今日の臨床サポート

気胸(小児科)

著者: 横山美貴 町立八丈病院 小児科

監修: 渡辺博 帝京大学老人保健センター

著者校正/監修レビュー済:2022/03/16
参考ガイドライン:
  1. 日本気胸・嚢胞性疾患学会;気胸・嚢胞性疾患規約・用語・ガイドライン 2009年版
患者向け説明資料
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
横山美貴 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:渡辺博 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1.  定期レビューを行った。脱気器具についての解説を追加した。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 気胸は、胸腔内に空気が貯留した状態をいう。患側肺の容積は減少する。自然気胸(特発性、続発性)、外傷性気胸、医原性気胸に分類される。縦隔気腫は、縦隔内に空気が貯留した状態をいい、気胸に併発・続発することが多い。
  1. 小児科領域では年齢ごとに特徴があり、新生児で比較的多く全出生の1~2%にみられ、乳幼児期には少なく、年長児になると再び増える。
  1. 特発性(自然)気胸の頻度は全年齢において10万人に対して5~10人とされ、16~24歳に最も多く、男性に3~6倍多い。
  1. 胸部異所性ガスの原因としては、①肺胞・気管・気管支、食道の破裂や穿孔②胸壁・壁側胸膜の破断――が挙げられる。
  1. 過度に肺胞内圧が上昇し肺胞(および臓側胸膜)が破裂し肺胞内空気が胸腔内へ直接進入すれば気胸、肺間質に漏出すれば間質性肺気腫(pulmonary interstitial emphysema、PIE)、肺静脈に入れば空気塞栓症となる[1]
 
空気漏出の経路

Ao:下行大動脈、Br:気管支、D:横隔膜、H:心臓、PA:肺動脈、PIE:肺間質気腫、PP:壁側胸膜、PV:肺静脈、T:気管、VP:臓側胸膜
 
参考文献:大場覚: 胸部異所性ガスのX線像.臨床医 1998; 24: 2193. を参考に作製

出典

 
  1. 空気が気管支・肺血管壁に沿って肺門から縦隔に出れば縦隔気腫となり、さらに上行すれば皮下気腫、下行すれば後腹膜気腫・気腹となる。心嚢気腫を合併する場合もある。反対に、空気が末梢に進み胸膜下嚢胞(ブレブ・ブラ)となり、胸腔内に破れて気胸となることがある。
  1. 肺表面では、ブレブは臓側胸膜の内・外側弾性板間に、ブラは内側弾性板内にそれぞれ空気の貯留が起こる[2]
 
ブレブとブラ

ブレブは臓側胸膜の内・外側弾性板間に、ブラは内側弾性板内に空気の貯留が起こる。
 
参考文献:D.Lamb: Chronic bronchitis, emphysema, and the pathological basis of chronic obstructive pulmonary disease. Spencer’s Pathology of the Lung, 5th ed. ED by P.S.Hasleton, McGraw-Hill, US, p.613-614, 1996 を参考に作成

出典

 
  1. 肺虚脱が軽度で軽症の場合、安静、酸素投与にて経過をみる(空気より酸素のほうが組織への吸収が速いため漏出空気を酸素と置換する)。
  1. 肺虚脱度が20%以上の場合、まず単回の胸腔穿刺を行う。改善を認めない場合、胸腔ドレナージ(トロッカーカテーテル留置、持続吸引)を行う。
  1. 多量あるいは持続的な空気漏出があると緊張性気胸となり健側肺も圧排され、急速に低酸素・高二酸化炭素血症に陥り、緊急処置を要する。
  1. 一般に予後良好であるが、手術しなかった場合、成人で30%、小児では50~60%の再発率がある[3]。特にMarfan症候群やEhlers-Danlos症候群などの結合組織疾患ではさらに多くなる。
問診・診察のポイント  
  1. 気胸・縦隔気腫は内因性と外因性に分けられ、前者は特発性と続発性に、後者は外傷性・医原性・人工(検査)に分類される。

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文献 

著者: D Poenaru, S Yazbeck, S Murphy
雑誌名: J Pediatr Surg. 1994 Sep;29(9):1183-5.
Abstract/Text In the absence of pediatric data, spontaneous pneumothorax is managed according to adult guidelines. Fifty-eight patients with primary spontaneous pneumothorax (PSP) were treated in our center over the last 20 years. The median age was 16.7 years, and the male:female ratio was 1.9:1. A total of 102 PSP were treated; 63% were left-sided. The risk of recurrence was 51% after one PSP and 56% after two. There were four metachronous bilateral PSP. Nonoperative management included tube drainage in 57% of the cases (mean extent of PSP, 53%). Forty percent of patients were treated by supplemental oxygen and observation, without drainage (mean extent of PSP, 23%). Eleven patients were treated as outpatients, with Heimlich valves (mean extent of PSP, 64%). Fourteen patients (28%) underwent bullectomy, with or without pleurodesis. Thirteen of the surgically treated patient had experienced at least two episodes of PSP. Primary spontaneous pneumothorax in children has male predominance. The risk of recurrence after one episode is greater than that for adults. Operative management by bullectomy, with or without pleurodesis, carries little morbidity, has a high success rate, and is recommended after the first recurrence. It is safe to manage younger children conservatively because the chance of recurrence is lower; thoracotomy was not necessary in children under 9 years of age.

PMID 7807340  J Pediatr Surg. 1994 Sep;29(9):1183-5.
著者: L T KIRCHER, R L SWARTZEL
雑誌名: J Am Med Assoc. 1954 May 1;155(1):24-9. doi: 10.1001/jama.1954.03690190030009.
Abstract/Text
PMID 13151882  J Am Med Assoc. 1954 May 1;155(1):24-9. doi: 10.1001/ja・・・
著者: M Noppen, P Alexander, P Driesen, H Slabbynck, A Verstraete, Vlaamse Werkgroep voor Medische Thoracoscopie en Interventionele Bronchoscopie
雑誌名: Respiration. 2001;68(4):396-9. doi: 50533.
Abstract/Text BACKGROUND: The size of a pneumothorax (PTX) is usually estimated by the Light index. Treatment strategies of (primary, spontaneous) PTX partially depend upon the size of the PTX. To our knowledge, the Light index has not yet been correlated with the actual volume of the PTX.
OBJECTIVES: To correlate the estimated size of a primary spontaneous PTX by means of the Light index, with the actual amount of air present in the pleural space.
METHODS: Actual PTX volumes were measured by means of manual aspiration of air present in the pleural space in 18 patients with primary spontaneous PTX and correlated with the size estimation obtained by the Light index.
RESULTS: Light index and volume measurements were strongly correlated (r = 0.84, p < 0.0001).
CONCLUSIONS: The Light index is a good estimate of the actual size of a (primary spontaneous) PTX.

Copyright 2001 S. Karger AG, Basel
PMID 11464087  Respiration. 2001;68(4):396-9. doi: 50533.
著者: P De Leyn, M Lismonde, V Ninane, M Noppen, H Slabbynck, A Van Meerhaeghe, P Van Schil, F Vermassen
雑誌名: Acta Chir Belg. 2005 May-Jun;105(3):265-7. doi: 10.1080/00015458.2005.11679714.
Abstract/Text
PMID 16018518  Acta Chir Belg. 2005 May-Jun;105(3):265-7. doi: 10.1080・・・
著者: Marc Noppen, Tom De Keukeleire
雑誌名: Respiration. 2008;76(2):121-7. doi: 10.1159/000135932. Epub 2008 Jun 26.
Abstract/Text Pneumothorax represents a common clinical problem. An overview of relevant and updated information on epidemiology, pathophysiology, and management of spontaneous (primary and secondary), catamenial, and traumatic (iatrogenic and noniatrogenic) pneumothorax is given.

Copyright 2008 S. Karger AG, Basel.
PMID 18708734  Respiration. 2008;76(2):121-7. doi: 10.1159/000135932. ・・・

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