I: 推奨度、エビデンスランク


推奨度

推奨度 イメージ
推奨度 1
(絶対必要な治療、検査)

Should do
どんな患者でも、明らかに利益が害やコストよりも上回り、全ての医師はこの医療行為を行う必要がある。
まれな副作用、低いコストにて、生命予後の改善が見込まれる、もしくは重篤な病気が防げる医療行為。
例: 脳梗塞患者のアスピリン投与など
推奨度 2

may do
害、コストよりも、利益が上回る可能性が高い。患者さんの希望を聞きながら、医療行為を行う必要がある。
バランスをとる必要がある行為で、半数以上の状況で行われ得る行為。
例:ほとんどのよくおこなわれる医療行為
推奨度 3

may not do
利益よりも、害、コストが、上回る可能性が高い。患者さんの希望を聞きながら、医療行為を行う必要がある。
バランスをとる必要がある行為で、おそらく半数以下の状況で行われ得る行為。
例: 少し昔の医療行為で現在はあまり行われない医療行為。まれにインディケーションがあり行われる医療行為
推奨度 4
(禁忌絶対行ってはいけない治療、検査)

Should not do
どんな患者でも、明らかに利益が害やコストよりも下回り、全ての医師はこの医療行為を行ってはいけない。
効果がないことが明白で、副作用のある治療。医学的に禁忌といわれている行為。
例: 発熱、血便、下痢を認める患者への下痢止めの投与など
推奨度 -
表記の必要がないもの
例: 男性への妊娠検査など、表記の必要がないと思われるもの、また推奨度が書きにくいもの
※ 推奨度は、以下の4つのことを考慮して決定しております。具体的には
a:エビデンスのランクが高い
b:利益、害の差が明確である
c:患者ごとの価値観の多様性が少ない
d:医療にかかるコストが低い
の4点で”Yes”の答えが多いほど、強い推奨となる確率が高くなります

エビデンス ランク

エビデンス ランク 説明
S/CS Systematic review(S), Cochrane systematic reviews(CS)
M 他のメタ解析(Non systematic reviewによるもの 文献検索が定式がなく、システマティックでないもの)
Rs 複数のRCT
R 一つのRCT
C Control trial (Non randomized )
O 観察研究 (Observational) (Cohort, Cross Sectional,Case Control)
J 日本ガイドライン (上記のものと併記可)
G 海外ガイドライン(上記のものと併記可)
表記なし 特に根拠論文、サポートするガイドラインがない/探していない

もし、2つの事実を、総合して1つの推奨になる場合は、その低いほうを選択
例)ある疾患に対して、感度が高い身体所見がある人に(システマティックレビュー)ため、特異度が高い検査(観察研究)を 行うことを推奨した。=> o(観察研究)
ガイドラインは 併記可:RCTがあり、日本のガイドライン、海外のガイドラインで推奨 RJG


II: 要注意薬剤情報


1:腎臓注意:

  • 添付文書の禁忌、慎重投与対象者の項目に、腎障害 急性腎炎、乏尿、高窒素血症などの腎障害に関する言葉が記載されている薬剤

2:肝臓注意:

  • 添付文書の禁忌、慎重投与対象者の項目に、肝障害、肝硬変、肝性昏睡などの肝臓障害に関する言葉が記載されている薬剤

3:妊娠注意薬:

3-1:FDA薬剤胎児危険度分類基準(海外:注)

カテゴリーA

適切な、かつ対照のある研究で、妊娠第一期(first trimester)の胎児に対するリスクがあることが証明されておらず、かつそれ以降についてもリスクの証拠が無いもの
カテゴリーB

動物実験では胎児に対するリスクが確認されていないが、妊婦に対する適切な、対照のある研究が存在しないもの。または、動物実験で有害な作用が確認されているが、妊婦による対照のある研究では、リスクの存在が確認されていないもの。
カテゴリーC

動物実験では胎児への有害作用が証明されていて、適切で対照のある妊婦への研究が存在しないもの。しかし、その薬物の潜在的な利益によって、潜在的なリスクがあるにもかかわらず妊婦への使用が正当化されることがありうる。
カテゴリーD

使用・市販後の調査、あるいは人間を用いた研究によってヒト胎児のリスクを示唆する明らかなエビデンスがあるが、潜在的な利益によって、潜在的なリスクがあるにもかかわらず妊婦への使用が正当化されることがありうる。
カテゴリーX

動物・人間による研究で明らかに胎児奇形を発生させる、かつ/または使用・市販による副作用の明らかなエビデンスがあり、いかなる場合でもその潜在的なリスクは、その薬物の妊婦に対する利用に伴う、潜在的な利益よりも大きい。(事実上の禁忌である)
注:FDAは2015年6月にこのカテゴリ分類を廃止し、個別に具体的な安全性とリスク評価を記述形式で添付文書に記載するよう義務付けている。

3-2虎の門病院の薬剤の催奇形危険度評価(国内)


3-2-1:薬剤の催奇形危険度評価

点数 評 価 条 件
0点
  • 疫学調査で催奇形の傾向はない、およびヒトの催奇形を肯定する症例報告はない。および動物生殖試験は行なわれていないか、または催奇形は認められていない。
  • または食品としても使用されているもの
1点
  • 疫学調査は行われていない、およびヒトでの催奇形を肯定する症例報告はない。および動物生殖試験は行なわれていないか、または催奇形は認められていない。
  • または局所に使用するものおよび漢方薬
2点
  • 疫学調査は行われていない、およびヒトでの催奇形を肯定する症例報告はない。しかし動物生殖試験で催奇形の報告がある、または否定と肯定の報告があり優劣がつけ難い。
3点
  • 疫学調査で催奇形を示唆する報告と否定的報告があり、どちらかといえば否定的。および動物生殖試験で催奇形の報告があるが、その結果ヒトでの催奇形はあるとはいえない。
  • または疫学調査は行なわれていないが、ヒトでの催奇形の症例報告がある、または否定と肯定の報告があり優劣がつけ難い。
4点
  • 疫学調査で催奇形を示唆する報告がある、または否定と肯定報告があり、どちらかといえば肯定的。
  • 疫学調査で催奇形を示唆する報告と否定的報告があり、どちらかといえば否定的、または疫学調査は行われていない、およびヒトでの催奇形に関する信頼性の高い症例報告が複数ある。
5点
  • 疫学調査で催奇形があると確定的に考えられている。
  • または動物生殖試験の結果、ヒトにも催奇形があると確定的に考えられている。

3-2-2:催奇形の危険度に関する情報の質と量

+++
  • 当該薬剤に関する規模の大きいコホート研究が複数ある。
  • 複数のケースコントロール研究があり評価が一致している。
  • 器官形成期に使用した妊婦に関する大規模な症例シリーズ研究が複数あり評価が一致している。
++
  • 当該薬剤に関する中・小規模のコホート研究がある。
  • ケースコントロール研究が報告されている。
  • 類薬を含む研究で、当該薬剤に関する中規模な事例が検討されている。
  • 器官形成期に使用した妊婦に関する中規模な症例シリーズ研究がある。
  • 相談事例が中規模集積されており、先天異常発生の増加はみられていない。
  • 疫学研究は報告されていない。
  • ヒト症例報告が複数ある。
  • 相談事例が小規模得られており、先天異常発生の増加はみられていない。
±
  • 疫学調査、妊婦使用例ともに報告されていない。

3-2-3:虎の門病院の薬剤の催奇形危険度評価と今日の臨床サポート薬剤注意情報カラーリング対応

  情報量
± ++ +++
虎の門病院の
催奇形危険度評価
0点
1点
2点
3点
4点
5点

3-3:オーストラリア分類

Category A

多くの妊婦および出産適齢期の女性が服用している薬物で、奇形の頻度やその他の直接的または間接的な胎児への有害な影響の増加は観察されていない。
Category B1

限られた妊婦および出産適齢期の女性が服用している薬物で、奇形の発生頻度の増加や、胎児への直接または間接的な有害な影響は観察されていない。動物での研究では、胎児への傷害が増加するエビデンスは示されていない。
Category B2

限られた妊婦および出産適齢期の女性が服用している薬物で、奇形の発生頻度の増加や、胎児への直接または間接的な有害な影響は観察されていない。動物での研究は不十分であるか不足している可能性があるが、確認できるデータからは胎児への傷害が増加するエビデンスは示されていない。
Category B3

限られた妊婦および出産適齢期の女性が服用している薬物で、奇形の発生頻度の増加や、胎児への直接または間接的な有害な影響は観察されていない。動物での研究では、胎児への傷害の増加のエビデンスが示されており、ヒトにおいての重要性は不確かである。
Category C

薬理学的影響により、ヒトの胎児または新生児に有害な影響を引き起こした、または引き起こすと疑われる薬物。奇形を引き起こすことはなく、これらによる影響はおそらく可逆的である。
Category D

胎児の奇形または不可逆的な傷害の発生率の増加を引き起こした、引き起こした疑いがある、または引き起こすと予想される薬物。 これらの薬は薬理作用にも悪影響を与える可能性がある。
Category X

胎児に恒久的な傷害を引き起こす危険性が非常に高く、妊娠中または妊娠の可能性があるときに使用するべきではない。

4:授乳注意:

  • lactMedの文章を確認し、注意が必要と判断した薬剤に注意(黄)、禁忌(赤)をつけている。

5:小児用量:

  • 添付文章に小児用量が記載されている→児量有(青)
  • 国立成育医療研究センター薬剤部より小児用量の提示があった薬剤→児量[有](青)
  • どちらにも記載無い薬剤 児量無 と表記している。

6:保険適用:

  • 薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、編集部によって記載日時に添付文書・社会保険診療報酬支払基金レセプト請求計算事例・レセプトチェックソフトなどで確認し作成しています。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、症状のオーダーセットや検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。

疾患のコンテンツについての表現一覧
記載(〇〇には病名が入ります)

意味

[適用内/用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量も範囲内

[適用内/用量適宜増減2倍以下㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量は添付文書量を超えるが2倍以内で、添付文書の適宜増減の記載により用量内になりえる

[適用内/用量適宜増減2倍超㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量は添付文書量の2倍超で、添付文書に適宜増減の記載はあるが、用量外になる可能性あり

[○○では適用外/他適用用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、用量は範囲内

[○○では適用外/他適用用量適宜増減2倍以下/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。用量は添付文書量を超えるが2倍以内で、添付文書の適宜増減の記載により用量内になりえる

[○○では適用外/他適用用量適宜増減2倍超/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。用量は添付文書量の2倍超で、添付文書に適宜増減の記載はあるが、用量外になる可能性あり

[適用内/小児用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。小児用量も存在し、その範囲内

[適用内/小児用量外/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。小児用量は存在するが、その範囲外

[適用内/小児用量記載無/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。小児用量が存在せず、成人での用量範囲内

[○○では適用外/他適用小児用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、小児用量が存在し、その範囲内

[○○では適用外/他適用小児用量外/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、小児用量が存在し、その範囲外

[薬価未収載]

海外の薬剤など



症状のコンテンツについての表現一覧
記載(〇〇には病名が入ります)

意味

[用量内/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する用量として用量内である

[用量適宜増減2倍以内/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する添付文書量を超えるが2倍以内である。添付文書に適宜増減などの記載がある

[用量適宜増減2倍超/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する添付文書量を超えるが2倍以内である。添付文書に適宜増減などの記載がある

[小児用量内/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する小児用量として用量内である

[小児用量外/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する小児用量の範囲外である

[小児用量記載無/㊜××]

薬剤の用量が、病名××に対する成人での用量範囲内であり、小児用量は存在しない

[適用内/用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量も範囲内

[適用内/用量適宜増減2倍以下㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量は添付文書量を超えるが2倍以内で、添付文書の適宜増減の記載により用量内になりえる

[適用内/用量適宜増減2倍超㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用あり。用量は添付文書量の2倍超で、添付文書に適宜増減の記載はあるが、用量外になる可能性あり

[○○では適用外/他適用用量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適用がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、用量は範囲内

[薬価未収載]

海外の薬剤など