今日の臨床サポート

発熱性好中球減少

著者: 陶山浩一1) 熊本大学医学部附属病院 がんセンター

著者: 高野利実2) がん研有明病院 乳腺内科

監修: 高野利実 がん研有明病院 乳腺内科

著者校正/監修レビュー済:2019/03/05
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 発熱性好中球減少症(FN)の定義は、絶対好中球数(absolute neutrophil count、ANC)が500/mm3未満、もしくは1,000/mm3未満で500/mm3未満になることが予測される状況下で、38.3℃以上の発熱あるいは1時間以上継続する38℃以上の口腔内温が生じている状況である(「腋窩温」で37.5℃以上)。
  1. 内科的緊急疾患であり、的確なリスク評価と治療開始の判断を、迅速に行う必要がある。判断に迷う場合は腫瘍内科医もしくは感染症科医へのコンサルトを躊躇しない。
  1. 抗癌薬の副作用による死亡原因のなかで、FNによるものが第1位である。経験的抗菌薬療法が確立する以前には、その死亡率は75%にも達していた。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
陶山浩一 : 未申告[2021年]
高野利実 : 講演料(第一三共,日本イーライリリー,中外製薬,エーザイ,セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン),研究費・助成金など(中外製薬,小野薬品工業,MSD,第一三共,エーザイ)[2021年]
監修:高野利実 : 講演料(第一三共,日本イーライリリー,中外製薬,エーザイ,セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン),研究費・助成金など(中外製薬,小野薬品工業,MSD,第一三共,エーザイ)[2021年]

改訂のポイント
  1. 発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン 改訂第2版
に基づき、内容を一部修正した。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 抗癌薬治療中の患者の、重要な副作用の1つとして骨髄抑制がある。それにより、白血球・赤血球・血小板の減少が起こり得る。
  1. 骨髄抑制による白血球減少時に生じた発熱の状況を、総称して「発熱性好中球減少症(febrile neutropenia、FN)」と呼ぶ。
  1. FNの定義は、絶対好中球数(absolute neutrophil count、ANC)が500/mm3未満、もしくは1,000/mm3未満で500/mm3未満になることが予測される状況下で、38.3℃以上の発熱あるいは1時間以上継続する38℃以上の発熱が生じている状況、である。
  1. 抗癌薬の副作用による死亡原因のなかで、FNによるものが第1位である。経験的抗菌薬療法が確立する以前には、その死亡率は75%にも達していた。
  1. 速やかな対応が求められる、内科的emergencyの病態であり、ASCOのガイドラインでは発熱から治療開始まで60分以内となることを推奨している。治療の基本は、リスクに応じた経験的抗菌薬療法の開始である。また、高齢者やステロイド投与中であれば発熱を認めないこともあるため、臨床的に感染症を疑えば迷わず治療を開始することが求められる。
  1. 使用するレジメンや患者の状態によっては、G-CSFの予防投与、抗菌薬の予防投与も検討する。
問診・診察のポイント  
  1. 先行した抗癌薬化学療法からの経過日数をチェックする。一般的には、抗癌薬投与後10~14日で好中球は最小となる。

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