAT3、OATP1B1及びOATP1B3の基質であった。また、エンパグリフロジンはBCRP、OAT3、OATP1B1及びOATP1B3に対して弱い阻害作用(IC50値:各114、295、71.8、58.6μM)を示したが、P-gpに対して阻害作用を示さなかった。
リナグリプチン
日本人健康成人(6例)にリナグリプチン5mgを単回経口投与したときの投与24時間後までの尿中未変化体排泄率は約0.6%であった。
(外国人データ)健康成人(6例)に14C-リナグリプチン10mgを単回経口投与したとき、投与後96時間までに投与放射能の約5%が尿中に、約80%が糞中に排泄された。
(リナグリプチンの承認用量は5mgである。)
in vitroデータ)リナグリプチンはP-gpの基質であり、弱い阻害剤であった(IC50:約55μM)。
腎機能障害患者
エンパグリフロジン
日本人腎機能正常(推定糸球体濾過量[eGFR]≧90mL/min/1.73m2、8例)及び軽度(eGFR60~<90mL/min/1.73m2、8例)、中等度(eGFR30~<60mL/min/1.73m2、8例)、高度腎機能障害(eGFR15~<30mL/min/1.73m2、8例)の2型糖尿病患者にエンパグリフロジン25mg単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度、高度腎機能障害患者でそれぞれCmaxについて、93.5[72.2,121]%、92.2[71.2,119]%、94.0[72.6,122]%であり、AUC0-∞について129[106,157]%、144[118,175]%、152[125,185]%であった。投与後24時間までの尿中グルコース排泄量(UGE0-24h)のベースラインからの変化量の平均値は、腎機能正常患者で75.0g、軽度腎機能障害患者で62.6g、中等度腎機能障害患者で57.9g、高度腎機能障害患者で23.7gと腎機能の低下とともに減少した。
(外国人データ)末期腎不全患者(8例)にエンパグリフロジン50mg単回経口投与を行った場合、Cmax及びAUC0-∞の正常腎機能患者(8例)に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、104[81.2,133]%及び148[120,183]%であった。UGE0-24hのベースラインからの変化量の平均値は0.78gであった。
(エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。)
リナグリプチン(外国人データ)
健康被験者(クレアチニンクリアランス[Ccr]>80mL/min、6例)及び軽度(Ccr>50~≦80mL/min、6例)、中等度腎機能障害患者(Ccr>30~≦50mL/min、6例)にリナグリプチン5mg単回及び反復投与、並びに高度(Ccr≦30mL/min、6例)及び末期腎機能障害患者(Ccr≦30mL/minで血液透析が必要、6例)にリナグリプチン5mg単回投与を行った。単回投与後のAUC0-24hは健康被験者に比べて、軽度、中等度、高度、末期腎機能障害患者でそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.4倍、1.5倍であり、Cmaxはそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.5倍、1.5倍であった。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて、軽度及び中等度腎機能障害患者でそれぞれ約1.1倍及び1.7倍であり、Cmax,ssはそれぞれ約1.0倍及び1.5倍であった。
腎機能正常(11例)及び高度腎機能障害を有する(10例)2型糖尿病患者にリナグリプチン5mg反復投与を行った。高度腎機能障害を有する2型糖尿病患者における反復投与後のAUCτ,ss及びCmax,ssは腎機能正常2型糖尿病患者に比べて、ともに約1.4倍であった。腎機能障害患者の累積係数は健康被験者と同程度であり、尿中排泄率は腎機能障害の程度によらず全群で低かった。
肝機能障害者
エンパグリフロジン(外国人データ)
肝機能正常被験者(12例)及び軽度(Child-Pughスコア5又は6、8例)、中等度(Child-Pughスコア7~9、8例)、高度(Child-Pughスコア10~15、8例)肝機能障害者にエンパグリフロジン50mg単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの肝機能正常被験者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度及び高度肝機能障害者でそれぞれCmaxについて104[82.3,131]%、123[97.7,156]%、148[118,187]%であり、AUC0-∞について123[98.9,153]%、147[118,183]%、175[140,218]%であった。
(エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。)
リナグリプチン(外国人データ)
健康被験者(8例)及び軽度(Child-Pughスコア6、8例)、中等度(Child-Pughスコア7~9、9例)、高度(Child-Pughスコア10~15、8例)肝機能障害患者にリナグリプチン5mg単回投与、並びに健康被験者及び軽度、中等度肝機能障害患者にリナグリプチン5mg1日1回7日間反復投与を行った。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて軽度及び中等度肝機能障害患者でそれぞれ約0.8倍及び0.9倍であり、Cmax,ssは約0.6倍及び0.9倍であった。また、高度肝機能障害患者のAUC0-24hは健康被験者に比べて1.0倍、Cmaxは0.8倍であった。
肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は健康被験者よりやや低く(最大36%:軽度肝機能障害患者のCmax,ss)、肝機能の低下に伴う曝露の増加はみられなかった。
高齢者
エンパグリフロジン
2型糖尿病患者3208例(日本人患者628例を含む)を用いた母集団薬物動態解析の結果、年齢が50歳の場合に比べてエンパグリフロジンのAUCτ,ssは65歳では8.00%、75歳では12.5%高くなると予測された。
リナグリプチン
日本人2型糖尿病患者(159例)にリナグリプチン5mgを1日1回26週間投与したときのトラフ時の血漿中濃度の幾何平均値(幾何変動係数%)は65歳未満で6.57nM(31.1%)、65歳以上で7.66nM(26.9%)であった。
薬物相互作用
薬物相互作用のin vitroにおける評価については4.代謝の項及び5.排泄の項を参照。
エンパグリフロジンとリナグリプチンの併用(外国人データ)
健康成人男性(16例)にエンパグリフロジン50mgとリナグリプチン5mgを1日1回7日間反復併用投与した場合、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
エンパグリフロジン
エンパグリフロジンの薬物動態に及ぼす併用薬の影響
メトホルミン、グリメピリド、ピオグリタゾン、シタグリプチン、ワルファリン、ベラパミル、ラミプリル、シンバスタチン、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)との併用によるエンパグリフロジンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
ゲムフィブロジル、リファンピシン及びプロベネシドとの併用投与によりエンパグリフロジンのAUCは59%、35%及び53%、Cmaxは15%、75%及び26%上昇した。これらの薬物動態の変化は臨床的に問題ないと考えられた。
併用薬の薬物動態に及ぼすエンパグリフロジンの影響
エンパグリフロジンの併用によるメトホルミン、グリメピリド)、ピオグリタゾン、シタグリプチン、ワルファリン、ジゴキシン、ラミプリル、シンバスタチン、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)、経口避妊薬(エチニルエトラジオール及びレボノルゲストレル)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
リナグリプチン
リナグリプチンの薬物動態に及ぼす併用薬の影響
メトホルミン、ピオグリタゾン、グリベンクラミドとの併用によるリナグリプチンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
リトナビル及びリファンピシンとの併用投与により、リナグリプチンのAUCは2倍上昇及び40%低下、Cmaxは3倍上昇及び44%低下した。
併用薬の薬物動態に及ぼすリナグリプチンの影響
リナグリプチンの併用によるシンバスタチン、メトホルミン、ピオグリタゾン、グリベンクラミド、ワルファリン、ジゴキシン、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。