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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

用法・用量

  • 通常、成人にはダコミチニブとして1日1回45mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
  • 1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[7.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある。[1.2、7.2、8.1、11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2.1、15.2.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与による胎児へのリスクについて患者に十分説明すること。[15.2.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明であるが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査等の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。[1.2、7.2、9.1.1、11.1.1参照]
8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.4参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 副作用があらわれた場合には、以下の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。[1.2、8.1、9.1.1、11.1.1-11.1.3参照]
本剤の減量段階
減量段階投与量
通常投与量45mg/日
1段階減量30mg/日
2段階減量15mg/日
副作用に対する休薬、減量又は中止基準の目安
副作用程度注)処置
間質性肺疾患(ILD)全Grade投与を中止する。
下痢Grade2の場合Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後、同一用量又は1段階減量して投与を再開できる。
Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後、1段階減量して投与を再開できる。
皮膚毒性(発疹、紅斑及び剥離を伴う皮膚の症状)Grade2の場合Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後、同一用量又は1段階減量して投与を再開できる。
Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後、1段階減量して投与を再開できる。
上記以外の副作用Grade3又は4の場合Grade2以下に回復するまで休薬し、回復後、1段階減量して投与を再開できる。
注)GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じる。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 EGFR遺伝子変異検査を実施すること。EGFR遺伝子変異検査の実施には、十分な経験を有する病理医又は検査施設において、承認された体外診断薬を用い、EGFR遺伝子変異が確認された患者に投与すること。
5.2 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1参照]
5.3 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人進行固形癌患者計13例に本剤15、30注)及び45mgを単回投与したとき、投与後6~24時間(中央値)でCmaxに達した。本剤の消失半減期は61~98時間(算術平均値)であり、Cmax及びAUCは概ね用量に比例して増加した。
算術平均値±標準偏差、15及び30mg:N=3、45mg:N=7
投与量(mg)NCmax(ng/mL)AUCinf(ng・h/mL)Tmax(h)t1/2(h)
15注)37.74(31)646.9(24)24.0(6.0-24.0)61.1(15.4)
30注)311.1(55)765,1210a)8.0(8.0-24.0)66.9,129a)
45717.6(71)1543(29)6.0(4.0-24.0)80.0(12.3)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期Tmaxは中央値(最小値-最大値)、t1/2は算術平均値(標準偏差)それ以外は幾何平均値(算術変動係数%)a)N=2
16.1.2 反復投与
日本人進行固形癌患者計11例に本剤15、30注)及び45mgを1日1回反復投与したときの第1サイクル14日(定常状態時)の血漿中濃度推移と薬物動態パラメータを以下に示す。
算術平均値±標準偏差、15mg、30mg及び45mgでそれぞれN=2、N=3及びN=6
投与量(mg)NCmax(ng/mL)Cmin(ng/mL)AUCtau(ng・h/mL)Tmax(h)
15a),注)229.5,34.421.9,27.7627,7996.0,24.0
30注)363.5(19)46.9(18)1333(21)4.0(0.0-8.0)
45679.5(21)63.6(20)1768(20)8.0(4.0-8.0)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCtau:投与間隔tauの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、Cmin:最低血漿中濃度Tmaxは中央値(最小値-最大値)それ以外は幾何平均値(算術変動係数%)a)N=2
16.2 吸収
健康成人14例に本剤45mgを単回経口投与したときの、本剤20mg単回静脈内投与注)に対する絶対的バイオアベイラビリティは80%であった(外国人データ)。健康成人24例に本剤45mgを高脂肪食後に単回経口投与したとき、空腹時投与と比較してAUCinfが14%、Cmaxが24%増加した(外国人データ)。
16.3 分布
健康成人14例に本剤20mgを単回静脈内投与注)したときの分布容積の平均値は1889Lであった(外国人データ)。ダコミチニブのヒト血漿蛋白結合率は、検討した薬物濃度範囲で変化せず、98%であった(in vitro試験)。
16.4 代謝
ダコミチニブのヒトでの主要な代謝経路は酸化的代謝及びグルタチオン抱合である。健康成人6例に14Cで標識した本剤45mgを単回経口投与したとき、血漿中では主に未変化体及びO-脱メチル体が検出された(血漿中総放射能の39及び16%)。糞中では主に未変化体、O-脱メチル体、システイン抱合体及び一酸化体が検出された(投与放射能の20、20、9.5及び5.1%)(外国人データ)。
In vitro試験において、O-脱メチル体の生成には主としてCYP2D6が関与し、他の微量な酸化代謝物の生成にはCYP3A4が関与していることが示唆された。
16.5 排泄
健康成人6例に14Cで標識した本剤45mgを単回経口投与したとき、投与後552時間までに投与放射能の82%が回収され、投与放射能の79%が糞中に、3%が尿中に排泄された。未変化体の尿中排泄率は投与量の1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害者
軽度(Child-Pugh分類A;N=8)及び中等度(Child-Pugh分類B;N=9)の肝機能障害を有する被験者に、本剤30mg注)を単回投与したとき、正常な肝機能を有する被験者(N=8)と比較して、軽度肝機能障害群での曝露量は同様であり、中等度肝機能障害群では、AUCinf及びCmaxはそれぞれ15%及び20%減少した。また、重度(Child-Pugh分類C;N=8)の肝機能障害を有する被験者に、本剤30mg注)を単回投与したとき、正常な肝機能を有する被験者(N=8)と比較してAUCinfは同様であり、Cmaxは31%増加した(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 デキストロメトルファン
健康成人14例を対象にCYP2D6の基質であるデキストロメトルファン30mg(単回投与)を本剤45mg(単回投与)と併用したとき、デキストロメトルファン単剤投与時と比べて、デキストロメトルファンのAUClast及びCmaxはそれぞれ、855%及び874%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 ラベプラゾール
健康成人24例を対象にラベプラゾール40mg(反復投与)と本剤45mg(単回投与)を併用したとき、ダコミチニブのAUC96及びCmaxは、本剤単剤投与時と比べて、それぞれ39%及び51%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 その他
(1)本剤はUGT1A1、P-gp、BCRP又はOCT1の阻害作用を示した(in vitro試験)。
(2)パロキセチン
健康成人14例を対象にCYP2D6の強い阻害薬であるパロキセチン30mg(反復投与)と本剤45mg(単回投与)を併用投与したとき、ダコミチニブのAUCinf及びCmaxは、本剤単剤投与時と比べて、それぞれ37%及び10%増加した(外国人データ)。
(3)制酸剤
進行固形癌患者8例において制酸薬(水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム経口懸濁液;400mg/5mL)(単回投与)と本剤45mg(単回投与)を併用したとき、本剤単剤投与時と比べて、ダコミチニブのAUCinfは5%増加し、Cmaxは12%低下した(外国人データ)。
注)本剤の承認用法・用量は1日1回45mgを経口投与する。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP2D6基質
プロカインアミド、ピモジド、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等)、β遮断薬(メトプロロール等)、デキストロメトルファン等
[16.7.1参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、患者の状態を注意深く観察すること。本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害され、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
胃内pHに影響を及ぼす薬剤
プロトンポンプ阻害剤(ラベプラゾール等)
[16.7.2参照]
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。これらの薬剤が胃内pHをあげるため、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(2.2%)
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[1.2、7.2、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 重度の下痢(8.4%)
重度の下痢に伴って脱水症状をきたし、急性腎障害に至った症例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うとともに、本剤の休薬、減量又は投与中止を考慮すること。[7.2参照]
11.1.3 重度の皮膚障害(31.7%)
ざ瘡様皮膚炎(13.7%)、爪囲炎(7.5%)等があらわれることがある。なお、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。[7.2参照]
11.1.4 肝機能障害(28.6%)
ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上10%未満1%以上1%未満頻度不明
胃腸障害口内炎(口腔内潰瘍形成、アフタ性潰瘍等)(59.5%)、悪心(12.8%)、下痢(85%)口唇炎、口内乾燥、口腔内出血、舌痛、舌炎、嚥下障害、嘔吐、腹痛、胃腸炎、便秘、痔核口唇痛、歯肉潰瘍、嚥下痛、消化不良、痔出血
一般・全身障害及び投与部位の状態無力症、疲労、倦怠感、発熱、胸痛、粘膜の炎症、浮腫(末梢性浮腫、眼瞼浮腫等)疼痛、炎症
眼障害結膜炎(16.7%)霧視、眼乾燥、眼の炎症(眼瞼等)、角膜炎、白内障眼痛、眼脂
感染症及び寄生虫症膿疱性皮疹、毛包炎、口角口唇炎、真菌感染症(口腔、皮膚等)、ウイルス感染、鼻咽頭炎、肺炎、感染症(尿路、気管支、皮膚等)蜂巣炎、副鼻腔炎、膀胱炎
胆道系障害胆石症
筋骨格系及び結合組織障害四肢痛、背部痛、関節痛、筋骨格痛、筋痙縮筋肉痛、筋骨格系胸痛
血液及びリンパ系障害貧血、白血球減少症、好中球減少症、リンパ球減少、血小板減少、白血球数増加、血小板数増加好中球数増加、好酸球数増加、リンパ節症
血管障害高血圧低血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害呼吸困難、咳嗽、鼻乾燥、鼻粘膜障害(炎症、潰瘍等)、鼻漏、鼻出血頻呼吸、アレルギー性鼻炎、喉頭痛、発声障害、喀血
傷害、中毒及び処置合併症四肢損傷
神経系障害浮動性めまい、頭痛、味覚異常、錯感覚口の感覚鈍麻、神経痛
腎及び尿路障害有痛性排尿困難、急性腎障害、尿中血陽性
生殖系及び乳房障害不規則月経
精神障害不眠症
代謝及び栄養障害食欲減退(25.1%)低蛋白血症、低アルブミン血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、脱水、テタニー低マグネシウム血症、血中クロール増加、高血糖
皮膚及び皮下組織障害爪囲炎(61.7%)、ざ瘡様皮膚炎(48.9%)、皮膚炎(10.6%)、皮膚乾燥(29.5%)、そう痒症(全身性、眼等)(19.8%)、発疹・斑状丘疹状皮疹・紅斑性皮疹等(36.1%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(14.5%)、脱毛症(20.3%)爪の障害(剥離、脱落等)、皮膚疼痛、ざ瘡、脂漏性皮膚炎、皮膚病変、皮膚毒性、皮膚剥脱、皮膚亀裂、皮膚潰瘍、紅斑、多毛症過敏性血管炎、間擦疹、褥瘡性潰瘍多形紅斑、爪床の障害(出血、炎症等)
臨床検査体重減少(10.6%)血中クレアチニン増加、血中乳酸脱水素酵素増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血中尿酸増加、血中アルカリホスファターゼ増加
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