今日の臨床サポート

血管性認知症

著者: 川畑信也 八千代病院 認知症疾患医療センター

監修: 高橋裕秀 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科

著者校正/監修レビュー済:2018/07/04
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が主因となって生じる認知症である。
  1. 血管性認知症は、アルツハイマー型認知症ならびにレビー小体型認知症とともに認知症を生じる3大疾患である。
  1. 脳血管障害が原因となる局所神経徴候を認めるとき、血管性認知症の可能性を考える。わが国では、多発性ラクナ梗塞に伴う認知症、すなわち細血管病変に伴う認知症が最も多い。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
川畑信也 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:高橋裕秀 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 現在の認知症診療は,アルツハイマー型認知症に新薬開発を含めて関心が集中しており、血管性認知症に関する新たな研究成果はほとんどないのが実情ではないかと思われる。
  1. わが国においても血管性認知症に関する纏まった臨床研究はないと言っても過言ではない。
  1. 2013年に発表されたDSM-5では,認知症は,major neurocognitive disorderに一括され、血管性認知症は、major vascular neurocognitive disorderとされている。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 血管性認知症は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とともに、認知症の原因となる3大疾患である。
  1. 血管性認知症は、①認知症の存在②脳血管障害の存在③認知症と脳血管障害との間に時間的関連性が証明される――の3点から診断される。
  1. 初期症状あるいは主要な症状は、日常の実行機能障害あるいは操作機能障害であって、記憶障害が目立たないことも多い。
  1. 血管性認知症と臨床診断された患者群の半数で、アルツハイマー型認知症病変を合併する。また、アルツハイマー型認知症と診断された患者群の半数近くに脳血管障害の存在が証明される。75歳を超える高齢者では脳血管障害とアルツハイマー型認知症の合併例が多いことから、高齢者では純粋な血管性認知症の存在は少ないといわれている。
  1. 最近の研究から、血管性認知症の多くは脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症ではないかといわれている。したがって、血管性認知症と安易に診断を下さないよう勧められる。
  1. 血管性認知症に進展した段階では治療が困難なことから、脳血管障害の発症あるいは認知症の前段階を含めた包括的概念として血管性認知障害vascular cognitive impairment (VCI)の名称がAHA/ASA(2011)から提唱されている。
病歴・診察のポイント  
  1. 認知症が存在することを、まず確認すること。さらに、神経症状として構音障害や片麻痺、歩行障害、脳血管性パーキンソニズムなど脳血管障害由来の症状の有無を確認する。脳画像検査で神経症状の責任病巣となる脳血管障害の存在を確認すること。アルツハイマー型認知症では、首から下の症状、すなわち片麻痺や歩行障害、感覚障害などは認められない。

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