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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

用法・用量

  • 内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはパルボシクリブとして1日1回125mgを3週間連続して経口投与し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  • 1.2 間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.1、11.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が増悪するおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠可能な女性に対しては、本剤の投与期間中及び治療終了から一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性患者に対しては、本剤の投与期間中及び治療終了から一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。動物実験(ラット及びイヌ)において精巣毒性、遺伝毒性試験において染色体異常誘発性が認められている。[15.2.1、15.2.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において催奇形性(短指)等が認められている。[2.2、9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト乳汁中への移行については不明であるが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1参照]
8.2 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。[1.2、9.1.1、11.1.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 併用する内分泌療法剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択を行うこと。[17.1.1-17.1.3参照]
7.2 副作用があらわれた場合は、以下の基準を考慮して、休薬、減量又は投与を中止すること。なお、本剤は75mg/日未満に減量しないこと。
減量して投与を継続する場合の投与量
減量レベル投与量
通常投与量125mg/日
一次減量100mg/日
二次減量75mg/日
好中球減少症及び血小板減少症に対する用量調節
副作用処置
Grade1又は2同一投与量を継続する。
Grade3休薬し、1週間以内に血液検査(血球数算定)を行う。Grade2以下に回復後、同一投与量で投与を再開する。
Grade3の好中球減少の回復に日数を要する場合(1週間以上)や次サイクルでGrade3の好中球減少が再発する場合は、減量を考慮すること。
Grade3
好中球減少に付随して38.5℃以上の発熱又は感染症がある場合
Grade2以下に回復するまで休薬する。回復後、1レベル減量し投与を再開する。
Grade4Grade2以下に回復するまで休薬する。回復後、1レベル減量し投与を再開する。
GradeはCTCAE ver.4.0に準ずる。
非血液系の副作用に対する用量調節
副作用処置
Grade1又は2同一投与量を継続する。
Grade3以上
治療しても症状が継続する場合
Grade1以下又はGrade2で安全性に問題がない状態に回復するまで休薬する。
回復後、1レベル減量し投与を再開する。
GradeはCTCAE ver.4.0に準ずる。

5.効能又は効果に関連する注意

本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人14例にパルボシクリブ(カプセル剤)75、100、125及び150mg注1)を食後に単回投与したとき、投与後6時間でCmaxに達した。消失半減期は約23時間であり、Cmax及びAUCinfは用量に比例して増加した。
単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量(mg)NCmax(ng/mL)AUCinf(ng・h/mL)Tmax(h)t1/2(h)
751137.34(20)1071(24)6.00(6.00-8.02)23.4(16.1)
1001151.79(18)1487(21)6.00(2.00-8.10)23.5(14.0)
1251165.16(23)2021(20)8.00(4.02-12.0)23.3(13.2)
1501186.64(26)2497(22)6.05(6.00-12.0)23.4(14.2)
N:4用量すべて投与完了した例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:消失半減期Tmaxは中央値(最小値、最大値)、それ以外は幾何平均値(幾何変動係数%)
単回投与時の血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
16.1.2 反復投与
日本人進行乳癌患者6例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを食後に反復投与したときのサイクル1第15日(定常状態時)の薬物動態パラメータを以下に示す。
反復投与時の薬物動態パラメータ
投与量(mg)NCmax(ng/mL)AUC24h(ng・h/mL)Tmax(h)Ctrough(ng/mL)
1256124.7(26)1979(16)4.90(2.00-8.20)59.75(38)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUC24h:0時間から24時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、Ctrough:トラフ血漿中濃度Cmax、Ctrough及びAUC24hは幾何平均値(変動係数%)、Tmaxは中央値(最小値、最大値)
反復投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
日本人進行固形癌患者6例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを空腹時反復投与したときの累積係数は1.9であり、t1/2から予測される値と一致した。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人14例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを空腹時単回経口投与及びパルボシクリブ50mg注1)を単回静脈内投与注1)したときの絶対的バイオアベイラビリティは46%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人44例に本剤125mgを単回経口投与したとき、AUClast及びCmaxは、空腹時と比較して高脂肪食注2)後にそれぞれ23%及び26%増加し、中程度の脂肪食注3)後に単回経口投与したときのAUClast及びCmaxは、それぞれ9%及び10%増加した(外国人データ)。
16.2.3 生物学的同等性
健康成人44例に本剤又はカプセル剤125mgを中程度の脂肪食注3)後に単回経口投与したとき、カプセル剤に対する本剤のAUClast及びCmaxの幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.992[0.964,1.02]及び1.00[0.959,1.05]であり、いずれも生物学的同等性の判定基準範囲内(0.8~1.25)であった(外国人データ)。
16.3 分布
健康成人14例にパルボシクリブ50mg注1)を空腹時単回静脈内投与注1)したとき、分布容積の平均値(変動係数)は1008L(29%)であった。癌患者にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを空腹時反復経口投与したときの定常状態時の見かけの分布容積(変動係数)は2583L(26%)であった。
In vitro試験より、パルボシクリブのヒト血漿蛋白結合率は約85%であり、蛋白結合率は500~5000ng/mLの範囲では薬物濃度に依存しなかった(外国人データ)。
16.4 代謝
In vitro及びin vivo試験より、パルボシクリブはヒトにおいて主に肝代謝を受け、主にCYP3A及びSULT2A1により代謝されることが示された。In vivo試験より、ヒトにおける主な代謝経路は酸化及び硫酸抱合であり、マイナーな経路としてアシル化及びグルクロン酸抱合が認められた。
また、健康成人6例に14Cで標識したパルボシクリブ125mgを空腹時単回経口投与したとき、ヒト血漿中では主に未変化体として存在し(血漿中総放射能の23.3%)、主要な代謝物はグルクロン酸抱合体(血漿中総放射能の14.8%)であった(外国人データ)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人6例に14Cで標識したパルボシクリブ125mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後15日までに投与放射能の91.6%が回収され、投与放射能の74.1%が糞中に、17.5%が尿中に排泄された。未変化体の糞中及び尿中への排泄率は投与量のそれぞれ2.3%及び6.9%であり、パルボシクリブは主に代謝物として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
正常肝機能の被験者並びに軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者28例に、パルボシクリブ(カプセル剤)75mg注1)を単回投与したときのパルボシクリブの非結合型濃度から求めたAUCinfは、正常肝機能の被験者と比較して、軽度の肝機能障害を有する被験者(Child-Pugh分類A)では17%減少し、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ34%及び77%増加した。また、パルボシクリブの非結合型濃度から求めたCmaxは、正常肝機能の被験者と比較して、軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者では、それぞれ7%、38%及び72%増加した(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6.2 腎機能障害患者
正常腎機能の被験者並びに軽度、中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者31例に、パルボシクリブ(カプセル剤)125mgを単回投与したときのパルボシクリブのAUCinfは、正常腎機能(クレアチニンクリアランス≧90mL/min)の被験者と比較して、軽度(60mL/min≦クレアチニンクリアランス<90mL/min)、中等度(30mL/min≦クレアチニンクリアランス<60mL/min)及び重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min)の腎機能障害を有する被験者でそれぞれ、39%、42%及び31%増加した。パルボシクリブのCmaxは、正常腎機能の被験者と比較して、軽度、中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者でそれぞれ17%、12%及び15%増加した(外国人データ)。なお、血液透析が必要な患者を対象とした試験は実施されていない。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 イトラコナゾール
健康成人12例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを食後にイトラコナゾール(200mg 1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、パルボシクリブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ87%及び34%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
健康成人15例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを空腹時にリファンピシン(600mg 1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、パルボシクリブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ85%及び70%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ミダゾラム
健康成人26例にミダゾラム2mgを空腹時にパルボシクリブ(カプセル剤125mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、ミダゾラムのAUCinf及びCmaxはそれぞれ61%及び37%増加した(外国人データ)。[10.、10.2参照]
16.7.4 その他
(1)健康成人14例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを食後にモダフィニル(400mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、パルボシクリブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ32%及び11%減少した(外国人データ)。
(2)健康成人12例に本剤125mgを空腹時にラベプラゾール(40mg反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、パルボシクリブのAUCinfは6%増加し、Cmaxは3%減少した(外国人データ)。
(3)健康成人25例にパルボシクリブ(カプセル剤)125mgを空腹時にタモキシフェン(20mg 1日1回反復投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、パルボシクリブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ13%及び20%増加した(外国人データ)。
(4)パルボシクリブはin vitro試験において、消化管のP-gp及びBCRP、並びにOCT1に対し阻害作用を示した。
注1)本剤の承認用法・用量は1日1回125mgを経口投与する。
注2)総カロリー約800~1000kcalのうち脂質を約50%の割合で含む。
注3)総カロリー約500~700kcalのうち脂質を約35%の割合で含む。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A阻害剤
コビシスタット、エルビテグラビル、インジナビル、イトラコナゾール、リトナビル、テラプレビル、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、グレープフルーツジュース、ネルフィナビル、サキナビル等
[16.7.1参照]
本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強いCYP3A誘導剤
フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、リファブチン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ含有食品等
[16.7.2参照]
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3Aの基質となる薬剤
ミダゾラム、フェンタニル等
[16.7.3参照]
CYP3Aにより代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。本剤のCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
好中球減少(81.4%)、白血球減少(46.9%)、貧血(23.6%)、血小板減少(20.0%)、発熱性好中球減少症(1.4%)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 間質性肺疾患(0.5%)
異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。[1.2、8.2、9.1.1参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

20%以上20%未満10%以上10%未満
皮膚脱毛症発疹皮膚乾燥、手足症候群
流涙増加、霧視、眼乾燥
代謝食欲減退
神経系味覚異常
呼吸器鼻出血
消化器悪心、口内炎下痢嘔吐
腎臓腎機能障害(血中クレアチニン増加等)
その他疲労感染症(尿路感染、上気道感染、口腔ヘルペス、歯肉炎、上咽頭炎等)無力症、発熱、AST増加、ALT増加
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