製品名 ジセレカ錠200mg
ジセレカ錠100mg
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- 一般名
- Filgotinib Maleate
- 薬効分類
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抗免疫薬・アレルギー疾患治療薬>分子標的薬(JAK阻害薬)
- 価格
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- 製薬会社
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- 26.1 製造販売元:ギリアド・サイエンシズ株式会社
26.2 販売元:エーザイ株式会社
- 26.1 製造販売元:ギリアド・サイエンシズ株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
用法・用量
- 通常、成人にはフィルゴチニブとして200mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて100mgを1日1回投与できる。
- 禁忌
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【警告】
- 1.1 本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致死的な経過をたどった症例が報告されているので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用すること。また、本剤投与後に有害事象が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。[1.2.1、1.2.2、2.2、2.3、8.1、8.2、8.7、9.1.1-9.1.3、11.1.1、15.1.1、15.1.2参照]
1.2 感染症
1.2.1 重篤な感染症
- 肺炎、敗血症、日和見感染症等の致命的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発現に注意すること。[1.1、2.2、8.1、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.1参照]
1.2.2 結核
- 肺外結核(結核性髄膜炎)を含む結核が報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤投与前に適切な抗結核薬を投与すること。ツベルクリン反応検査等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている。[1.1、2.3、8.2、9.1.2、11.1.1参照]
- 1.3 本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。
【禁忌】次の患者には投与しないこと
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状が悪化するおそれがある。][1.1、1.2.1、8.1、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.1参照]
- 2.3 活動性結核の患者[症状が悪化するおそれがある。][1.1、1.2.2、8.2、9.1.2、11.1.1参照]
- 2.4 末期腎不全患者[7.1、9.2.1、16.6.1参照]
- 2.5 重度の肝機能障害を有する患者[9.3.1、11.1.4、16.6.2参照]
- 2.6 好中球数が1000/mm3未満の患者[8.6、9.1.9、11.1.3参照]
- 2.7 リンパ球数が500/mm3未満の患者[8.6、9.1.10、11.1.3参照]
- 2.8 ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者[8.6、9.1.11、11.1.3参照]
- 2.9 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
- 1.1 本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 副作用
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- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.1.1 感染症
- 帯状疱疹(0.2%)及び肺炎(0.3%)等の感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがある。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合には、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること。[1.1、1.2.1、1.2.2、2.2、2.3、8.1、8.2、8.4、9.1.1-9.1.3、15.1.1参照]
- 11.1.2 消化管穿孔(頻度不明)
- 異常が認められた場合には投与を中止するとともに、腹部X線、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと。[9.1.6参照]
- 11.1.3 好中球減少(0.1%)、リンパ球減少(0.1%未満)、ヘモグロビン減少(頻度不明)
- 好中球数:本剤投与開始後、1000/mm3未満になった場合には、1000/mm3以上となるまでは本剤の投与を中断すること。[2.6、8.6、9.1.9参照]
リンパ球数:本剤投与開始後、500/mm3未満になった場合には、500/mm3以上となるまで本剤の投与を中断すること。[2.7、8.6、9.1.10参照]
ヘモグロビン値:本剤投与開始後、8g/dL未満になった場合には、8g/dL以上となるまで本剤の投与を中断すること。[2.8、8.6、9.1.11参照]
- 好中球数:本剤投与開始後、1000/mm3未満になった場合には、1000/mm3以上となるまでは本剤の投与を中断すること。[2.6、8.6、9.1.9参照]
- 11.1.4 肝機能障害
- ALT上昇(0.8%)、AST上昇(0.7%)等の肝機能障害があらわれるおそれがある。[2.5、8.9、9.3.1参照]
- 11.1.5 間質性肺炎(頻度不明)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。[9.1.8参照]
- 11.1.6 静脈血栓塞栓症(頻度不明)
- 肺塞栓症及び深部静脈血栓症があらわれることがある。[9.1.7参照]
- 注意
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9.特定の背景を有する患者に関する注意
- 9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者[1.1、1.2.1、2.2、8.1、11.1.1参照]
- 9.1.2 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者
- (1)結核の既感染者では、結核を活動化させるおそれがある。[1.1、1.2.2、2.3、8.2、11.1.1参照]
- (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤投与前に適切な抗結核薬を投与すること。[1.1、1.2.2、2.3、8.2、11.1.1参照]
- ・胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
- ・結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
- ・インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
- ・結核患者との濃厚接触歴を有する患者
- 9.1.3 易感染性の状態にある患者
- 感染症を発現するリスクが増加する。[1.1、1.2.1、2.2、8.1、11.1.1参照]
- 9.1.4 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
- 肝機能検査値やHBV DNAモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。なお、活動性B型肝炎の患者は臨床試験では除外されている。[8.3参照]
- 9.1.5 C型肝炎患者
- 活動性C型肝炎の患者は臨床試験では除外されている。
- 9.1.6 腸管憩室のある患者
- 消化管穿孔があらわれるおそれがある。[11.1.2参照]
- 9.1.7 静脈血栓塞栓症のリスクを有する患者[11.1.6参照]
- 9.1.8 間質性肺炎の既往歴のある患者
- 定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎があらわれるおそれがある。[11.1.5参照]
- 9.1.9 好中球減少(好中球数1000/mm3未満を除く)のある患者
- 好中球減少が更に悪化するおそれがある。[2.6、8.6、11.1.3参照]
- 9.1.10 リンパ球減少(リンパ球数500/mm3未満を除く)のある患者
- リンパ球減少が更に悪化するおそれがある。[2.7、8.6、11.1.3参照]
- 9.1.11 ヘモグロビン値減少(ヘモグロビン値8g/dL未満を除く)のある患者
- ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがある。[2.8、8.6、11.1.3参照]
- 9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 末期腎不全患者(eGFR<15mL/min/1.73m2)
- 投与しないこと。末期腎不全患者は臨床試験で除外されている。腎機能が正常な患者に比べ、フィルゴチニブの主要代謝物であるGS-829845の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある。[2.4、7.1、16.6.1参照]
- 9.2.2 重度の腎機能障害患者(15≦eGFR<30mL/min/1.73m2)
- 本剤投与の適否を慎重に検討した上で、100mgを1日1回投与すること。また、本剤投与中は患者の状態を十分観察し、副作用の発現に注意すること。腎機能が正常な患者に比べ、フィルゴチニブの主要代謝物であるGS-829845の曝露量が有意に増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある。[7.1、16.6.1参照]
- 9.2.3 中等度の腎機能障害患者(30≦eGFR<60mL/min/1.73m2)
- 100mgを1日1回投与すること。腎機能が正常な患者に比べ、フィルゴチニブの主要代謝物であるGS-829845の曝露量が有意に増加する。[7.1、16.6.1参照]
- 9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 重度の肝機能障害患者
- 投与しないこと。重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者は臨床試験で除外されている。肝機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[2.5、11.1.4、16.6.2参照]
- 9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠可能な女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
- 9.4.2 生殖可能な男性には、本剤投与による精子形成障害に伴う妊孕性低下の可能性について説明した上で、投与を開始すること。動物試験において、ラットではヒトにフィルゴチニブ200mgを1日1回投与したときの約7.3倍の曝露量(AUC)で精子形成障害及び受胎能の低下が認められ、イヌではヒトにフィルゴチニブ200mgを1日1回投与したときの約5.1倍の曝露量(AUC)で精子形成障害が認められている。
- 9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット及びウサギにおいて、ヒトにフィルゴチニブ200mgを1日1回投与したときと同程度の曝露量で胚致死作用及び催奇形性(内臓及び骨格奇形)が認められている。[2.9、9.4.1参照]
- 9.6 授乳婦
- 本剤投与中は授乳しないことが望ましい。動物実験では授乳中の仔ラットの血漿中に、乳汁由来と考えられるフィルゴチニブが検出された。ヒト母乳中への移行は不明である。
- 9.7 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 9.8 高齢者
- 患者の状態を観察しながら、用量に留意して慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
8.重要な基本的注意
- 8.1 本剤は、免疫反応に関与するJAKファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。[1.1、1.2.1、2.2、7.2、9.1.1、9.1.3、11.1.1参照]
- 8.2 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意すること。患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。[1.1、1.2.2、2.3、9.1.2、11.1.1参照]
- 8.3 本剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。[9.1.4参照]
- 8.4 播種性を含む帯状疱疹が報告されている。ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し、速やかに適切な処置を行うこと。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意すること。[11.1.1参照]
- 8.5 感染症発現のリスクを否定できないので、本剤開始直前及び投与中の生ワクチン接種は行わないこと。
- 8.6 好中球減少、リンパ球減少及びヘモグロビン減少があらわれることがあるので、投与前の検査値を測定するとともに本剤投与開始後は定期的に好中球数、リンパ球数及びヘモグロビン値を確認すること。[2.6-2.8、9.1.9-9.1.11、11.1.3参照]
- 8.7 本剤との因果関係は確認されていないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。[1.1、15.1.2参照]
- 8.8 総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質検査値異常があらわれることがある。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること。臨床上必要と認められた場合には、脂質異常症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。
- 8.9 トランスアミナーゼ値の上昇があらわれることがあるので、ベースラインを測定するとともに、本剤投与中は観察を十分に行うこと。[11.1.4参照]
14.適用上の注意
- 14.1 薬剤交付時の注意
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
7.用法及び用量に関連する注意
- 7.1 中等度又は重度の腎機能障害のある患者には、100mgを1日1回経口投与する。[2.4、9.2.1-9.2.3、16.6.1参照]
腎機能障害の程度 推算糸球体ろ過量(eGFR:mL/min/1.73m2) 投与量 正常又は軽度 eGFR≧60 200mgを1日1回(患者の状態に応じて100mgを1日1回) 中等度 30≦eGFR<60 100mgを1日1回 重度(※) 15≦eGFR<30 100mgを1日1回 末期腎不全 eGFR<15 投与しないこと ※投与の適否を慎重に判断すること。
- 7.2 免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、本剤と抗リウマチ生物製剤や他のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン等の免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないこと。本剤とこれらの薬剤との併用経験はない。[8.1参照]
5.効能又は効果に関連する注意
- 5.1 過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。
16.薬物動態
- 16.1 血中濃度
- 16.1.1 健康被験者における反復投与
- 日本人及び外国人健康被験者(各6例)にフィルゴチニブ100mg又は200mgを食後に10日間反復経口投与したときのフィルゴチニブ及びフィルゴチニブの主要代謝物であるGS-829845の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
- 本剤を反復経口投与したときのフィルゴチニブ及びGS-829845の定常状態における薬物動態パラメータ
フィルゴチニブ Cmax(μg/mL) Tmax(h) t1/2(h) AUC0-24h(μg・h/mL) 日本人(6例) 100mg 0.855(35.8) 1.0(0.3-3.0) 5.17(17.3) 1.90(19.1) 200mg 3.77(53.2) 0.5(0.3-5.0) 6.35(35.4) 6.08(27.8) 外国人(6例) 200mg 3.06(51.0) 0.4(0.3-0.8) 10.7(67.9) 5.58(21.3) GS-829845 Cmax(μg/mL) Tmax(h) t1/2(h) AUC0-24h(μg・h/mL) 日本人(6例) 100mg 1.87(22.2) 3.0(2.0-5.0) 16.4(22.3) 29.1(21.8) 200mg 5.09(8.99) 1.5(0.8-12.0) 16.7(14.6) 81.4(12.5) 外国人(6例) 200mg 3.87(36.4) 3.0(0.5-3.0) 19.6(23.7) 62.1(27.0) Tmaxの値は中央値(範囲)を示す。Tmax以外の値は、平均値(変動係数[CV]%)を示す。
- 日本人及び外国人健康被験者(各6例)にフィルゴチニブ100mg又は200mgを食後に10日間反復経口投与したときのフィルゴチニブ及びフィルゴチニブの主要代謝物であるGS-829845の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
- 16.1.2 関節リウマチ患者における反復投与
- 第II相試験4試験及び第III相試験3試験の計7試験の併合データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。中等度から重度の活動性関節リウマチ患者(日本人)に本剤200mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態における薬物動態パラメータを推定した。
- 日本人関節リウマチ患者に本剤200mgを食後又は空腹時に反復経口投与したときのフィルゴチニブ及びGS-829845の定常状態における薬物動態パラメータ
パラメータa) フィルゴチニブb) GS-829845c) Cmax(μg/mL) 1.029(42.4) 3.55(16.6) AUCtau(μg・h/mL) 4.453(25.0) 74.1(19.1) Ctau(μg/mL) 0.0126(42.1) 2.51(25.0) 平均値(CV%)a)GLPG0634-CL-201、GLPG0634-CL-202、DARWIN 1、DARWIN 2、FINCH 1、FINCH 2及びFINCH 3試験の母集団薬物動態解析に基づいて推定した本剤200mgを1日1回投与したときのパラメータb)152例c)153例
- 第II相試験4試験及び第III相試験3試験の計7試験の併合データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。中等度から重度の活動性関節リウマチ患者(日本人)に本剤200mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態における薬物動態パラメータを推定した。
- 16.2 吸収
- 16.2.1 バイオアベイラビリティ
- フィルゴチニブの絶対的バイオアベイラビリティはヒトでは評価されていない。ヒトにおけるフィルゴチニブの吸収は、ヒトの薬物動態試験、食事の影響試験及び薬物相互作用試験のデータに基づくと、80%以上と推測される。
- 16.2.2 食事の影響
- 外国人健康被験者13例に本剤200mgを単回経口投与したときの薬物動態に対する食事の影響を検討した。フィルゴチニブの全身血漿曝露量(AUCinf)は、食事(低・高脂肪食)の影響を受けなかったが、高脂肪食ではCmaxがわずかに低下した(19.9%)。GS-829845の薬物動態は食事の影響を受けなかった。
- 16.3 分布
- フィルゴチニブ及びGS-829845のヒト血漿蛋白への結合率は低く、それぞれ55~59%及び39~44%であった。フィルゴチニブの血液/血漿比は0.85~1.1の範囲であり、血球へのフィルゴチニブ及びGS-829845の優先的な分布は示されなかった。フィルゴチニブ及びGS-829845はP-gpの基質である。
- 16.4 代謝
- フィルゴチニブを経口投与したとき、フィルゴチニブは大部分が代謝され、未変化体として投与量の約9.4%及び4.5%がそれぞれ尿及び糞中に回収された。フィルゴチニブは主としてCES2により代謝され、程度は低いがCES1によっても代謝される。CES2及びCES1により、フィルゴチニブの活性循環代謝物であるGS-829845が形成される。臨床薬理試験において、血漿中総放射能のAUClastに占めるフィルゴチニブ及びGS-829845の割合はそれぞれ2.9%及び92%であった。[10.参照]
- 16.5 排泄
- 投与量の約87%がフィルゴチニブ及びその代謝物として尿中に排泄され、投与量の約15%が糞中に排泄された。GS-829845の尿及び糞中の回収率はそれぞれ投与量の約54%及び8.9%であった。フィルゴチニブ及びGS-829845の平均最終半減期はそれぞれ約7時間及び19時間であった。
- 16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 腎機能障害患者
- 腎機能が正常な被験者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)に対して、軽度の腎機能障害(eGFR60~<90mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.1倍及び1.2倍、中等度の腎機能障害(eGFR30~<60mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.4倍及び1.7倍、重度の腎機能障害(eGFR15~<30mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.5倍及び2.7倍であった。末期腎不全(eGFR<15mL/min/1.73m2)の被験者を対象とした試験は実施していない(外国人データ)。[2.4、7.1、9.2.1-9.2.3参照]
- 腎機能障害のある被験者に本剤100mgを反復経口投与したときのフィルゴチニブ及びGS-829845の定常状態における薬物動態パラメータ
パラメータ 正常(9例) 軽度(6例) 中等度(6例) 重度(3例) フィルゴチニブ Cmax(μg/mL) 0.882(58.2) 0.78(60.3) 0.936(47.7) 0.921(12.1) Tmax(h) 0.8(0.3-1) 0.5(0.3-2) 0.6(0.3-4) 1(1-1) t1/2(h) 5.42(30.2)a) 10.9(47.1) 10.6(75.4) 9.03(51.3) AUC0-24h(μg・h/mL) 1.82(51.4)a) 1.89(29.0) 2.69(42.5)b) 2.64(34.2) GS-829845 Cmax(μg/mL) 1.63(31.9) 1.54(31.3) 2.35(35.4) 3.43(14.6) Tmax(h) 3(2-4) 3.3(1.5-5) 2.3(0.5-5) 4(3-4) t1/2(h) 20.8(17.1) 25.4(24.9) 31.7(24.9) 43.6(12.6) AUC0-24h(μg・h/mL) 24.9(31.7) 30.1(29.3) 42.7(38.4) 66.6(18.5) Tmaxは中央値(範囲)を示す。それ以外は、平均値(CV%)を示す。a)8例b)5例
- 腎機能が正常な被験者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)に対して、軽度の腎機能障害(eGFR60~<90mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.1倍及び1.2倍、中等度の腎機能障害(eGFR30~<60mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.4倍及び1.7倍、重度の腎機能障害(eGFR15~<30mL/min/1.73m2)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.5倍及び2.7倍であった。末期腎不全(eGFR<15mL/min/1.73m2)の被験者を対象とした試験は実施していない(外国人データ)。[2.4、7.1、9.2.1-9.2.3参照]
- 16.6.2 肝機能障害患者
- 肝機能が正常な被験者に対して、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.6倍及び1.2倍であった。重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある被験者を対象とした試験は実施していない(外国人データ)。[2.5、9.3.1参照]
- 肝機能障害のある被験者に本剤100mgを単回経口投与したときのフィルゴチニブ及びGS-829845の薬物動態パラメータ
パラメータ 正常(10例) 中等度(10例) フィルゴチニブ Cmax(μg/mL) 0.802(60.6) 0.723(40.6) Tmax(h) 1.00(0.50,2.00) 1.50(0.50,2.00) t1/2(h) 5.49(4.17,5.96) 7.37(6.21,8.93) AUCinf(μg・h/mL) 2.00(50.0) 2.42(22.1) GS-829845 Cmax(μg/mL) 1.12(39.9) 0.973(26.3) Tmax(h) 3.50(3.00,4.00) 4.00(3.00,5.00) t1/2(h) 19.1(15.4,22.8) 17.2(15.6,22.4) AUCinf(μg・h/mL) 32.1(44.7) 33.3(34.7) Tmax及びt1/2は中央値(第1四分位数,第3四分位数)を示す。それ以外は、平均値(CV%)を示す。
- 肝機能が正常な被験者に対して、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある被験者では、フィルゴチニブ及びGS-829845の曝露量(AUC)は1.6倍及び1.2倍であった。重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある被験者を対象とした試験は実施していない(外国人データ)。[2.5、9.3.1参照]
- 16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 併用薬がフィルゴチニブの薬物動態に及ぼす影響
- In vitroにおいてフィルゴチニブ及びGS-829845はP-gpの基質である。
臨床薬物相互作用試験の結果は下表のとおりであった(外国人データ)。- 併用薬の存在下におけるフィルゴチニブ及びGS-829845の薬物動態パラメータの変化
併用薬 併用薬
投与量本剤
投与量薬物動態パラメータの平均比率(90%信頼区間) Cmax AUC イトラコナゾール(強力なP-gp阻害薬) 200mg単回 100mg単回 フィルゴチニブ 1.64(1.29,2.08) 1.45(1.33,1.57) GS-829845 0.94(0.89,1.01) 1.07(1.04,1.10) リファンピシン(強力なP-gp誘導薬) 600mg1日1回 200mg単回 フィルゴチニブ 0.74(0.64,0.86) 0.73(0.69,0.77) GS-829845 0.81(0.77,0.85) 0.62(0.58,0.66) ファモチジン(H2受容体拮抗薬) 40mg1日2回 200mg単回 フィルゴチニブ 0.82(0.71,0.96) 0.98(0.91,1.06) GS-829845 0.95(0.88,1.02) 1.04(0.96,1.12) オメプラゾール(プロトンポンプ阻害薬) 40mg1日1回 200mg単回 フィルゴチニブ 0.73(0.63,0.86) 0.89(0.83,0.96) GS-829845 1.00(0.95,1.06) 1.01(0.98,1.04)
- In vitroにおいてフィルゴチニブ及びGS-829845はP-gpの基質である。
- 16.7.2 フィルゴチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響
- In vitro試験において、フィルゴチニブはOCT2、MATE1、MATE2-Kを、GS-829845はOCT2及びMATE2-Kを阻害する可能性が示唆された。
臨床薬物相互作用試験の結果は下表のとおりであった(外国人データ)。- フィルゴチニブ存在下における併用薬の薬物動態パラメータの変化
併用薬 併用薬
投与量本剤
投与量薬物動態パラメータの平均比率(90%信頼区間) Cmax AUC ミダゾラム(CYP3Aの基質) 2mg単回 200mg1日1回 0.99(0.88,1.13) 1.05(0.95,1.17) 1’OH-ミダゾラム 2mg単回 200mg1日1回 1.09(0.96,1.24) 1.11(0.98,1.25) メトホルミン(OCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質) 850mg単回 200mg1日1回 1.02(0.85,1.21) 1.02(0.85,1.22) エチニルエストラジオール(経口避妊薬) 0.03mg単回 200mg1日1回 1.14(1.06,1.22) 1.14(1.09,1.18) レボノルゲストレル(経口避妊薬) 0.15mg単回 200mg1日1回 1.05(0.95,1.17) 0.95(0.90,1.00)
- In vitro試験において、フィルゴチニブはOCT2、MATE1、MATE2-Kを、GS-829845はOCT2及びMATE2-Kを阻害する可能性が示唆された。