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グルカゴン注射用1単位「ILS」

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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

効能・効果
○成長ホルモン分泌機能検査
血中HGH値は、測定方法、患者の状態等の関連で異なるため、明確に規定しえないが、通常、正常人では、本剤投与後60~180分でピークに達し、10ng/mL以上を示す。血中HGH値が5ng/mL以下の場合HGH分泌不全とする。
なお、本剤投与後60分以降は30分ごとに180分まで測定し、判定することが望ましい。
○インスリノーマの診断
正常反応は個々の施設で設定されるべきであるが、通常、正常人では、投与後5分以内に血中IRI値がピークに達し、100μU/mL以下を示し、血糖/IRI比は1以上である。
インスリノーマの患者では、投与後6分以降に血中IRI値がピークに達し、100μU/mL以上を示し、血糖/IRI比は1以下である。
○肝糖原検査
正常反応は個々の施設で設定されるべきであるが、通常、正常小児では、本剤筋注後30~60分で血糖はピークに達し、前値より25mg/dL以上上昇する。正常成人では、本剤の静注後15~30分でピークに達し、前値より30~60mg/dL上昇する。
しかし、投与後の血糖のピーク値だけでは十分な判定ができないと考えられる場合は、投与後15~30分ごとに測定し、判定することが望ましい。
○低血糖時の救急処置
○消化管のX線及び内視鏡検査の前処置

用法・用量

効能・効果用法・用量
成長ホルモン分泌機能検査本品1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、通常1USP単位又は体重1kgあたり0.03USP単位を皮下又は筋肉内に注射する。
インスリノーマの診断通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、静脈内に注射する。
肝糖原検査通常成人には1USP単位(1バイアル)を生理食塩液20mLに溶かし、3分かけて静脈内に注射する。
なお、小児においては通常体重1kgあたり0.03USP単位を筋肉内に注射する。
低血糖時の救急処置通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、筋肉内又は静脈内に注射する。
消化管のX線及び内視鏡検査の前処置通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、0.5~1USP単位を筋肉内又は静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、本剤の作用持続時間については、筋肉内注射の場合約25分間、静脈内注射の場合15~20分間である。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがある。]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 インスリノーマ又はその疑いのある患者
投与後の低血糖症状の発現に注意する。インスリンが過度に分泌され低血糖を起こすおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.2 糖尿病患者及び糖代謝異常が認められる患者
糖尿病の病態(内因性インスリン分泌能等)を考慮し、血糖値の変動等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。本剤の血糖上昇作用により、血糖コントロールに影響を及ぼすおそれがある。また、糖代謝異常が認められる患者においては、高血糖状態が持続する可能性がある。
9.1.3 糖原病I型の患者
肝糖原検査に際しては、特に乳酸アシドーシスの発現に注意すること。糖原病I型ではグルコース-6-リン酸からグルコースへの変換が障害されているため、本剤の投与により血液中の乳酸が増加し、乳酸アシドーシスが起こり緊急処置を要した例が報告されている。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝硬変等、肝の糖放出能が低下している肝疾患のある患者
本剤のインスリン分泌促進作用により低血糖を起こすおそれがある。[8.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で胎仔の眼球異常が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低血糖が起こりやすい。他のグルカゴン製剤で、主に小児を対象とした成長ホルモン分泌機能検査においては、嘔気(6/46例、13%)、嘔吐(4/46例、8.7%)、発汗(3/46例、6.5%)等の低血糖によると思われる症状が多く認められている。特に、プロプラノロール併用による検査では、2/5例に低血糖によると思われる症状が認められている。[10.2、11.1.2参照]
9.8 高齢者
9.8.1 高齢者
一般に生理機能が低下している。
9.8.2 心疾患のある高齢者
心筋の酸素消費量の増加に伴い虚血症状の悪化が起こるおそれがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤投与後に二次的な低血糖が起こることがある。[9.3.1、11.1.2参照]
<効能共通>
8.1.1 低血糖に基づくめまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
<成長ホルモン分泌機能検査、インスリノーマの診断、肝糖原検査、消化管のX線及び内視鏡検査の前処置>
8.1.2 二次的な低血糖を予防するため、検査終了後、糖分を経口摂取させることが望ましい。
<低血糖時の救急処置>
8.2 患者及びその看護者(家族等)が対処できるように、注射法について十分指導すること。また、低血糖に関する注意についても十分徹底させること。[8.3、14.1、14.2.1、14.2.2参照]
8.3 低血糖を生じた患者にグルカゴンを投与すると通常20分以内に症状が回復するが、症状が改善しない場合でも、グルカゴンの反復投与は避け、直ちに、ブドウ糖等の投与など適切な処置を行うこと。なお、回復した場合でも糖質投与を行うことが望ましい。[8.2参照]
<消化管のX線及び内視鏡検査の前処置>
8.4 投与直後だけでなく、検査終了後にも血圧低下があらわれることがある。このため、検査終了後も観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。[11.2参照]
<成長ホルモン分泌機能検査>
8.5 他のグルカゴン製剤による成長ホルモン分泌機能検査では、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された症例においても、一部にグルカゴン投与による血中HGHの上昇が認められることがある。同剤の臨床試験において、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された6/19例(31.6%)に同剤投与後、血中HGHの上昇(HGHピーク値:10ng/mL以上)が認められた。また、10ng/mL(プロプラノロール併用では15ng/mL)以上のHGHピーク値が認められた場合は正常反応、10ng/mL未満は低反応とすると、グルカゴン負荷とインスリンあるいはアルギニン負荷との診断的一致率は、それぞれ70.6%(24/34例)、75.8%(25/33例)であった。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
溶解後はなるべく速やかに使用すること。(溶解後凍結した場合は使用しないこと。)[8.2参照]
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、以下の点に配慮すること。[8.2参照]
・神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
・繰り返し注射する場合には同一部位を避けること。なお、小児等には連用しないことが望ましい。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き部位をかえて注射すること。
14.2.2 完全に溶けなかった場合、又は浮遊物がみられた場合は使用しないこと。[8.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<低血糖時の救急処置>
血糖上昇作用は、主として肝グリコーゲンの分解によるので、飢餓状態、副腎機能低下症、一部糖原病等の場合は血糖上昇効果はほとんど期待できない。また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられない。[18.1.1参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子に本剤1USP単位を筋肉内注射した場合の血中グルカゴン濃度の推移は下図のとおりで、Cmaxは3958pg/mL、AUCは3592pg・hr/mL、Tmaxは15minであった。
血中グルカゴン濃度の経時的推移
16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
グルカゴン注射用1単位「ILS」と注射用グルカゴン・ノボを、クロスオーバー法によりそれぞれ1USP単位を健康成人男子12名に絶食単回筋肉内投与して血糖値を測定し、得られたパラメータ(AUC、Cmax)について95%信頼区間法にて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
β-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩 等
[9.7、11.1.2参照]
血糖上昇後のリバウンド現象である低血糖症状があらわれやすくなる。特に、成長ホルモン分泌機能検査におけるプロプラノロール併用時に低血糖によると思われる症状が高頻度に認められているので、観察を十分に行うこと。通常、低血糖になるとアドレナリンが遊離され血糖を上昇させるが、β-遮断剤の併用により低血糖からの回復反応が抑制される。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
膵臓ホルモン
インスリン
インスリンの血糖降下作用が減弱することがある。
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
本剤は糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進等による血糖上昇作用を有する。
抗凝固剤
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがある。
併用時は凝固能の変動に注意し、必要であればワルファリンカリウムを減量するなど適切な措置を行うこと。
機序不明。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシーショック(いずれも頻度不明)
不快感、顔面蒼白、血圧低下等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 低血糖(頻度不明)
検査中(通常投与後90分以降)、低血糖があらわれることがあるので、観察を十分に行い、嘔吐、嘔気、全身倦怠、傾眠、顔面蒼白、発汗、冷汗、冷感、意識障害等の異常が認められた場合には、直ちにブドウ糖、糖質の補給が望ましい。[8.1、9.1.1、9.7、10.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

頻度不明
過敏症蕁麻疹
消化器嘔吐、下痢、嘔気、腹痛、腹鳴
循環器心悸亢進、血圧低下注)、高血圧
肝臓LDH上昇、血清ビリルビン上昇
血液白血球数増加、白血球分画の変動
糖代謝血糖値上昇、尿糖
脂質代謝トリグリセライド上昇
その他頭痛、顔色不良、発汗、熱感、発赤、めまい、血清カリウム低下、倦怠感、ほてり、冷感、血清カリウム上昇、眠気、血清無機リン上昇、尿潜血

注)他のグルカゴン製剤で、低血糖時に投与後40分から60分に血圧、特に収縮期血圧が20~30mmHg程度低下(12/35例)することがあった。また、収縮期血圧の低下は、静脈内投与より筋肉内投与(静脈内投与2例、筋肉内投与10例)に多くみられている。[8.4参照]

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